アビドスと太陽を守りたい月   作:キヴォトス一般人

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いつもありがとうございます!


41話:風紀委員会

 

 

「前方、半径10km内にて爆発を検知!正確な位置は...柴関ラーメン!?」

「はぁ!?どういうこと?なんであの店が狙われるのよ!」

「戦略拠点でもなく、重要な交通網でもないのに、一体誰が...」

「ま、まさか私を狙って...!?」

「いえ、柴関ラーメンは無事のようです」

「そ、そうなの? よ、よかった」

「それじゃあどういうこと?」

「ええと、間違いなく柴関ラーメン付近で爆発を感知しました。……データ詳細解析を行います」

 

 突然の爆発感知でアヤネは焦った。それを聞いたセリカ達も戸惑うものの、柴関ラーメン自体は無事だということを聞いてセリカは安堵する。

 しかし、どうして爆発したのか……よりによってホシノとセレネの居ないこのタイミングで。

 

「解析終わりました! 爆発位置は柴関ラーメン……の上空です!」

「じょ、上空?」

「つまり空中で爆発したってことですか~?」

「間違いなく……そのため、地上にあった柴関ラーメン店舗は被害を受けずに済んだようです」

 

 空中で爆発というのはどういうことだろうか? その場にいた全員が疑問に思った。

 しかし、その中でセリカは何かを思い出したようにはっとする。前にも同じようなことがなかっただろうか?

 

「ね、ねえ……もしかして、空中で爆発したのって……セレネ先輩が」

「それはあり得そうですね」

「セレネ先輩が柴関ラーメンを守った?」

「セレネ先輩とはまだ連絡が取れませんが、あり得る話かもしれません」

「ホシノ先輩も連絡取れない……」

”ひとまず、確認する為にも出動しよう”

「はい、先生の言う通りですね」

 

 先生の話にアヤネが同意し、今いるメンバーだけで柴関ラーメンの方に出動するのであった。

 

 

 

 

 

**********

 

 

 

 

 

「……」

 

 愛銃を手に空を見上げ、空中爆発が起きた光景をセレネは見ていた。セレネの持つ銃の銃口からは微かに煙が出ていた。

 

「ほ、砲弾が空中爆発しました!!」

「はぁ!? 不良品だったのか?」

 

 少しだけ離れた場所では、アビドスとは違う制服を纏った生徒たちが複数人、隊列を組んでおり、放ったはずの砲弾が空中爆発したことにそれぞれ反応していた。

 

「次弾を放て」

「了解っ!」

 

 次弾装填が完了した迫撃砲が再び合図によって火を噴く。

 放たれた砲弾は狙った場所へと飛んでいく――はずだった。飛翔した砲弾はまたもや着弾予想地点に落ちる前に、空中で爆発を起こし、その姿を消す。

 

「!?」

「お、おい! 全部不良品なのか!?」

「事前点検では問題なかったはずだが……」

「点検不備じゃないのか?」

「どうだろ……」

「まあいい。次弾放て」

「!」

 

 そう言って生徒――イオリが指示を送ると3弾目が放たれる……が。

 

「また空中爆発しました!!」

「何が起きてるんだ!?」

 

 3回とも全部着弾せずに空中で爆発してしまったことに全員が戸惑う。1回ならまだいいが、2回3回と続けて同じように空中で爆発するのは流石におかしい。

 

「……今更ですけどイオリ、やり過ぎなのでは?」

「ん?」

「他校の自治区にまで入って戦闘行為するというのは――」

 

 しかも狙った先はそんな自治区内にある絶賛営業中の店舗であった。幸い、と言っていいのか砲弾は全て空中で爆発してしまい、被害はないのだが。

 とはいえ、流石にこれはまずいのでは、とチナツは思った。

 

「だって此処の自治区……なんだっけ、アビドス?」

「アビドスですよ」

「周りを見ても廃墟がほとんどだし……本当に自治区なのか怪しいし。そもそもここは本当に自治区なのか?」

 

 イオリの言葉にチナツは流れるように周りを見渡す。

 確かに廃墟ばかりではあるが、ちらほら電気がついているところもある。そして今迫撃砲を打ち込もうとした店舗も明かりがついており、普通に営業中の様子だった。

 

「――アビドス自治区ですよ」

「!!?」

 

