アビドスと太陽を守りたい月   作:キヴォトス一般人

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もっとマシなタイトルはなかったのだろうか――


いつもありがとうございます!
読んでくださる方々に最大の感謝を。


32話:対策会議(新)―その1

 

「はい!」

 

 早速手を挙げたのはセリカちゃんでした。

 

「はい、黒見さん」

「……苗字で呼ばれるの違和感しかないんだけど。どうにかならない?」

「え、いやでも……会議ですし」

「いやさっきは普通に名前で呼んでたわよね?」

 

 つい先ほどの議題の話を思い出します。

 確かに普通にセリカちゃんと呼んでいた気がしますね……わたしとしても結構違和感を感じますね。アヤネちゃんがセリカちゃんのことを苗字呼びするのは。

 

「う……はい。セリカちゃん」

 

 アヤネちゃんもふと気が付いたのか、名前呼びに戻しました。というか、アヤネちゃんさっき黒見さんって呼んでいましたけど、凄い呼びにくそうな顔をしていましたよ? 無理に真面目にならなくても大丈夫ですよ。

 アヤネちゃんが名前呼びに戻したのを確認するとセリカちゃんはそれでよし、と言って頷いていました。

 

「皆も分かっていると思うけれど、現在のアビドスの財政状況は破産寸前よ! いえ……セレネ先輩のおかげもあって、そこそこの余裕があるけれど、それでも限界に近い状態なのは変わりないわ。それは分かっているわよね!?」

「まぁね……」

「ですね。現状、セレネ先輩が半分を負担してくれていますし」

「ん、そう。だから私達も自分に使えるお金に若干余裕がある」

「セレネ先輩には頼りっぱなしで申し訳ないです」

「気にしないでいいですよ。皆が半分も負担しないでいいと言ってくれたのに、断ったのはわたしですからね。何ならもっと増やしてもいいですよ」

「いやセレネちゃんにこれ以上は負担はかけられないよ……」

 

 そうですかね?

 アビドスの為なら……強いてはホシノちゃんやノノミちゃんにシロコちゃん、セリカちゃん、アヤネちゃんの為ならばわたしは頑張れますよ。そうですね、とりあえず1.5倍くらいにノルマを……。

 

「セレネちゃん、何かよくないこと考えているでしょ」

「え、そんなことはないですよ?」

「本当かなぁ? とにかく! これ以上増やすのは許さないからね!」

「うへ……ホシノちゃんにそんなこと言われたらもうどうしようもないじゃないですか」

「それでいいの」

「……はい」

 

 ホシノちゃんにそこまで言われれば仕方がありませんね。謎の圧を感じたので素直に頷いておきます。でもそうですね、ホシノちゃん達には心配かける訳には行きませんよね……。

 

「とにかく!! セレネ先輩が半分負担してくれているけど! 私達も頑張って稼いでいるけれど! ――それでもまだまだ足りないわ!」

 

 ビシィっと背景に文字が出そうなくらいの勢いで言い放つセリカちゃん。

 

「あはは、それは否定できないですね♧」

「ん……」

 

 毎月の返済額は足りていますが、それでも元金が中々減りませんからね。8億だった借金を6億5千万くらいまで減らしたこと自体はこうして見るとかなり好成績なのですよ。

 最低返済額というものもありますが、最低返済額だけを毎月返しているだけでは減らなかったでしょう。ここまで減らせているのは多めに返済しているからです。返済額を上げれば上げるほど借金は減りやすくなりますが……限界もありますね。

 

「これまで通り指名手配犯を捕まえたり、苦情を解決したり、ボランティアするだけじゃ限界があるわ」

「それで?」

「セレネ先輩の負担もそうだけど、学校の借金減らすために一攫千金を狙う必要があるわ!」

「一攫千金ねえ……」

「懐かしいですね。昔、宝探しみたいなことをしていましたね」

 

 昔、アビドス生徒会の時にありましたね。発案はユメ先輩ですけど。

 

