アビドスと太陽を守りたい月   作:キヴォトス一般人

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恐らく過去編最後です。

いつもありがとうございます!


19話:ほんの少しの日常を

 アビドス高等学校は言わずもがな、貧乏です。

 要因は色々とありますけどね……流石に生活できないようなレベルではないですけど。

 

「ノノミちゃんってよくあんなガトリングというかミニガンを持てますよね」

「そうですか? 鍛えれば簡単ですよ」

「そ、そうなのかなぁ」

 

 ホシノちゃんが微妙な反応をします。

 

「火力は正義」

「シロコちゃんも強いですよねー」

「ん。でもセレネ先輩とホシノ先輩には全然勝てない」

「うっへっへ、これでも先輩だからね。まだまだ若い子には負けないよ~」

「いや、ホシノちゃんは十分若いでしょ」

「もうおじさんだよ~」

「ホシノちゃんがおじさんならわたしもおじさんなんですけどね……というかそんなこと言いだしたらノノミちゃんとシロコちゃんはどうなるんですかね?」

 

 今更ながら。

 

「可愛らしいおじさんですね~☆」

「うへぇ。可愛くないよー」

 

 どう見ても姉妹のやり取りです。

 ノノミちゃんの方が大きい(色々と)のでホシノちゃんの方が妹に見えますよ……ほら髪色もちょっと似てるじゃないですか?

 

「ん。セレネ先輩は私の妹」

「え」

 

 ノノミちゃんとホシノちゃんのやり取りを見ていると、シロコちゃんがそんなことを言い出す。

 

「ノノミはホシノ先輩の姉」

「いや、それはどうなんですかね……確かに身長差はありますけど」

 

 わたしもホシノちゃんも悲しいことに身長は伸びませんでした。

 別に気にしている訳ではないですけど……ちょっと不公平じゃないですかね? まあ小さいは小さいなりのメリットもあると言えばあるのですが、あと少しで届きそうなのに届かないというもどかしさがあるのです。憎いですねえ。

 

「シロコお姉ちゃんとでも呼べばいいのですかね?」

「ん!」

 

 何かキラキラした目で見てきますね。

 妹なのに先輩呼びというのは違和感がとんでもないですね。まあでもこういったのも悪くはありませんね。

 

「それならおじさんは~ノノミお姉ちゃん」

 

 おじさんという一人称と会ってないですよ、ホシノちゃん……。

 

「はい、お姉ちゃんですよ~☆」

「わーい」

 

 ノノミちゃんもだいぶ馴染んできましたよね。

 話し方も前とそこまで変わっていないものの、ちょっとだけ印象が変わりました。前のノノミちゃんは何処かよそよそしかったですからね。

 

「今日も相変わらずいい天気ですね」

「うへえ、おじさん達の懐は寒いけどね~」

「そこはいつも通りですよ」

「私が何か買ってきましょうか?」

「いやいや、今のところは大丈夫だよー」

 

 現状は、ですけどね。

 アビドスは貧乏です……冒頭に戻りますけど、こればかりはどうしようもないことなので、もう慣れてしまっていますけどね。

 

 襲撃してきた不良生徒や、依頼で相手した敵とかからスカベンジャーして何とかやりくりしていますけど、全体的に色々とカツカツですね。

 アビドス内で営業している店が少ないというのもあるのでしょうけど……こればっかりは。逆にエンジェル24はよくやっていますよね。いえ、助かっているのですが。

 

「ん、こういう時こそ……サイクリング」

「シロコちゃんは好きですよね」

「ん」

「サイクリングか~いや、おじさんにはつらいかなあ」

「よくあの距離を走れますよね~」

「ん、ノノミも大概。前、ダンベル買ってた。かなり重いやつ」

「日頃のトレーニングは欠かしません☆」

「そもそも、人数分の自転車はありませんよ」

「そうだった……」

 

 シロコちゃんの持っている自転車しかないですからね。

 因みにこの自転車はシロコちゃんがコツコツ貯めたお金で買ってました。最初見たときはちょっと驚きましたね。

 

「それならセレネちゃんの軽トラックでこう、びゅーんとドライブとかしない?」

「いいですね☆ あれ、でも乗れるのは2人ですよね?」

「ん。荷台がある」

「荷台は結構暑いですよ?」

 

 屋根とかないですし。

 武装として装備しているガトリングはてっぺんのところにあるので、荷台の方は余裕があると言えばあります。ガトリングと繋がっている給弾ベルトと、更にそれに連結している弾薬箱くらいですからね。置いてあるのは。

