アビドスと太陽を守りたい月 作:キヴォトス一般人
いつもありがとうございます!!
「今月分の返済も皆さんのおかげで無事、終わりました!」
「ぱちぱちー」
「ん」
「おつかれ~」
対策室に集まってわたしがそう言えば、みんながそれぞれ反応を返してくれました。シロコちゃんはちょっと分かりにくいですが。
「いやぁ、また乗り切れたねえ」
「はい。ノノミちゃんとシロコちゃんも加わってくれたのもあってだいぶ楽になりました」
やはり人数は正義なのでしょうか? 以前の会議で言っていた生徒数を増やすという案を思い出します。確かに人が多ければもっと楽になるかもしれませんけど、そもそもここに来るって人がどれくらい居るのかって話ですよね。
アビドスの借金は相変わらず、先が見えないものですが……それでも皆でこうして返せています。そのおかげでアビドスはまだ存続できるのですよ。
「ノノミちゃんとシロコちゃんもだいぶ慣れてきましたね」
「ん」
「はい」
「いやあ、おじさん助かっちゃうよー」
「ホシノちゃんも頑張ってますよね。えらい」
「うへ、またそんなことを」
そんなやり取りを続けている中、わたしは1つ思い浮かびました。
「今月も返済できましたし、あれをしましょう」
「あれ?」
「あれとは?」
「あれってなんですか?」
わたしがそんなことを言うと3人が頭にはてなマークを浮かべていました。
また来月に返済日はやってきますが、それでもまた期間が空きます。こういうときにこそ、皆で息抜きをするべきですね。
とはいえ、息抜きと言っても……アビドスは御覧の通り砂漠ですし、市街地も結構廃れてしまっているのですけどね。
ですが……確かに息抜きができるような場所はないかもしれません。ぱっと思い浮かぶのはアクアリウムですが、今回はまだチケット購入できていませんし、流石にそっちは急かなと思います。
いえ、息抜きとはちょっと違うかもしれませんね。
「記念撮影!」
「「え」」
人によっては息抜きになるかもしれません。
……とまあ、冗談はおいておき、記念撮影については以前から撮りたいなって思っていたんですよね。せっかくシロコちゃんとノノミちゃんが入学してきてくれたのですから、皆で一緒に写真を撮りたいのですよ。
「なるほどねえ。それはおじさんも賛成かも?」
「お、ホシノちゃんが賛成してくれましたね。シロコちゃんとノノミちゃんはどうですか?」
生徒会室にはわたしとホシノちゃんとユメ先輩の3人が写っている写真がありますが、あれは生徒会の思い出です。
ユメ先輩を含めて5人で撮影することは叶いませんが、生徒会の思い出のように、対策委員会の思い出も残しておきたいのですよ。
来年にまた新入生が来てくれたら、また少し慣れた頃合いに写真を撮って残していきたいですね。まあ、新入生が来てくれればの話なのですが。
「ホシノ先輩もセレネ先輩も賛成であるなら私は特に問題ないです」
「ん」
とのことでした。
それなら、満場一致……と言えるかどうかは分かりませんが、実質満場一致ということで。そんな訳でわたし達の写真を撮ることにするのでした。
****
「ここは……体育館ですよね?」
「はい、そうですよ」
わたしを含め、4人でアビドスの学校内を回っていました。
まず最初に訪れたのは体育館です。シロコちゃんとノノミちゃんの入学式を行った場所でもあります。当時の飾りつけとかは片付けてありますが、今でも最近のことのように思い出せますね。
「ノノミちゃんとシロコちゃんの入学式をした場所ですよ」
「そうですね……」
「ん……」
「2人が入学してからそこそこ経過しているけど、つい最近のことのように思い出すねぇ」
「ホシノちゃんもですか? わたしもですよ」
「「ふふ」」
出来る限り豪華にやったつもりですが、まあ結局は他から見ればささやかな感じなのでしょうね。以前もそんなことを思った気がします。
「本当はもう少し豪華にしたかったんですけどね」
「そうだねぇ」
せっかく入って来てくれたのですから、それくらいはしたかったです。仕方がないことなのですけどね。アビドスの現状が厳しいですから。
