アビドスと太陽を守りたい月 作:キヴォトス一般人
その2です(テキトー)
「ええと、他のご意見のある方――」
何とも言えない表情をしながら司会を再開するアヤネちゃん。気持ちはわかります。
「ん!」
「……はい、シロコ先輩。何だかまた嫌な予感がするのですが」
次はシロコちゃんが手を挙げたようです。
何かどこかか楽しそうと言うか……アヤネちゃんの言う通り、わたしもちょっと嫌な予感がしますね。
「銀行を襲うの」
「はいっ!?」
……嫌な予感は的中したようです。
どうしてシロコちゃんはこうなってしまったのでしょうか……いえ、よく考えたら昔もそんな感じでしたね。せめてもの救いはまだ実行していないところですね。
と言うか銀行を襲うって、これもまた去年も言ってましたよね、シロコちゃん……いえ、あのあとも不定期に開催されるこの会議では似たようなことを言っていましたけども。
「確実かつ簡単、ターゲットも選定済み……」
凄い楽しそうに話すシロコちゃんですが……。
「はい、シロコちゃんストップです」
「ん……」
「そんな残念そうな顔をしてもだめですよ。却下です」
「しゅん……」
シロコちゃんの耳が項垂れますが、駄目なものは駄目です。
「流石に犯罪者になっちゃダメですよ……」
それである。確かにお金は手に入るかもしれませんが、それで返済して……その後はどうするのですか……矯正局に送られちゃいますよ……。
「矯正局に送られちゃいますよ~」
「ん……皆と会えなくなるのは困る」
「ならダメです」
「ん……」
まあ仮に矯正局に送られても、会うこと自体は出来ると思いますけどね……とはいえ、牢屋に入れられたシロコちゃんとか見たくないですよ。
「と、とりあえず銀行強盗はなしの方向でお願いします……」
「ん……」
そんな訳でシロコちゃんの意見はここで終わりとなりました。
「……他に意見がある方は居ますか?」
アヤネちゃんがげんなりした様子で続けています。まあ、連続してとんでもない意見を言われればそうなりますよね……。
先生も結構困った顔をしているじゃないですか……。
「はい!」
「はいノノミ先輩……えっと、犯罪とか詐欺とかは抜きでお願いします」
次はノノミちゃんが手を挙げました。
懇願するようにアヤネちゃんが言いつつ、ノノミちゃんを指名します。流石にノノミちゃんならとんでもない意見を言わないと信じたいですが……。
「犯罪でもマルチ商法でもない、とってもクリーンかつ確実な方法があります!」
「それは興味深いですね……」
「アイドルです! スクールアイドル!!」
「ア、アイドル!?」
確かに犯罪でもないし詐欺でもない意見ですね……少しだけ身構えていましたけど。いやそれでもアイドルですか……アイドルって何でしたっけ。
……あ、歌って踊って観客を喜ばせるアレでしたっけ。確かに受けが良ければかなり稼げそうな気がしますね。
ようやくちょっとまともな意見が出ましたね……とはいえ、反応は三者三様ですが。
「そうです! アニメで観たんですけど、学校を復興する定番の方法はアイドルです! 私たち全員がアイドルとしてデビューすれば・・・・・・」
「却下」
中々いい案じゃないかと思いましたが、ホシノちゃんが速攻で却下しちゃいましたね。
「あら、これも駄目なんですか?」
「アイドルですか。中々いい案じゃないかと思いましたが」
「わぁ☆ セレネ先輩は分かってくれるんですね!」
「えぇ……」
「なんで? ホシノ先輩なら、特定のマニアに大ウケしそうなのに」
セリカちゃんもどうやら賛成派のようですね。
「それにセレネ先輩も……!」
……特定のマニアとは何でしょうか。
「うへ、こんな貧弱な体が好きとか言っちゃう輩なんて、人間としてダメっしょー。ないわー、ないない」
あーそういう意味ですか。ですが、ホシノちゃん……その言葉はわたしとしてはちょっと聞き捨てなりませんね。
「ホシノちゃん。それはわたしに対する嫌味でしょうかー?」
「うへ!? ち、違うよ!?」
「ええ。確かにわたしはホシノちゃんよりも小さいですよ、はい」
ホシノちゃんとは僅差ではありますけど、身長が負けていますし……ね。とはいえ、前にも言った気がしますけど、急に大きくなったりしてもそれはそれで色々と困りますけどね。
「うへうへ……違うって! そんなつもりはなかったんだよー!」
「ん。ホシノ先輩酷い」
「セレネ先輩の悪口を――」
「違うってー!!」
焦るホシノちゃん可愛いですね……いえ、そうさせたのはわたしなのですが。流石にちょっと悪いことをしましたかね?