 

「運転席にはセレネ先輩で、助手席に座れるのは1人だけになりますね~」

「ん。わたしは荷台でも平気。でもセレネ先輩の隣にも座ってみたいかも?」

「わたしの隣に座っても何も面白くないですよー」

「運転興味深い」

「シロコちゃんは自転車乗ってるじゃないですか」

「自転車と車では違うと思う」

「それは確かに」

 

 車はアクセル踏めば動きますけど、自転車はこぐ必要がありますからね。エンジンとかも当然ながらついていないので、上り坂は結構きついでしょう。

 

「軽トラじゃなくて装甲車とか、普通に4人以上乗れる車を持っておくべきでしたかね?」

「確かにそうかもだけどー。まあでも確かに4人でドライブって何か楽しそうだよね~」

「ちょっとした息抜きにはいいかもですね☆」

「ん」

 

 でもそうですね、この4人でドライブというのもいいのかもしれませんね。アビドス巡りとか? 普段は行かないような場所とかを走ったりとかするのも楽しそうです。

 

「そうですねー……今度、普通の車を買ってみてもいいかもしれませんね」

「いやそれはどうなんだろうね? セレネちゃんの自分のお金の使い道には口は出せないけど、自分の為に使って欲しいなっておじさんは思うよ」

「そうですね。何なら私が買いましょうか☆」

「いや、それはもっとダメな気がしますね……」

 

 流石はノノミちゃんである。

 とはいえ、それに頼るのはちょっと先輩としてあれなのですが……いえ、今更ではあるんですけどね。ノノミちゃんは既に生活用品とか必要不可欠な物を買ってくれていますから。

 

「まあ、機会があったら皆でドライブしてみましょうか」

「ん」

「そうだねえ」

「はい☆」

 

 そんな訳でドライブについては一旦お預けです。

 でも、折角ですし、今日は皆で何かをしたいですね……時間は……丁度お昼ですか。思ったより時間が経過していましたね。でもこういうのも悪くはないですね。

 

 他愛のない会話をしている皆を横目に、わたしは部屋の窓に近づきます。そっと窓を開ければ外の空気がすっと中に入り、わたしの髪を揺らします。

 アビドスは厳しい状態が続いていますけど、不思議と苦痛は感じていません。ホシノちゃんやシロコちゃん、ノノミちゃんが居るからなのかもしれませんね。

 

「そうだ!」

「うへ!? セレネちゃん急に大きな声出さないでよ~」

「ん。びっくりした」

「ちょっと驚きました♧」

「あ、すみません。今日は皆何もないと思うのですが、どうですか? 一緒にラーメン屋さんに行きませんか?」

 

 時間も今言ったように丁度いい時間帯です。

 

「ラーメン屋さんですか?」

「はい。柴関ラーメンっていうおすすめのラーメン屋さんがあるんですよね」

「あるね~」

「ん。あそこのラーメン美味しかった」

「あら、シロコちゃんは行ったことあるんですね」

「ん。この前、セレネ先輩に連れられて」

「そうですね。丁度仕事を手伝ってもらったお礼と言った感じで」

 

 普段表情が分かりにくいシロコちゃんも美味しいと言ってほんのり笑っていましたからね。

 

「えー皆さんずるいですよ♧ 私も皆さんと行きたかったですー」

「いや皆と言ってもあのときはわたしとシロコちゃんですよ?」

「でも、ホシノ先輩も行ったことあるんですよね?」

「まあね。よくセレネちゃんと行ってたよー」

「やっぱりずるいですー」

 

 むぅっとちょっとだけ不満な顔をするノノミちゃん。

 あ、確かにこれだとノノミちゃんだけ仲間外れな状態ですね……それについては申し訳ない気持ちが……。

 

「じゃあ、今から皆で行きましょう! わたしが皆の分奢っちゃいますよー」

「わーい☆」

「ん」

「セレネちゃん、いいの~?」

「大丈夫ですよー」

 

 ちょっとした罪滅ぼしもありますけど、皆で行ってみたい気はしていましたからね。ホシノちゃんはちょっと心配そうな顔を見せますが、問題はありません。

 

「しゅっぱつー」

 

 こういうのも……悪くはありせんね。こんな日常が少しでも長く続けばいいなと思います。

 

 そんな訳で4人で柴関ラーメンへ向かうのでした。

 




平和なひと時
……いえ、基本平和路線ですが!
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