【アリス・マーガトロイド宅】
アリス「はい、これ。」
「……これは。」
買い出し後に差し出されたのは、綺麗に畳まれた服だった。
アリス「貴方、それしか服無いでしょ?
だから作ったのよ。」
「つ、作ってくれたの!?いつの間に……。」
アリス「昨日、貴方がソファーで寝た後よ。
人形作るより簡単だから安心して。」
「そ、っか……うん、ありがとうな、アリス!」
アリス「…っ…お、お礼を言われるような事はしてないわ。」
……何故かそっぽを向かれてしまったが好意に甘えるとしよう。
「早速着替え───」
アリス「め、目の前で着替えるのっ!?」
「あ、ごめん、そうか。」
つい何時もの癖で脱ぎかけてしまった。
アリス(うぅ、少しお腹の部分見てしまった……///)
アリス「……こ、こほん。
それと、もう1つ……貴方にはこれを。」
「……これは、人形?
でも、いつも傍に居る子と違うな…。」
受け取って、じっと眺めていると……。
人形「ホーライ!」
「わっ。」
頭の上にちょこんと乗っかってきた。
アリス「貴方のボディガード役よ。(やっぱり、この子も懐いてるのかしら……不思議ね。)」
「ボディガードって…まぁ、必要か。よろしくな。
……ところで、ずっとそこに乗ったままなのか?」
人形「ホーライ!」
当然!というような感じで誇らしくする人形。
アリス「あら、いいじゃない。似合ってるわよ?
とりあえずお風呂入ったら?」
「似合ってて良い物なのか…分かった、シャワー浴びさせてもらってから着替えるよ。」
アリス「そう、じゃあ私はキッチンの方に居るわね。」
そう言うと、アリスは部屋を出た。
【脱衣所】
「シャワーは、あるんだな…。
この辺も後々聞かないとな…何があるとかないとか」
人形「ホーライ。」
「あぁ、やっぱりついてくるんだね……(監視役も含まれてるのかな…。)
しかし、何でアリスはこうも色々してくれるんだろうか。」
人形「ホーライ?」
「ん?いや、まだ素性もよく分からない人間に対してこうも……。」
人形「ホーライ…。」
やれやれ……と、露骨な表情をする人形。
「手先器用なんだな……凄いな、アリス。」
人形「ホーライ!」
「あっ、ちょ!」
脱いだ服を持って、ふよふよと何処かへ行ってしまう人形。
しばらくすると……。
アリス「な、何で持ってきたのっ!?///」
人形「ホーライ!!♪」
奥から騒がしい声が聞こえた。
「あ、えーーっと……。」
なんだろう、凄く恥ずかしくて死にたい気分…。
「ふぅ……何か、落ち着く…。」
風呂は命の洗濯とはよく言ったものだ。
「……人里…かぁ。」
他にも色んな場所があるんだろうな。
「ちょっと、見て回りたい気もするけど……。」
???「あら、好奇心は大事よ?」
「……へ?」
声。
しかも、上からする。
紫「失礼するわね~。」
「う''ぉっ!?」
上を見上げると、天井から謎の空間を広げてこちらに頭だけ出す紫とか言う女性。
紫「あら、びっくりした?」
「あ、危うく頭を打って死ぬところだったわ!」
紫「まあまあ、ちょっとしたハプニングよ。」
「……ちょっとどころじゃない気がする。」
お風呂覗かれるし○かちゃんってこんな気分なのか。
紫「……で、本題に戻るわね。
色々見て知識を深めるのは良いことよ。」
「……知識、ねぇ。」
紫「もちろん、貴方が行った人里や霊夢が居る神社。
他にも山とか果てには地獄や冥界まで、何でもお揃いよ。」
「……地獄って。」
紫「あら、貴方が思う地獄とは違うわよ?
