アビドスと太陽を守りたい月 作:キヴォトス一般人
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「ホシノちゃん、わたしは思うのですよ」
「なんですか今度は」
「その顔は酷いと思います」
「いえ、いつも通りのセレネちゃんで安心しました」
「ホシノちゃんのおかげでゆっくり眠れましたからね。ありがとうございます」
「別に……」
昨日は結構デレてくれていたのにいつも通りに戻ってしまいましたね。いえ、まあそれはそれでいいのですけど。
「ずっと学校に籠もっているのは駄目かも知れません」
「何言ってるんですか……仕事とかで外に出てるじゃないですか、私もセレネちゃんも」
「それはそうなんですけどね」
それを言われたらそうとしか言えませんね。
とは言え、返済の為だから仕方がないのですが……ちょっと最近も色々ありましたし、息抜きみたいなのをしたいですね。
「本題に入るのですが……」
「もっと早く入ってください」
「酷いですよ」
「……はぁ」
ため息をつかれてしまいましたね。
何処かのタイミングで息抜きがてらにホシノちゃんとお出かけとかしたいですね。基本的には2人で別々の仕事をしていたりするので、一緒に行動することは校舎内でしかないのですよね。
それはそれで淋しいですし、またホシノちゃんが落ち込んだりしてしまったらと考えると心配なんですよね。まあ、2人で別々に行動した方が効率がいいのは理解しているつもりですけど。
「前々から話そうとは思っていたんですけどね」
「何ですか?」
「まずは生徒会長を決めないといけません」
「え」
これが本題です。
元々話すつもりで居たのですが、色々とありましたし、やることもあったので中々時間が取れなかったのですよ。
「ホシノちゃんも知っての通り……今、アビドスは生徒会長が不在になっています。これは結構怪しいと言うか、わたし達生徒会の地盤が不安定であることを示します」
「……」
アビドスの全校生徒はわたしとホシノちゃんのたった2人となってしまいました。
そしてわたしとホシノちゃんは生徒会副会長の地位を持っています。まあ、そもそもユメ先輩が居たときも3人しか居ないので生徒会はあってもないようなものでしたが、それでも生徒会という組織が残っていたのは確かです。
生徒会があれば学校として存続し続けることが出来ます。どの学園でも重要な組織である生徒会は学園の運営や管理、自治区の治安維持等全般をしています。連邦生徒会に対しても発言権がありますしね。
要は学園の中枢となる組織なのです。
現在生徒会長であるユメ先輩が消息不明となっており、生徒会という組織が不安定です。
「生徒会がなくなると借金どころではなくなりますからね」
「それは……そうですね」
副会長であるわたし達が居るのでまだ大丈夫ではありますが、早いところ手を打つ必要があります。ホシノちゃんにとっては辛いかもしれませんが……。
「とは言っても、全校生徒2人なので、ぶっちゃけわたしかホシノちゃんがなることなのは確定なんですけどね」
「ですね」
「わたしとしてはホシノちゃんになってもらいたいなって思ってるんですけど」
「え」
そう言うとホシノちゃんが驚いたようにこちらを見てきます。
ホシノちゃんの方がぴったりだと思いますね……頑張ってくれても居ますし、それに優しいですからね。
「わたしに生徒会長とかは向いてないかなと思いまして」
「いやいや、セレネちゃん……それはないと思うんですけど!?」
「え?」
「私が動けないでいた時だって、今までだってセレネちゃんが一番頑張ってくれていたじゃないですか!」
「あのときは若かったですね」
「ふざけたこと言わないでくださいよ……若いって、まだ1年じゃないですか、私もセレネちゃんも」
「そうですね」
今までの時を考えると結構長く感じるのですよね。実際はそう経過していないのですが……何故でしょうね。
「それにホシノちゃんのあのときの反応は普通だと思いますよ、逆にそんな反応ができなかったわたしは薄情なのかもしれません」
薄情、なんでしょうね、わたしは。
確かにユメ先輩が居なくなって……辛いと思いました。でも学園の現状を考えたら……それよりも仕事をした方がいいって考えになってしまいましたから。
わたしは異常なのかもしれませんね。
「……です」
「何か言いましたか、ホシノちゃん」
「そんなことはないです! セレネちゃんは薄情なんかじゃない」
