アビドスと太陽を守りたい月 作:キヴォトス一般人
割と地味な作品ではありますが、生暖かい目で見てくだされば幸いです。
過去の過去の話が混じります。
ホシノにとってセレネは1年生の頃から一緒に居た同級生であり、今の今までもずっと支えてくれていた少女である。
「あちゃあ、セレネちゃんめっちゃ怒ってる」
「ん……凄い殺気」
戦車を破壊したホシノとシロコは、セレネ達の居る場所へ向かう途中、通信越しで聞こえたセレネの声にそんな話をしていた。
「というか、砲弾を撃ちぬいて破壊するって何……」
こればっかりはホシノもビビっていた。シロコも表情だけでは分かりにくいが、そんなセレネのことを興味津々に見ていた。あの速度で動く砲弾を銃弾で撃ち抜く……セレネの使うライフルの口径なら可能かもしれないが、”当てる技術”と”銃の性能”は別である。
破壊できる銃であっても、それで当てるには相応の技術が必要だ。
「いやまぁ、セレネちゃんなら……うん、あり得るね」
「ん」
セレネならやりかねない。
そして実際にやっている……やはりセレネは恐ろしいとホシノは思う。だけど、セレネはアビドスの為に一番頑張ってくれているし、仲間を大切にしてくれる。自分のことを支え続けてくれていたのだから。
ホシノにとってセレネは大切な親友だ。セレネもホシノのことをそう思ってくれていたことを以前聞いて、ホシノは内心喜んでいた。一緒にアビドスを守ろうと約束した仲でもある。
(思えば、結構早く仲良くなったかな?)
ホシノは初めてセレネと会った時のことを思い出していた。
⏱⏲
「ホシノちゃんにはまだ紹介できてなかったね! 私達アビドス生徒会のもう1人の仲間だよ!」
ホシノはその少女を見た。
白に近い銀色の髪を長くしており、両サイド……いわゆるツーサイドアップで結んでいる少女を。そして何より、特徴的なのはその瞳の色だった。
「初めまして。わたしは星月セレネです。ホシノちゃんとは同級生ですね? 同じく生徒会副会長の任を貰ってます」
「初めまして――同じく副会長の小鳥遊ホシノです。……って、ちゃん!?」
「?」
普通に自己紹介をしてしまったが、目の前の少女は今ホシノのことをちゃん付で呼んできた。当の本人は頭にはてなマークを浮かべてるが――
「同い年ですし、これから長い付き合いになるでしょうし、ホシノちゃんと呼んでいいですか? あ、もちろんわたしのことも気軽に呼んでくれていいですよ!」
「え、えと……」
「ほらほら、ホシノちゃん。セレネちゃんはホシノちゃんの同級生なんだから!」
ユメにそんなことを言われれば確かにそうだとホシノは思う。
目の前の少女、セレネはホシノにとっては同級生となる。生徒数が皆無なアビドスで交流したことがあるのは先輩であるユメくらいであるホシノとしては少し戸惑い、どう反応すればいいか分からなかった。
「ホシノちゃんもセレネちゃんって呼ぼうよ!」
「う……ユメ先輩」
「無理にとは言いませんよ」
「せ、セレネ……ちゃん」
「はい!」
「っ!」
ホシノが遠慮がちにセレネのことを呼べば、本人は嬉しそうにホシノを見てくる。思わず、ドキッとしたのはきっと気のせいだ。
「よしよし。仲がいいことに越したことはないよね」
ユメがそう言いながら2人の頭をなでる。
ユメからすればホシノもセレネも小さい為、何もせずとも頭に手をのせることが出来る。
「ユメ先輩、ちょっと恥ずかしいです」
「なんかちょっと照れますね」
そんなユメに撫でられる2人は何処か恥ずかしそうにそんなことを言っていた。
「セレネさ……ちゃんは私より早い段階で生徒会に入っていたんでしたっけ?」
まだ慣れないちゃん呼びである。
「そうですね。と言ってもホシノちゃんとあまり変わらない時期ですよ。ちょっとだけ早かっただけです」
「いやーセレネちゃんには助けられたよー」
「ユメ先輩はもっと警戒心を持ってください」
「ひぃん」
「ですよね」
「え、ちょっと2人共?」
セレネの言葉に賛同するようにホシノが返す。
「この間とか、また1人で外に行って不良に絡まれてましたからね」
「ほうほう、ホシノちゃんそれはもっと詳しく」
「はい、いいですよ。セレネちゃんも教えてください」
「もちろんですよ」
「え、えっと2人共?」
急に意気投合するセレネとホシノを見てユメは困惑する。
「あの、無視されると寂しいというか……」
