アビドスと太陽を守りたい月   作:キヴォトス一般人

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いつもありがとうございます!




37話:襲撃の黒幕

「……はい、確認しました、全て現金でお支払い頂きましたので、今月は以上となります、カイザーローンとお取引頂き、毎度ありがとうございます、来月も宜しくお願いいたします」

 

 スーツを着たロボットがそう言って笑顔のアイコンを浮かべ、深々と頭を下げてきます。そのまま現金輸送車に乗り込み、エンジンの音を立ててこの場から走り去っていきました。

 

 わたし達はそれを見送り、見えなくなったところで一息つきました。

 

「今月も支払えましたねー」

「うへぇ、そうだねえ」

「これでちょっとの間はまた気が休まるわね――!」

「でも来月もまた返済する日がやって来ますけどね☆」

「うっ」

 

 ノノミちゃんの言う通りですね。とはいえ、返済日を無事乗り切れた後は少しくらい気を休めてもいいと思いますよ。

 

「気を休めるのはいいと思いますよ」

「セレネ先輩!」

「――でも、セリカちゃんはまた詐欺とかに騙されないようにね?」

「ううっ?!」

 

 そんなホシノの言葉に何とも言えない顔をしながら言葉にならない声を出すセリカちゃんでした。でも、ホシノちゃんの言う通りセリカちゃんのことは心配ですね。

 

「まあまあ、取りあえず一旦部屋に帰りましょうか☆」

「ですね」

 

 そんなノノミちゃんの言葉に皆が同意し、校門を後にするのでした。

 

 

 

◇◇

 

 

 

「――皆さんも揃いましたし、会議を始めようと思います。今回は以前のセリカちゃん襲撃の時の進捗です」

「おー何か分かったの?」

「はい。戦車の破片の解析が終わりました」

「! 分かったの!?」

「セリカちゃん落ち着いて」

「あ、ごめん」

 

 思わずテーブルを蹴飛ばしそうなくらいの勢いで反応するセリカだが、アヤネの言葉にすぐに冷静になる。

 

「……」

 

(セレネちゃん……?)

 

 そんな話をしている中、ホシノがいつもと違う表情をしているセレネを見る。セレネは会議の話には目もくれずに、何かを考えている様子だった。

 

(解析が終わったということは……出どころが分かったということですよね)

 

 それ自体は喜ばしい内容ではあるのだが、セレネとしては少しだけ複雑であった。

 ブラックマーケットであるということはもう分かってしまうだろう。しかしながら、セレネとしては皆にブラックマーケットのような危険な場所には行って欲しくないという気持ちもあった。

 それに加えてセレネは黒服に渡された資料の内容も併せて思い出していた。

 

 セレネが黒服に渡された資料の中身――カイザーローンとの取引記録や、そんなカイザーローンの大本であるカイザー銀行の取引記録などなど、黒服に渡された情報はよりどりみどりであった。

 

 あの日の夜、ホシノ以外の生徒が帰った後、渡された内容について隅々まで確認をしていた。ホシノに見られるのも色々と問題になりそうであったのでセレネは隠れてというか、こっそりの確認をしていた。

 

(カイザーローン、カイザー銀行、ヘルメット団)

 

 今まで怪しいという言ことだけしか思えなかった内容が、黒服のもたらした情報によっていろいろと繋がった。セレネはこのアビドスの現状の真犯人について特定をしていた。

 

(黒服の情報が決め手となったのは癪に障りますけどね)

 

 とはいえ、使えるものはとことん使ってやろうとセレネは開き直った。

 

「あの戦車のパーツなのですが、今では使われていない型番であることは判明しました」

「古いってこと?」

「そうですね、廃番とも言いますか……それでそのパーツについて色々と遡って調べた結果、とある場所にある店からのものだということが分かりました」

「どこなの?」

「それが……」

 

 セリカが聞こうとするとアヤネは少しだけ顔色を悪くする。

 

「……ブラックマーケット」

「「!?」」

(セレネちゃん?)

 

 アヤネが口に出す前に――セレネの口からその場所の名前が吐き出される。アヤネはどうしてセレネが知っているのか、と疑問を浮かべる。ホシノを含む他の面々の視線はセレネに向けられる。

 

「……」

 

 しかし、当のセレネはそれ以上言葉を紡ぐことをしなかった。ホシノがセレネの方を見れば、長年一緒に居たホシノだからこそわかるものがある。表面上はいつも通りに見えるものの、ホシノから見ればセレネは何処か怒っている様子だった。

 

”セレネ、何かあった?”

