アビドスと太陽を守りたい月 作:キヴォトス一般人
いつもありがとうございます。
感想もありがとうございます! 基本的には全て目を通すつもりですが返信は遅れたりするかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
コメント感覚でも大歓迎です!
「うへへ……」
「ホシノちゃん楽しそうですね」
そんなに楽しめたのであれば、もらっておいてよかったと思います。
ホシノちゃんとはアクアリウムの様々なコーナーに一緒に行きました。サメの水槽やお魚さんへの餌やり、タイミングよく始まっていたイルカのショー等など。
「それにしてもペンギンも居るんですねえ」
「あそこは結構寒かったね」
「ですね。アビドスにあんな場所があるとは……いえアクアリウムなのですけどね」
ペンギンコーナーまで存在していたことにわたしは驚きました。何でしょう、アクアリウムに来てから驚いてばかりですね。
ホシノちゃんも何かテンション高かったですし、結構連れ回されました。嫌ではないですけどね。ホシノちゃんとこうして出掛けられるのは嬉しいですから。
「シャチ、かわいかったですね」
「セレネちゃんはシャチが好きになったのー?」
「そうですね……実際見たら好きになったかもしれません」
「おー」
元より特別な感情とかは持っていませんでしたけど、実際にこうしてみたり触れ合うと人って変わるものですね。はしゃぐホシノちゃんも可愛かったですけど。
「流石に全部は回りきれませんでしたねー」
「うへぇそうだね……本当に色々あるから時間を忘れちゃったよ」
「はしゃぐホシノちゃん可愛かったですよ」
「うへっ……セレネちゃんって、たらしなの?」
「え?」
「たらしの言動だよ~。 おじさんを口説いても何も出ないよー」
「いえ、出ますよ? かわいいホシノちゃんが」
「だからそれは……もういいや」
思ったよりこのアクアリウムは広くて1日で回りきれる範囲ではありませんでしたね。ちょっと残念かもしれません。
また来れたらホシノちゃんと一緒に来たいですね……チケットって普通に買えるのでしょうか? いえ、買えますよね。買えなかったら意味がないでしょうし。
わたしとしてはシャチを見れてので大変満足です。他の魚とかもそうですけど、こういう場所のお魚さん達は人懐っこいですよね。
シャチもかなり大きいですし、何なら前にも言いましたけど食物連鎖の上位というか海なら頂点に君臨する存在ですけど、かなり人懐っこかったです。
「ちょっと残念だな~」
「アクアリウムですか?」
「うん。回り切れなかったから」
「それは仕方がないですよ。ここまで広いとはわたしも予想外でした」
予想外です。
アクアリウムってこの広さが普通なのでしょうか? 他の学園の自治区にもこういったのがあったりするのでしょうかね?
ちょっとだけ興味がわきましたし、時間がある時にでも簡単に調べてみましょうか。とはいえ、仮にあったとして、そこに行けるかどうかは現状怪しいですけどね。
「そんな顔しないでください。また来ましょうね、ホシノちゃん」
「……いいの?」
「こういった息抜きは時々必要ですしね」
今回はたまたま依頼でもらいましたけど、次行く場合はチケットを買いましょうかね?
「それからホシノちゃんにプレゼントです」
「へ?」
基本的にホシノちゃんと一緒に行動していましたが、一時期離席したときがあります。そのときに買ったものだったりしますが、ホシノちゃんは喜んでくれますかね?
「これって……クジラのキーホルダー?」
「はい。ちょうどいいサイズのものが売っていたので買ってきました。わたしとお揃いです」
既にカバンに付けているキーホルダーをホシノちゃんに見せます。
「さあさあ遠慮せずに」
「うへ……うん、ありがとうね」
「また一緒に来れたら全部回りましょう」
「うん!」
少しだけ名残惜しいですが、本日はこれで終わりですね……既に日が沈みかけていますから。とはいえ、学校で寝泊まりしているんですけどね。
そんなこんなで、わたしとホシノちゃんは帰路につくのでした。
**********
「今日はありがとう、セレネちゃん」
「いえいえ、わたしも楽しめましたし、いつも以上にテンションが高かったホシノちゃんも堪能出来ましたので満足です」
「うへ……それは忘れて欲しいなって」
とても恥ずかしい。
普段は落ち着いていると思っているが、今日ばかりはホシノははしゃいでしまった。今更ながホシノが思い返すと、恥ずかしいという言葉しか出てこなかった。
(でも楽しかった)
誰にも言っていないことではあるが、ホシノは魚についてはかなり好きであった。今までの疲れもあったと思うが、ついついアクアリウムと聞いてテンションが上がってしまったのは本当のことだ。
セレネを連れ回してしまったが、当の本人はそんなホシノの姿が可愛いだとか言ってくるが……。
(無自覚なのかなあ……)
時々言ってくる言動はホシノとしても心臓に悪い。
本人は特に気にせずに言っていることから恐らくは無自覚なんだろうな、とホシノは結論付ける。
「このクジラのキーホルダー、光るんですよ」
「え、そうなの?」
「ここに小さなボタンがあるんだけどね、これを押すと」
「おー」
セレネがキーホルダーにあるボタンを押すと、セレネの持っているバッグに付いていたキーホルダーが青く光りだす。
ホシノもそれに倣ってセレネからもらったお揃いのキーホルダーのボタンを押すと同じように、キーホルダーが光り出した。
「これで夜道も安心ですね」
「いや、むしろ居場所を教えている気がするんだけどね」
「あ、確かに」
そんなセレネの話にホシノは苦笑いする。
(……)
そんなやり取りをしている中、ホシノは考える。
思い浮かぶのは不気味さを出している謎の男のこと。彼は自分のことを黒服と言っていたが、ホシノはそんな大人に取引を持ち掛けられていた。
セレネには心配をかけたくないし、巻き込みたくないという考えからセレネには秘密にしているのだが、時々見せるセレネの視線や表情を見ると全てを見透かされているかのように感じられていた。
セレネが鋭いのは前々から分かっていたことだが、もしかすると黒服と会っていたこと、取引を持ち掛けられていること、全てバレているのかもしれない。
「また明日からは仕事に追われそうですねえ」
「仕方がないよー」
ホシノはセレネの声で黒服のことを考えるのをやめ、意識を戻す。
実のところ、セレネと一緒に出掛けられたことはホシノにとっても嬉しいことだった。行き先がアクアリウムというのも重なって今まで以上にテンションが上がってしまったのだ。
「セレネちゃんはちょっと私のこと幻滅した?」
「え? 何でですか?」
「えっと……今日はちょっと舞い上がっちゃって、セレネちゃんを連れ回しちゃったから」
「気にしてないですよ。むしろ、ホシノちゃんが楽しそうでわたしも嬉しかったです」
「そ、そうなんだ」
「はい」
「……無自覚だよね」
「何がですか?」
「何でもない~」
「そうですか?」
やはり無自覚である、とホシノは改めて理解する。
「まあセレネちゃんだもんねえ」
「?」
「こっちの話」
前々からセレネはこういった子である。
でも、そんなセレネが居るからまだ頑張れる、そうホシノは思う。厳しい状態は続くかもしれないが、それでもまだ諦めるには早い。
「じゃ、帰ろうかー」
「そうですねー」
もう夜が来ている。
そんな会話をしながらホシノとセレネは校舎の方へ、足を進めるのであった。
ホシノ可愛い(異論は認めるけど認めない)