ペルソナのニャルをコズミックホラーと誤解した男   作:清流

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覚醒してしまった二人

 中学三年も、すでに6月に入っていた。思えば、今年はイベント盛り沢山である。

 まずは、白狐への挑戦である『最終修練の行』。守護者連中に凄い目で見られたのは、なんとも言えない気分だったな。まあ、みこの親父さんが、とうとう俺達のやり方を知って、卒倒して白目剥いてえらい騒ぎになった方が記憶に新しいけど。

 お次は、二人の後輩をきっかけでのクズノハとの邂逅。あの時は一応友好的に終わらせたな、後輩二人も守り切れたし、よしと思ったもんだが、ニャルの魔人というアナライズ偽装を知って、やっぱり、駄目かもしれんと思わされたこと。

 そして、クズノハからの指名依頼。あれは御老人の暴走だったようだが、結果良ければ全てよし。棚ぼたでオリジナルの悪魔召喚プログラムを入手し、高位悪魔、神と称される者の戦いを経験できたのは、何よりの収穫だった。

 続いてきたるは、クズノハからの事情説明と報酬交渉。重鎮クラスが二人も来るとか何事かと思ったが、あちらが誠実だったのと腹を割って話してくれたおかげで、こちらも名前と正体を使った賭けに出られた。その甲斐あって、得られたリターンは最大といっていいだろう。

 最後は、みこと恋人関係になったこと。デート自体は色々邪魔が入ったが、お互いの想いが結実したのは喜ぶべきことだろう。彼女と恋人同士になれたのは、悔しいがニャルの野郎の余計なお世話のお陰だ。もし、記憶を保持したままなら、絶対に距離をおいたはずなので、恋人どころか友人関係も怪しいところだったであろうから。親父さんにも報告したし喜んでくれたが、責任はとれよと凄い目力だった。

 

 (それで学校生活は順風満帆といけたら良かったんだが……。)

 

 視線の先で、陸上部が大騒ぎしているのが分かる。なんでも、二年の女子部員が男顔負けの凄い記録を出したというのだ。渦中の少女は逃げ出してしまったらしく、顧問も巻き込んで全国を狙える器だとか、大騒ぎである。

 

 「元々有望な選手ではあったようだが、これは恐らく、もしかしなくても覚醒だな」

 

 急激な身体能力の変化、恐らく悪魔との邂逅で死にかけたことによる覚醒。それによって活性化された生体マグネタイトが肉体に完全に馴染むのに時間がかかったのだろう。陸上部で覚醒しそうな娘とくれば、俺には思い当たる節は一つしかない。先の特異固体のバフォメットから守った二人の後輩の片割れ――飯島美雪。

 

 (あちゃあ、覚醒しちゃったか。確かに邪神だろうが神に分類される悪魔に邂逅して、死にかけたんだ。素質があれば、覚醒しない方がおかしいか。こうなると、南里愛も怪しいな。調べてみる必要があるかもしれないな)

 

 「あら、徹君。一人だなんて、珍しいね」

 

 そう、後ろから声をかけてきたのは、結城瑞穂。みこ、健太郎同様、幼い頃から付き合いのある幼馴染みだった。才色兼備の才媛で、文武両道を地で行く優等生だ。多少疎遠になったし昔ほど気易くはないが、彼女とは会えば話し込むくらいはする程度の仲だ。

 

 「瑞穂さん、別に俺もいつもみこと一緒にいるわけじゃないよ」

 

 「そうかな?でも、殆ど一緒にいるでしょ?」

 

 まあ、みこと行動を共にするのはかなり多い。その方が何かと都合がいいのもあるし、互いに苦にならないからだ。

 

 「否定はしづらいな。でも、まあ、こんなこともたまにはあるのさ」

 

 今日みこがいないのは、母方の親戚の集まりに呼ばれているからだ。恋人で身内同然に扱われているとは言え、流石に呼ばれてもいないのにそこに乗り込んでいくわけにはいかない。

 