「……いえ特には」

 

 そんな訳ないだろ、っとその場に居た誰もが突っ込む。心の中で。

 流石にセレネの様子がおかしいことは、ホシノ以外も気づき始める。何かあったのか? とまず思い浮かぶが、思い当たる節は対策会議の後くらいだろうか。

 対策会議の後、セレネはそのまま何処かに行っていた為、その時に何かがあったのだろうと予想がつく。

 

「セレネちゃん、何か隠してない?」

「……っ」

 

 ホシノにそう言われて反応するセレネ――ホシノ達にはその心情までは察せないが、何かがあったことだけは確かであった。

 

「セレネ先輩、もかしてブラックマーケットに……」

「……そうですね――行ったことはありますよ」

「!」

「それって……」

「セレネちゃんのことだから何か目的があったんだよね?」

 

 そうでなければ、セレネがそこに行くことはあまり考えられない。ただ、もしかして稼ぎが凄い理由はそこにあるのかと考えることもあった。しかし、セレネがそんな危ない、ブラックな内容の依頼を受けるとも思えない。

 

「セレネちゃん、もしかしてこの間の対策会議の後って……」

 

 ふとホシノの頭の中にとある可能性が思い浮かんだ。対策会議の後にブラックマーケットに行ったのではないだろうか、と。

 セレネのことである。既にホシノ達が考える前に、何かを知っていてもおかしくないだろう。

 

「え、ちょホシノちゃん?」

 

 そんな様子見つつ、ホシノはセレネの背後に回る。そのままセレネの手を後ろに回して自分の手で固定する。

 

「セレネちゃんが隠し事をするときは絶対何かあるから……ここで話してもらおうかなと」

「ええと……」

「はいはい、皆もこっちに来て~」

「ホシノちゃん!?」

 

 ホシノがそう言えば言われるままにセレネの近くにやってくる。

 そのままホシノはセレネのことを椅子に座らせて、他のメンバーでセレネを囲うように立つ。

 

「セレネちゃんがいつもアビドスの為に頑張ってくれているのは分かってるよ。それは皆も同じ」

「ん」

 

 ホシノに同意するように全員2度頷く。

 

「何か理由があってブラックマーケットに行ったんだよね? そしてそこで何かを知った……違う?」

「……ホシノちゃんは鋭いですね」

 

 セレネは素直に認めた。

 細かいところまで言うと異なるのだが、おおよそホシノの言う通りであった。セレネは対策会議の後にブラックマーケットに行った。そこで便利屋68に護衛をしてもらいつつ、調査をしていたのだ。

 そして帰り際に寄ったビルの屋上――偶々黒服のオフィスがあった場所だったが、そこで黒服に会ったのである。その時に渡された資料の中身を見てセレネは色々と考えていた。

 

「何を知ったの? セレネちゃん」

”セレネ、よかったら教えて欲しい”

 

 ブラックマーケットのことであるのは予想がつくが、そこで何を知ったのかはセレネしか分からないだろう。

 

「はぁ……あまり皆に言いたくはないことなのですが……いえ、隠すことも気が引けているのも事実なのですが」

「……」

「シロコちゃん、そこのわたしの鞄を取ってくれませんか」

「ん……これ?」

「はい、それです。ありがとうございます」

「ん」

 

 一番近くに居たシロコに自分の鞄を持ってきてもらい、セレネはその鞄の中を漁り少し大きめの封筒を取り出した。封筒の中らか数枚の紙を取り出し、ホシノ達にある1枚の書類を見せる。

 

「! セレネちゃん、これって」

「……カイザーローンの取引記録です」

 

 ホシノが驚いてみれば、他の面々も横から顔をの覗かせて書類の中身を見る。それを見た全員の反応は色々であったが、セリカはぷるぷると震えていた。

 

「な、なにこれ!? 一体どういう事なのっ!?」

 

 セリカが叫ぶのであった。

 




 何か凄い原作乖離している気がする……ブラックマーケットの話はたぶん書きますよ(意地)
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