ペルソナのニャルをコズミックホラーと誤解した男   作:清流

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えっ、メシア教!?えっ、卯月町?瑞穂、健太郎、みこちゃん……。

 「面白いことがあるものだな?異なる世界への来訪者がいると思って、奴を出し抜いてきてみれば、まさかこんなことがあろうとはな」

 

 邪神然とした男は煉獄の炎と言っても遜色ない程の轟炎に包まれながらも、余裕そうな態度を崩していない。肉体が炭化していることからダメージを受けているのは明らかなのに、それでもその男は好奇心丸出しの愉快そうな表情を崩さない。

 

 「フフフッ、この私にダメージを通すのは見事だが、私を滅ぼすならそれこそ人類を滅ぼさねばな」

 

 そう、這い寄る混沌ことニャルラトホテプは、ペルソナにおいて集合的無意識の具現化存在であり、フィレモンの対たるネガティブマインドたる存在。つまり、肉体などかりそめのものに過ぎず、本気で滅ぼすなら人類抹殺が必要なトンデモ存在なのだ。

 

 「いやはや、魂だけだというのに大したものだ。完全な誤解による招請とはいえ、貴様は本物の神性に意思を届かせたのだからな」

 

 そう、賞賛するようにニャルラトホテプが見据える先には、赤いマントを翻す全身を漆黒の鎧に包んだ黒騎士の姿がある。

 

 「人類を滅ぼすことが必要……お前、フィレモンの対、ペルソナの方かよ!」

 

 「ほう、ペルソナどころか奴のことまで知っているとはな。だが、貴様は契約者ではない。なぜ、知っている?」

 

 対たる存在に言及されたせいか、表情を変え詰問するように言うニャルラトホテプ。そこに先ほどまでの嘲りはない。

 

 「誰が話すか!厄介ごとになる気しかしねえよ!」

 

 ペルソナ無印*1及びペルソナ2罪罰*2での行いを考えれば、ニャルラトホテプに余計な情報を与えるのは害悪でしかない。そもそも、関わること自体破滅への一直線に繋がりかねない相手であることを知っている以上、返答はにべもなかった。

 

 「つれないものだな。しかし、面白い。本物の神性に意思を届けるだけの霊的素養に、私を前にして自己を失わず、反逆せしめたこと。どれをとっても、人にとっては偉業だぞ、誇るがいい」

 

 「お前に言われても欠片も嬉しくないね!」

 

 「嫌われたものだな。これでも手間暇かけて会いに来たのだがね、異界の魂よ」

 

 「誰も頼んでねえよ!」

 

 「ふむ、そこまで邪険にされると逆に興味がわいてくるものだ。お前の知る私は、一体何をやらかしたのだろうな?」

 

 「話したら絶対に再現しそうだから、絶対に教えてやんねえ!さっさと帰れ」

 

 「まあ、そうしてもいいのだが、それでは面白くなかろう?折角だ、奴にならって贈り物をしてやろう」

 

 「いらない、お前からの贈り物なんてマジで要らないから!」

 

 「残念だが、貴様に拒否権はない。転生しても気兼ねなく子供時代を過ごせるように、12歳までの記憶の封印もサービスしてやる。私は奴と違ってアフターサービスも万全だぞ」

 

 「乳幼児期の記憶の封印はありがたいかもしれないが、お前のアフターサービスって、お前に目をつけられた挙げ句、ちょっかいを出されると言うことだろうが!」

 

 「うん?私も奴も基本的に観察が主で、能動的に動いたりはしないはずだが……。

なるほど、そういう世界もあったというわけだ。積極的に囁くというのも悪くないのかもしれんな」

 

 「!?」

 

 やはり、こいつに余計な情報を与えるのは危険だと判断し、黒騎士は口を噤む。

 

 「今度は黙りか。まあ、いい。貴様が愉快な観察対象になると確信できたことが何よりの収穫だ。そうだな、その報酬として、ペルソナ能力にオマケをつけてやろう。きっと気に入るぞ」

 

 何らかの力の塊というべきものを黒騎士に強制的に混入して、全身を灰燼と帰して消えていたニャルラトホテプだったが、その表情は最後まで心底愉快そうに嘲笑を浮かべていたのだった。

 

 こうして一人の男が異世界に転生する。

 

 

 

 

 

 

 

 「思い出したー!あの野郎、マジで余計なことを!」

 

