アビドスと太陽を守りたい月   作:キヴォトス一般人

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14話:セレネ談

「おはようございます~」

「ノノミちゃんおはよー、シロコちゃんも」

「ん」

 

 そうやって対策室にはセレネを除く3人が集まっていた。本来であれば、既にここに居るはずのセレネが居ないことにノノミは気付く。

 

「ホシノ先輩、セレネ先輩は?」

「ん……いつもならもう居るのに」

「あー……セレネちゃん、また夜の仕事を頑張りすぎたみたいでね……寝てるよ」

 

 2人の疑問に答えるのはホシノであった。

 しかし、ホシノはそう答えているものの本当はセレネはここに来ようとはしていた。しかしホシノがセレネに無理をさせまいと強制的に寝てもらうように説得したのである。そのことについてはホシノは内緒にしておいた。

 

「そうなんですね……」

「セレネちゃんはちょっと頑張りすぎなんだよー」

 

 ホシノは1年の時から間近で見ていたのだから。

 今現在でもこのアビドスの中で一番頑張っているのはセレネであることはホシノも理解している。しかし、頑張りすぎなところが玉に瑕であった。

 

「昔はもっと酷かったからね……」

「そ、そうなんですか?」

「うん。セレネちゃん、自分の疲労に気付かずに連続で徹夜したりしてからね」

「それは……何と言うか凄いですね」

 

 あはは、と苦笑いをするノノミであった。

 

「でもホシノ先輩がなんとか言い聞かせたって聞いてる」

「まあそうだね……流石に見てられなかったし、ちょっときつめに言ったから。だから今はマシな方なんだよね」

「ん……」

「セレネ先輩、凄いですね……」

「本当にね」

 

 実際、頑張っていることもあって一番稼いでいるのも彼女である。

 毎月の返済額の半分以上はセレネが稼いでいるのだ。それもあって、シロコやノノミ、ホシノが自分で使える資金もそこそこ残っている。

 

「あれでもセレネちゃんも自分で使うお金も持っているからねえ」

 

 それが余計にとんでもないところでもある。

 

「ん……よく分からないけど、セレネ先輩は優しい」

「そうですね……」

 

 少し的外れなことを言うシロコにノノミは返す。

 

「セレネちゃんが優しいのは認めるよ。……優しすぎるけどね」

 

 ホシノは思い当たる節がかなりあった。ノノミやシロコとしてもホシノほど長い付き合いではないものの、気を使ってくれていることは理解していた。

 特にシロコに関しては、記憶喪失でアビドスに居たという事情を聞いたからか、ちょくちょくシロコのことをセレネは心配してくれていたのだ。

 

「私はまだセレネ先輩のことをあまり知らないので、ホシノ先輩さえよければ教えてもらえませんか?」

「ん……私も」

「うへ……セレネちゃんのことかぁ……まあ、そうだよね」

 

 ノノミは、入学する前にホシノとは何度か会っていたし、一緒に行動することもあったが、セレネとはあまり一緒になったことはなかった。

 ノノミがセレネに初めて会ったのは入学式のときであった。ホシノから何度か話は聞いていたものの、入学式前に実際に会うことは叶わなかったのである。

 

 シロコに関しても、入学前にホシノとノノミが一緒に行動していたときに見つけたのだ。シロコはそのときにホシノから首元にマフラー巻いてもらって、今もそれを巻いている。

 

 結局のところ、シロコもノノミもセレネと初めて会ったのは入学式のときだったのである。

 

 ノノミのセレネへの対しての第一印象は失礼かもしれないが、小さい、小柄といったものだった。それはホシノにも言えることなのだが、そんなホシノよりも若干ではあるものの小さかったのである。

 話し方は丁寧で、ノノミ達のことも歓迎してくれていた。時に一緒に出掛けたり、時に一緒に補給しに行ったり、ホシノと一緒に学校内を案内してくれたりなど。

 

「ノノミちゃんもシロコちゃんも知っての通り、セレネちゃんは私の同級生で、生徒会としても一緒に活動していたんだよね。まあそれは今も変わらずだけど。1年生の時は2人で活動していたからね」

 

 と言っても、ホシノはユメが居なくなったあと少しの間ではあるが何も行動できずに居た時期があったが。

 

