アビドスと太陽を守りたい月   作:キヴォトス一般人

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本日2話目です。
お気を付けください……()

いいサブタイトルが思い浮かばぬぅ


16話:夢を十六夜に

「セレネ先輩」

「……ノノミちゃんですか。よくここが分かりましたね」

「セレネ先輩が入っていくのが見えましたので……」 

「あー」

 

 なるほど、それなら当たり前ですね。

 わたしが今居るこの教室は、かつての生徒会室です。ユメ先輩とホシノちゃん、わたしの3人で使っていた部屋であり、道具とかは当時のまま残っています。

 生徒会室と書かれている名札のところは白いテープを張って消していますので、普通に見ただけではここが生徒会室だったということには気付きません。

 

「何をしていたんですか?」

「いつもの手入れですよ」

 

 埃が被ったりしないように、わたしとホシノちゃんで定期的に掃除をしていました。その効果もあって、今でも使っているような状態を維持しています。ここはわたしとホシノちゃんにとっては思い出の場所でもありますからね。

 

「この教室は……」

「ノノミちゃんならもう何となく察していると思います」

「……生徒会室、ですよね」

「正解です。ここはかつてアビドス生徒会が使っていた生徒会室ですよ」

 

 前にも言ったと思いますが、対策室はこことは違う空き教室を使っています。

 ホシノちゃんが違う教室を使おうという提案をしたので、その提案に賛成した結果になります。ホシノちゃんも何か思うところがあったのでしょう。それはわたしも同じです。

 

「色んな資料がありますね……」

「はい。わたしが本館から持ってきたものもありますし、元からあったものもあります」

 

 アビドスの現状を知る為に、わたしが本館から持ってこれそうな資料類を持ってきてここに置いているものもありますし、元からあったものもあります。他にも当時の生徒会で使っていたメモ帳やノート、ホワイトボードと言った道具類もそのまま残っています。

 

「何かごめんなさい、邪魔しちゃったみたいで。私は出ていきますね」

「まあ、待ってください」

「え」

 

 そう言って出ていこうとするノノミちゃんの手を掴みます。

 別に邪魔という訳ではありません。確かに思うところはありますが、ノノミちゃんもこのアビドスに入ってきてくれた後輩ですし、大切な仲間になります。

 

「空いてる椅子に座っていいですよ」

「えっと……」

「ほらほら、遠慮しないのー」

「セレネ先輩!?」

 

 戸惑っているノノミちゃんをスルーし、近くにあった椅子に彼女を座らせます。

 

「邪魔とか思ってないよー。ノノミちゃんも大切な後輩なんだからねえ」

「あのセレネ先輩、何かホシノ先輩みたいな喋り方になってませんか?」

「気のせいだよ」

 

 うんうん気のせいです。

 まあ、少しホシノちゃんをまねたのは認めますけど……ずっと一緒に居たので似たような喋り方は出来ますが、おじさんはホシノちゃんの専売特許らしいので使いませんが。

 

「ノノミちゃんは、わたしとホシノちゃんの先輩……ユメ先輩のことについては知っていますか?」

「多少は……消息不明ということだけは」

「そうでしょうね。ユメ先輩は……まあ、強いとか頭がいいとか……そういうところはないのですけど、それでもアビドスの為に一生懸命頑張ってくれていました。ホシノちゃんとも結構仲が良かったんですよ」

「そうなんですね……」

 

 どこか抜けている、そんな先輩だけどわたし達にとっては大事な先輩でした。

 まあ時折、突拍子のないことを言ってわたし達を戸惑わせたり、いたずらしてきたりすることはありましたが……でも、わたしはユメ先輩とホシノちゃんとなら頑張れると思いました。

 

「ノノミちゃんは知らないかもしれませんが、ホシノちゃんの落ち込みようは凄かったですよ」

「……」

 

 そんな先輩が助けてという通信を最後に消息不明となった。

 わたしとホシノちゃんは必死に探しましたが、見つからなかった。砂漠の何処かであることまでは予想できましたが、知っての通りアビドス砂漠はかなり広いです。それをくまなく探すというのは無謀です。

 

「ここはそうですね……わたしとホシノちゃん、そしてユメ先輩の思い出の場所でもあります。この写真も……」

「この人が……生徒会長」

 

