【アリス宅前】
「───────ふっ!」
スペルカードの性能を確かめつつ…自己鍛錬を行っている。
(やっぱり、一撃必殺の攻撃だと使えるまで回避のみになってしまうな…。)
人形「ホーライ?」
身振り手振りで何かを伝えようとする蓬莱人形。
「うーん、威力とかコントロール出来れば幅も広がるって?確かになぁ…。」
何を伝えたいのかは、何となくこちらも分かる。
「…他の人らがどんなスペルカード使うのか身をもって確かめるのもアリかもな。」
人形「ホーライ!ホーライ!」
「危ないって?…まぁ、避ければ良い事だし…って言いたいけど、アリスは怒るんだろなぁ…。」
アリス「そんな怒るって言われてる私から…ご飯、出来てるのだけど?」
「げっ。」
怪訝そうな顔で玄関にもたれ掛かりこちらを見るアリス。
「じょ、冗談だって…。」
アリス「全く、心配する身にもなってちょうだい。」
「…ありがとうね、心配してくれて。」
アリス「……うっさいわよ///」
人形「ホーライ~♪」
アリス「それで、何か分かったのかしら?」
「いや、まだまだ分からない事だらけ…それに、改良しなきゃいけない点だらけだな…。」
アリス「…まっ、使うに越したことはないわよ。」
「そうかもしれないけど…。」
紫「行き詰まってるみたいね~。」
アリス「…時と場合を弁えない妖怪ね。」
紫「あら、私も
アリス「どうだか…怪しいわね…それで用件は?」
紫「折角だし、色んな場所に連れて行ってあげようかと思って。
まだ博麗神社と紅魔館くらいしか行ってないのでしょう?」
アリス「結構よ。」
「…アリスが答えるんだ。」
紫「過保護ねぇ。」
アリス「…誰が過保護ですか。」
「…まぁ、行ってみたいのは行ってみたいが…何処へ連れてく気だ?」
紫「…
「冥………めっ、冥界ぃ???」
アリス「だ、ダメよ!危険すぎるわよ!」
紫「そうかしら?」
「冥界って事は…その…死後の世界って事だろ?簡単に行けるとこなのかよ…」
紫「そうね、認識はあってるわよ。でもここは幻想郷…。
鬼も居れば妖怪も居る…幽霊や仙人だって居る世界よ?
安心なさい、知り合いのところに行くから何も取って食ったりされないわよ。」
「……怪しい。」
紫「信用されてないわねぇ。」
アリス「日々の行いのせいよ、それは。」
紫「それで、行くの行かないの?」
「……行く…けど。」
紫「けど?」
「…アリスも、ついてきてくれるか?」
アリス「私?…しょ、しょうがないわね…死なないように見張っててあげるわよ、特別に…。」
「ありがとう、アリス。」
アリス「…全く…私も簡単な女になっちゃったわね…///」
紫「決まりね、なら直ぐにでも行きましょ。」
アリス「はいはい、食べ終わって片付けたらね。」
……………………………………………………
紫「じゃあ、行くわよ。」
「行くったって…冥界なんてめちゃくちゃ遠いんじゃないか?」
紫「────あら、一瞬よ…
ポン、と紫が手を叩くと、俺とアリスの視界が一気に暗くなる。
「なっ…。」
アリス「…落とすなら落とすって言いなさいよ…。」
アリスは慣れたような感じだったが、俺の目の前に広がるのは…無数の目に囲まれた歪な空間だった。
「…こ、ここは…。」
紫「私の能力…スキマの中よ。」
「…この先が…冥界に繋がってる…と?」
紫「えぇ、すぐ着くわよ。」
アリス「…北斗、ずっと私の手を握ってるのだけれど…」
「あ、あぁ…ごめん…。」
アリス「ふふっ、怖いのかしら?♪」
「ち、違うし…っ!」
アリス「はいはい、そういう事にしといてあげるわ。」
紫「ほら、そう言ってる間に着くわよ。」
地面が見えて着地すると…そこには。
「……静かだな、最初に目が覚めた森みたいに。」
紫「そりゃそうよ、ここは冥界…死者が成仏するか転生するか決まるまで幽霊として過ごす世界よ?
