アビドスと太陽を守りたい月 作:キヴォトス一般人
本作品は「ホシノの同級生になっていた話」の改訂版になります。
主な変更点としては転生要素が消えています。
正直、前世の記憶いる? と思っていたのもあって大きな変更点になります。
また構成も大きく変更しております。
名前やAIで作ったイラストについては使いまわしです()
改訂前はこちら
https://syosetu.org/novel/365659/
01話:始まり
「……」
そっとその場に崩れているホシノちゃんを抱きしめる。
「セレネ……ちゃん」
「大丈夫。大丈夫ですよ、ホシノちゃんは悪くありません」
「でも……でも!」
普段はそんな顔を見せないホシノちゃんが泣きじゃくり、抱きしめながらホシノちゃんの頭を撫でてあげます。少しでも効果があればいいのですが。
「その場に居なかったわたしも悪かったかもしれませんね……」
「違……セレネちゃんは悪くないです」
「いえ。わたしが居たら何とか出来ていたかもしれません」
「そんなことは……」
ホシノちゃんとユメ先輩が喧嘩をしたこと。
わたしはそれを後から聞きました。丁度そのタイミングでわたしは仕事をしていたため、その場に居合わせることが出来ませんでした。
もしわたしが……そこに居たらホシノちゃんを止めることが出来たかもしれません。だからわたしが放ったらかして仕事していたことにも責任があると思います。
「セレネちゃん……」
「大丈夫ですよ、ホシノちゃん。わたしはここに居ます。だから今はゆっくり休んでください」
「……」
優しく撫で続ける。
ホシノちゃんは悪くありません。それを言い続けます。
「……セレネちゃん……」
「……おや、眠ってしまいましたか」
いえ、ゆっくり休めと言ったのはわたしなのですが。
「……」
眠っているホシノちゃんを起こさないようにゆっくりと持ち上げます。いわゆるお姫様抱っこのような形ですね。この運び方が一番運びやすいのですよね。
そのまま保健室のベッドにホシノちゃんを運んで寝かせます。もちろん、身体を冷やさないように布団も掛けておきます。
「……」
眠っているホシノちゃんを見ます。
ユメ先輩が行方不明となってしまい、アビドスにはわたしとホシノちゃんだけが残されてしまいました。いえ、ユメ先輩はまだ何処か居ると信じたいところですが。
「ホシノちゃんは悪くないです。……ユメ先輩だって悪くないです。……とにかく、今はアビドスの今後を考えないといけませんね」
第一は変わらす借金を返済することですが、ユメ先輩が居なくなってしまったからと言って借金が無くなる訳ではないのです。
毎月の返済期日はこっちの都合など知らずにやって来ますし、払えなければアビドスはなくなってしまいます。
「でもホシノちゃんを一人にする訳にも行きませんよね……」
とはいえ、稼がないといけないのは変わらないのです。
数カ月分は貯金してありますけど、それでも数ヶ月です。全てを返済しきれる訳でもないので、返済するお金を稼ぐ必要があります。
わたしからしてもユメ先輩は大事な先輩なのは変わりないのですが、ホシノちゃんのように落ち込んだりしないのは、薄情なのかもしれません。
「薄情でもいいです……」
ホシノちゃんとアビドスを守るためにも、今はわたしが頑張る必要があります。無理をして心配かけるのもよくないですし、長い間空けてしまうのもよくないでしょうね。
「……ホシノちゃん、わたしはちょっと仕事に行ってきます」
探すこともしないといけませんね。簡単にメモ書きだけを置いてわたしは保健室を後にするのでした。
**********
「あまり遅くなる訳には行きませんね」
ホシノちゃんも心配ですしね。
キリのいいところで一旦、仕事を引き上げてわたしはアビドスの方に帰ります。家もあるのですが、今の状況で家に帰る訳には行きません。
それに、わたしの家があるあの場所は既にカイザーのものとなっています。なので、そこに戻るというのは少々問題があるかなと思いますね。
「とはいえ、自分の家がある場所なので買い戻したいところです」
まあその前にアビドスの借金の対応が必要ですけど。
……まだ8億円くらいあるのですよね。本当に終わりが見えないです。でも、返済を続ける以外の選択肢はありません。
「はぁ」
思わずため息が出てしまいます。
でもわたしはアビドスが好きですし、こんな状況でもまだ残っている一般人も居ます。柴関ラーメンもありますしね。
「アビドスの土地は本当に残り少ないです」
カバンの中に入っている紙を見ます。
今時、紙を使うというのはあまりないですが、現物があるとちょっとだけ安心感があるのですよね。デジタルのデータではなく。
もちろん、デジタルも嫌いではないですし、何ならそっちの方が楽であるのは同意です。
「校舎と……一部の市街地、それから柴関ラーメンのある市街地くらいですか」
細かなところはまだありますが、ほとんどがアビドスのものではなくなっているのですよね、何か悪意を感じますが、根拠も証拠もないので何も言えないのですけどね。
「借金返済のため仕方がなかったのかもしれませんね」
この事実をホシノちゃんに伝えるべきなのでしょうか?
いえ……今伝える必要はないですね。今は隠して置きましょう。というか、ユメ先輩にすら伝えていなかったですし。
もし伝えたら伝えたらで何か変なことを考えてしまう可能性も否定できないのですよね。今のホシノちゃんは特に。
「ホシノちゃんにはゆっくり休んでもらいましょう」
今は、ゆっくりと。
ただそれはいいのですが、ちょっとした問題もあります。生徒会長が不在になってしまったという現状です。
元よりわたしとホシノちゃんとユメ先輩の3人しか居なかった生徒会なので、あれなのですけど……生徒会長が居ないというのは今後に支障が出る可能性が高いです。
副会長であるわたしかホシノちゃんがなる必要がありますが……個人的にはホシノちゃんにしてもらいたいのですよね。
まずはホシノちゃんが落ち着くのを待ちましょうか。
その間は……わたしが頑張る必要がありそうです。まあ、さっき言ったようにホシノちゃんやアビドスの為ならば頑張れますね。
「夜間の仕事も増やしましょうかね?」
夜間の仕事は普通よりも賃金が高いです。
いや流石に怪しいお店とかでの仕事はやらないですよ? そんなことしたら色々と問題になりそうですし、アビドスに影響を与えてしまう可能性もあります。
少しでもお金が増えるのであれば、仕事は夜の方にした方がいいでしょうが……ホシノちゃんも心配なのですよね。
あとは校舎もそうです。日に日にアビドスの治安は悪くなっています。これ以上悪くならないように見回りをする必要もありますし、念のため校舎を襲撃された場合のことも考える必要があります。
何はともあれ……やることは多いですね。少しずつ出来るところから対応していきましょうか。まずはそれが一番大事です。
そんなことを考えながら、わたしはアビドスの校舎の方に歩くのでした。