 「ふーん、で、どうしたの?なんか難しい顔してたけど、何か悩み事かな?」

 

 相変わらずの察しの良さだ。この娘には昔からこういうところがある。

 

 「瑞穂さんにはかなわないな。ちょっと気になることがあってね。そう言えば、瑞穂さん後輩にも顔が利いたよね?ちょっと聞いて欲しいことがあるんだけど」

 

 「徹君、早速浮気?徹君まで健太郎君みたいになっちゃうの?」

 

 目を半目にして、呆れたように言う瑞穂。健太郎のことはかなり苦々しく思っていたようだし、心配もしていたから、そう言いたくなるのも分かるが、勿論違う。

 

 「いやいや、滅相もない。健太郎の真似は俺には無理だよ。ちょっと気になることがあってね。杞憂ならいんだけど、そうじゃないなら大変なことになるかもしれないから、お願いできないかな?」

 

 あの女をとっかえひっかえの無双ぶりは、他人に真似できるものではないだろうし、真似したくもない。

 

 「まあ、そうよね。徹君はそういうことしないって信じてる。みこちゃんを泣かしたら許さないから!

 それで、何聞いて欲しいの?」

 

 「肝に銘じておくよ。

 聞いて欲しいのは、南里愛って子についてなんだ。最近、何か噂になってない?」

 

 「……南里愛ね、うーん、なんだったかな?聞いたことはある気がする」

 

 瑞穂は愛の名前に聞き覚えがあるようだが、それがなんだったのかまでは思い出せないようだ。

 そんな時だ、今日の運勢とか、ラッキーアイテムとか話す女子の一団が横切ったのは。

 

 「ああ、思い出した!占い、そう占いよ!」

 

 「占い?」

 

 「なんか、その南里愛って子は、趣味でタロット占いをするらしいんだけど、それが百発百中なんだって」

 

 ――まるで徹君の勘を思い出させるね。

 

 瑞穂は言外にそう言っているように、俺は感じられた。

 

 「占いが百発百中ね、これは厄介なことになりそうだ。その噂は有名なのか?」

 

 「ううん、その子かなりの人見知りでね。あんまり交流がないみたいなの。親友の娘のガードもかなり堅いみたいで、どうしてもと頼み込んでようやく実現したみたいだから、そこまで知られているわけではないみたい」

 

 (中学であっても、美雪のガードはあったというわけだ。不幸中の幸いだな。祭り上げられる前にどうにか出来そうだ)

 

 「そうか、ありがとう、瑞穂さん。本当に助かったよ」

 

 「どういたしまして、徹君の助けになれたなら幸いだわ。徹君には何度も助けられているしね」

 

 幼少時の霊能力者っぽいムーブのことを言っているのだろう。思い出すだけで汗顔の至りだ。なんというか、色々あれだった。恐らく記憶を封印されても、生き延びるために強くなりたいという脅迫観念じみたものがあったのと、覚醒したがそれ自体を忘却した結果、そんな風になったのだろう。

 

 「あの頃のことは勘弁してくれ。完全に霊能少年ムーブで恥ずかしいんだよ」

 

 「フフフ、どうしようかな?なあんてね。ねえ、徹君、()()()()()()なの?」

 

 何かを察したように言う瑞穂。本当に彼女は察しが良すぎる。こういう時は、本当に困る。

 

 「そうかもしれないというくらいだよ。杞憂で済めばいいんだけど。それじゃあまた」

 

 俺は苦笑して、話を強引に終わらせて去るしかない。悪魔業界なんて、関わること自体が罰ゲームだ。できれば、瑞穂には健太郎同様、日の当たる場所で生きていて欲しい。それは俺の偽らざる心からの願いだった。

 

 

 

 

 

 

 「やっぱり、駄目かな……」

 

 逃げるように行ってしまった幼馴染の背中を遠目に見ながら、瑞穂は一人呟く。

 

 (分かっていたことだけど、徹君もみこちゃんも、私や健太郎君にあちら側に来て欲しくないみたい)

 