つまり、生身の人間なんて本来居ないのだから。」
「…俺、ここに居ていいのかな?」
アリス「その為に私が居るのでしょう。それに、知見を深める為には必要な事よ。」
紫「そして、この先に私の知り合いが居るわ。
…今頃、お腹を空かせて退屈してる頃…だと思うのだけれど。」
(…幽霊…って、言うけど…俺の目にもしっかり見えてるな…。)
霊感など無いのだが…それでもふよふよと浮かぶ霊が何体もいるのが分かる。
「…俺も死んだら、ここに来るのかな?」
アリス「縁起でもない事、言わないでちょうだい。」
「…いや、こんなにも幽霊が居るもんだから…。」
紫「ここに居るのはほんのひと握りには過ぎないわ。
中には地獄に行く者も居れば…天界に行く者も居る…ふふっ、貴方の行先はどちらかしらね。」
そうこうしてる内に、大きな屋敷へと続く階段の前に着いた。
紫「この先に屋敷の主が────」
「………よっ!」
説明の途中で、俺は一目散に階段を駆け上がった。
紫「あら、飛んで行った方が早いのに…元気な子ねぇ。」
アリス「ちょっ…待ちなさいよ、北斗!転ぶわよ!」
「大丈夫大丈夫!」
段数はそこそこあったが、直ぐに門の前まで辿り着いた。
「…ここが…。」
???「………貴方、客人…の、用ではないようですね。」
声がする方を…振り向く事は出来なかった。
「(…剣先が…向けられてる)……客人、では無いが…来訪者ではある。」
半端な答えなら直ぐにでも切り捨てようと、こちらの首に剣を当てる謎の少女。
???「…貴方、人間のようですが…何故、こちらのような場所へ?」
「…何故…知見を深める為…と、言う回答じゃダメか?」
???「…なるほど、怪しさが増しました。
────即ち、ここで切り捨てます!」
紫「はいはい、ストップストップ。
私が招いたのよ、妖夢。」
俺に少し遅れる事、紫とアリスが門の前に着いた。
???「…紫様が?
…なるほど、理解しました。ご無礼を失礼しました。」
「…誤解が解けて何よ────」
────ゴツン。
「いてっ。」
剣を持った少女に向かい合おうたした時、頭を殴られた。
相手はもちろん…。
アリス「1人で勝手に突っ走らない。」
「…あい。」
???「申し遅れました。私この白玉楼の剣術指南役兼庭師をしています。
魂魄妖夢と申します。其方の御仁のお名前は?」
「北斗だ、柊 北斗…ただの人間だよ。
…妖夢さんも、人間か?」
妖夢「妖夢で大丈夫です。
私は、半人半霊です。」
「…えぇっと、つまり…。」
妖夢「半分人間で半分幽霊のハーフ…と、言った所でしょうか。」
…また新しい種族が居たもんだ。
見た目は普通の少女のようだが…後ろに居る幽霊が半霊の部分を占めてるという事か。
紫「じゃ、私は帰るわね~。」
「えっ、帰るのか?」
紫「眠いし、ここまで案内すれば後は妖夢に任せれば大丈夫よ。
帰りはアリスが知ってるし。」
アリス「そうだけど…全く…。」
そう言うと、本当に紫はスキマを使って帰ってしまった。
妖夢「紫様もああ言いますし…せっかくですので、中へどうぞ。
主にも、ぜひご挨拶を。」
中に入ってすぐに目についたのが…。
「…キレイな桜だな。」
妖夢「やはり、貴方もそう思いますか。」
「あぁ、外の世界でも桜を見る事はあったけど…それよりも何倍も…。」
しばらく眺めていた……その時だった。
???「わーっ、若い男の子だ~♪」
「ふぐっ!?」
後ろから押し倒された。
妖夢「ゆ、幽々子様っ!」
アリス「…鼻の下を伸ばして…全く…。」
「…い、いや、これは…事故でだな…。」
柔らかい…柔らかすぎる…背中越しでも分かるぞ。