 12歳の誕生日を迎えた転生者こと「卯月徹」は、自室で怨嗟の絶叫を上げていた。幸い両親は、夫婦揃って帰りが遅い為、聞く者が誰もいないことは幸いであった。誕生日に両親がいないとか愛されていないとか言われそうだが、前日が日曜だったので共働きで多忙な両親はすでに誕生会を前倒しに開いて、プレゼントも受け取り済みであるので心配ご無用だ。

 

 「クソー、もっと早く思い出していれば……。いや、確かに乳幼児期やり直しはキツいし、友人も作り辛かっただろうが、ここがメガテン&ペルソナ世界と分かっていたら、もっと色々やれたのに!」

 

 思い出した記憶と共に、この世界の知識・常識と擦り合わせを行っていき、徹は絶望した。なにせ、近隣の市にある教会がメシア教の教会だったからだ。世界が滅ぶと言っても、騒動に巻き込まれなければモブとして埋没できるペルソナと違って、メガテンは無関係を装うが確実に逃れようのない滅びが待っているのだ。避けられぬ滅びとか、絶望しかないというものだ。

 

 「メシア教があるということは、当然ガイア教連中はいるよな。クズノハはいるとして、ヤタガラスはどうかな?ライドウシリーズ*3(『デビルサマナー葛葉ライドウ 対 超力兵団』及び『『デビルサマナー 葛葉ライドウ 対 アバドン王』』)だと戦前に政府とべったりだったからな。戦後に敗戦のあおりをもろにくらって弱体化していそうだよなあ」

 

 徹の大凡の予想は当たっていた。メシア教は言うに及ばず、ガイア教も元気にヒャッハーしてるし、クズノハは現在も強者として健在である。そして、唯一当たって欲しくない予想であるヤタガラスの弱体化も大当たりで、戦後に政府とズブズブの関係であったことから連帯責任を問われ、重要な霊地を奪われた挙げ句、人材も大量に削られている。それも物理的(・・・)にだ。かつてその傘下におかれていたはずのクズノハと異なり、明確に弱体化している。これは偏に人同士の戦いにまで首を突っ込んだかが明暗を分けている。

 

 「東京をはじめとした都市部にはメシア教の勢力ががっつり食い込んでいるな。教会があちらこちらにありやがる……。一方で地方はそれ程でもないか。まあ、戦時中に余所に協力できるほど地方に余裕はなかっただろうからな。ヤタガラスのようにはならんかったか。もっとも、現在進行形で浸透されているみたいだけどな」

 

 地方でも栄えているベッドタウンにあたるこの卯月町の近隣に、メシア教の教会が進出してきているのが何よりの証拠だ。建てられたのは七年前らしいから、着々と連中の手は地方にも伸びていると考えていいだろう。

 

 「メシア教はマジで救えないからなあ。四大天使もどう考えても狂ってるし、唯一真面だと思ったガブリエルも4*4で、結局同じ穴の狢だって分かってしまったからな。マジで信用皆無の害悪だよ。末端が善良で真面だけに本気で質が悪い」

 

 幼少の頃出会ったボランティアで来ていたメシア教会の神父は、本気で善人であったのを徹は自身の幼少の頃の思い出として記憶している。もっとも、つい最近過激派に乗っ取られて、根こそぎ人員ごと洗脳されているなんて夢にも思っていなかったが……。

 

 「ニャルがいたからペルソナは確定だけど、メガテンもほぼ確定と考えていいな。滅びの要素なんて山ほどあるし、個人でどうにかしようとは考えない方がいいな。

 俺がやるべきことは、何よりも生き残るために強くなることだな!」

 

 メガテンである以上、悪魔とは切っても切れない運命だ。つまり、なんでもない日常の裏で、ちょっと脇道にそれただけで死にかねない脅威が潜んでいる可能性が大きいということだ。

 

 「一刻も早く強くならないと、マジで簡単に詰んで死にかねん」

 

 LV0、すなわち覚醒していない人間が魔界魔法を受けた場合、そのダメージはアギであっても、4桁以上になる。即ち即死である。どんな弱い悪魔であろうが遭遇=死というのが、残酷な現実としてあるのだ。

 

 「でも、ニャルのせいとはいえ、クトゥグアから力貰ったし、俺多分もう覚醒しているよな?霊感少年っぽいムーブしてた記憶あるし、覚醒していたせいか……。あっ、ヤバイ!」

 

 転生の際、魂の状態でニャルに強制面会された挙げ句、誤解の早とちりの末だったとはいえ、クトゥグアの力を借りて奴を焼き尽くしたことを徹ははっきりと思い出していた。そして、記憶を思い出していない状況でも、彼は霊感少年というか勘の鋭い少年扱いではあったから、間違いなく覚醒はしているだろう。

 だが、同時にトンデモナイ副作用もあったことを徹は理解した。ニャルに記憶を封印されていたが故に、力について無自覚で、彼はそれをどういう風に使うものか、使えるかどうかすらも忘却していた。結果、それは第六感という形で発揮されるにとどまっていた。

 

 ――そう、今は何ができるのか、どんな力だったのかを理解してしまっている!

