アビドスと太陽を守りたい月   作:キヴォトス一般人

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※本日もう1話投稿予定です(たぶん20時頃)


11話:(セレネ)は支え――

「はい、そこまで~」

 

 ホシノちゃんの合図で戦闘が終了します。

 

「降参……無理、強い」

 

 そう言って降参するのはシロコちゃんです。

 シロコちゃんに頼まれて、後輩の頼みですので戦ったのですが、結構強かったですね。これなら治安維持できているのも納得です。

 

「よく頑張りました」

「ん……」

 

 わたしとしたことが、ちょっとだけ本気を出してしまいましたね。

 シロコちゃんの状態は結構ボロボロです。いえ、こうしたのはわたしなのですけどね……わたしの方はそこまでではないのですが。

 

「セレネ先輩強い」

「おや先輩って呼ぶんですね」

「ん……約束だから。ホシノ先輩と」

「え、ホシノちゃんですか?」

「うへ。いやぁ、セレネちゃんも先輩なんだからさ、もし負けたらそう呼ぶようにってちょっとね」

「あーそうなのですね」

 

 別に今まで通りでもよかったのですが……でも、それなら仕方がありませんね。

 

「セレネ先輩、本当にお強いんですね」

 

 素直に感心してくれるノノミちゃんも可愛いですね。でも悪い気はしませんね。

 

「そうでもないですよ? ホシノちゃんの方が強いと思います」

「うへ、どうかなあ」

「いやいや……ホシノちゃんが一番強いと思います」

「セレネちゃんも強いと思うんだけどなあ……まあ状況によりけりかもしれないね」

「それはあるかもしれません。どうです、ホシノちゃん、戦いますか?」

「うへぇ……やめとくー」

「そうですか」

 

 ちょっと残念ですが仕方がありません。

 

「シロコちゃんもすみません。ちょっとやりすぎたかもしれませんね」

「ん……でも強い」

「おー何かそんなキラキラな目で見られると反応に困りますね。よしよし~」

「ん……」

 

 そう言いながらわたしはシロコちゃんの頭を撫でます。本来であればわたしの方が低いので背伸びする必要が出てくるのですが、シロコちゃんは今座っているような感じなので流石に立っていれば届きますよ。

 

「何かシロコちゃん気持ちよさそうですね」

「セレネちゃんの撫では……こうかばつぐん」

「え。ホシノ先輩?」

「うへ。いやぁ、おじさんも前やられたからねえ」

「そ、そうなんですね」

「まあ、セレネちゃんは普通に無自覚だろうけど」

 

 何か後ろで言われているような気がしますが……まあいいでしょう。

 

「さてと。ボロボロになっちゃいましたし、着替えましょうか。あとはこの校庭も少し直さないとですね」

「結構えぐれてるねえ……まあこのくらいならすぐ砂で直るだろうけど」

 

 思ったより校庭にダメージを与えていたようです。

 因みに今回はアサルトライフルの方……Selēnēを使いましたよ。

 

「因みにノノミちゃん」

「はい?」

「セレネちゃん、アサルトライフル使ってたけどメインはスナイパーライフルだったりするよ」

「ええ!?」

 

 

 

**********

 

 

 

「……」

 

 ノノミちゃんとシロコちゃんがそれぞれの家に帰った後、わたしは1人で屋上に居ましたが、後ろから気配を感じました。

 

「……どうかしましたか、ホシノちゃん」

「うへ、バレるんだねえ」

「それはまあ、バリバリ気配を感じましたし。ホシノちゃんも隠れるつもりもなかったのでしょう?」

「そうだね」

 

 シロコちゃんとノノミちゃんは校舎に今は居ないですし、この時間帯にこの場所に居るのは1人しか考えられませんしね。不良とかが侵入してきた可能性もありますが、ホシノちゃんの気配を間違えるようなことはないです。

 

「今日は天気がよかったのもあって星空がきれいですね」

 

 ふと空を見上げながら呟きます。

 思ったよりきれいな星空です。星座とか星の名前とかに詳しい訳ではありません。ただきれいだなと思っただけです。

 

「うん……そうだね」

「たった2人……いえ、3人だったアビドスに新しい2人が来てくれました」

「うん……」

 