「え、そうなの?」

「んーそうだね。結局は外れだったんだけどね~。まあそんな都合よくお宝が見つかる訳無かったよね。いや~あのときは若かった……」

「今でも十分若いわよね!?」

 

 セリカちゃんのツッコミは今日も鋭いですね。わたしはそんなやり取りをするセリカちゃんとホシノちゃんを見て少し微笑みます。

 

「一攫千金は置いとくとして、具体的には?」

「これよこれ!」

 

 アヤネちゃんがセリカちゃんに問いかけるとセリカちゃんは鞄の中から1枚のポスターを取り出してわたし達に見せてくれます。

 

「これは……」

「んー? どれどれ……”ゲルマニウム麦飯石ブレスレットであなたも一攫千金”……ねえ?」

「そうっ! これでガッポガッポ稼ごうよ!」

 

 いい笑顔をするセリカちゃんですが、残念ながらそれは恐らく詐欺ですね。ブレスレットで一攫千金だったら苦労はしないと思います。

 

「この間、街で声をかけられて説明会に連れて行ってもらったの。運気を上げるゲルマニウムブレスレットっていうのを売っているんだって!」

 

 目をキラキラさせているセリカちゃん。可愛いですが、残念ですがそれは……。

 

「これ身につけるだけで運気が上がるんだって! これで周りの3人に売れば……」

「「「……」」」

 

 楽しそうに話すセリカちゃんですが、他の面々は何とも言えない表情でセリカちゃんを見ていました。やはり、セリカちゃんは純粋というかなんというか……。

 

「セレネ先輩? え? 皆どうしたの?」

 

 わたしはゆっくりとセリカちゃんの側に近付いて、セリカちゃんの肩に手を置きます。とは言え、セリカちゃんの方が身長が高いのですけどね。それでもちょっと手を伸ばせば届きますから……うん。

 

「却下」

「ええ!?」

 

 わたしがそんな風にセリカちゃんに同情していた中、無慈悲にもホシノちゃんの漢字二文字の言葉がセリカちゃんを一刀両断してしまいました。

 

「セリカちゃん、それマルチ商法だから……」

「ん、儲かる訳ない」

「へっ!?」

「そもそもゲルマニウムと運気アップって関係あるのかな……こんな怪しいところでまともなビジネスを提案なんてしてくれるはずないよ……」

「そ、そうなの?! 私2個買っちゃったんだけど!?」

 

 わなわなとするセリカちゃん。気持ちは分かります……そもそも、アビドスでそんなうまい話がある訳ないですよ……。

 

「セリカちゃん、騙されちゃいましたね。可愛いです☆」

「……!!」

「全くセリカちゃんは世間知らずだねー。気をつけないと悪い大人に騙されて、人生取り返しがつかなくなっちゃうかもよー?」

「そ、そんなぁ……そんな風には見えなかったのに……せっかくお昼抜いて貯めたお金で買ったのに……」

「セリカちゃん……よしよし」

「うえぇん! セレネせんぱぃ」

 

 セリカちゃんが抱きついてきたので優しく慰めてあげます。

 セリカちゃんの純粋なところはいいところなんですから。どうかそのままで居てください。……とはいえ、それでもセリカちゃんの純粋さはさっきも言った気がしますが、心配になりますね……。

 

「うぅ……」

「まあまあ。人生失敗することは何度もありますよ」

「そうですね☆ 大丈夫ですよ、セリカちゃん。今度私がご馳走してあげますから」

「ノノミせんぱいぃ……」

「よしよしー」

 

 わたしとノノミちゃんに挟まれて慰められるセリカちゃんでした。でもまあ、わたしよりはノノミちゃんの方が包容力はあると思いますね。

 

「え、えっと……セリカちゃんの意見はこの辺りで」

 

 複雑そうな顔をするアヤネちゃんが仕切り直します。

 

「他にご意見がある方……」

「はい! はい!」

 

 おっとここでホシノちゃんが手を上げましたね……嫌な予感もしますけど。

 

「えっと、はい……ホシノ先輩……何か嫌な予感がしますが」

 

