アリス「………………………。」
冥界から帰ってきてからというもの、アリスの機嫌が悪い。
(…俺なんかしたかな…。)
蓬莱「?」
蓬莱人形に目をやるがさっぱりという顔をしながら首を傾げてしまった。
「…………えっと…アリス?」
アリス「……………………。」
そっぽを向かれてしまった。
本格的に取り合って貰えないようだ。
(…もしかして、俺…詰んだ?)
なんて、頭を抱えていると…。
アリス「私、もう寝るわね。」
踵を返して自分の部屋に戻ろうとするアリス。
「待っ────」
咄嗟に腕を掴んでしまったのがいけなかった。
アリス「きゃっ────」
────ドサッ。
そのままアリスを抱きしめて倒れ込んでしまった。
アリス「…………………。」
何も言わないが、多分…怒ってる。
(やばい、何か言わなきゃ……。)
と心の中では思いつつも何か言っても言い訳にしか聞こえないだろう。
アリス「………………ねぇ。」
「は、はいっ!?」
突然向こうから話しかけられて何とも情けない声を出してしまった。
アリス「……もう少し…このままで……居て。」
「……え?」
それは、怒るわけでも卑下するわけでもない……逆にもっと欲する要求だった。
アリス「……嫌なの?」
「な、なわけ……っ!」
アリス「………………。」
無言で頭をグリグリ擦り付けてアリスを抱きしめる力を強め……頭を撫でた。
「……その……アリス?」
アリス「……何よ。」
「……えぇっと……あぁ、もう!ままよ!」
アリス「ちょっと、きゃっ────」
部屋着姿のアリスの片足を持ちながらそのまま抱っこの様な形で抱えて部屋へと向かう。
「蓬莱、ドア開けて!」
蓬莱「ホーライ!」
ドアを開けたあと、見送るように白いハンカチを振る蓬莱人形。
その様子を見ていたアリスが目をグルグルさせる。
アリス「ぇ、えぇっ……!?
あっ……ちょっ、と…っ…!///」
「今日はずっとこのままだからな、離さないから。」
アリス「……その……私、初めてだから……えっと…。
優しく……して、欲しい……というか……///」
「………………は?」
何の事を言いたいのか不明だが、次第に声が小さくなっていき
自滅するように呻き声を発しながら何度も顔を擦り付けるアリス。
アリス「~~~~~っ!//////
ひ、人の知らないでっ!///信じらんないっ!//////」
ポカポカと攻撃を当ててくるアリス。
当然力が入ってないので痛くは無いのだが、その顔は真っ赤だった。
「そういう事する手はこうだよ?」
アリス「あっ────」
簡単に手首を掴まれたアリスはしおらしい表情と共に目を逸らしてしまった。
アリス(……どうしよう…手首掴まれるの…嫌いじゃない…かも……///)
「それで……どうしたのさ?」
アリス「その…な、なんでもないわよ…少し…寂しくなった……だけ、で…///」
「……ん、そうか。」
多分、冥界での出来事の事を言ってるのだろう。
流石にそこまで来ればこちらも察しがつく。
アリス「……って、貴方は如何にも人から好かれそうだから無理もないわね。」
「……それは…アリスも?」
アリス「………………ぁ…///」
自白してしまったと思ったのか自分の発言を悔やむアリス。
アリス「……顔見たら……ビンタする……///」
「えぇ……。」
とりあえずどうすることも出来ないのでこのまま抱きしめ続ける事にした。
「…………………。(あ、やばい……落ち着くのか…眠くなって……きた……。)」
アリス「……あ、そうだ…幻想郷の事をもっと知りたい北斗にピッタリの……。」
話しかけたが、反応がない北斗を見ると────
アリス「……寝てる……この状況でよく寝れるわね…それとも、逆にこんな状況だから寝れるのかしら…?」
呆れた……という顔で北斗を眺めるアリス。
アリス「……寝てる……わよね?」
静かな寝息を数度確認した後……。
────チュッ。
アリス「……///(って……わ、私ったら……何で北斗の頬にキスを……っ///
あ、あぁっ、もう!寝ちゃおう寝ちゃおう……!!///)」
────────────────────
【次の日の朝】
「……文々。新聞?」
それは朝ご飯を食べてる時にアリスから告げられた。
アリス「そう、幻想郷の事を色々書いた新聞があるの。
北斗にうってつけだと思うのだけれど。」
過去の新聞に目を通してみる。
「なるほど…確かにこれは俺に必要かもしれないな。」
アリス「……ただ、1つ欠点があるとすれば…。」
「?」
アリス「記者が少し……胡散臭いというか……。」
「あぁ…まぁ…外の世界でもそんな記者は居るから…それでその記者とやら何処に?」
アリス「妖怪の山に居るわ、あんまり立ち寄りたくは無いわね。」
「妖怪の山……書いて字のごとくだな。」
アリス「まぁ、人間を襲う妖怪は居ないからその点は大丈夫なのだけれど…。」
「ここからは…遠そうだな。」
アリス「えぇ、そうね。」
「……アリスは一緒に来てくれないのか?」
アリス「……っ……し、仕方ないわね…どうしてもっていうなら一緒に行ってあげるわよ…///」
「よっしゃ!……あ、でも…その前にちょっと行きたい所あるんだけど、良い?」
アリス「全く……いいわよ、何処でもついて行くわよ。」
「じゃあ準備できたらすぐ出かけよう!」
アリス(はぁ、私も簡単な女になったものね……。)
……………………………………………………
【紅魔館前】
アリス「……行きたい所って……紅魔館?」
「うん、そうだよ。」
アリス「目的地は……図書館、かしら?
