アビドスと太陽を守りたい月 作:キヴォトス一般人
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柴関ラーメン!
柴関ラーメンとは――
まあ説明するほどでもないのですが、このアビドス自治区内に店を構えているラーメン屋さんです。
名前の通り、柴大将が1人で切り盛りしているラーメン屋さんであり、お手頃価格で美味しいラーメンを食べることが出来るのです。他の自治区からも人が来ているようで、知る人ぞ知るラーメン屋さんだったりします。
わざわざ他の自治区からこちらに来るくらいですから、そういうことですね。わたしも結構行ってますが、何度食べても美味しいのは変わりがありません。
そんな柴関ラーメンがある場所ですが、アビドス自治区の市街地にあります。以前に言ったと思いますが、アビドスの土地はかなり少ない状態です。ですが、この柴関ラーメンがあるところはちゃんとまだアビドスの自治区内です。
昔の生徒会の人達も柴関ラーメンの存在は認知していたのかもしれませんね。だから売ることはしていなかったようです。まあそのおかげで気軽に行けるのですが。
そんな店舗の前にわたし達はやって来ていました。
”こんなところにラーメン屋さんが……柴関ラーメン?”
「そそー」
先生は来たばかりなので知らないのは当たり前ですね。
それにここはさっきも言ったように知る人ぞ知るお店なので、ぶっちゃけ知っている方が少ないのではないでしょうか? 分かりませんが……他の自治区の生徒が来て自分の学園に話を持ち帰っていたら話題になっているかもしれませんね。
まあ、話題になっていてもここまで来るのかと言われれば、その人次第ではないでしょうかね? わたしが行くときは、ちらほらとこの辺りでは見ない制服の子達や、一般の人とかも見るときがありますね。
こうしてみると結構立派なお店ですよね。 柴大将とは結構話をすることがあります。わたし達の話も聞いてくれて、アドバイスのようなものをくれることもあります。本当にいい人ですよ。
……さて、話を戻すのですが。
わたしとホシノちゃんを筆頭に、先生、シロコちゃん、ノノミちゃん、アヤネちゃんの6人でこの柴関ラーメンまで来ております。ノノミちゃん達も頻繁にとは言いませんが結構来ているようで、気に入ったようですね。
シロコちゃんも相変わらず表情が分かりにくいですけど、初めて食べたときとかは美味しそうに食べていましたからね。いやぁ、あのシロコちゃん可愛かったです。いえ、今のシロコちゃんも可愛いですけどね。
「うへ。それじゃあ、入ろっか」
そんな訳でわたし達は柴関ラーメンの店舗の中へ入っていくのでした。
******
「いらっしゃいま……え」
「あの~☆ 6人なんですが!」
「あはは……セリカちゃんお疲れ」
「ん。お疲れ」
”どうも”
柴関ラーメンの店内に入れば、セリカちゃんが元気よく挨拶をしますが、わたし達に気付いたセリカちゃんはこちらを見て固まりました。気持ちは分かります。いきなり皆が来ればそりゃそういう反応になりますよね。
「どうしてみんながここに!?」
はっと我に返ったセリカちゃんが何か思い当たる節があるのか、先生の方を見ます。
「まさか……」
確かに朝会ったであろう先生がまず最初に思い浮かびますよね。
でも、先生ではないのですよ。先生はわたし達に聞いてきただけですしね……そして、教えたというか心当たりのある場所にこうしてやってきた訳ですよ。
”いや私じゃなくてね……”
「うへ~この辺りでバイトするならここかなと思ってねえ」
「ホシノ先輩!?」
「この辺りでバイトするならエンジェル24か柴関ラーメンくらいですからね」
「セレネ先輩も……っ!?」
そう犯人はわたしとホシノちゃん……ですが、今回の場合はホシノちゃんの方に軍配が上がると思います。
セリカちゃんにはちょっと申し訳ないですけどね……ちょっと苦笑いします。そんなわたしとホシノちゃんのことを見て、セリカちゃんはがっくしとしています。