 その瞬間、少し離れたところから声が響く。それと同時に異常なほどの……圧、殺気、敵意を感じ取った。2人を含むその場にいた全員が気圧されるが、何とか声のした方を見ればそこには1人の生徒が立っていた。

 

「あれはゲヘナの風紀委員?」

「私達を追ってきた!?」

「まあそうだろうね……」

 

 そんな生徒の後ろから2人にとっては聞き覚えのある声が聞こえたが、未だに動けずにいた。

 

「便利屋68の皆さん、危ないですよ。さっき中で待っててって言ったじゃないですか」

「それはごめーん。でも風紀委員だとすると赤の他人とは言えないからさ」

「……どういうことです? あ、そう言えば前にちらっと聞きましたね。追われているというか……」

「え、ええそうよ……だからここまで追ってきたのよ」

「でも、流石にここは別の自治区なのにやりすぎなのでは?」

 

 カヨコの言葉は尤もであった。ここはアビドス自治区……他校の生徒が別の自治区内で戦闘を行うというのは褒められたことではなかった。

 ヴァルキューレの生徒だって他校の自治区に入るには、色々と面倒な手続きをする必要があるのだ。

 

「許可をもらっているとは思えない」

「カヨコさんの言う通りです。アビドス自治区での戦闘行為は認めていませんよ」

「!」

 

 再び風紀委員の方を睨みつけるセレネ。

 

「あ、そう言えばセレネさんってアビドスだったよね……」

「忘れていました? これでも対策委員会副委員長ですよ」

 

 そう、ここに居るセレネはアビドス高等学校の生徒会に準ずる組織――アビドス廃校対策委員会の副委員長だ。要するに生徒会副会長と同等である。そのセレネが許可していないと言っている時点で、風紀委員の戦闘行為は正当なものではなかった。

 

「対策委員会?」

「正式名称はアビドス廃校対策委員会ですけどね。……ゲヘナで言うなら万魔殿」

「! それって」 

「気付きましたか?」

 

 分かりやすい例えにカヨコは即座に察した。

 この場に居るこのセレネは……アビドスの最上位組織の2番手であることを。流石に万魔殿を例えに出されれば、アルでさえも気付いた。

 

「さて。ゲヘナの風紀委員でしたっけ? アビドス自治区に何か御用ですか? 場合によっては……容赦しませんよ」

 

 武器を持ち、銃口を風紀委員の方に向けながらセレネは言い放った。

 

 

 

**********

 

 

 

「あれ? みんなそんな急いでどうしたの?」

 

 シロコ、ノノミ、セリカ、アヤネ、先生の5人が駆け足で目的地に向かおうとしたところで、ホシノが姿を現した。

 

「ホシノ先輩!? 今までどこに……いえ、それは今はいいわね。とりあえず、ホシノ先輩も一緒に来て欲しいの」

「?」

 

 セリカに言葉にホシノは頭にはてなを浮かばせる。とはいえ、普通ではない様子から何かあったことは容易に理解できた。

 

「ええと、細かく説明するのは後にしますが、実は柴関ラーメンの店舗近くで爆発を感知しました。3回です」

「それ、本当なの?」

 

 アヤネの説明にホシノが目を細めた。

 

「……それは穏やかじゃないね?」

 

 爆発が3回起きた。アビドスの治安が悪くなっていることはホシノも分かっているが、流石に感知するレベルの爆発が3回というのは普通ではなかった。

 

「柴関ラーメンは? 大将は?」

 

 柴関ラーメンと聞いて、柴大将のことをホシノは思い浮かべた。ホシノもそこそこ通っていることもあり、柴大将とは顔見知りであった。だからこそ、心配であった。

 

「いえ、柴関ラーメンの店舗自体に被害はありません。爆発した場所というのが上空なんです」

「! それって」

 

 ホシノはすぐに察する。それは少し前にも似たような光景があったからというのもあったし、この場にあの子が居ないというのもあった。

 

「まだ確かではありませんが……可能性は高いかと」

”ホシノ、どこ行ってたの? いや今はいいか”

「うへ、ごめんね。ちょっと用事があって。でも終わらせてきたから大丈夫。早速向かおう」

”そうだね、よし改めて出動だ!”

「はい!」

 

 ホシノが合流し、6人となった面々は先生の言葉に合わせて急いで柴関ラーメンのある場所へと向かうのだった。

 

 





やっとここまで来た……
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