 

 故に、徹は脇目も振らずに家を飛び出した。靴を履く暇すら惜しんでだ。全力で人目のつかない場所へ行かねばならないと彼は駆け出した。

 なぜかなどという愚問であった。家から出た時点で、火柱が上がり彼の姿は炎に包まれつつあったからだ。

 

 

 

 

 

 全力で近場にある神社の鎮守の森に駆け込んで、どうにか息をついた。幼馴染みの家がやっている神社ということもあり、土地勘はある。その森の中の開けた場所で秘密基地として親にも内緒で、知っているのは彼以外三人だけなのでここでなら人目もない。その三人も高学年になって色気づいたことで付き合いが微妙になり、今はここに来ることはまずないのだから。

 

 「よし、誰もいない。足が酷いことになるのは覚悟の上だったが、マジかよ……。」

 

 靴を履いていないので酷いことになるはずだった足だが、触れるのを幸いと焼き尽くしていたらしく、傷一つない異常っぷりだ。明らかに昨日までの自分とは異なる存在になったのだと、強制的に理解させてくるのがキツイ。

 己の異常さを理解したことで、感情が昂ぶり自身が纏う炎も荒れ狂うのが分かってしまう。幸いに燃やしたいと思わない限り燃えないらしく、草木一本燃えていないのは僥倖だったが、なんの慰めにもなりはしない。

 

 「ヤバイ、このままだと家に帰ることもできない。12歳の誕生日に家出とか、あんなによくしてもらっているのに絶対にアウトだろ」

 

 当然ながら、炎を全身に纏っているような状態で帰宅できるわけがない。来る時は運良く目撃者はいなかったが、帰りもそうだと思うのは流石に楽観が過ぎるだろう。予想外、想定外というのは、いつ何時起こるか分からないものなのだから。今生の両親には本当によくしてもらっているし、愛されている自覚もある。余計な心配はかけたくないのが本音であった。

 

 「何かないか?――いや、いたな。炎を纏う・魔神・最強・格好いいと来たらこれだろ!」

 

 己が思いついたこれしかないという存在になるべく、自身の全身に纏う炎を漆黒の全身甲冑へと変化させていく。

 

 「流石にいきなり過ぎて、完全な制御は無理だな。どうにか、ナイトブレイザー*5をイメージして安定はさせられたけど、集中しないと暴発しそうだ」

 

 ニャルラトホテプに抗った時、どうしていたかは覚えていない。あの時は、ただひたすらに必死で死にたくない一心だったからだ。今回は制御しようと試みた結果であったが、それがナイトブレイザーだったのは、自分の中で炎を纏う&強くて格好いいと来たら、不動のNo.1の存在だったからだ。WA2は不朽の名作RPGなのだ。異論は認めない。

 

 「鏡がないのが残念だが、思ったよりいいな。単なる連想からやってみたが、炎を纏うというイメージが鎧を纏うというのに違和感がまるでないし、何より全身鎧のせいで顔も隠れるのがいい。これで活動すれば、正体は隠せるんじゃないか?」

 

 水面に映る漆黒の全身甲冑に身をつつんだ黒騎士ともいうべき姿への変化は、元ネタが大好きなのも相まって非常に好感が持てた。よくよく考えれば、顔も隠せて一石二鳥である。単なる思いつきも、時に馬鹿にできないものだ。 

 

 「それにしても、流石はコズミックホラーに謳われる神格、遠慮も配慮もあったものじゃないな」

 

 自身の霊的素養の全てを使い果たしたんじゃないかと思えるほどに、クトゥグアの力は自身の器の許容量限界、爆ぜる寸前まで注ぎ込まれたんじゃないかと思えるくらいに大きい。それでも多少なりとも制御できたので、同時に爆ぜる心配もないことも理解できた。12年の間に、完全に適合したのか適応したのか定かではないが、間違いなく自分の力であるという実感があったからだ。

 

 「まあ、ニャル相手に手加減とかありえないんだろうけどさあ」

 

 (「クックックッ、ようやく目覚めたようだな」)