でも、今日は客人じゃないから入れるか分からないわよ?」
「今日の目的は中じゃないよ。」
アリス「……?」
美鈴「おや、アリスさんと北斗さん!
今日はどうされたのですか?」
アリス「北斗がここに用があるって……北斗?」
「……美鈴さん…いや、美鈴。」
アリスの目の前に立って拳を突き出す。
「────手合わせ、願おうか。」
美鈴「……やる気、ですね?」
アリス「ちょっ、ほ、北斗……っ!?」
「大丈夫、怪我しない程度にやるから。」
美鈴「あの時は断られましたが…今日は本気のようですね……。
ならば…全力でお相手いたします!」
「────来いっ!」
一気に距離を詰めると、美鈴が目にも止まらぬ速度で手数を増やして攻撃を繰り出してきた。
「見える……が……っ!(1発でも貰ったら終わりだな…!)」
美鈴「やりますね……しかしっ!」
震脚と共に気を高めて正拳突きを繰り出す美鈴。
「……試してみるか……!」
(グレイズのコントロール…グレイズのコントロール…。)
頭の中でイメージを固めて、両腕でガードをする。
グレイズがあれば攻撃も強化する……ならば、身体強化……防御にも使えるのではと
冥界で妖夢と戦った時に刀を拳で受け止めた時にヒントを得たの……だが。
「……ぐっ…!!(流石に付け焼き刃だよな…っ!)」
全てを受け止める事は出来ず吹き飛ばされてしまった。
アリス「ほ、北斗……っ!」
「大丈夫大丈夫、ダメージはそんなに貰ってないから……。」
美鈴「……今度はそちらの番ですよ?」
構えながらジッとこちらを見据える美鈴。
美鈴(……しかし、あの手数の攻撃と震脚突を食らっても立ててるとは…。
拳法家として目を見張るものがありますね…1発貰ってみるのもありかもしれませんね…。)
「今度は…………こちらの番!」
一気に距離を詰めて掌を美鈴に突き立てる。
美鈴(八極拳……発勁……!!)
身体に当たる寸前、掌を止めると衝撃波が美鈴を襲う。
美鈴「ぐっ…………!!(何たる威力……っ!)」
吹き飛ぶまではいかず、地面がめり込む後退りする程度だった。
美鈴「……これ程とは……。」
「いや、まだ改善の余地しかないよ…まともな形にもなってな──」
────ゴツン。
会話の途中で俺の頭にゲンコツが降ってきた。
美鈴「ひっ!」
アリス「無茶し過ぎ!」
「……はい、ごめんなさい。」
美鈴「ですが、良い経験になりました!またお手合わせ願います!」
会話が一段落ついた……時だった。
蓬莱「ホーライ、ホーライ!」
俺のスペルカードを掴んで蓬莱人形が何か訴えてきた。
「?……使った方がいいって…もう戦いは終わったよ?」
蓬莱「ホーライ!ホーライ!」
首を横に振る蓬莱人形…何か感じるのだろうか。
「まぁ、使うだけ…使って────」
その時、目の前にナイフが無数に飛んできた。
タッチの差でスペルカードを使うのが速く、アリスを抱えて回避することが出来た……が。
「……あっぶねぇ…!!………って。」
しかし、ナイフが飛んだ先が…。
美鈴「あだーーーっ!!!」
見事に美鈴に当たってた。
咲夜「全く……何か大きな音がすると思いましたが…また門番の仕事をサボってましたね。」
美鈴「あたた……えぇ……っ……私ぃ?」
「あぁ、いや……俺が手合わせをお願いしたんだよ。」
咲夜「なるほど…美鈴、命拾いしましたね……が、そこの地面はどうするつもりで?」
美鈴「……はい……直します。」
「……えぇっと…俺らは…向かおうか?」
アリス「……そうしましょ。」
咲夜「……しかし、貴方程の相手と互角に戦うとは…益々驚くばかりですね。」
美鈴「えぇ……危なかったです。」
咲夜(……2度もあのナイフを躱す…いったい、何者なのでしょうか。)
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