アビドスと太陽を守りたい月 作:キヴォトス一般人
あ、ここすきとかお気に入りとか……色々といつもありがとうございます。感謝
――セレネちゃんはよく分からない。
というのはホシノの感想だった。いや、分からない訳ではないが、いまいち掴めない、と言った感じだった。1年の時、それこそユメが居たときからずっと一緒だった同級生。付き合いは長いけど、不思議な感じがしている。
前を歩くセレネをホシノは見つめる。
今も今までも、セレネはホシノのことを支えてくれていた。特にユメが行方不明になったときは、ホシノが情緒不安定だったがセレネは大丈夫、とずっと言い続けてくれていた。
ホシノにとってセレネの言葉は――気付いていないかもしれないが、ホシノの支えとなっていたのだ。単純な言葉、なのだと思う。それでも、その言葉にどれだけ救われたことか。
誰よりも……アビドスのことを考えて頑張ってくれていた同級生であり親友――少々照れくさいものの、ホシノはセレネのことはかなり信頼しているし、これからも一緒に頑張りたいとも思っている。
ホシノからすればセレネは無理しすぎることがあって心配になるのだが。昔よりはだいぶマシになっているのは本当だった。前にも話したかもしれないが、昔のセレネは色々と無理しすぎていた。
実際に倒れてしまったこともあったのだから。
セレネは……いつも忙しそうにしていて、学校に居ることの方が総合的に見ると少なかったりする。先生の介入もあり、借金問題がだいぶ楽になった今でも、セレネは頑張っている。
とはいえ、あの一件からは夜の仕事を減らしてくれたことはホシノからすれば嬉しいことだった。セレネと居られる時間が増えたというのもあるのだろう。
だからそんなセレネを見るとホシノももっと頑張らなくては、と感じている。自分なりには頑張っていると思っているが、セレネには到底敵わない。
「いたっ」
そんなことを考えながらホシノが歩いていると、何かにぶつかった。
「ホシノちゃん、大丈夫ですか。なんか考え事をしているようですけど」
「セレネちゃん……」
ぶつかった相手は、セレネであった。足を止めていたようでホシノはそれに気づかず、そのままセレネに追突してしまったようだった。
「セレネちゃんはいつも凄いなって思ってただけだよ」
「そうですかね? ホシノちゃんの方が凄いと思いますけど」
「んー……どうだろうね」
結局この話をすると平行線になるのでホシノは早めに切り上げる。
「所で私達はどこに行こうとしているの?」
今更ながらホシノは疑問を投げる。
一緒に出かけよう! といきなり言われたことに驚きつつ、気付けばホシノはセレネに連れられるがまま、移動をしているのだが。
セレネの後をつけて彼女の家まで行った理由は実のところ、そこまで深い意味はなかった。セレネの家に興味があったというのも嘘ではないが――
因みにセレネの家は思ったより大きかった。
一戸建ての2階建てであった。ホシノは最初はマンションやアパートのような部屋を想像していたのだが、そういうものではなく一軒家であった。
この間まではカイザーのものとなっていた土地だったが、対策委員会の権限で買い戻した為、この地区は再びアビドス自治区となった。先生の協力もあり、適正価格での取引であった。
家の中は、思った通りそこそこ広かった。所々に埃や汚れがあったものの、そこまで酷くはなかった。セレネも同じように思っていたらしい。
「この地区に昔からあるカフェですよ」
「え? カフェ?」
これまた予想外の答えにホシノはきょとんとする。
このアビドスに柴関ラーメン以外に営業しているカフェがあったとは知らなかった。柴関ラーメンはカフェではないが。
「はい。一時期はカイザーの土地になっていたので、営業休止していたのですが、今回買い戻したことで営業を再開したそうです」
「そうなんだ」
カイザーから立ち退き指示が出ていたため、カイザーが土地を所有していた時期の間は営業ができなかったのである。
「セレネちゃんは行ったことあるの?」
「昔、ですけどね。まだ高校に入る前に、結構行ってました」
「そうなんだ……」
アビドス高校に入った時期には既にアビドス自治区ではなくなっていた為、セレネが行くことはなかったが。当時のセレネは店を畳んでしまうんだなぁと思っており、まさかアビドス自治区ではなくなっていたからとは思っていなかった。
「本当ならユメ先輩とホシノちゃんと3人で行きたかったのですけどね」
「セレネちゃん……」
「こうしてホシノちゃんと行けるだけでもいいのかもしれませんね……」
この場にはいない1人に思いを馳せるセレネであった。
