アビドスと太陽を守りたい月 作:キヴォトス一般人
ホシノの同級生且つ女子生徒且つ途中離脱しない且つ仲も良い……そんな生徒が、アビドスに居たらという妄想なのは変わらないです()
曇らせも嫌いではないのですが……もっとこういうの増えろー(←)
「今回も何とかなりましたね」
「そうですね……先が長いですよ」
「それはもう仕方がないですよ」
校門前から去っていくトラックを見送りながら呟きました。
毎月の返済額はかなり多いですけど、まあ何とかなっています。一応徐々に減ってきているので頑張っている方だと思います。
「……ホシノちゃんはここから逃げたいって思いますか?」
ふと校舎に帰りながらそんな言葉をホシノちゃんに投げかけました。
「いきなり何を言い出すんですか、セレネちゃん」
「いえ……全校生徒2人の巨額な借金を抱える学校ですよ」
「何かそれだけ見るととんでもない学校ですね……でも、それはないです。セレネちゃんもそうなんじゃないですか?」
「流石はホシノちゃん。わたしのことよく知っていますね」
「それはそうですよ……と、友達ですし」
「ホシノちゃんがデレました」
「デレてないです!」
可愛いですね、これだけでも癒されます。
それにホシノちゃんにそう言われることは嬉しいです。とはいえ、問題はまだまだ山積みなのですよね。
「ホシノちゃんもだいぶ落ち着きましたね」
「……はい。セレネちゃんのおかげですよ」
「わたしは何もしてませんよ」
ただただホシノちゃんを慰めたりしていただけです。
辛い出来事が消える訳ではないですし、わたしは……何も出来ていませんしね。何とかホシノちゃんが復帰してくれましたので返済に関しては実はだいぶ楽になっています。
ホシノちゃんが落ち込んでしまい、しばらくの間行動できていなかった時期がありましたが、今は大丈夫そうです。とはいえ、無理はして欲しくないですが。
「……セレネちゃん」
「どうかしましたか?」
「私が言うのもあれですが、無理はしないでくださいね」
「大丈夫ですよー」
「いえ、大丈夫そうに見えないです」
「え」
「クマが出来ていますし、昨日の夜も不在にしていたみたいですし……眠れてないんじゃないですか?」
あーそういえば鏡見たときに結構酷いクマがありましたね。確かの夜間の仕事は増やしすぎたかもしれませんね。昼間も余裕があったら色々していますし、ここ最近はまともに眠れていないかもしれません。
「この程度問題ないですよ」
ホシノちゃんやアビドスの為にやっていることなので辛いとは感じていません。
「へ? きゃ!?」
「どこがですか!」
わたしが適当に返すとホシノちゃんが、丁度近くにあった昇降口の下駄箱にわたしのことを押し付けるように両手をふさいできました。
……何ですかね? これが噂に聞く壁ドンでしょうか?