「うへぇ、セレネちゃん許してー」
「大丈夫ですよ。少ししか気にしてません」
全く気にしていないとは言えないので……一応、少しは気にしてたりしますが、そこまで深刻に感じている訳ではないので大丈夫ですよ。
「少しは気にしてるんだね……」
”大丈夫。セレネにはセレネのいいところがある……はず”
「はずってなんですか、先生……」
”ごめんごめん。でも、セレネはほら、強いし”
「そうですかねえ? ホシノちゃんと戦ったらどうなるか分かりませんよ」
「いや、比較対象が違うと思う気が……」
「うへぇ。まあ、どうなるかは分からないのは確かだねえ」
「ん。前も言ってた」
確かに前にも同じようなことを言っていた気がしますね。
でも実際どうなるかは本当にわからないのですよね。戦闘する機会がないですしね……まあ、戦ってみたい気はありますが戦いたくはない気もあって微妙なところです。
「話を逸らしてしまいましたね。アイドルの話は、いいかもしれませんよ~?」
「うへ……アイドルの話に戻しちゃうのー?」
戻しちゃいます。
「セリカちゃんとかノノミちゃんとかシロコちゃんとか、アヤネちゃん達がアイドルになったらきっと売れますよ」
「わぁ☆」
「ええ!?」
「か、稼げるなら……」
「えっと……確かにアリかもしれませんけど」
「ん……セレネ先輩が言うなら」
「ホシノちゃんも稼げそうですね」
「せ、セレネちゃん?!」
ホシノちゃんのアイドル姿とか見てみたいですね……とはいえ、アイドルと言っても、そんなすぐになれるようなものではありませんよね。
それに歌の練習とか、踊ったりする練習……そもそも、それらを見てくれるお客さんというかファンが居なければ意味がありません。
案としてはいいかもしれませんが、準備段階で時間がかかってしまいそうですね。それに、時間が無くなってしまって稼ぎとかが落ちてしまうのもあまり良くないでしょうし。
いえ、皆がやるのであればわたしが頑張りますが……。
「冗談です。……アイドルはいい案かもしれませんが、歌って踊ってをするには練習が必要でしょうし、それに何より見てくれる人が居ないと……」
「た、確かに……」
「それもありますね……」
「平和な方法ではありますが準備するのも大変そうです。尤も皆がやると言うならば……わたしがもっと頑張りますが」
「もっとって……それはダメー」
「ですよねー」
ホシノちゃんにそう言われてしまうとどうしようもないですね。しかし、アイドルですか……まあ一応案としてはいいものだと思いますので、気にとどめておきましょう。
「――他は……ないですよねえ」
「いんや~ まだセレネちゃんが言ってないよー」
「え、そこでわたしに振るのですか?」
「おじさんも出したし、皆出しているしセレネちゃんも出してほしいなあ」
「……うーん」
「ん」
「セレネ先輩の案なら何かいいものがあるかもしれないわ!」
「気になりますね☆」
さっきの仕返しでしょうか……ホシノちゃんがわたしに振ってきたのもあって、皆の視線が一気にわたしに向けられます。
アヤネちゃんとかセリカちゃんに関してはどこかわくわくというか……ちょっと違う雰囲気で見てきてますが、あまり期待されても困りますね。
「そう言われましても……何かありますかね」
あまり考えていないことがバレますね。
いえ、考えてないと言うか案が思い浮かばないと言うか……言い訳になってしまいますけどね。
「……やはり宝くじでしょうか」
「うへ」
「あら……」
「宝くじ……確かにそれも一つの手かもしれませんね」
「そうね、当たれば一攫千金……!」
結局これくらいしか思い浮かばないのですよね。
一番手軽で……平和な方法は。運要素がかなり強く、博打となりますが当たればセリカちゃんの言う通り一攫千金なのですよね。
とはいえ、結局は宝くじを買う為の資金が必要になりますし、外れればマイナスとなってしまうのは必至ですが、一番リスクが少ないです。
いえ、マイナスとなるリスクはありますけど、使う金額とかを予め決めておけばだいぶ違うと思いますね。
「当たらない可能性のほうが高いですが、買わなきゃ当たりませんからね。それに――予め使用する金額を決めておいて、毎月みたいに定期的に買ってみるというのはいいかもしれませんよ」
「た、確かに……」
「返済分は現状間に合っていますから、アリと言えばアリかもしれませんね」
間に合ってると言うかだいぶプラスの方向で返済できているので、少しだけチャレンジするのはいいかもしれないですね。
「まあ運要素が強いですけどね」
「そうですね……」
そう言えば皆がちょっと考え込みます。
「うへ。もうここはいっそのこと先生に決めてもらおうよー」
そんな沈黙を破ったのはホシノちゃんでした。
”え”
「まだ案がまとまってないじゃないですか……もう少し選択肢を……」
まあ現状まともな案が出ていませんからね……いえ、ノノミちゃんのアイドルについてはまだマシな方ですが。
「大丈夫大丈夫、先生が言うことなら間違いないって。ねえ、先生」
”ええと……”
めっちゃ先生が困ってるじゃないですか……。
一斉に先生の方に皆の視線が向けられます。かくいうわたしもついつい向けてしまいましたが、先生がどの選択肢を取るのかちょっと楽しみではありますね。実行するかどうかは別として。
「さあさあ先生ー」
”ええと……”
ホシノちゃんがじっと先生を見ます。ちょっといたずらっぽい顔を見せていますね。
”決めた――アイドルだ! 私がプロデューサーになる!”
苦渋の決断……先生はついに、皆の前で言い放つのでした。
アイドルしようぜ!()