「「ユメ先輩は大人しくしてください」」
「ひぃん!?」
ユメは涙目になった。
**********
「いやぁ、ついつい話が弾んでしまいましたね」
「ですね」
「私はひどい目にあったよ……」
ようやく仲間外れから復帰したユメはしゅんとした顔で言った。
セレネとホシノのユメの話は数時間に及び、その間ユメは蚊帳の外であった。
「すみません先輩。でも、ユメ先輩はそこまで強くないのですから気を付けてください」
「そうですね。ユメ先輩に何かあったら大変なんですから」
「うぅ……私だって自衛くらいは出来るもん」
「そうですね、でも相手が強かったらまずいですよ」
「……むしろ、逆に何でホシノちゃんもセレネちゃんもそんなに強いの!?」
ユメの言葉に2人は顔を見合わせる。
「それはもちろん、ユメ先輩もそうですけどアビドスを守る為ですよ」
「はい、そうですね。ユメ先輩を守りたいだけです」
「……な、何か照れる」
至極当然のように言い放つ2人にユメはちょっとだけ顔を赤くする。
「ユメ先輩も頑張ってくれているのは分かっていますからね」
「セレネちゃん……」
これはセレネもそうだがホシノとしても本音であった。
「とはいえ、一番の問題は――」
「借金ですね」
「ひぃん……まだ8億円くらいあるよ」
「……先が見えないですね」
「本当に」
アビドスの抱えるもので一番大きいのはこの借金であった。
どうしてアビドスがここまで借金をしてしまったのか? これについては色々な要因があることは既にセレネもホシノも知っている。もちろんユメも。
「まあコツコツ返していくしかないですね」
現状はそれしかないのである。
「今はコツコツ頑張りましょう」
「そうですね」
「うん、そうだね……」
今考えても仕方がない、と3人の考えが一致し思考を放棄する。
「今更ですけど、ホシノちゃんって綺麗な目の色してますよね」
「うへ!?」
「青と黄色? でしょうか。特徴的ですよね」
「そんなこと言ったらセレネちゃんも……赤と青のオッドアイじゃないですか」
セレネとホシノの瞳の色は左右の色で異なるいわゆるオッドアイというものであった。
ホシノの言う通り、セレネの目の色も赤と青のオッドアイであり、片方の色とは異なるもののホシノと同じようなオッドアイであった。
「生まれつきですしね」
「それは私もですよ」
「……何か私だけ仲間外れな気がするよ」
「ユメ先輩も綺麗ですよ」
「うへ!?」
セレネの言葉にまたもやユメは狼狽える。
「先輩を弄るのはよくないよ!」
「先輩だから弄ります」
「なんで!?」
理不尽だよ! とユメは抗議するもののセレネはすました顔をしていた。
「でも綺麗なのは本当ですよ?」
「……ホシノちゃん、セレネちゃんがたらしになっちゃったよ!」
そんなやり取りをする2人を見てホシノは思わず笑ってしまう。
ユメ先輩には悪いと思っているが、それでも笑ってしまったことは仕方がない。そんなホシノの笑いに釣られてセレネも笑い、最終的にユメも笑い、3人で笑い合ったのであった。
⏲⏱
「ホシノ先輩?」
「うへ? あ、ごめん、ちょっと昔のこと思い出しちゃって」
「そうなんだ?」
初めて会ったときからセレネはかなりホシノに好意的だった。
それもあって、結構早い段階でホシノとセレネは打ち解けていた。ユメの影響もあるだろうが、それでもホシノが気を許すにはそんな時間がかからなかった。
「おじさん達が着くまでには終わってそうだね……」
「残念」
この状況からして、ホシノとシロコが駆け付けたころには既に事が済んでいそうだ、とホシノは考える。
向こうにはセレネもそうだが、セリカとノノミも居る為、戦力的には十分であった。セリカは狙われていたものの、セレネが飛来する砲弾を破壊したこともあって無傷である為戦えるだろう。
何なら先生と通信越しではあるがオペレーターのアヤネも居る訳で――
「少し急ごっか」
「ん!」
そんなこんなで、シロコとホシノもセレネ達の居る場所へと向かうのだった。
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過去の過去の話(アビドス生徒会3人時代) 参考までに……
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ユメ先輩!