「……まあ本当に色々と助けられてばかりかもね」

 

 色々と複雑な顔を見せるホシノだが、セレネにはいつも感謝していた。ホシノ自身が迷っているときもセレネは側で支えてくれていた。

 ホシノがそこまで荒れずに居られたのはセレネのおかげであることは自分でも理解していた。

 

「セレネ先輩ってどうやって稼いでいるんですかね……?」

「気になる」

「んー私も詳しくは知らないんだよね」

「ホシノ先輩でもですか?」

「うん、夜間の仕事をしていることは分かるんだけど」

 

 これについてはセレネから直接教えてもらったことなのでホシノも知っているが、どう見てもそれだけではないことはホシノも予想がつく。

 

「危ない仕事とかはしてないっていつも言っているけど……まあ嘘を言っているようにも見えないし、本当なんだろうけど、心配ではあるかな」

「そうですね……」

 

 ホシノでさえ知らないのであれば、シロコやノノミは余計に知らないであろう。

 

「ん……ホシノ先輩とセレネ先輩ならどっちが強い?」

「うへ……どうだろう?」

 

 そんな話をしていると、シロコがまた違う質問をしてきた為ホシノはちょっとだけ戸惑う。

 

「それ私も気になりますね……シロコちゃんとの戦いを見た感じではかなり強いように見えますけど」

「ん……セレネ先輩もホシノ先輩も強すぎる」

「うへへ……まあ伊達に2人でアビドスを守ってきた訳ではないからね」

 

 ただ実際のところ、ホシノ自身もセレネと戦ったらどうなるかは分からない。

 そもそもの話、ホシノとセレネでは戦闘スタイルが異なっているし、戦闘エリア……得意範囲が異なっているのだ。

 

「そもそも、私とセレネちゃんでは戦闘スタイルとかが違うからねえ」

「あ、確かにそうですね」

 

 ホシノはショットガンと盾を使って前に出るタンクタイプであるのに対して、セレネはスナイパーライフルを扱う後方火力支援タイプである。一発一発の火力がとてつもない。その理由は彼女が扱うスナイパーライフルにあるのだが。

 

「シロコちゃんが戦ったときのセレネちゃんは本気じゃないしね……」

「ん……それはホシノ先輩同じだと思う。何となく分かる」

「あはは……まあ、大事な後輩になる予定だったシロコちゃんに重傷を負わせる訳にも行かなかったしね」

 

 セレネとしても大事な後輩であるシロコを傷つけたくはなかったのだろう。

 

「それでもあれだけ強いんですね、おふたりは……」

 

 ノノミが苦笑いしながらそう言った。

 

「セレネちゃんの得意武器はスナイパーライフルだけど、シロコちゃんと戦ったようにアサルトライフルも普通に使うからね」

 

 そうなのである。

 セレネはスナイパーライフルが得意と言っているし、それは本当のことだがアサルトライフルも普通に使うことが出来る。むしろ、メイン武器がアサルトライフルなのかと思えるほどに。

 

「セレネ先輩のあのスナイパーライフルは凄いですよね……重そうです」

「実際に重いと思うよー? だってあれ、普通は装甲車とかに使うようなライフルだし」

「50口径でしたっけ」

「そうそう。あれにやられたらひとたまりもないねぇ」

 

 好き好んで食らいたくもないけど、とホシノは続ける。

 実際にホシノは食らったことはないが、見て分かるレベルで当たったらやばいことは分かる。基本的に一発でも当たったら一瞬で意識を刈り取られそうな代物である。

 

「セレネちゃんの怖いところはね……あのスナイパーライフルを近距離で使うときもあるんだよ」

「え」

 

 滅多に見ることはないが、中近距離でアサルトライフルに持ち替えることをせずに、使うときがあるのだ。精度は遠距離で使っているときと大差なく、確実に急所を狙い撃つ。

 

「何か凄いですね……」

「結局、ホシノ先輩とセレネ先輩が戦ったら引き分けとか?」

「まあそうなるかもしれないし、私が負けるかもしれないし、勝つかもしれない。場合によりけりかな」

 

 そんな結論を聞いたノノミは、改めて先輩である2人が恐ろしいということを理解したのだった。

 

 その後は簡単にホシノが知っている範囲で、続けてセレネのことを2人に話すのであった。

 

 

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