◇◇
「結構おしゃれだね」
「この機に内装も一新したようですよ。これについてはわたしも驚きました」
雰囲気は昔と似たようなものだったが、内装は昔とはだいぶ変わっていた。ただそれでも大きな違和感もなく、落ち着いた雰囲気の店内をセレネは見回した。
案内されたテーブルにホシノと共に向かい、向かい合う形で座る。
ホシノはちょっと慣れない雰囲気に少々困ったものの、セレネに手を引かれイスに座るとだいぶ落ち着いた。
「こういうところ入るの初めてだなあ」
「そうでしたっけ? あ、確かにそうかもしれませんね。そもそもアビドスにこういったカフェはなかったですし」
「うん。柴関ラーメンとはまた違うね」
「まあ、ここはカフェですからね」
「うへぇ。意外と人も居るんだね」
ホシノはそう言いながら店内を見回す。
思ったよりお客さんらしき姿があり、とても営業再開したばかりとは思えなかった。他校の生徒もちらほらを見かける。中には見慣れた制服もあった。
「あれってトリニティ……」
「柴関ラーメンと同じでここも知る人ぞ知るお店なんですよ」
「ほえぇ」
「それに比較的トリニティ自治区寄りなので」
「あ、確かに」
それなら納得、と言った顔をするホシノ。
「トリニティ自治区の中で営業しませんかっていう打診もあったそうです」
「そこまでなんだ」
「はい。でもアビドスでやりたいから、と断ったみたいですね」
「そっか……」
「だからホシノちゃん、アビドスに残りたいっていう一般人も結構居ることを忘れちゃだめですよ」
「そう、だね」
セレネの言葉にホシノは改めてそう言った一般人が居ることを再認識する。
柴関ラーメンだってアビドスでずっと営業しているのである。尤も――柴関ラーメンがある地区は元よりアビドス自治区ではあるが、それでも他に行くことはなく、アビドスでずっと営業しているのだ。
他にもホシノが自治区内を見回る過程で、ホシノ達に感謝している一般人が多くいる。何なら積極的に治安維持に協力までしてくれることもあるのだ。
「アビドスはまだ終わってませんよ。……きっといつかは昔のような屈指の学園に戻れるはずです」
「うん」
それがいつになるのか、それは分からないが……ホシノとセレネが卒業するまでには間に合うことはないだろうが、きっと復興できると信じている。
「夢はでっかく、ですね」
「うへぇ。そうだねえ。でっかすぎるくらいが一番だよ」
「あまりにもデカすぎるのはあれかもしれませんが」
お互いに苦笑いをする。
でも、アビドスが復興するという夢くらいは持ってもいいと思っている。むしろ、それが今やるべきことでもある。
生徒数が少ない――6人しか居ない現状でも、やれることはたくさんあるのだ。セレネとホシノの最後の1年ではあるが、この1年をどう使うかが大事だろう。
「ホシノちゃんはこの1年でどうしたいと思いますか」
「んー……やっぱり、生徒数を増やしたいね」
「確かに」
生徒数が増えればアビドスの復興も早まるはずだ。
「ちょくちょく買い戻しているところに戻ってきてくれている一般人はいますけど、生徒はまだですもんね」
「そうそう……転校しちゃった子とか、戻ってこないかな」
「転校先で楽しくやれていれば、それはそれでいいと思いますね」
「そうだね」
かつて転校した生徒達をセレネは思い返す。
そこまでの関わりはなかったものの、それでも多少は賑やかでもあった。彼女達が転校先で上手くやれていることを祈りつつ、セレネはオーダーをするのであった。
番外編ネタ(※参考までに)
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ifルート的な何か
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セレネ話
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ホシノとセレネの話
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過去の生徒会
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セレネとユメの話
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対策委員会とセレネ
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イチャつけ(誰とは言わない)