 まだユメ先輩のことを諦めている訳ではないです。先輩を仲間外れにするのは駄目でしょう。

 

「まあ、相変わらずの借金ですけどね」

「こればっかりはねえ」

 

 お互い苦笑いします。

 とはいえ、2人が入ってきてくれたのもあって2人の時よりは少しは楽になっているのも事実です。自分の時間も少し増えましたしね。

 

「ホシノちゃんに1つ言いたいことがあります」

「何かな?」

「自分のことを責め続けないでください。そして……危ないことや怪しいこともしないで欲しい。わたしが……ホシノちゃんのことを支えます。ずっと、最後まで。だから間違った選択だけはしないで欲しいです」

 

 まあ、わたしが言えた義理は無いのかもしれませんが。

 

「っ……」

「わたしはホシノちゃんのこと親友と思っていますよ」

「それは、私も……セレネちゃんのことはそう思ってるよ」

「それが聞けてよかったです」

「セレネちゃん……」

 

 何とも言えないような表情でこちらを見てくるホシノちゃん。

 

「ホシノちゃんが何か悩んでいることは何となく分かっちゃいます」

「そ、それは……」

 

 その元凶も知っている。

 だけど、元凶を叩くことはわたしには無理です。あの得体のしれない黒い男……黒服でしたっけ? あいつは普通にホシノちゃんに取引を持ち掛けているだけです。

 選択権をホシノちゃんに与えていますからね。わたしが断るように、とホシノちゃんに言うのは簡単でしょうが……そこはホシノちゃんの選択を信じたいところです。

 

 でももし、ホシノちゃんが間違った選択肢を取ってしまったら……絶対に戻して見せますよ。

 

「わたしの見立てではだいぶ前から、ですかね」

 

 ……実際は見立てでもなんでもないのですけどね。

 

「……」

「ホシノちゃんにはホシノちゃんのまま、そのままで居て欲しい。それにせっかく新入生が2人も入ってきてくれたのですから」

 

 まあ、ホシノちゃんが話を進めていたのでわたしはこの件については蚊帳の外でしたが、それでもやはりこの学校に来てくれたことは嬉しいことこの上ないのも事実です。

 

「もしホシノちゃんが間違った道に行っても……わたしは全力で引き戻して見せます」

「!」

「ノノミちゃんやシロコちゃんもそうですけど、ホシノちゃんも大切な仲間ですよ?」

 

 わたしよりも少しだけ身長の高いホシノちゃんの頭の上に手を乗せます。

 同級生として、親友として……かつての生徒会仲間として。わたしはホシノちゃんやアビドスを守りたいと思っています。

 

 だからあんな黒服のところなんかに行くな……とまでは流石に言えませんね。

 

「セレネちゃんごめん……私……」

「いえ、ホシノちゃんが何か隠していることはさっきも言いましたけど何となく分かります。それが大きいものであることも。無理に聞くことはしませんよ。それに誰だって隠し事の1つや2つはあるでしょうしね」

「……セレネちゃんも?」

「まあ、あるにはありますね」

 

 土地の所有者のことを思い返す。

 そういえばまだこれは言えてなかったな、と思い出します。この話については恐らく、ホシノちゃんも気付いていないでしょうね。ユメ先輩も。

 これをどのタイミングで話すか考えていたら気付けば2年生になっていましたからね。しかし、今のホシノちゃんに言うのはどうでしょうか……。

 

 でもホシノちゃんに隠したくもないですね。それに同じ生徒会だったこともありますし、伝えるべきでしょうが……あの黒服が頭をよぎりますね。

 これを伝えた場合、ホシノちゃんは黒服の取引に乗ってしまう可能性がありますが……いえ、そこはホシノちゃんを信じたいですね。

 

「ホシノちゃん」

「?」

「今からとても重要な、そしてずっとわたしが隠してきた事実の話をします」

「え、それってどういう……」

「もっと早く話すべきでもあったのですが……恐らくこれはユメ先輩も知らなかったことです」

「……」

「アビドス高等学校の……所有土地の話です」

 

 全てを知った上で、ホシノちゃんはどんな選択を取るのでしょうね。ですが、間違った選択は取らないように、そう願って……わたしは隠していたことをホシノちゃんに話すのでした。

 

 




まともな戦闘描写は得意ではないのです(←)
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