この世界のダークヒーローになる予定だった。 作:可哀想は可愛い
……なぁ?
思った事は無いか?
異世界に行ったから、転生したから、現代知識があるから、原作知識があるから……
そんな理由でだ…現実で何者にもなれなかった人間が。
何者かに大成できると本気で思えるのかと。
例えば、魔法。
異世界に置いて、定番物だ。
そんな物を、たまたま小さい頃から見たから…とか。
イメージが出来るから…とか?
そんなちゃちな考え方で。
そんな誰でも出来るようなやり方で。
ホントにソイツが大成できる訳が無い。
では問題……
『人が文字通り変わるには何が必要だと思う?』
数多の天才でさえも屈服させるほどの知力?化け物並みのスペック?
答えは『否』だ。
……人間を変えるには………
《死にも見紛う程の経験、もしくは深い絶望》
若い頃の苦労は買ってでもしろ…だったか?
まぁ、そんなもんなんだ。
______________________________人生なんて
◆
はてさて。
今日は休みだ…何故か、凄く久しぶりの休みな気もする…
ナンデナンダロウネ、昨日一日が濃すぎたかもしれない…
そう考えていたら…
「ユイ様?」
「ヒャイ!?…ビックリした…なんだよルカ。あんまり脅かすなよ…」
「おっと…それは失礼しました。」
紹介したっけな?まぁいい、彼女の…いや、このアンドロイドの名前は天音ルカ(あまね るか)。
機体識別番号ALー3S βとして生を受けている。*1
まぁ要は体のいい召使い、家事をしてくれるロボット的な存在だ。
いやぁ…これを作るのにどれだけ手間暇かけたか…
まずはこの髪、この髪は全て一本一本がやわらかめだが、ちぎれたりしたい様な金属で出来てて。
皮膚はナノマテリアルで作られてて自動修復機能まで搭載した!
パーツの筋肉はポリマー筋肉、フル稼働できるように内側には核融合バッテリー、もし爆発しても内側だから殆ど外傷はなし!俺の心には深刻なダメージが来るけど……
ミレニアムでも殆ど使わない様な最高級な代物がふんだんに使われてる。
これを盗まれたり壊されただけで…セミナーの会長の横領が霞むぐらいの金がドブに消えることになるだろう。
自己学習型の人工知能…それによって感情を付けるくらいには頑張った。
「いや〜…思い出すと懐かしいなぁ。」
「???」
「ごめん、こっちの話。」
どちらかと言えば初期の方のケイ位の感情しかないけど……
「……果たして何時になったら完成させてあげられるかな…」
「…まぁユイ様が変なのはいつもの事か…」
「オイ!」
「そんな事はどうでもいいのですが…そろそろお時間ですよ?」
「ファッ!?用意の時間とかもあるのに!もっと早く教えてよ!」
「ご用意はこちらに。」
「わぁーゆーしゅうー……」
「フッ」
「鼻で笑われた!?…今日は着いてきてもらっていい?」
「私は寝っ転がってコーラを飲みながらポテチを食べる最重要任務があるのですが?」
「おっけー暇なんだね。なら着いてきてね。」
「拒否権の行使を要請します」
「却下。youに拒否権などない!!」*2
「パワハラで訴えますよ?」
「……やめたまへ…」
こういうとこが憎めないとこよな?知らんけど。しらんのかーい
◆
この辺りだったっけ?わがんね
「ねぇ、ルカ…?この辺だったよね?」
「そのハズです。」
俺がわざわざ変装をしてまでどこに行ってるのかって?……それは…
「いやぁ〜ひっさしぶりだぁ!」
ココはゲヘナです。
え?何でわざわざ無法者の集ま…ゲフンゲフン、ゲヘナなんかにって?
それはもちろん…
「おかわり!!」
「あぁ、はい!少し待ってくださいね!」
シーンと静まり返っているゲヘナの第8学生食堂。
なんでだろーね?俺が入るまでは静かだったのにねぇ?
……ザワザワと聞こえる声に耳をすましてみましょうか?
“おい…アイツだよな?”
“そう…『学食の番人』だ…”
“おいおい…前にココで武器出したヤツ半殺しにしてたやつじゃねぇ?アイツその後学食来てるのみてないぞ?。”
“……これは逆らったら何されるかわかんねぇぞ…”
“アイツ舞瑠破藍意からお叱りくらったらしいぞ?”
“まじか…ホントに何者なんだ!?”
……なんで?…規律悪すぎだろ、風紀を整えてやっただけなんだが?
「はい!おかわりです!」
「おっ、ありがとうフウカたん!」
「そのフウカたんって何なんですか…?」
「いやぁ…フウカたんはフウカたんだから……」
とても不思議な事を言われた、フウカたんはフウカたん何だから仕方ないよねぇ…
態々こんな所に栄養を取りに来てるのはなんでかって?
