やっぱりいいですね、東方。
「─────くぁっ……ぁぁ……。」
大きな欠伸をしながら何時もの道を歩く。
俺の名前は
高校卒業を間近に控え…これから社会人になる18歳のごく普通の…。
「……何になるんだ?まだ高校生か?」
何て、1人でツッコミを入れながら歩いてる。
「……ったく、何もわざわざ卒業前に呼び出さなくても……。」
そう、俺は自分の母校に向かっていた。
やれ社会人になる前の~……だのこれからの心構えを~…などなど
卒業式を残す俺たちに安息の時間などくれはしないようだ。
「……ま、どうせやる事も無いし…良いけどさ。」
何てブツブツ言いながら歩くこと数分…最寄りの駅に着いた。
(とっとと終わらせて、のんびり家で過ごしますかね。)
携帯を見ながら電車を待つ。
この時間帯はまあまあ人の数も多い。
「………………おっ、この動画まだ見てな─────」
列車が来るアナウンスが流れ、電車がホームに差し掛かった……その頃だった。
─────ドンッ。
「……………………は????」
─────何者かに
しかし、振り返る事も出来ずに俺はゆっくりとホームから落ちる感覚に陥りどうすることも出来なかった。
(…………あ~、そういえば…今日の占い…12位だったっけな。)
意外と、自分にこれから降りかかる災難に対して…すんなりと受け入れる事が出来た。
これも何かの運命だったのか、と。
(…まぁ、思い残す事もやり残した事も無いから…良いんだけどさ。)
ゆっくりと、目を閉じ……俺の意識は消えた。
─────────────────────────
【???】
(……………………………………。)
ほら、すんなり受け入れたらこんな結末も悪くは……。
(………………あれ、死んだんだよな……俺。)
でも、何だ……変な感じがする。
「………………うっ……痛て……。」
ズキズキする頭を押さえて、目を開ける。
その眼前には、森が拡がっていた。
「……あの世にしては、質素だなぁ。」
何て思いつつ…ゆっくりと体を起こす…………そこには。
???「……………………。」
謎の少女が立っていた。それも両腕を横に伸ばして。
「……………………。」
???「………………。」
お互い珍しそうな物を見るような感じで首を傾げる。
???「お前……人間なのかー?」
「えっ、あっ、う、うん?」
その返答を聞いた少女が、にんまりと笑った。
…………何だか、嫌な予感がする。
???「……あなたは、食べてもいい人類?」
「……は?」
その言葉と共に、少女の周りに黒い何かがまとわりついていた。
「……やばいやばいやばい!」
???「鬼ごっこなのかー、そーなのかーーーっ♪」
飛びかかる少女を何とか躱して、逃げ出す。
「……おいおいおい、随分物騒なあの世だなぁ!?」
チラッと後ろに視線を向けると……。
???「逃がさないよ~っ。」
「……と、飛んでるし……っ!
どんだけメルヘンでデンジャラスなあの世だよ……っ!?」
何とか走って掻い潜ろうとしたが……。
「……やべっ……行き止まり!?」
???「追いついたぞ~。」
「……くっ……。」
こちらが構えても、顔色1つ変えない少女。
その目は、こちらを完全に捕捉していた。
「……詰みか……。」
???「いただきま~─────」
諦めかけた、その時だった。
─────ヒュインっ!!
「うぉっ!?」
???「誰なのだ~?」
誰かが割って入った。
???「騒がしいわね。真っ黒いの。」
???「邪魔が入ったのだ~。」
「……人形……?」
そこには、人形を指先の糸で操る謎の金髪少女が居た。
???「貴方……人間?見ない顔ね、それにその格好…。」
「説明……っ……!
……は、後っぽそうだな。」
???「そうね、でもそこで見てなさい。こう見えても私、強いのよ。」
そう言うと、何か呟く少女。
???「操符~乙女文楽~!!」
「……な、なんだぁっ……!?」
少女が謎の光と共に放った球体が分散して襲おうとしていた少女に向かっていった。
???「分が悪いのだ~退散~~。」
そう言うと、闇に紛れて少女の姿が消えた。
「……き、消えた……。」
???「ふぅ、災難だったわね、貴方。」
腰に手を当てて、同情するように眉を寄せて笑う少女。
「……た、助かった…けど…一体全体、何なんだ……これは。」
???「……色々聞きたそうな顔してそうだけど、一先ず自己紹介よ。
私は、アリス・マーガトロイド。魔法使いよ。」
「……………………………………。」
さも当然……のように自己紹介をするアリスとやら。
その顔は冗談を言ってるようでは無かった。
「……ま、魔法使いぃ?」
アリス「にわかに信じてない……って、顔ね。」
「……そりゃ、そうだろ…。」
アリス「それで、貴方は?人間の里から来たのかしら?
だとしたら……いきなり魔法の森に来るなんて、余程命知らず──」
「待った待った待った!……とりあえず…名前は柊 北斗。
人の里とか言われても…気付いたら森に居た。ここがどこか知りたいくらいだよ…。」
アリス「気付いたら森に?…その前はどこに居たのか分かるかしら?」
「その前……えっと、俺は─────」
最後に見た記憶を喋ろうとした時だった。
「……い、つつつつつっっ……!!!!」
アリス「ちょ、ちょっと!どうしたのよ!?」
「あた、ま……が……っ……!!」
割れるような頭痛と同時に息が上手く吸えない。
大量の汗を出す俺の姿を見て、アリスは流石に焦りを隠せなかった。
アリス「お、落ち着いて……!深呼吸よ、ゆっくり……ゆっくりしなさい。」
「……すぅ……っ……はぁっ……はぁっ……!」
アリス「大丈夫、ゆっくりよ……落ち着いて……。」
「…はぁっ…はぁっ……うん……大丈夫……。」
アリス「これは…ただ事じゃなさそうね…色々聞いておきたいことがあるわ。
とりあえず、私の家に来なさい。」
「…………キミの……家に?」
アリス「……その様子だと、行く宛ても無さそうに見えるわよ?」
「……無いけど…。」
アリス「それに、このまま見放すのは後味悪いわよ。
困ってる人は放っておけないのよ、私都会派だから。」
「……都会派だからかは関係ないと思うけど……ありがとう。」
ふらつく足取りで何とか歩き始める。
アリス「ねぇ、北斗?」
「……いきなりだな、どうした。」
アリス「……いえ、何も。」
アリス(恐らく、外の世界から来た人間…どういった経緯で
…気が乗らないけど、他の人のツテを借りるしか、なさそうね…。)
評価・感想・お気に入り登録
よろしくお願いします。