 察しのいい瑞穂は、持ち前の聡明さとみこと徹のある種の頑なさから、大凡のことを推察していた。

 

 (多分、この世には私や健太郎君じゃ分からない何かがある)

 

 瑞穂は半ば確信すらしていた。そうでなくては、あれだけ仲が良かった二人が絶交するなどありえなかったはずだと。彼女は知っている。健太郎があそこまで怒ったのは、親友である徹が、頑なに事情を話さなかったからなのだと。勿論、健太郎の初恋がみこであることも理由としては大きいだろうが、健太郎は徹に裏切られたようにも感じたのではないかと瑞穂は思っている。

 

 健太郎の初恋の人がみこなら、瑞穂の初恋の人は健太郎だ。だから、瑞穂は健太郎のことをよく知っている。基本的に女の子のことを優先する健太郎だったが、徹はその例外であると彼女は知っている。先に彼との約束があれば、瑞穂であっても断られたことは一度や二度ではない。男同士で馬鹿やる方が楽しいこともあると父は慰めてくれたが、そのくらい健太郎と徹は仲が良かった。そんな二人が今は絶交状態で、顔を合わせても目も合わせないのだから、不思議なものだ。正確には、健太郎が一方的にそうしているようで、徹は困ったように苦笑するだけだ。

 

 (きっかけは徹君の12の誕生日?でも、みこちゃんはその前からも徹君だけを見ていた)

 

 明確に変わったのは、やはり、あの時だろう。本格的な修行を始めるから、中学生からは一緒に遊べなくなるかもしれないとは、元から瑞穂だけは聞いていた。しかし、実際にはそうはならず、みこはこれからも一緒に遊べますと嬉しそうだった。その代わり、徹がみこに同行するようになったのだ。二人の関係が急速に近づき、戸惑ったのは健太郎だけではなく瑞穂もそうだった。

 

 そうして、気づけばみこと徹は健太郎や瑞穂が介入する余地のない関係になっていたように思う。健太郎と瑞穂は蚊帳の外であったが、なぜだか彼女にはそれが当然のようなことに感じられた。そして、それ以上追求するべきではなく、深入りするべきでもないと、彼女はなんとなく理解した。

 

 「ねえ、徹君。私がもう一歩踏み込んでいたら、貴方はどうするのかな?」

 

 ここにはいない幼馴染に、絶対に届かない問いかけを瑞穂はする。実際にしたら、きっと困らせてしまうだろうから。あの聡明な霊感少年は、勘は鋭いのに、そういうところは本当に上手くないのだ。

 

 

 

 

 

 

 「やあ、初めまして三年の卯月だ。南里愛さんであっているかな?」

 

 初めてその先輩にあったのは、私は混乱の渦中にいる時だった。その人が実は学校では有名な神社カップルの彼氏の方だと知ったのは、もっと後だったが。穏やかな口調に、真面目で頭の良さそうな人だった。

 

 「は、はい、あってます。あ、あのなんの御用でしょうか?」

 

 その時、曲がりなりにも対応できたのは、色々予想外なことが続いて混乱極まっていたからだろう。普段なら、親友がいなければ、見知らぬ男性など口もきけないはずなのだから、ある意味運が良かったと言える。そうでなければ、私は恐らくとんでもないことになっていた可能性が高いのだから。

 

 「君の占いについて、ちょっと聞いてね」

 

 「もう上級生にまで噂が出回っているんですか?」

 

 先輩の用件は、よりにもよって私の混乱の原因である占いだった。もしや、もう上級生にまで話が広まっているのかと、正直怖くなった。

 

 「ああ、怖がらせてゴメン。流石にそこまで広まっていないよ。本当に偶然、君の占いのことを小耳に挟んだだけだよ」

 

 流石にそこまでではなかったらしく、本当に偶然のようだ。それでも話のタネにはなっている辺り、十分に危ういのだが、その時の私にそこまで考える余裕はなかった。

 

 「そ、そうですか……。わざわざ尋ねてきてくれて申し訳ないですけど、占いをするつもりは「大丈夫、占って貰おうというわけじゃないから」えっ!?」

 