???「どうして人間の男の子がここに?」
妖夢「…えっと、紫様のお知り合いだそうです。」
???「紫の?…あぁ~、何となく理解したわ~。」
そう言うと、着物を着た女性は離れてくれた…が、アリスが小突いてきた。
???「はじめまして~、白玉楼の主…西行寺 幽々子で~す。」
「…えっと、柊 北斗です…ただの人間です。」
幽々子「それで、どうしてこんな所に来たのかしら~?」
「幻想郷の事を色々知りたくて…あのスキマ妖…じゃなくて、紫さんから誘われて…。」
幽々子「ふふっ、紫ってば相変わらずなんだから~。」
(…この人も、幽霊…なん、だよな…。)
見た目は普通の女性にしか見えない…が。
幽々子「そうねぇ~…幻想郷の事を知りたいのねぇ…。」
何か考える幽々子さん。
幽々子「私たちで良ければ教えてあげるわ~…ただ~…。」
「ただ…?」
幽々子「────ちょっと、妖夢と一つ手合わせしたら、教えてあげるわ~。」
妖夢「わ、私…ですか…!?」
思わぬ提案に、幽々子さんの後ろに立ってた妖夢が驚いていた。
幽々子「ふふっ、何だか彼…強そうだからつい♪」
妖夢「…分かりました、幽々子様の命ならば。」
刀に手をかける妖夢。
「…よし、怪我しない程度に…な。」
アリス「ちょ、ちょっと、やるの…?」
「大丈夫大丈夫、軽くな。」
アリス「もう…好戦的なんだから…。」
妖夢「…では…参ります…っ!」
その掛け声と共に、刀を即座に抜く妖夢。
「(見える…っ!)…っ。」
紙一重で躱した…と、思ったが髪の毛が数本散った。
妖夢「初見で今のを避けますか…ですが…!」
「(どうする、相手は刀…受身は取れない…。)…一か八か…か!」
拳に力を込めて、振り下ろされる刀にぶつける。
────キィンッ!
金属音と共に、刀を止めることに成功した。
妖夢「…この力…っ!」
「構えとは防御の型…!」
振り終わりで妖夢には隙があった。
幽々子「彼、強いわね~。」
アリス「…え?」
幽々子「荒削りだけど、制御出来れば、きっと…。」
アリス「………。」
妖夢「くっ…!」
「────破ッ!!!!!」
妖夢目掛けて放った正拳突きは間一髪のところで避けられた…が。
衝撃波までは避けられなかったのか、大きく吹き飛ばされた。
「……や、っば…!!」
威力のコントロールが出来なかった事に焦り、妖夢の方を見た。
妖夢「ふっ…!!」
しかし、空中で回転して着地する妖夢。
妖夢「…お強いですね。」
「…いや、まだまだだよ…スペルカードとやらの使い方もよく分かってないし…。」
妖夢「ですが、初見で剣撃を避けられたのは久方ぶりです。」
「紙一重…だが、な。」
幽々子「そうねぇ…北斗さえ良ければ、時間のある時に妖夢に修行を積んでもらったらどうかしら~?」
「え?」
アリス「そ、それは…結構…です、から!」
幽々子「あら、ヤキモチ?」
アリス「違う!///」
「…それは、ありがたいけど…良いのか、そんな簡単に出入りして。」
幽々子「あら、白玉楼の主がOKを出してるのよ?」
「…なら、そうさせてもらうよ。」
妖夢「よろしくお願いします、北斗さん。」
アリス「…全く…聞く耳持たないんだから…。」
幽々子「…はいっ、話が落ち着いた所で…妖夢ぅ~、お腹空いた~。」
妖夢「さっき食べたじゃないですか、幽々子様。」
幽々子「戦ってるところ見てたらお腹空いてきちゃって~。」
妖夢「戦ったならまだしも…見てるだけで空くとはどういう胃袋してるんですか…。」
「…俺らも戻ろうか?」
アリス「えぇ…そうしましょ。」
評価・感想・お気に入り登録
よろしくお願いします。