 

 「!?」

 

 もうちょっとなんとかならんかったのかとぼやいていると、絶対に二度と聞きたくない奴の声が直ぐ傍から、いや、自身の内から聞こえてきたことに言葉を失った。

 

 (「何を驚く。あの時、贈り物をくれてやっただろう。私が何の仕込みもしていないとでも思ったのか?」)

 

 「ニャルラトホテプ!一体俺に何を仕組んだ?」

 

 (「そう熱くなるな、これは伝言に過ぎない。基本的に観察に徹しているといっただろう。奴が能動的に動かず、その従者しか動いていない以上、私も積極的に動こうとは思わんからな。

 お前にやったのは、いわゆるお約束のペルソナ能力だ。本来なら奴が与えるはずのものだな。本来の貴様のペルソナに、オマケまでつけてやったぞ。感謝するがいい」)

 

 「ペルソナ能力は正直助かるから感謝してやってもいい。それよりも、オマケとはなんだ?記憶封印のことじゃないのか?」

 

 フィレモン式のペルソナ使いであるならば、大いに役立つ。ペルソナ3以降のシャドウ使いやワイルドと違って、ペルソナ自体が成長したりはしないが、ワイルド同様に自在に耐性や使える魔法や技を変えられるのは魅力的であるからだ。

 だが、どうにも引っかかる。こいつに限って、役立つものだけ渡すわけがない。

 

 (「アレはその方が面白くなると確信したからこそ、そうしたに過ぎん。オマケですらないついでだ」)

 

 「じゃあ、オマケってなんだよ。絶対に碌でもないだろ……って、待て、お前まさか!」

 

 そういや、ペルソナはカードみたいにして出すことも出来たなと、やってみると出てきたものは二枚。そう、一枚ではなく二枚だった。

 

 (「気に入ってくれたかな?一つはお前本来のペルソナだが、もう一つは私謹製の特別製だぞ」)

 

 「ふざけんな!よりにもよって、お前じゃねえかよ!」

 

 一枚は俺自身のアルカナだろう刑死者(The Hanged Man)のペルソナ『LV10 アステリオス』、そして問題のもう一枚が塔(The Tower)のアルカナに属するペルソナ『LV66 ニャルラトホテプ』。即ち、奴そのものだ!

 

 (「折角の見世物だ。特等席で見ないのはもったいないだろう?それにしても、刑死者か、正位置の意味は修行、忍耐、奉仕、努力、試練、着実、抑制、妥協。まさに貴様にピッタリだな」)

 

 「嫌味か、クソ野郎!」

 

 (「クッ、自覚はあるようだな。ああ、安心しろ。お前のペルソナ所持枠を圧迫しないし、召喚されれば素直に働いてやるとも」)

 

 「制御できればの話だろ!お前、俺が制御出来なかったら、絶対に暴走して好き放題やらかすだろ。LV66とか制御させる気ないだろ、ちょっとは自重しろよ!」

 

 フィレモン式のペルソナ使いには、ペルソナLVがあり、それ以上のLVのペルソナはゲーム上降魔できない。これをリアルに置き換えるのは、中々に難しいように思うが、幸いにもその実例はペルソナ無印において出てくるトロこと『横内健太』がその実例として出ている。

 ペルソナ使いとして覚醒できたものの、自身のペルソナを制御出来ずに暴走させている。つまり、あれがペルソナLVが足りないということなのだろう。

 

 (「制御出来なければ暴走するのは当然だろう。身に余る力を使おうとしたつけというわけだ。無論、私はそのつけを踏み倒させる気はない」)

 

 「暴走する気満々の奴を召喚するわけないだろう!……って、ちょっと待て。今、会話しているのって降魔している状態ということか?」

 

 (「その通りだ」)

 

 「馬鹿野郎!俺に力くれた邪神様は筋金入りにニャル嫌いなんだよ。天敵相手なら、ある程度条件無視して代償なしで召喚に応じてくれる程度にはな!」

 

 ニャルラトホテプとの繋がりを理解したことで、今まで自分を見ていたであろう者の正体に俺は気づいてしまったのだ。

 クトゥグアが見ているところで、その使徒みたいな存在である俺が天敵と同じ名前の奴の力を貰ったらどう思うだろうか?