普通に人間も妖怪も立ち入れる地獄。
まぁ、普通に行くような人間は居ないけども。」
「……随分ウェルカムな地獄なんだな…行くのは躊躇うが。」
それに、問題点だらけだし。
「そもそも、徒歩で行けるような距離じゃないだろ。
それに、妖怪に襲われたら溜まったもんじゃないし。」
紫「あら、人間だって空を飛べるわよ?限られた人だけど。
それに戦うこと出来……ふふっ、この点は、貴方を見込んでるのよ?」
「……見込まれるような事は何もしてないんだが。」
紫「それはお風呂から出た後……あら、そうも言ってられなくなったわね?」
「え?…………あっ。」
後ろを振り向くと……。
アリス「……中々出てこないと思って様子を見に来たら……。」
「ア、アリス……い、いや、これはだな!」
アリス「こ、こっち向くんじゃないわよ!///」
「のわぁああ!ごめん!」
紫「賑やかね~♪」
………………………………………………………………
【アリス宅前】
「……ご、ごめんって。」
アリス「……………………。」
ムスッとしたまま、そっぽを向くアリス。
……いや、まぁ…俺が悪いんだけどさぁ。
紫「ふふっ♪」
「全てはこの覗き魔が……。」
紫「あら、どちらかと言えばスキマ妖怪なのだけれど。」
アリス「最後のまだけは合ってるわね。」
そう言ってジトッとこちらを見るアリス。……視線が痛い。
「んで、家の前に呼び出してどうしたのさ。」
紫「あら、試そうかと思って。」
「試す?何を。」
紫「んー、そうねぇ。
人形遣い、
アリス「は、はぁっ!?」
流石に耳を疑った。
攻撃?さっきの件の落とし前にしては中々ヘビー過ぎないか?
紫「良いから、やってみなさい。」
アリス「や、でも、当たって怪我したら……。」
怪我で済むのか、俺は。
紫「その時はその時よ。」
この人はこの人で、無責任だな。
アリス「……むぅ…分かった……怪我しないでよ、北斗!」
構えるアリス。
隣に居た人形も臨戦態勢を取った。
「マジかよ、アリス……。」
アリス「こ、こうでもしないと先に進まないでしょ!」
そう言うと、初めて会った時見せたような攻撃を繰り出すアリス。
「危ねっ!!」
紫「ダメよ、人形遣い。
ちゃんと狙って攻撃しないと。」
アリス「大真面目にやってるわよ!」
「くっ、ほっ、のわっ!!」
紙一重で躱し続けると、パンッと手を叩く音がした。
紫「はい、そこまで。」
アリス「……えっ、えぇっ?」
「はーっ、はーっ……し、死ぬかと思った……。」
人形「ホーライ。」
膝に手をついて息継ぎをしていると、ハンカチを手に人形が額を拭ってくれた。
「……1番凄いのは、頭の上に乗っかって落ちなかった君か。」
人形「ホーライ!」
アリス「……それで、これで何が分かったの?」
紫「貴方、闇雲に逃げたって訳じゃなくて、全部見えてたでしょ?」
「……いや、まぁ…こっちに向かってくるなってのは分かったけど。」
紫「運動神経だけでは初見でこうも回避する事は出来ないわ。
貴方の
「動体……視力…。」
そんな事、気にも止めた事無かったが。
「でも、それはあくまで人間基準で…だろ?
妖怪とかそんなの相手なら武器になんか……。」
紫「あら、今相手にしてたのは魔法使いよ?
十分通用すると思うのだけれど。」
「あ、そうか。」
アリス「……あっ。」
目が合った、けどすぐ避けられてしまった。
紫「これで
「……1つ目?まだあるのか。」
紫「えぇ、むしろこっちが貴方のメインじゃないかしら?」
「…あっ、飛べるのかって奴か。」
まぁ、無理だろうけど。
紫「良い?まずはイメージをする。
自分の体の中にある力を……こう、バッと出すみたいな。」
「……ごめん、アリス、分かんない。」
アリス「飛ぼう飛ぼうって意識しないで、ふわっと浮かせるような感じよ。」
「……まぁ、まずは…軽くジャンプしてみるか。」
って言っても、そんな簡単に飛べるわけないだろ、ドラゴ○ボールじゃあるまいし。
アリス「北斗!下、下!」
「えっ?…………うぉっ!?」
軽く飛んだはずが下を向くと、アリスや紫が小さく見えていた。
「……俺、跳躍力こんなにあったんだなぁ。」
って、違う違う!どうやって降りるの、俺!?
