東方神明夢   作:A×K(アツシくん)

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9幕~スキマ妖怪に誘われ~

【アリス宅前】

 

 

「───────ふっ!」

スペルカードの性能を確かめつつ…自己鍛錬を行っている。

 

(やっぱり、一撃必殺の攻撃だと使えるまで回避のみになってしまうな…。)

人形「ホーライ?」

身振り手振りで何かを伝えようとする蓬莱人形。

 

「うーん、威力とかコントロール出来れば幅も広がるって?確かになぁ…。」

何を伝えたいのかは、何となくこちらも分かる。

 

「…他の人らがどんなスペルカード使うのか身をもって確かめるのもアリかもな。」

人形「ホーライ!ホーライ!」

「危ないって?…まぁ、避ければ良い事だし…って言いたいけど、アリスは怒るんだろなぁ…。」

 

アリス「そんな怒るって言われてる私から…ご飯、出来てるのだけど?」

「げっ。」

怪訝そうな顔で玄関にもたれ掛かりこちらを見るアリス。

 

「じょ、冗談だって…。」

アリス「全く、心配する身にもなってちょうだい。」

「…ありがとうね、心配してくれて。」

アリス「……うっさいわよ///」

人形「ホーライ~♪」

 

アリス「それで、何か分かったのかしら?」

「いや、まだまだ分からない事だらけ…それに、改良しなきゃいけない点だらけだな…。」

アリス「…まっ、使うに越したことはないわよ。」

「そうかもしれないけど…。」

 

紫「行き詰まってるみたいね~。」

アリス「…時と場合を弁えない妖怪ね。」

紫「あら、私も()()で様子を見に来たのだけれど?」

アリス「どうだか…怪しいわね…それで用件は?」

 

紫「折角だし、色んな場所に連れて行ってあげようかと思って。

まだ博麗神社と紅魔館くらいしか行ってないのでしょう?」

アリス「結構よ。」

「…アリスが答えるんだ。」

 

紫「過保護ねぇ。」

アリス「…誰が過保護ですか。」

「…まぁ、行ってみたいのは行ってみたいが…何処へ連れてく気だ?」

紫「…()()よ。」

「冥………めっ、冥界ぃ???」

アリス「だ、ダメよ!危険すぎるわよ!」

 

紫「そうかしら?」

「冥界って事は…その…死後の世界って事だろ?簡単に行けるとこなのかよ…」

 

紫「そうね、認識はあってるわよ。でもここは幻想郷…。

鬼も居れば妖怪も居る…幽霊や仙人だって居る世界よ?

安心なさい、知り合いのところに行くから何も取って食ったりされないわよ。」

「……怪しい。」

 

紫「信用されてないわねぇ。」

アリス「日々の行いのせいよ、それは。」

紫「それで、行くの行かないの?」

「……行く…けど。」

紫「けど?」

 

「…アリスも、ついてきてくれるか?」

アリス「私?…しょ、しょうがないわね…死なないように見張っててあげるわよ、特別に…。」

「ありがとう、アリス。」

アリス「…全く…私も簡単な女になっちゃったわね…///」

紫「決まりね、なら直ぐにでも行きましょ。」

アリス「はいはい、食べ終わって片付けたらね。」

 

 

 

 

 

……………………………………………………

 

 

 

 

紫「じゃあ、行くわよ。」

「行くったって…冥界なんてめちゃくちゃ遠いんじゃないか?」

紫「────あら、一瞬よ…()()()。」

ポン、と紫が手を叩くと、俺とアリスの視界が一気に暗くなる。

 

 

「なっ…。」

アリス「…落とすなら落とすって言いなさいよ…。」

アリスは慣れたような感じだったが、俺の目の前に広がるのは…無数の目に囲まれた歪な空間だった。

 

「…こ、ここは…。」

紫「私の能力…スキマの中よ。」

「…この先が…冥界に繋がってる…と?」

紫「えぇ、すぐ着くわよ。」

 

アリス「…北斗、ずっと私の手を握ってるのだけれど…」

「あ、あぁ…ごめん…。」

アリス「ふふっ、怖いのかしら?♪」

「ち、違うし…っ!」

アリス「はいはい、そういう事にしといてあげるわ。」

 

紫「ほら、そう言ってる間に着くわよ。」

地面が見えて着地すると…そこには。

 

 

「……静かだな、最初に目が覚めた森みたいに。」

紫「そりゃそうよ、ここは冥界…死者が成仏するか転生するか決まるまで幽霊として過ごす世界よ?

つまり、生身の人間なんて本来居ないのだから。」

 

「…俺、ここに居ていいのかな?」

アリス「その為に私が居るのでしょう。それに、知見を深める為には必要な事よ。」

 

紫「そして、この先に私の知り合いが居るわ。

…今頃、お腹を空かせて退屈してる頃…だと思うのだけれど。」

 

 

 

(…幽霊…って、言うけど…俺の目にもしっかり見えてるな…。)

霊感など無いのだが…それでもふよふよと浮かぶ霊が何体もいるのが分かる。

 

「…俺も死んだら、ここに来るのかな?」

アリス「縁起でもない事、言わないでちょうだい。」

「…いや、こんなにも幽霊が居るもんだから…。」

 

紫「ここに居るのはほんのひと握りには過ぎないわ。

中には地獄に行く者も居れば…天界に行く者も居る…ふふっ、貴方の行先はどちらかしらね。」

そうこうしてる内に、大きな屋敷へと続く階段の前に着いた。

 

紫「この先に屋敷の主が────」

「………よっ!」

 

説明の途中で、俺は一目散に階段を駆け上がった。

 