メイド件お手伝いのルカにでも作らせればって?
ハッ!わかってねぇなぁ!!
可愛い可愛いフウカたんが作る料理を食べたいに決まってんだろぉ?
ブルーアーカイブをプレイしている先生たちなら皆が皆考える事の一つ。
フウカたんの手作り弁当or料理。
それを食べる事だろ?
……にしても
「フウカたん!今日の料理もキレッキレだね!最高に美味ってやつよ!」
「え?えぇ。ありがとう…ございます?」
「俺はそう思うんだけど、ここに居る人はどう思ってるんだろうなぁ!気になるなぁ!聞いてみようかなぁ!」
……少しおふざけしてみようかな?乗ってくれるかな?
「「「……し…」」」
「「「今日も一段と美味しいなぁ!」」」
「「「ホントに作ってくれてありがたいなぁ!」」」
「うんうん、皆そう感じてるんだな、感謝はとても良い事だと。ワイトは思います。」
「え、えぇ…何が起きてるんですか?」
「何が起きてるんだろうね?私にもわかんない。」
それはホントにそう、なんでそんなこと言われてんのかもわかんないッピ。
「ねぇ、フウカたん!」
「は…はい?」
「私の専属料理人にならない?」
「え?」
「お金は用意するからさぁ〜、ねぇ〜おねがーい。」
「いやちょっとキツイです。」
「そか。ちょっと泣こうかな。」
「え?何なんですか?」
「じゃあこれあげる!栄養満載の総合ビタミンゼリーと裁縫セット。」
喜ぶかどうかは運です。確か贈り物で正月の時に最高の反応的なやつだったはず。
俺は内心ビクつきながら彼女の表情を見ると…みるみるうちに…
「わぁぁぁ!これすごく欲しかったんです!ずっと気になってて!私のお小遣いからじゃ買えなかったんですけど…どんな味なのかなって!これくれるんですか?ホントに?ホントのホントに?」
クリスマスプレゼントを初めて貰った時の子供みたいに笑顔になっていた。
「うん、上げるよ。その代わり!今度来た時もご飯作ってねぇ」
「それは仕事なので別なんですけど…まぁいいです!ほんとに嬉しいです!」
「かわいい。」
「ふぇっ?」
え?可愛いがすぎるだろ…何かしらの罪に該当するだろ…
そもそもさぁ、可愛いが可愛い行動するから可愛いの権化なんだよなぁ……
「ユイ様?帰っていいですか?」
「ちょっとまてぇ!」
「あっ、コチラ先程の人がデザートにと。」
「えっ?まじぃ?」
うれしいかな…そうだ!折角だからね
「プリンとか?あー」
「???」
「食べさせてモロテ」
ふっ、いつも通りなら叩いて自分で食えって言うかもしれんけどとりあえず言うだけ言うわ
「アーン」
「あれ?素直って…」
口に含んだ瞬間、香ってくる謎の匂い。
食感も新感覚。プリンのように柔らかいのかと思えばゼリーのように弾力もある。
噛んだ時にふと感じるほろ苦さに……
「これなんだよ…プリンなのか!?なんで口に入れた瞬間、甘みが絶望に変わるんだよ……!?苦ぇのか酸っぱいのかすら判断できねぇ……舌が、舌が麻痺して……ッ……ぐっ……」
「わーあぁ!?出しちゃったんですか!?お礼に!?」
遠く?近く?で叫ぶフウカの声を聞いて…
ニヤリとするルカを横目に見て……
「…謀ったな…!」
これはフウカの料理でなく、ジュリの料理だと確信したと同時に……
______________________________意識を失った
◆
やった…やってしまった。
私は今。
ゲヘナの外庭を走って、少しでも遠くに逃げている。
私はアンドロイド。
天音ルカの名を授かったこのキヴォトスの英知の結晶と言ってもいい。
最高傑作。
それが意味する通りにことキヴォトスにおいてはハイスペック…いやオーバースペックの性能を持っている。
分かりやすく言うなら?…
……そうですね…
『コンディションのいい時の風紀委員長』と、丸一日戦い続けても逃げ切れるレベル。
ブチ切れた
並の不良集団くらいなら秒で制圧できるレベル……
これぐらいでいいのかな?
まぁ信じてくれって言ってるわけじゃないんだけどね。
そんな事は兎も角。
私は人工知能とはいえ、女子高生としての思考がある。
そしてその知識もある。
つまり?私も女子高生みたいにデザート食べ歩きしたり友達が欲しい!
でも、そんなこと出来るわけないんだ。なんでかって?
