鈴木羽那?めっちゃ恋してますけど?   作:フェンネル

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アイドルって大変だ

「───それじゃ、俺は仕事が残ってるから帰るよ」

 

「うす。お嬢には俺から言っときます」

 

「はは。太郎くんの話をしてる時、夏葉は楽しそうだったよ。ま、まぁ、名前を聞いてなかったのが痛手だったけど」

 

「なら良いんですけど・・・・・そんじゃ、また?」

 

「うん。もしかしたら会うことがあるかもしれないし、今は「またね」だと思うよ」

 

「今度話す機会あったら教えてくださいよ。283プロのアイドルの人達のこと」

 

「あぁ。放クラ以外にも魅力的なアイドルが沢山いるからね!」

 

 

 

 

 

○○○○○

 

 

 

 

 

───さて。

 

「お嬢」

 

「言いたいことはわかるわ」

 

「お嬢はアイドルがどういうもんか知ってるんすよね?」

 

「もちろんよ!」

 

そう言うとお嬢はアイドルの良いところを話し始めた。

言うなら「表の部分」って感じだ。

その言葉には異論ないし(そもそも俺は一般人だし)、アイドルってのはすげぇ職業だと思う。

 

「確かにお嬢の言う通りですけど、俺が言いたいのは悪い部分のことすよ」

 

「悪い部分?」

 

アイドルやらなんやらとは言うが、俺は芸能界ってやつに良いイメージはねぇ。

捻くれ過ぎてるだけかもしれねぇけど、悪い大人(あんま良くねぇ見た目の中年男性的なやつ)とかいそうな気がしてしょうがねぇ。

 

「お嬢大学生っすよね。なら余計に()()()()話は出るでしょ」

 

あんま詳しく言うのもなんだかなぁとは思う。

てか、異性に下ネタは言うべきじゃねぇ。

(俺の場合、下ネタを使わずに表現する方法が思いつかねぇ。)

 

「前に言っていた、男女2人の件かしら?」

 

「それもそうすけど、それは()()()()の話すよ」

 

「あなたと私?」

 

「・・・・・アイドルのファンってのは、少なからず恋してる奴が絶対います」

 

そりゃは人によるって言っちまえばそれまでだけど、少なくとも俺が恋してんだから絶対いるだろ。

俺の中ではそう結論付けてる。

 

「・・・・・私に?」

 

「お嬢みたいな超絶美人なら、絶対います」

 

「急に言われると照れるわ」

 

「だからこそどんな理由であれ、異性の影をチラつかせるのは良くないんすよ。そういう関係じゃなかったとしても、同じ家に住んでるなんてのは不味いっす」

 

お嬢はすげぇ賢いから絶対分かってると思ってた。

けど、世の中には塵みたいな可能性を無理矢理かき集めて燃やそうとする奴もいるってことを知って欲しい。

まぁ、お嬢がそんなことになったら犯人はぶっ殺すけどな。

 

「1回証拠と思えるものを見られちまうと、アイドルとしてのイメージは絶対下がると思うんすよ」

 

「確かに、()()()()()()をかけさせないことは大前提だものね」

 

「まぁ俺に関しては素人意見すけど、素人の俺でも思うくらいお嬢と俺は危ねぇってことすよ。スキャンダルってのはすげぇ致命的なんでしょ?」

 

スキャンダルを黙る代わりに・・・・・なんていう展開になったりしたら、俺は暴れ散らかす。

(そういう漫画の読み過ぎ?それはそう)

 

「・・・・・私達も別居した方がいいのかしら?」

 

「それが理想っすね」

 

「そう・・・・・」

 

お嬢はシュンとした。

やめろ!可愛いからつい取り消したくなっちまう!

 

「・・・・・プロデューサーさんとかとちゃんと話し合えば、今のままで大丈夫かもしれないすよ」

 

何だかんだ俺もチョロくね?

まぁ(俺も離れるのは正直名残惜しいから)良いか。

いざって時は出てくつもりだし。

 

 

 

 

 

○○○○○

 

 

 

 

 

「なんでいるんだよ!」

 

「今まで会ってなかっただけでしょ。俺はちょこちょこ来てるんすよ」

 

攻めた格好の美人さんとまた会った。

 

「ていうか、前の対応が嘘みてぇに感情豊かっすね」

 

「・・・・・うるせぇ」

 

あ、戻った。

もしかしてこの人結構面白ぇのか?

 

「立ち話もなんだし、ベンチ座りません?」

 

「1人で座ってろ」

 

「うす。隣空けとくんで後で来てくださいよ」

 

「死んでもいかねぇよ」

 

多分あの人もベンチに座る。

何でって?