 アヤネちゃん、同感です。

 

「うむうむ。えっへん!」

 

 あ、これなんかよくないこと考えているホシノちゃんの顔ですね。まあ聞くだけ聞きましょう……もしかしたらちゃんとした意見かもしれませんし。

 

「我が校の一番の問題は、全校生徒が此処にいる数人だけって事なんだよねー、ぶっちゃけ生徒の数イコール学校の力、トリニティやゲヘナみたいに、生徒の数を桁違いに増やせば毎月のお金だけでもかなりの金額なるはずー」

「えっ、そ、そうなんですか?」

「そういうことー! だからまずは生徒の数を増やさないと、まずはそこからだねー!」

「ホシノちゃん、結構まともなこと言ってますね」

「えー? おじさんはいつもまともだよー?」

「それはどうでしょう……」

「セレネちゃん酷いよー」

 

 そんなことを言うわたしに抗議するような顔でホシノちゃんが見てきます。

 まあ生徒数を増やすことは以前……というより、2年生の頃の対策会議でも話には出していましたけど、結局どうやって生徒数を増やすのか? というところから変わってないのですよね。そして今に至っている訳ですね。

 

「鋭いご指摘ですが、どうすれば?」

「簡単だよー! 他校のスクールバスを拉致ればオッケー!」

「はいぃ!?」

 

 ……何でしょうか、デジャヴを感じます。あれ? 去年も会議でそんなこと言ってませんでしたか?

 

「登校中のスクールバスをジャックして、うちの学校への転入学書類にハンコを押さないと、バスから降車出来ない様にする! うへ~、これで生徒数がぐんと増えること間違いなーし!」

「それ、興味深いね、ターゲットはトリニティ? ゲヘナ? ミレニアム? 学校によっては作戦を変える必要がある……」

 

 シロコちゃんまで乗り気なところもデジャヴを感じるのですが……アヤネちゃんがかなり困った顔をしているじゃないですか。

 

「うへぇそうだなぁ。トリニティ? いやゲヘナにしよう!」

「シロコちゃん、ホシノちゃん、却下ですよ」

 

 乗り気な2人には申し訳ないですが、そこでストップを入れておきます。これ以上続けたら悪化しそうでしたし……生徒数を増やすのは大事ですけど、もっとちゃんとした方法にしましょうよ。

 それにゲヘナなんて狙ったら……いえ、それはトリニティにも言えるのですが、各校の風紀委員会とかトップが黙ってないですよ。流石にそんなマンモス校を敵に回したくはありません。

 

「うへ」

「ん……」

「ホシノちゃん……」

「ご、ごめんってセレネちゃん」

 

 ホシノちゃんの頭を軽くぺちっと叩きます。

 

「痛いよ~」

 

 いや絶対痛くないですよね?

 

「というか、ホシノちゃん去年も同じこと言ってませんでしたか?」

「うへ、そうだっけ?」

「……あ」

「シロコちゃんは思い当たるようですね……その時、シロコちゃんも乗り気でしたけど」

「ん……」

「うへぇ」

「流石にあんなマンモス校を敵に回したくはありませんよ……風紀委員会とか、それに準ずる組織が絶対出てきますし、下手をしたらトップまで出てきますよ」

 

 何よりゲヘナの風紀委員にもトリニティの風紀委員……いえ、正義実現員会でしたっけ? どっちにもアビドスでも聞くほど有名な存在(生徒)が居ますし。

 

「うへ」

「ん……」

「セレネ先輩ありがとうございます……ホシノ先輩もちゃんとした意見をお願いします!」

「うへぇ……」

 

 ……まあホシノちゃんのことなので、本気ではないのでしょうけどね。思わず苦笑いをするのでした。

 

 




誰だこんな適当過ぎるサブタイを考えたのは!


対策会議っていうサブタイは既に2年生の時の話に使っていたので……流石に同じのにするのはどうかと思いました。そして考えた結果、こうなりました。

(新)……何か新なんですかね。


こ、細かいことを気にしては駄目です。

ではまた!
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