 「正確には、君と君の親友である飯島美雪さんに話があるんだ」

 

 「占いが目的じゃなくて、私だけでなく美雪ちゃんも……!?」

 

 占いの話しを聞いて来たというのに、目の前の先輩の用件は占いではないという。そして、それは美雪ちゃんにも関係することだというのだ。その時だ。私は、いつの間にか周囲に人の気配がまるでないことに気づいてしまった。

 

 「君達は、春の社会見学で事故に巻き込まれた。表向きはなかったことにされているが、実際には命の危険すらあった。そうだね?」

 

 私と美雪ちゃんしか知らないはずのことを、よく知っているように語り、確認してくる。

 最早、恐怖しかない。優しげな口調と目とは裏腹に、目の前の先輩が得体の知れないものに思えてくる。

 

 「あんた、愛に何してるんだ!」

 

 そう言って、恐怖の淵にいる私を救い上げてくれたのは、自慢の親友である美雪ちゃんの力強い声だった。

 まあ、この時のことは、後に私が色々誤解していただけだったのだが、それでも私が感じた恐怖は本物だったので、未だに私や美雪ちゃん、みこ先輩から先輩が責められるネタになっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんとも言い難い焦燥感に駆られて、授業が終わるなり、親友である愛を迎えに行く。本来ならば陸上部の練習があるのだが、この不自然なまでの身体能力がどうにか出来るまでは、顧問に話して強制的に休みということにして貰っていた。陸上部で私が原因で起こした騒動から一日たち、冷静になったらしい顧問は、やはり、何らかの異常を疑ったらしい。病院で精密検査をしてくるように直々に申し渡された程だ。入部以来、面倒を見てきてくれた先生だったから、私の才能と身体能力をよく理解している。そこから導き出される姿と、今の私は完全に乖離しているのだから、当然だろう。なにせ、私自身が一番驚いている位なのだから……。

 

 兎に角、急いで愛の教室へと向かうと、そこには上級生らしき男子生徒に迫られて、恐怖にすくんでいる愛の姿がある。放課後すぐの教室であるというのに、二人以外は誰もいないことがどうしようもない違和感を感じさせる。あの時を思い出させる異常だ。内心で臆病の虫が首をもたげるが、私はそれを強い決意で叩き潰した。

 

 (愛は覚えていないかもしれないが、私はあの光景を今も忘れない)

 

 原因不明の黒い霧。それに触れた人間の命を奪った死の霧。あれに触れていれば、私達も間違いなく死んでいただろう。実際、事情を説明してくれた人はそう言っていた。記憶処置をするので、これも忘れるだろうがと言っていたが、なぜだか私は覚えていた。

 そんなものから、私達を守ってくれた黒騎士としか言い様がない人物の背中は、今も心に鮮烈に刻まれている。私達を守るために一歩も退くことなく、黒い霧を切り裂くその姿は、まさに何かを守らんとする守護者たる騎士の姿だった。

 

 (こんなところで臆病風に吹かれてたら、あの人に顔向けできない。それに私が愛を見捨てることなんてありえない!)

 

 「あんた、愛に何してるんだ!」

 

 私の怒鳴るような声に、驚いたように振り返る男子生徒と、地獄に仏を見たと言わんばかりに愛が目を輝かせたのだった。

 

 

 

 

 

 (簡易とは言え、人払いはしてたのに、それを破ってここへ来るか。試しという意味もあったが、俺の霊格でなした人払いだ。間違いなく常人はここには来られない。覚醒は確定だな、ハア)

 

 人払いの結界を素通りして飛び込んできた美雪の姿に、徹は厄介なことになったと内心で嘆息した。

 

 「いや、少し話があっただけだよ。南里さんだけでなく君にもね」

 

 徹を強引に押しのけて、愛を庇うにように立つ美雪に、動揺することなく徹は言う。

 

 「愛だけじゃなくて私にも?……あんた、やっぱり!」

 

 何かを察したのか、美雪の戦意が高まる。

 

 (この異常な状況を認識し、似たような異常を体験していることから察したか。クズノハの話からして自然な記憶処置はされているはずなのに、愛も美雪も覚えているときた。ダメ押しまでしなくていい、クソッ!)