 

 その答は一瞬で示された。虚空から突如現れた絶氷の魔剣が、ニャルラトホテプのペルソナカードを串刺しにしたのだ。

 

 (「ふん、相も変わらず乱暴なことだ」)

 

 前回は燃やしても意味がなかったせいか、今回は極寒の冷気を纏う配下のアフーム=ザーを剣にして投下してきたというわけだ。

 

 「クトゥグア様も、随分アグレッシブだよなあ……。えっ、ニャルに頼るくらいならこれ使えってことですか?」

 

 一応助けを求める祈りに応えて貰った立場なので、内心はともかく対外的には様付けである。クトゥグアの力で満たされている俺にはクトゥグアの声というか、意思がなんとなく理解できてしまう。ニャルラトホテプと名乗る以上、ソイツも天敵だと言わんばかりのクトゥグア。

 まあ、コズミックホラーのニャルラトホテプと言えば、「貌がない〝故に〟千の貌を持つ」という無数の化身を持つ神だ。このニャルラトホテプが化身の一つであると、クトゥグアが疑うのも無理もないだろう。

 

 「いや、疑うのは無理もないし説明は難しいんですけど、こいつ本当に別物なんですよ」

 

 クトゥグアからはさっさとぶっ殺せといわんばかりの意思が伝わるが、生憎とフィレモン式ペルソナ能力は喉から手が出るほどに欲しいのが本音である。

 

 「いや、クトゥグア様の力が物足りないってわけじゃなくて、俺も本来なら使いたくないんですけどね?生き延びるためには選択肢が多い方がいいんで」

 

 あん、俺様の力じゃ物足りねえとかぬかすのかと言わんばかりの圧力が来るが、必死に言い訳する。実際、どちらも有用で欲しいのは、間違いないのだから。

 

 「えっ、基本的に使わないなら許す?あくまでもメインはクトゥグア様ならOK?あっ、やっぱり天敵と別物って分かっているじゃないですか!」

 

 無駄な言い訳と思いきや、クトゥグアは条件付きではあったがあっさり引き下がった。

 正直、心底驚いたのだが、どうやらクトゥグアは俺に転生時召喚された時、すでに別物であると看破していたようだ。まあ、それはそれとして、天敵の名を名乗る奴は不愉快だし、嫌いなのでぶっ殺すというノリだったらしい。

 

 「あっ、これ、俺もニャルラトホテプ関連だったら、これからは問答無用で突っ込まないと行けないやつ?」

 

 嫌すぎる現実に気づいてしまって、思わず口に出せば、クトゥグアからは当たり前だろうという意思が伝わってくる。 邪神と契約したようなものなので、デメリットは当然だが、これからの人生で平穏は望めないのではないだろうか?

 

 (「面白い人生を期待しているぞ。精々、よき観察対象になるがいい」)

 

 「お前本当に無敵だな。邪神様が見てる(ガチ)とか、なりたくなかったわ……。」

 

 後悔先に立たずとはよく言ったもので、最早どうしようもないことにぼやかざるをえなかったのだった。

 

 

 

 

 この後、火柱にクトゥグアによる魔剣投下に、流石に現地の霊的守護者が気づかないわけもなく、それが幼馴染みの親父さんであるなどとは夢にも思わなかった徹であった。そりゃあ、自分の家の敷地内、しかも結界の機能も持っている森であんなことやっていたら、気づくに決まっているのである。

 そして、この時、徹にとって衝撃的な事実も判明した。霊的守護者である親父さんの娘で、彼の幼馴染みである少女の名前は『神山 みこ』というのだった。他の二人の幼馴染みは、一人が瑞穂、もう一人が男で健太郎である。極めつけに彼らの住んでいる町は『卯月町』である。

 

 「はっ、まさかの下級生*6!?懐かしすぎるんだけど!というか、この世界マジでどうなってるんだよ!」

 

 徹が思わず叫んでしまったのも、無理もないことだろう。

*1
『女神異聞録ペルソナ』1996年 ※2009年にPSPリメイク

*2
『ペルソナ2 罪』1999年『ペルソナ2 罰』2000年 ※2012年と2013年にPSPリメイク

*3
『デビルサマナー葛葉ライドウ 対 超力兵団』2006年 『デビルサマナー 葛葉ライドウ 対 アバドン王』2008年

*4
『真・女神転生4』2013年

*5
WA2主人公アシュレイが変身する魔神との融合体

*6
elfの18禁PCゲーム セガサターンに移植されたのをやりこんだ




まさかの続き、自分で驚いてます。
まあ、あそこで終わったら、メシア教にフォーカスあてただけで終わっちゃうからね。

うーん、ペルソナ2罪罰はともかく、下級生にどうしてそこまで嵌まったのだろうか?
今考えると、本気で謎である。

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