私は女子高生ではなくアンドロイドの天音ルカ。
ユイ様が休みの日に外に行く以外はスケジュールを言って、家の用事をして。
まるで家政婦のような一日なんだ。
「私を大切にしないご主人様なんて要らない!」
…働き詰めとか…そんなの耐えられるわけがない!って事で今これね?
「ふっふっふ…甘い…甘過ぎますよユイ様!」
しょっちゅう聞いていた、給食部のフウカともう一人の生徒ジュリの存在を。
…生命を作り出せる…実質邪神…メシマズの次元を超えている…とか。
確かに?私が渡したプリン?ゼリー?……何だったんだろう。
アレもなんか目と口がある様に見えたけどね?うにょうにょしてて食べさせるのに躊躇したくらいだからね。
でも…そのお陰で。
「自由…自由だ。」
感動。
これもプログラムされた行動の一つなのかもしれない。
だが、私は確かに今感動しているのだ。
「ふっ、じゃあとりあえず…くれーぷ?という物を食べに行きましょうか!」
_______________風紀委員招集まで…30分前。
◆
「ハッ!?」
……目を覚ました。
「知らない天井だ。」
ここは何処だろうか…眠る前に何をしていたのか口に出して整理してみる。
「ゲヘナ…だよな?給食を食べに行って…まるで致死量の毒盛り合わせゼリーみたいなのを食べて……そこから記憶が無い。」
そもそもここはどこなのだろうか?
辺りを見渡してみると、どうやら医務室の様に見える…
まぁ状況から察して……
「キヴォトス人の身体で食べ物一つで倒れるマジカァ…」
あれを食べたあとの記憶もないし、メイドのニヤケ面が俺の脳裏にフラッシュバックしてくる。
ちょっと…いやだいぶムカつく。
……てかどうしようかな?
こういうのってさ、勝手に動いちゃいけないタイプのやつ?
「…暇だな…帰ろうかな…」
するとドアが一人でに開き出した。
「おや、お目覚めですか?」
……不味い…ゲヘナの死体運びが来やがった…
「…おは…よう?ございます。私は大丈夫なんですかね?」
「えぇ、まさか食中毒で運ばれて来るとは思いもよりませんでしたが。」
食中毒……まじ?
「…え?何食わされたの?怖……」
「……意識もハッキリしていそうですね…少し失礼します…脈も正常…大丈夫そうですね。」
「え?脈が正常じゃなかった時があったってこと!?そんな事ある!?」
食べ物たべただけで気絶and脈不全マジか……ジュリ…それは神秘じゃなくて呪いだろ……*3
「こちらをどうぞ。」
「…これは?」
「見ての通り水です。喉が渇いてるでしょう?」
「あざまる水産。」
「なんと?」
「ありがとうございます。」
ネタが通じない?!ココはキヴォトスってはっきりわかんですね。*4
「あの…ここは?」
「只の医務室ですが?」
「貴方は…氷室セナさんですよね?」
「あぁ、自己紹介がまだでしたね…救急医学部、部長の氷室セナです。」
「クールだなぁ…」
ボソッと口に出してしまう…まぁしょうが無いよね。
「一体なんのこ______」
\\\ドカーン*5////
…?
何処か遠いところから謎の爆音が聞こえてきた?
いやまぁゲヘナだしな。そんな事もあるか。
ナワケナイヤロ
「え?え?今の音なんですか?コレが普通?そんな事ないよね?ね?」
そう話していたら……
「おや?連絡が…はい……はい。分かりました。」
「……どうしたんですか?」
「どうやら一人の生徒?が暴れている様で、死た…負傷者が多数出ているそうです。」
「一人の生徒が?そりゃ凄いですねぇ…風紀委員会は何してるんですかね?」
「メイド服をした生徒がいま風紀委員長が向かっているそうです。見た事の無い生徒なので、他学区からの攻撃の可能性もあるそうです。」
……メイド…服?
C&Cの事か?…でもそんなことする必要ないよな?……いや、まさかまさかだろ?……そんな訳ないと俺は信じたいんだが…
「……ついて行っても良いですか?」
「いえ、まだ安静にしといた方が良いと思われますが。」
「じゃあお手伝いについて行きますね。」
「……お好きにどうぞ。」
風紀委員会に手伝って反省させてやらないとなぁ!?