「いきなりごめんね、セリカちゃん」
「い、いえ……」
ひとまず、いきなり来たことについては謝っておきます。確定した情報を伝えた訳ではないですが、候補として挙げたことは事実ですからね。
「おう、セリカちゃん。アビドスの生徒さんたちかい?」
そんなセリカちゃんを見ていると、厨房の方から柴大将が姿を現します。
「柴大将、こんにちは」
「お、セレネちゃんか! いつもありがとうな!」
「いえいえ。柴大将のラーメンは本当においしいですから」
「そう言われると料理人として冥利に尽きるね」
そうなんですよ。
贔屓している訳でもなく、普通に柴大将のラーメンは美味しいのです。こんなラーメン屋さんがアビドスにあるということも嬉しいですよね。
「セリカちゃん。話をするのはいいが、取りあえずは席に案内してあげな!」
「は、はい! こ、こちらです」
そんなやり取りをしていると、柴大将がセリカちゃんにそう言います。セリカちゃんの方は何とも言えない表情をしていますね。無理もないですが、さっき謝ったのでいいでしょう……たぶん。
「こちらになります……」
渋々とテーブル席に案内してくれるセリカちゃん。アルバイトの制服も似合っていますね……そんなことを思っていると――
「先生、私の隣空いてる」
「こっちも空いてますよ~☆」
「む」
早速、ノノミちゃんとシロコちゃん、アヤネちゃんとホシノちゃんが座っていました。で、そんな中ノノミちゃんとシロコちゃんが謎の先生の取り合いをしていました。
先生は迷っているようですね……とはいえ、6人で座るには流石にこのテーブル1つではきついかもしれませんね。それならわたしは、違う席に行こうかなと考えます。
1人でテーブル席を使うのもなんだか気が引けるので、カウンター席にしましょうかね? ここは先輩として、可愛い後輩に席を譲るのですよ!
「流石に6人だときついですね。わたしはあっちのカウンター席に座りますね」
それだけ言ってカウンター席の方に行こうと思ったら、服を引っ張られました。誰だと思って振り向けば、その犯人はホシノちゃんでした。どうしたのでしょうか? というか、さっき座ってませんでしたか? いつの間に……。
「うへ。それじゃ、おじさんとセレネちゃんはこっちの席に座るね~! そうすればいい感じのスペースになるでしょー」
ホシノちゃんがそう言ってわたしのことを引っ張って、先生たちが座っているテーブル席のすぐ隣に一緒に座りました。向かい側とかではなく、隣にちゃっかり座ってますね、ホシノちゃん。
「ホシノちゃんも向こうじゃなくてよかったのですか?」
「ここは先輩として席を譲るんだよ〜」
考え方がちょっとホシノちゃんと一緒ですね。
「ん。ノノミが向かい側、私が隣……これで完璧」
「え、ずるいですよ~シロコちゃん」
「ん。これがベスト」
「じゃあ私もそっちに行きますね~☆」
そんな風にわたしとホシノちゃんだけ別のテーブル席に座ると、隣の席ではノノミちゃんとシロコちゃんが引き続きそんなやり取りをしていました。ノノミちゃんが席を移動して、シロコちゃんが居る先生の隣の反対側に座っていました。
「人の店で何してんのよ!?」
そんなやり取りをわたしとホシノちゃんは何処か微笑ましく見ます。
ノノミちゃん達は先生のことを悪くは思っていないようなので、少し安心しました。まあどちらかと言うと、そう思っているのはわたし達の方なのかもしれませんね。
でも今までの大人とは違うことはわたしもホシノちゃんも分かっています。なので、もう少しだけ時間をください。
「人気ですねえ」
”う、うん……”
「両手に花だねえ……」
苦笑いする先生。
結局、先生の取り合い? は先生を挟む形で左と右にシロコちゃんとノノミちゃんが座ったようです。向かい側にはアヤネちゃんだけになってしまいましたね。
「いい加減に注文しなさいよーっ!!」
そこまでの一連の流れが終わると、セリカちゃんのお怒りの声が響いたので、さっそくわたし達は注文をするのでした。