 

 これ以上ない覚醒の証拠に、徹は内心で悪態をつく。悪魔業界に関わることが確定してしまった二人のこれからを思って。

 

 (しかし、二人揃って覚醒だと?悪魔との邂逅&命の危機とはいえ、都合良すぎないか?もしかして、この二人が執拗に狙われたのって、まさかそういうことだったりする?)

 

 覚醒できる者はけして多くない。覚醒者同士の子供でも、覚醒しないことはよくあることなのだ。悪魔業界において、血筋とは意味がないとは言わないが、基本的に最低限の才能保障でしかなく、あくまでも覚醒の可能性を高めるだけのものでしかないのだ。

 そこへ行くと美雪と愛は突然変異だが、覚醒要因は悪魔との邂逅&命の危機というダブルパンチ。さらに徹は理解してないことだが、強大な力の波動に晒されたというのもある。ここまで来れば、才能があれば覚醒しようというものである。

 もっとも、彼女達二人が特異個体であるバフォメットに目をつけられたことに徹は全く関係していないので、彼を責めるのはお門違いであろう。

 

 「落ち着いて、飯島さん。君達に危害を与えるつもりはない。むしろ、二人の力になれると思って声をかけさせて貰ったんだ」

 

 「力に?胡散臭い」

 

 疑わしそうに一言で切って捨てる美雪に、徹は苦笑した。

 

 (そら、そうだ。逆の立場なら、俺だってそう思うわ。でも、見過ごすにはあまりに無責任だろうからな。メシアンやガイアーズに取り込まれたら、コトだからな)

 

 どんな事情があろうが、美雪と愛の覚醒に徹が関わってしまったのは事実だ。それがたとえ守る為であったとして、このまま何も知らぬまま放置するなどあってはならない。

 今の彼女達はメシアンやガイアーズは勿論、野良悪魔からしても鴨ネギ同然の存在であることは言うまでもないのだから。

 

 「飯島さんの急激な身体能力の上昇、それも異常とも言えるレベル。南里さんは、百発百中とも言える占い。それに俺の思い違いでなければ、君何か見えているだろう?」

 

 「……」「ど、どうしてそれを?」

 

 徹が予想するに、美雪は単純に肉体系の異能者だ。そして、恐らく南里愛は、星見の類だと思われる。偶々それが、彼女の趣味であるタロット占いとベストマッチしてしまったのだろう。

 

 (やっぱり、みこがいる時にすべきだったかな?警戒感バリバリだよ。とはいえ、対応が遅くなればなるほど、事態は深刻になるし、危険性も増すからなあ)

 

 徹とて、最初はみこと一緒に来るつもりだったのだが、彼女は折悪しく昨日に引き続き親族関係で暇がない。にもかかわらず、愛はすでに同学年の間で話のタネになる程度には噂になっているし、美雪も明らかに異常だと周囲に分かる騒動を起こしてしまっている。

 放置すれば、悪魔業界関係者に気取られるのは、そう遠くない未来だっただろう。折角守ったのに、そんなことになっては目も当てられない。飯がまずくなるどころの話ではないのだから。

 

 「こういうことだからだよ。出ろアンジェリカ!」

 

 あえて声に出して呼びかける。まるで召喚されたかのように、何もなかった空間に絶世の美女としか言い表せない金髪エルフが、徹の影から姿を瞬時に現す。

 

 「「!?」」

 

 その目ではっきりと見た異常な現象に、二人は驚愕で声も出ない。

 

 「ようこそ二人とも。あまり歓迎したくはないが、来てしまったものは仕方が無い。俺が悪魔業界について、君達に教えよう」

 

 そう言って、徹は苦笑するのだった。




愛の趣味が占いは、原作ではありません。あってもおかしくないかなという意味でつけました。

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