「ホシノ先輩、セレネ先輩……」
「ん。よく分からないけど……そこそこ楽しかったよ?」
「それはよかったです」
「ノノミちゃんもごめんね、豪華じゃなくて」
「い、いえ! 入学させてもらっただけでも嬉しかったので」
「うへ、それならよかった」
2人の入学式のことも思い出しますけど、わたしとホシノちゃんの入学式も思い出しますね。ユメ先輩が頑張って飾り付けをしてくれていたのですから。
「ここでまずは1枚撮りましょうか」
「セレネちゃん、何枚撮る気なの~?」
「そうですね、思い出がある場所全部で撮りたいなと」
「結構撮るつもりなんだね……」
ホシノちゃんがちょっとだけ苦笑いをします。
人物写真だけであれば、何処でもいいのかもしれませんけど、思い出として撮りたいですし、アビドスの一部が写る状態で撮りたいなというのが本音です。
「でもそうだね……思い出」
「はい」
記録として残しておくのですよ。
わたしとホシノちゃん、シロコちゃんにノノミちゃん……そしてユメ先輩の5人がこのアビドスに居たという、その記録を。
「ステージの方を背景にしましょうかね」
三脚付きのカメラを用意し、設置します。
「セレネちゃん、そんなのまで持ってたんだ」
「はい、非常にコンパクトですからカバンに入れられるくらいですよ」
撮ると言ったのはわたしですし、ちゃんとカメラは用意してあるのですよ。
「それじゃあ、撮りましょうか」
「分かった」
「ん」
「分かりましたー」
ステージを背景にアビドスの校章が一緒に映るように、わたし達4人の写真を体育館で1枚撮るのでした。
****
「やはり最後はここですね」
「だね」
校内を転々と4人で周りながら写真を撮り続け、わたし達はいつも使っている対策室に戻ってきていました。
やはり最後はここでしょうね。わたし達の活動場所……と言っても、基本的に仕事とかで外に出ているのですが、それでもここはいつものたまり場とも言える場所です。
体育館で撮ったあとは、校庭に出て校庭でも写真を撮りました。校庭の一部を写したパターンと、アビドスの校舎が写るようなアングルででも1枚撮りました。
昇降口や、いつもの廊下……屋上など、よく利用する場所を回っては写真を撮り、そしてこの対策室に戻ってきたのです。
ノノミちゃん達も最初はただただ付いてくるだけでしたが、そのうち色々と話すようになり、雑談やら何やらをしながら一緒に回っていました。
こういうのも一つの息抜きになるのではないかと思いましたね。実際、わたしもホシノちゃんも楽しく感じてきましたからね。
いつもの学校ではありますが、こうやって皆で回るとまた違った景色に見えてきますよね。わたしだけかもしれませんが……。
「背景はどうしましょうかね?」
「んー机……はあれかな」
「あの、ホワイトボードとかはどうですか?」
「ホワイトボード……アリですね」
ノノミちゃんが提案してくれたのは対策室にあるホワイトボードだった。
ホワイトボードには”アビドス廃校対策委員会”という文字が大きく書かれています。実はこれ、教室ここに移した時にわたしとホシノちゃんで書いたものだったりします。
結局ホワイトボードを使うことはなく、基本的に言葉での話し合いでしたしね。それもあって、当時のまま文字が残っている訳です。色はちょっと褪せてきていますね。
「いいね。対策委員会の名前も書かれてるし、ぴったりじゃない?」
「ですね!」
「ん」
「それじゃ、ノノミちゃんが提案してくれましたしセンターはノノミちゃんにしましょうか」
「え」
「いいね。ノノミちゃん、お願い」
「え、でも……いえ、分かりました」
因みに校庭で撮ったときはシロコちゃんがセンターで、体育館ではシロコちゃんとノノミちゃんの2人をセンターにしたパターンと、わたしとホシノちゃんがセンターのパターンの2つを撮りました。
「それじゃ、撮りましょうか」
そんなこんなでノノミちゃんをセンターに、ホワイトボードを背景にした状態でわたし達は最後の1枚を撮るのでした。
思い出は記録に残しましょう。
前回がちょっとシリアス風味だったので平和路線に戻しました(←)