アビドスと太陽を守りたい月   作:キヴォトス一般人

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48話:これからもよろしく

 

「結構メニュー種類多いね」

「そうなんですよね。昔とあまり変わっていないようです」

 

 ホシノちゃんをとあるカフェに連れて行ったわたしは、メニューを見ながらそんなことを言うホシノちゃんに答えました。

 まだアビドス高校に入る前、それこそ生徒会だとかなんだとかよりも前の中学生の時に何度かここのカフェには来ていました。当時のわたしは土地がどうなっていたかなんて知る由もなかったですから。

 

 だから店を休業するということを聞いたわたしは残念だなって思いました。休業ということはいつかまた再開すると思っていましたからね。

 

「……じー」

「ど、どうしたのセレネちゃん」

「いえ、ホシノちゃんは相変わらず可愛いなと思いまして」

「! ねえ、それいつも思うんだけど無自覚なの?」

「何のことですか? それよりも頼んだものが来たようですよ」

「はぁ……そうだね」

 

 ホシノちゃんが可愛いのは昔からですからね。可愛いと言っても問題ないはずです。

 テーブルに置かれたパフェが2つ分、流石に大きすぎるのはきついので、小さめのものを選んでます。ホシノちゃんは同じものを頼んだようですね。

 

「ホシノちゃんもパフェって食べるんですねえ」

「おじさんも甘いものを食べたい時くらいはあるよー」

「甘いものは脳を回転させるらしいですからね」

「そういうのじゃないんだけどね」

「……まあそうですね。アビドスではこういうお店はなかったですし」

「うん……」

 

 残っていたアビドスの土地内で営業しているカフェのようなものは存在しませんでした。もしかしたらこっそりやっていた場所もあったかもしれませんが、少なくともわたしはここくらいしか知りませんでしたね。

 あとは甘いものではないですけど、柴関ラーメンとか、エンジェル24とかくらいですからね。昔はもっと色々とあったのですが……。

 

「でもここを買い戻しましたから。ここは再びアビドス自治区になりました。これでいつでも行けるようになりましたね」

「そ、そうだね」

 

 流石に毎日のように行く訳には行かないですが、息抜きがてらに行くのはいいかもしれませんね。あとでノノミちゃん達にも教えてあげましょうか。とはいえ、ノノミちゃんであれば既に知ってそうな気がしますけど。

 

「カフェラテも美味しいです」

「……セレネちゃんって砂糖とか何も入れないんだね」

「甘いのものは嫌いではないのですが、そんないつも口にしたいかと言えば否、ですかね。わたしはどちらかというと苦い方が好きです。まあ苦すぎるのは駄目ですが……カフェラテとかカフェオレとかであれば、ミルクが入っていますから基本的には何も入れませんね」

「そっかー」

「それにこういった甘いものを食べるときは苦い方がいいですし」

「確かにそれはあるかも?」

 

 甘いものを食べている時点で口の中は甘いですからね。こういうパフェとかケーキとかにはコーヒーとかカフェラテとかオレとか……合いますよね。わたしは好きですよ。

 

 まあ、入れて飲むときもあると言えばあるのですが……そこは何というか、気分でしょうかね。

 

 そんなこんな雑談しながらも、わたしとホシノちゃんはゆっくりとした時間を過ごしたのでした。

 

 

 

 

 

■■■

 

 

 

 

 

 セレネとカフェで過ごしたホシノは再びセレネと共にアビドス内を歩いていた。

 

「……」

「どうかしました? ホシノちゃん」

「うん? いや……セレネちゃんこんなにのんびりとした時間を過ごすのは久しぶりだなぁって思って」

「確かにそうかもしれませんね」

 

 ここ最近は色々とあったのもあり、ドタバタしていたが、アビドスは今平穏を取り戻していた。

 悪くなった治安は簡単には戻らないものの、それでも今居る6人と先生の合わせて7人で何とか今の状態は維持していた。

 

「……」

 

 そんなことを思いながらセレネは足を止めて遠くを見つめる。

 

「セレネちゃん?」

 

 それに気づいたホシノはセレネに声をかける。

 

「あ、すみません。ちょっと昔のことをまた思い出しまして」

「昔?」

「はい。昔、まだ生徒会だった頃……それこそホシノちゃんがまだいなかった時期なんですけどね」

「だいぶ初期の方だね」

「既にその時から治安の悪化は始まっていたのですが……」

「それは聞いたことある」

 