「う、うおおぉっ!?」
アリス「ちょ、ちょっと!助けないの!?」
紫「言ったでしょ?何とかなるって。」
アリス「何とかって……!」
「飛ぉぉぉべぇぇっ!!」
飛ぶという表現で良いのか分からないが、やれそうな事を精一杯試す。
……が。
「のわぁああぁっ!!」
敢え無く撃沈、さらば我が生涯。
「……いつつ、あれ…生きてる?」
紫「生きてるわね。」
アリス「ど、どうなってるの?」
「……何か、地に足がついてる感覚はない……ゆ、幽霊になったとか?」
アリス「……ちゃんと触れられるわよ?」
ぷにぷにと頬を突っつくアリス。
なぜ頬なのでしょうか。
「……じゃあどうして?」
紫「……少し浮いてるのよ、貴方。」
「……え?」
紫「ほんの微かに、そうね
「……ドラえもんじゃあるまいし。」
アリス「…ドラ……何?」
「でも、何でそんな事出来るんだ、俺。」
紫「簡単よ。貴方が
「特別って……別に向こうの世界で善行を積んだわけでも無いのに。」
悪行を重ねたわけでも無いが。
紫「あら、貴方が特別な人間…それ以上の理由は必要かしら?
ただそれだけの事よ。」
「それだけって……まぁ、現状こうなってるならそう思うしかないか。」
アリス「……ほっ、怪我しなくてよかった…。」
紫「でも、無理は禁物よ?
「弾幕…あのアリスがやった攻撃の事か。」
紫「その内、攻撃の仕方も教えないといけないわね。」
そう言ってアリスの方をちらっと見る紫。
アリス「……人遣いの荒いスキマ妖怪さんだこと……。」
「いや、いいよ…女の子を攻撃する趣味は持っていないし。」
紫「自衛のためでも?」
「もちろん。」
紫「……ふぅん、殊勝な心掛けなのね、少し意外だわ。
でも、覚えておいて損はないわよ。
「え?」
紫「何でもないわ。」
アリス「………………。」
そう言うと、紫は帰って寝るとだけ言い残し謎の空間に入り去っていった。
「……何だったんだ?」
アリス「さぁ……それより、本当に飛べるなんて。」
「自分でも驚いてるよ…精進は必要だけど。」
アリス「……コツは無いわよ、体に覚え込ませるしかないわ。」
そう言うと、俺の手を取るアリス。
「……ア、アリス?」
アリス「ゆっくり息を吐いて。」
「……う、うん。」
目を閉じて飛ぶ意識を一瞬頭に過ぎらせる。
アリス「目を開けてみなさい、北斗。」
「……っ……お、おおっ!」
遂に覚えたのか、舞○術─────
「って、うわぁっ!」
アリス「ちょっ────」
しかし、バランスを取ることが出来ずにアリスの方に偏ってしまう。
「…………あっ。」
アリス「…………~~~~~っ!///」
アリス「………何してんのよ~っ!!///」
「ちがっ、わざとじゃ……!
いっってぇ~~っ!!!!!」
人形「……ホーライ~」
ただ苦笑いを浮かべる人形であったのだ……。
……………………………………………………
【その日の夜】
「いてて……本当に動体視力がいいのかねぇ…。」
人形「ホーライ」
先程の回想をするように、左のパンチを真似する人形。
「弾幕とやらは当たらなくても、パンチはクリーンヒットするとはね……。」
人形「ホーライ!」
胸を指差す人形。
「……いや、うん、その…柔らかか……って、何言わせるねん。」
そんな事を話してる時だった。
─────ガチャっ。
「うぉっ!?……ア、アリスか…どうした?」
アリス「………………。」
……あれ、やっぱりまだ怒って─────
アリス「……寝れない。」
「……うん?」
アリス「寝れない。」
「……そ、そうなんだ。」
アリス「話し相手になりなさいよ。」
「…………。」
この時、俺の脳裏にはこう過ぎった。
断ったら言いふらされそうだ、と。
「……わ、分かった。」
アリス「……じゃあ、部屋で待ってるから。」
「…………ん?」
部屋?待ってる?
「……え、行けと?」
アリス「何か問題でも?」
「……い、いえ、何もありません。」
とりあえず、大人しく従っておこう……。
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