この気温とあの日との格好見ればわかる。

ベンチでボーッとしてると、わりとすぐ風が吹いた。

結構寒いな。

 

「・・・・・クソが」

 

「ギャハハハハハ!」

 

「ぶっ殺すぞ!!」

 

ちゃんとお姉さんも来た。

 

「なんでそんな薄着なんすか」

 

「うっせぇな。別にいいだろ」

 

「そりゃよくお似合いですけど」

 

「・・・・・チッ」

 

あれ?悪い反応じゃねぇな。

自分の服好きなのか?

それか褒められるのに慣れてないタイプ?

俺が相手だから何も言いたくないのか?

・・・・・よし、煽るか。

 

「あれ、照れてます?」

 

「黙れよ」

 

「隣に座ってて会話無いのは楽しくないでしょ」

 

「私はお前と話したくねぇんだよ」

 

「俺から離れれば追いかけないんで話さなくてよくなりますよ」

 

「・・・・・・・・・・」

 

あ、立った。

離れて───風が吹いた。

お姉さんが震えた。

・・・・・戻ってきた。

 

「・・・・・なんだよ」

 

「だーっはっはっはっは!!」

 

「テメェ!!」

 

胸ぐら掴まれてすげぇ揺らされる。

寒くてこっち来たのに逆方向行ったらそりゃ寒いわな。

 

「お姉さん面白いっすね」

 

「もう喋んなお前」

 

「俺田中っす。お姉さんは?」

 

「言うわけねぇだろ」

 

その時、大通りにお姉さんの顔面がデカデカと映るトラックが。

顔の下に「斑鳩ルカ」って書いてる。

えっアイドル?

あー、まぁ美人さんだし納得だな。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

お姉さんは心底ダルそうな顔でトラックを見つめる。

そしてチラッとこっちを見たのを見逃さず俺は名前を呼んだ。

 

「ルカお姉さん」

 

「殺すぞ!」

 

「がーっはっはっはっはっは!!!」

 

それからしばらくルカお姉さんを煽ってたらいつの間にか夜になってた。

 

「ルカお姉さん1人で大丈夫すか?」

 

「お前についてこられるよりはマシだよ」

 

「・・・・・ていうか寒いんだから夜まで外いたらダメでしょ。上着いります?」

 

「いらねぇよ!テメェがからかってきたから遅くなってんだろうが!」

 

お、いい事言うな。

俺のせいね。

 

「じゃあ責任取って俺が家まで送りますよ」

 

「は?キモい。来んな」

 

口は悪いけど寒そうにしてるルカお姉さんを見て、俺は割と強引にコンビニに連れて行った。

 

「耳真っ赤っすよ。ルカお姉さん金は?」

 

「・・・・・チッ」

 

「ないんすね」

 

暖かい飲みもんをルカお姉さんに渡す。

一応肉まんやら揚げ物やらも買った。

 

「食います?」

 

「いらね───」

 

ルカお姉さんの腹から可愛い音が。

寒さか恥ずかしさかわかんねぇけど、顔がちょっと赤い。

・・・・・可愛い。

 

「楽しませてくれたお礼ってことで、受け取ってくださいよ」

 

肉まんを半分渡すとルカお姉さんは渋々受け取って、美味そうに食った。

やっぱ空腹には勝てねぇよな。

 

「てかアイドルが夜に肉まんなんて食っていいんすか」

 

「今更だろ。ていうか渡してから言ってんじゃねぇよ」

 

「だってルカお姉さんが寒そうだから」

 

そう言うと無言で食い始めた。

飲み物もさっさと飲んで、俺にゴミを押し付ける。

 

「その上着寄越せ」

 

「いいすよ」

 

そんで俺から上着を剥いだ後、早足で帰り始めた。

・・・・・ついてくんなって言わなくなった。

もしかしてデレた?

 

「ルカお姉さんちょろいっすね」

 

「黙ってついてこい」

 

結局ルカお姉さんの帰る場所まで送った。

家というかスナックで、ママさん?(ルカお姉さんのお袋さんかな?)が待っていた。

 

「ルカ、隣の子はお友達?」

 

「どうもお母さん。ルカお姉さんの友達の田中です」

 

「おいやめろ!ちょ、ママ!中入っといて!」

 

バタン、と慌ててドアを閉めて上着を脱ぐルカお姉さん。

 

「礼は言わねぇぞ」

 

「どういたしまして」

 

「・・・・・ふん」

 

俺はそんな上着を羽織って、特大の爆弾を落とした。

 

「う〜んいい匂い」

 

「キメェ!!!」

 

へへ、キモいもん勝ちだぜ!!

 

「・・・・・とりあえず、ちゃんと暖かくして寝てくださいよ」

 

お節介だろうけど、言うだけならタダだ。

 

「わかってる。さっさと帰れ」

 

「うす」

 

ちょっとは仲良くなれたかな?

なんて思いながら、お嬢の待つマンションへ帰った。

帰るのが遅くなってお嬢に怒られた。

携帯を見たら、結構な数連絡が来てた。

その日はぐっすり寝れた。

 

 

 

 

 

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