 まだホシノが居ない、ユメとセレネの2人だけだった時のアビドス生徒会時代、セレネは治安を何とかしたかったのもあり、徹夜したりして不良達の対応をしていた。

 そのことでユメに心配されたことも何度かあるが、セレネは守る為ということで続けていたのだが。

 

「徹夜までして毎日のようにしてたのは普通じゃないよ……セレネちゃん」

「ホシノちゃんにも言われちゃいましたね」

 

 その話をすれば何とも言えない顔でホシノはセレネに返した。

 その返しに苦笑いしながらセレネが答える。今思えば、確かに無理しすぎていたかもしれない、と思った。

 

「睡眠不足で倒れたこともありましたね……そのあと、すぐにユメ先輩に外出禁止令を出されてしまいました」

 

 あはは、と笑いながら話すセレネをホシノは見る。

 

「それはユメ先輩が正しいと思うよ。というか、私でもそうするよ」

 

 少しだけ呆れた顔でホシノは言った。

 昔からセレネは変わってないんだなぁ、とホシノは思ったのだった。

 

「あはは……」

「笑い事じゃないよ……今そんなことしたら怒るからね?」

「大丈夫ですよ」

「本当かなぁ……」

 

 ホシノはセレネのことが心配である。

 それは今も昔も変わっていない。気を抜けば無理しそうなセレネなので、ホシノは他のアビドスのメンバーにも見てもらうようにこっそり頼んでいる。とはいえ、既にセレネは知っているのだが――

 

 

「セレネちゃんは休むことを考えるべきだよー」

「ちゃんと休んでますよ」

「今は、でしょ」

 

 ホシノは昔のことを思い出しながらそう言った。

 今でも油断は出来ないが、昔よりはだいぶマシになっていることにホシノは実のところ安堵していた。それでも現状、セレネの負担が若干大きいのは変わっていないのだが。

 

「本当にさ、心配なんだから」

「ホシノちゃん……」

 

 真面目な顔で真剣にセレネを見る。

 セレネはそんなホシノの様子を見て何も言えなかった。

 

(……嬉しいことですね)

 

 ここまで心配してくれているホシノに対してセレネはそう思った。

 

「セレネちゃんはアビドスを守る義務があるって言ってたけど、それは私も同じなんだからさ、ね?」

「そう、ですね……」

 

 目の前のホシノを見るセレネ。

 そうである。セレネだけがその義務がある訳ではなく、むしろそれはホシノが持つべき義務でもあるのだ。対策委員会の委員長であるのだから。

 

「何か面と向かって言われると照れますね」

「うへ、茶化さない」

「はい」

 

 セレネがホシノ達を守るならホシノはセレネ達を守る、ただそれだけであった。

 アビドス高等学校の3年生――つまり、2人は最年長であるのだから。どちらかだけがやるのではなく、どっちもやる、それが正しいとホシノは思っている。

 

「セレネちゃんは副委員長としてよくやってくれてるよ……本当に、ありがとね」

「……ホシノちゃん」

 

 これはホシノの本音であった。

 1年の時からずっと一緒に居てくれたセレネに対するホシノにとっての最大限の言葉だった。

 

「わたしもホシノちゃんには迷惑かけっぱなしですね。本当に……ありがとうございます」

 

 ホシノの本音にセレネも本音で返し、感謝の言葉を口にする。

 セレネ自身もホシノに助けられている時もあるし、色々と心配かけてしまっている自覚はあった。だからこそのお礼でもあった。セレネもホシノには感謝しているのである。

 

「あ互い様だね」

「そうですね」

 

 そう言って2人は笑った。

 

「これからもよろしく」

「もちろんですよ、こちらこそ」

 

 そう言って再び2人は笑い合ったのだった。

 

 

 

 

 卒業するその時まで。2人はアビドスを守る。――これは1年の時から2人で交わした、

 

 

 

  ――約束

 

なのだから。

 

 

 

 

 




もっと色々書きたい(書けない)

番外編ネタ(※参考までに)

  • ifルート的な何か
  • セレネ話
  • ホシノとセレネの話
  • 過去の生徒会
  • セレネとユメの話
  • 対策委員会とセレネ
  • イチャつけ(誰とは言わない)
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