 わたしとホシノちゃん、そしてユメ先輩の3人で撮った写真が写真立ての中に入っています。これを撮ったのは、ホシノちゃんとも打ち解けて仲良くなった時ですね。

 と言っても、そこまで打ち解けるまで時間はかかりませんでした。結構つんつんしていたんですよ? 当時のホシノちゃんは。ユメ先輩にもだいぶ辛辣でしたし。

 そこまで時間がかからなかったのはユメ先輩が居たのもありますけど、ちょっとした親近感もあったからかもですね。わたしとホシノちゃんって、左右で瞳の色が違うオッドアイなんですよね。これは偶然とは凄いですよね。因みにユメ先輩はオッドアイではありません。

 

 ――『ひぃん、何か私だけ仲間外れな気がする!』

 

 そんなことを言っていたことがあったなあと思い出し笑いをします。

 

「セレネ先輩?」

「あ、すみません。ちょっと思い出し笑いを……」

 

 こんな場面でそれはないという何かの突っ込みをされた気がしますが、気のせいですね。いえ、実際にその通りですけども……。

 

「こほん。……わたしもホシノちゃんもまだ信じていますが、現実的に考えて、ユメ先輩が生きている可能性はゼロに近いです」

「それは……」

「ちょっと暗い話になっちゃいましたね。……ノノミちゃんにはユメ先輩っていうもう1人が居たことを知っていて欲しい」

「はい……」

 

 後輩に伝えておきたいことでもあります。シロコちゃんにもあとで教えられたらいいなって思ってます。

 

「ノノミちゃんとシロコちゃんが来てくれたおかげで、アビドスもだいぶ持ち直せているんですよ」

「私は何も……」

「ノノミちゃんも頑張ってくれていることは知ってますよ。ホシノちゃんからも聞いてますし」

「そ、そうなんですか」

 

 ホシノちゃんから聞いたこともあれば、シロコちゃんからちらりと聞いたこともあります。

 それにノノミちゃんは時折、カードで弾薬とか食料とか日用品を買ってきてくれますからね。流石に借金返済はあれですけど、そういったものを買ってきてくれるのは非常にありがたいことです。とはいえ、使い過ぎないようにはして欲しいところです。

 

 まあ、ノノミちゃんならその辺りは大丈夫かもしれませんね。

 

「ノノミちゃんは、アビドスに来たことを後悔してませんか?」

「いえ、そんなことはないですよ。ちょっと色々ありましたしね」

「そうなんですか? いえ、まあ深いことは聞きませんが……」

「はい。……それに自分で決めたことですから」

「そうですか。それならよかったです」

 

 ホシノちゃんが前もって話をしていたのもあるのでしょうけど、それでも実際はどうなのかは分かりませんが……ノノミちゃんを見た感じでは、そういった雰囲気はないようですね。

 

「ノノミちゃんが通ってた中学校も廃校でしたよね」

「はい、そうですね……ちょっと寂しいですけど」

 

 アビドスの人口が減っているということなのでしょう。

 まだ電車があるだけマシなのですけどね。別の自治区に行くことは滅多にありませんが、出かけたりするときには便利ではあります。とはいえ、わたしの場合は軽トラがあるのでそれでどこか行くことも可能なのですけどね。

 

「色々と……まあ、寂しくなってきてますね、アビドスも」

 

 それでも残っている人も居るし、少なからずお店をやっている人も居ますけど。柴関ラーメンとかはいい例ですね。他の自治区とかからも来ているようですから。やはり美味しいのですよ。

 

「セレネ先輩?」

「ノノミちゃんもアビドスに来てくれてありがとうございます。前も言った気がしますけど、まあそれだけ本当にうれしいってことが伝わればいいなと思います」

「!」

 

 そっと座っているノノミちゃんの頭を撫でます。

 座っているのにあまり身長が変わらないというのは思うところはありますけど……まあ今更ですね。それに小さい方が何かと動きやすいこともあるのですよ。まあ、ちょっとした高い場所に手が届かなかったりしますけど。

 

「これからもよろしくお願いします」

「こちらこそ……」

 

 そんな会話をしながら時間が進むのでした。

 

 

 




ちょっぴりシリアス風味ですまない……でも平和路線です、誰が何と言おうが平和路線です。(ビシィッ)

思い出は引き継がれるものです。

透き通るような青春――とは(※当社比)
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