お、おう……そこまで言ってくれるとは予想外でした。でもそう言われると少しだけ嬉しくも感じますね。
「そう、でしょうか」
「そうですよ」
ホシノちゃんにそこまで言われるとなるとそうなんでしょうね。
「ありがとうございます、ホシノちゃん。……でもやっぱり生徒会長はホシノちゃんかなと思います」
「何でそうなるんですか……」
「ユメ先輩とも一番仲良く楽しそうにしていたのはホシノちゃんですしね。たぶん、ホシノちゃんを次期生徒会長に選んでいたと思いますよ」
「っ」
これはホシノちゃんには内緒ですが、実はユメ先輩からその手の話を少し聞いていました。
――『私が卒業したらホシノちゃんに会長を譲ろうかなって』
わたしも特に異論もなかったですし、ホシノちゃんなら上手くやっていけると思いましたからね。わたしはホシノちゃんを全力でサポートするつもりでしたしね。
「……やっぱり、ユメ先輩の後を継ぐのは辛いですか?」
「それはっ……」
何となくは分かっています。
とは言え、そういったユメ先輩の意思もあったので、わたしよりもホシノちゃんに会長をやってもらいたいなと思ってます。生徒会長という座が辛いというのであれば……そうですね。
「ホシノちゃんは何も悪くないですよ」
「またそんなことを……」
「何度でも言います。ホシノちゃんは悪くないって」
「っ……セレネちゃん……」
そんな顔はして欲しくないのですよね。
「でも無理にしろとは言えないですね……そうだなぁ、これは提案になりますが、こうしたらいいかもしれません」
「?」
ふといい案が思い浮かびました。
「生徒会じゃなくて名前を変えるんですよ!」
「へ?」
「例えば……そうですね、アビドス廃校対策委員会という名前にしましょう」
「えっと?」
「この名前ならば、生徒会長ではなくて委員長という役職になりますし、大丈夫じゃないですか!?」
我ながら妙案だと思うのですが。
「え。いやそれは……どうなんでしょう」
お、ホシノちゃん迷ってますね?
この名前にすれば委員長という役職名になるので、生徒会長ではなくなります。とはいえ、委員会自体は後で連邦生徒会に認可申請を送れば生徒会としての機能もそのままになるはずです!
「名前は変わりますが、生徒会に準ずる組織となりますしね!」
「そ、それは……」
生徒会長という名前に重さや辛さを感じるのであれば、名前を変えるだけでもだいぶ違う……と思います。
「ホシノちゃんさえよければ、連邦生徒会に認可申請を送りますけど」
「え」
「アビドス生徒会はちゃんと認可されているから、名前を変えるには申請も必要ですしね」
「……」
「どうしましたか、ホシノちゃん」
「少し……このままにさせてください」
ホシノちゃんがわたしの方に抱きつくように身体を預けてきました。わたしの方がちょっと小さいのですけどね……どうしたんでしょうか?
「いいですよ、よしよし」
「! 恥ずかしいですよ!」
「いや抱き着いてきたのはホシノちゃんじゃないですか」
「う」
それならわたしがやるべきことはこれしかないですね! わたしがホシノちゃんを支えますから、ホシノちゃんはそのままで頑張ってほしいです。
「セレネちゃんは……もし、私がその委員長になっても一緒に居てくれますか?」
「もちろんですよ。言うまでもないです。全力でホシノちゃんをサポートしますよ」
「……」
「ホシノちゃんはホシノちゃんのままでいいのですよ。自分がやりたいように、すればいい。わたしはそれを支えます」
「セレネちゃん……」
こうした弱気なホシノちゃんも可愛いですけど、今まで通りのホシノちゃんが一番です。
「ありがとうございます、セレネちゃん。……分かりました。委員長の役職、貰いますよ」
やりました、ホシノちゃんがなってくれるようです。
「うんうん。それで名前はどうしますか?」
名前はさっきのは例として挙げましたからね。ホシノちゃんがいい名前を決めてくれればそれで問題ないです。
「さっきのアビドス廃校対策委員会でいいんじゃないですか? 何かしっくりきます」
「なるほど。……では正式名称はアビドス廃校対策委員会で、略称は対策委員会にしよっか」
「いいですね」
「じゃあ早速、アビドス廃校対策委員会が生徒会として認可されるように申請してみますね」
「はい」
そんなこんなしつつ、わたしは連邦生徒会に申請を送るための準備を始めるのでした。
どうでもいいかもですが、セレネのモチーフは月です。
まあ、タイトルにもろ月と書いてますけどね()
ヘイローも月に近いものにしようとしたかったんですが、AIなので限界がが……!