「さっきからふらふらしてるじゃないですか」
「そうですかね?」
「そうですよ!」
冗談はさておき。
ホシノちゃんに言われて初めてはっとなりました。確かにちょっと視界がぐらぐらしていた気がします。気づきませんでしたね……。
「……」
「大丈夫というなら私をどかして見せてください。セレネちゃんなら私の力程度は振り切れますよね」
いや、それがさっきからやっているんですけどね。
ホシノちゃんってこんなに力強かったでしょうか? 確かにホシノちゃんの言う通りわたしは一応力には自信がありますし、ホシノちゃんの手をどかす程度であればできるはずですね。
「さっきからやってるんですけどね。ホシノちゃん、力強くなりましたか?」
「まだ気づかないんですか! セレネちゃんが弱っているんですよ!」
「……」
なるほど、腑に落ちました。
今更ながらちょっと身体が重い気がします。いや体重が増えたではないですからね? 何なら色々しているせいで減っているんですよね……ちょっと増やした方がいいかもしれません。
「セレネちゃんが頑張っているのは分かります。でも無理して倒れてしまうことが一番怖い。私が言える資格はないかもしれませんが」
よく見るとホシノちゃんの目には涙が見えました。
ホシノちゃんが泣いていることなんてあの時くらいしかないのに。そうですね……なるほど、あの時にホシノちゃんに心配かけないようにと決めたのに心配かけてしまっていたようです。
「セレネちゃんが最近詰め過ぎているのも理解していました。もっと早く言うべきでしたね」
「ホシノちゃん……」
「ああもう! 本音を言います、一回しか言いませんからね! 私はセレネちゃんが心配なんです! 分かりますか? セレネちゃんには助けられてばかりなんですよ! 少しは私にも恩返しをさせてください!! セレネちゃんは休んでください! ってか休め!」
怒涛の勢いで言ってくるホシノちゃんに内心苦笑いします。
心配してくれているみたいです。何か何というか……照れる? それは違いますね。ホシノちゃんは本当に心配してくれているようです。その瞳や言葉に嘘はなさそうです。
「……セレネちゃん?」
「ありがとうございます……何か今更ながら凄く眠くなってきました」
「言わんこっちゃないです」
「ホシノちゃんが2人に見えますね」
「……休んでください」
そう言いながらホシノちゃんは今までの体勢を変え、背中をこちらに見せてきます。これはどういう意図でしょうか。あー何か頭が回ってないかもしれません。
「おぶってあげますから、乗ってください」
「ありがとうございます、ホシノちゃ……」
「セレネちゃん? ……仕方がありませんね」
ホシノちゃんの背中に流れるまま乗ると急に眠くなり、あっさりと意識が落ちていきました。最後にホシノちゃんの声が聞こえた気がしますが……。
**********
「……寝てしまいましたか」
そう言って少女……ホシノは背中におぶっているセレネを見る。
星月セレネことセレネは、ホシノにとっての同級生であり、ユメと共にアビドスの為に活動していた友達だ。
ユメが居なくなってしまった後もホシノのことを支えてくれていた優しい少女。ホシノもセレネのことは認めているし、大切な友達であると思っている。
(……セレネちゃん)
ユメが居なくなった後、落ち込んでしまってしばらくの間何もできなかった期間、セレネは1人でアビドスの為に色々と頑張ってくれていた。ホシノのことも気にかけてくれていた。
そんなセレネにどれだけホシノは救われたことだろうか。ホシノ自身も理解している。彼女が居なければホシノ自身どうなっていたかは分からない。
しかし、今より酷いことになっていたことは根拠はないもののホシノには確信があった。
「……無理しすぎです、バカ」
セレネがアビドスの為に色々してくれていたことはホシノも理解しているし、実際にそれをこの目で見ていた。それはユメが居たときも同じである。
夜間の仕事をしていることは何となくホシノも分かっていた。セレネ自身から聞いたわけではないが、帰りが遅いし酷いときは朝方に帰ってくるときがあったため、嫌でも分かってしまうだろう。
怪しい仕事はしていない、とだけセレネは言っていた。ホシノはそれを信じているものの、やはり不安がどこかにはあった。
「私もセレネちゃんを見習わないとですね」
セレネばかりに負担をかけてはいけない、ホシノはそう思った。
既に彼女には負担をかけてしまっている。それでもセレネはいつも通りにホシノに接してくれるし、ホシノを気にかけてくれている。
「本当に感謝しているんですよ」
だからこそ心配なのである。
セレネとホシノの2人だけとなってしまった校舎内は静かで、物寂しさをホシノは感じていた。昇降口はもちろん、廊下にも人っ子一人いない。
慣れてはいるものの、やはりホシノからしても寂しさはあった。
(ユメ先輩が1年生のときとかはまだ居たのでしょうか)
「……っ」
ユメのことを思い出すとホシノは、胸から痛みを感じた。
(大丈夫です……セレネちゃんも居ますし。頑張ります)
誰に言う訳でもない言葉を自分に言い聞かせ、セレネをおぶりながらホシノは保健室の方へ足を運ぶのだった。
他者視点を三人称にするところは変えてないです。
生暖かい目で見てくださると幸いです。