「じゃあそゆことで行きましょ〜!」
……杞憂だったらいいなぁ。
ルカじゃなかったらいいと思っている自分が居るんだよね。
だってさ?あの子相当強いよ?…痛いのはやだなぁ……
◆
マズイ…
私は焦っていた。
そもそも、ここまで大騒ぎする予定はなかった。
私の目の前には、ゲヘナ最強と言われる風紀委員長の姿が見える。
「……あー、めんどくさい。」
気怠げに、そう口を零す彼女。
「ねぇ?今のうちに謝るなら…まぁ、軽めに反省文5枚で許してあげるわよ?」
「随分と舐められたものですね?私はお掃除をしていたに過ぎないのですよ?」
「……そう。」
「あらあら。言葉だけで止められるとでも思ったのですか?そんな脅し、キヴォトスじゃ日常ですけれど?」
言葉で動揺を強いてみるが、変わることはなかった。
風紀委員長、ゲヘナ最強の生徒。
空崎ヒナ……力の差は歴然。
逃げる事なら出来るだろう…丸一日戦って相手を消耗させれば、という前提が必要になるが。
そんな事をしていたら増援が駆け付けてくるに決まってる…
「あれだけ大口を叩いていたのに何もしてこないのね?」
「…いえいえ?少し考え事をしていました。」
「あらそう?ならこちらから行くわ。」
彼女は軽いとは到底思えないマシンガン軽々と持ち上げて、私に向けて乱射してくる。
「ッ……!?」
付近にあるものを遮蔽物として、私は素早く後ろに離れた。
「どこを見ているの?」
「何を……!?」
私が補足していた先は砂埃が立ち籠っており。
空崎ヒナの声は後ろから聞こえて来ていた。
「……早すぎませんかね?」
「だから言ったでしょ?今謝るなら軽くして上げると。」
彼女はこちらに銃を構えていた。
「……まだやる?」
彼女は挑発的にも撮れる様な言動で、私に話しかけてくる。
……やってやろうじゃんか。
「えぇ…」
軽く跳躍して、体制を整える…付近の地形、障害物になりそうな物を一目に見てインプットした。
私は手に持っていたアサルトライフルを背中に仕舞い、ショットガンを取り出し、空いた片手を手持ちのバックに手を伸ばした。
そうして、スモークグレネード、閃光弾、EMP手榴弾を投げ込んで…相手の視界外に逃げ込んだ。
私の目は特殊性で、スモーク状態でもくっきりと相手を視認することが出来る。
「……一体何を_______」
「真っ向では勝てなそうですからね。」
まぁ?彼女は精々目くらまし程度の物だと考えているだろう。
下手に動くと危険……とでも考えているのだろうか?それはいい、それはそれで好都合。
彼女にとっては見えないのかもしれないが、私にとっては見えずらい程度。
追加で催涙ガス手榴弾とデコイグレネードを投げて風紀委員長の聴覚とを無力化しに行った。
相手に少しでもデバフを与えに行く事が…私にとっての最善策だ…
太腿に隠してある投げナイフを投げ込んでみる。
「危ッ……!?」
彼女の脚を掠めたが、薄皮が一枚剥がれた程度…殆ど無傷の様なものか…やはり効かない。
「…銃ですかね。」
相手はいつ飛んでくるか分からない刃物に気を取られていたのだろうか?
彼女は冷静に飛んできた方向に意識を向けて銃を構えていた。
この視界の中、視覚はもはや言う事を聞かない…先程デコイグレネードを投げたせいで、周りの音にも気づけないだろう。
気の逸れた相手の頭に…RPGを撃ち放つ。
「ヘッドショット。」
すぐさま追い討ちするために、ショットガンに持ち替え二、三発叩き込んで後ろに離れる。
まるで逃がす事は無いと言うのか、それとも風紀委員長と私の争いをまるでゲームの様に楽しんでいるのかは分からない……が。
風紀委員長のこと、それと私の動向に完全に意識が集中しているようで…逃げる隙はない。
かくゆう私も風紀委員長の事で意識が集中していた。
…少しずつ…霧が晴れてきた。
周りの生徒は見えていなかったのだろうが、私には見えていた……
……そして周りの生徒達も、煙が完全に晴れたことによって風紀委員長の姿が見えるようになる。
姿を現した風紀委員長の姿は…まさに…
______________________高すぎる壁。
何の攻撃も食らっていなかったと言わんばかりに立ち尽くしていた。
「……あら?もう終わり?」
彼女の声には、まるで圧倒的強者の余裕を感じさせた。
獅子は兎を狩るのにも全力を尽くすとよく言うが、私はウサギではありませんので()
視線を向けた瞬間、全身が凍りついたように動きを止めようとする。
周囲の空気が張り詰め、重苦しい沈黙が場を支配し、何かが迫る予感がする…かと思わせるほどの威圧感を感じた。
「でも、予想以上ね……その減らず口を叩くだけの力はあるようだけれど……」
「お褒めに預かり光栄ですね。」
言葉を遮られ、少し苛立ったからかどうかは分からないけれど…
小さく冷笑して彼女はそう言った。
「……覚悟しなさい。」
ココからは、本気で行く。
そんな顔を垣間見えた気がした…私はより一層の気合いを込めて、そう返答してやった。
「……お手柔らかに。」
決して陰キャです。
よ く わかったな?