紫「あら、飛んで行った方が早いのに…元気な子ねぇ。」

アリス「ちょっ…待ちなさいよ、北斗!転ぶわよ!」

「大丈夫大丈夫!」

段数はそこそこあったが、直ぐに門の前まで辿り着いた。

 

 

「…ここが…。」

???「………貴方、客人…の、用ではないようですね。」

声がする方を…振り向く事は出来なかった。

 

 

「(…剣先が…向けられてる)……客人、では無いが…来訪者ではある。」

半端な答えなら直ぐにでも切り捨てようと、こちらの首に剣を当てる謎の少女。

 

???「…貴方、人間のようですが…何故、こちらのような場所へ?」

「…何故…知見を深める為…と、言う回答じゃダメか?」

???「…なるほど、怪しさが増しました。

────即ち、ここで切り捨てます!」

 

紫「はいはい、ストップストップ。

私が招いたのよ、妖夢。」

俺に少し遅れる事、紫とアリスが門の前に着いた。

 

???「…紫様が?

…なるほど、理解しました。ご無礼を失礼しました。」

「…誤解が解けて何よ────」

 

 

────ゴツン。

 

「いてっ。」

剣を持った少女に向かい合おうたした時、頭を殴られた。

相手はもちろん…。

 

アリス「1人で勝手に突っ走らない。」

「…あい。」

 

???「申し遅れました。私この白玉楼の剣術指南役兼庭師をしています。

魂魄妖夢と申します。其方の御仁のお名前は?」

「北斗だ、柊 北斗…ただの人間だよ。

…妖夢さんも、人間か?」

 

妖夢「妖夢で大丈夫です。

私は、半人半霊です。」

「…えぇっと、つまり…。」

妖夢「半分人間で半分幽霊のハーフ…と、言った所でしょうか。」

…また新しい種族が居たもんだ。

見た目は普通の少女のようだが…後ろに居る幽霊が半霊の部分を占めてるという事か。

 

紫「じゃ、私は帰るわね~。」

「えっ、帰るのか?」

紫「眠いし、ここまで案内すれば後は妖夢に任せれば大丈夫よ。

帰りはアリスが知ってるし。」

 

アリス「そうだけど…全く…。」

そう言うと、本当に紫はスキマを使って帰ってしまった。

 

妖夢「紫様もああ言いますし…せっかくですので、中へどうぞ。

主にも、ぜひご挨拶を。」

中に入ってすぐに目についたのが…。

 

「…キレイな桜だな。」

妖夢「やはり、貴方もそう思いますか。」

「あぁ、外の世界でも桜を見る事はあったけど…それよりも何倍も…。」

しばらく眺めていた……その時だった。

 

???「わーっ、若い男の子だ~♪」

「ふぐっ!?」

後ろから押し倒された。

 

妖夢「ゆ、幽々子様っ!」

アリス「…鼻の下を伸ばして…全く…。」

「…い、いや、これは…事故でだな…。」

柔らかい…柔らかすぎる…背中越しでも分かるぞ。

 

???「どうして人間の男の子がここに?」

妖夢「…えっと、紫様のお知り合いだそうです。」

???「紫の?…あぁ~、何となく理解したわ~。」

そう言うと、着物を着た女性は離れてくれた…が、アリスが小突いてきた。

 

???「はじめまして~、白玉楼の主…西行寺 幽々子で~す。」

「…えっと、柊 北斗です…ただの人間です。」

幽々子「それで、どうしてこんな所に来たのかしら~?」

「幻想郷の事を色々知りたくて…あのスキマ妖…じゃなくて、紫さんから誘われて…。」

幽々子「ふふっ、紫ってば相変わらずなんだから~。」

(…この人も、幽霊…なん、だよな…。)

見た目は普通の女性にしか見えない…が。

 

幽々子「そうねぇ~…幻想郷の事を知りたいのねぇ…。」

何か考える幽々子さん。

 

幽々子「私たちで良ければ教えてあげるわ~…ただ~…。」

「ただ…?」

 

幽々子「────ちょっと、妖夢と一つ手合わせしたら、教えてあげるわ~。」

妖夢「わ、私…ですか…!?」

思わぬ提案に、幽々子さんの後ろに立ってた妖夢が驚いていた。

 

幽々子「ふふっ、何だか彼…強そうだからつい♪」

妖夢「…分かりました、幽々子様の命ならば。」

刀に手をかける妖夢。

「…よし、怪我しない程度に…な。」

アリス「ちょ、ちょっと、やるの…?」

「大丈夫大丈夫、軽くな。」

アリス「もう…好戦的なんだから…。」

 

 

妖夢「…では…参ります…っ!」

その掛け声と共に、刀を即座に抜く妖夢。

 

「(見える…っ!)…っ。」

紙一重で躱した…と、思ったが髪の毛が数本散った。

 

妖夢「初見で今のを避けますか…ですが…!」

「(どうする、相手は刀…受身は取れない…。)…一か八か…か!」

拳に力を込めて、振り下ろされる刀にぶつける。

 

 

 

 

 

 

────キィンッ!

 

 

 

金属音と共に、刀を止めることに成功した。

妖夢「…この力…っ!」

「構えとは防御の型…!」

振り終わりで妖夢には隙があった。

 

幽々子「彼、強いわね~。」

アリス「…え?」

幽々子「荒削りだけど、制御出来れば、きっと…。」

アリス「………。」

 

 

妖夢「くっ…!」

「────破ッ!!!!!」

妖夢目掛けて放った正拳突きは間一髪のところで避けられた…が。

衝撃波までは避けられなかったのか、大きく吹き飛ばされた。

 

「……や、っば…!!」

威力のコントロールが出来なかった事に焦り、妖夢の方を見た。

 

妖夢「ふっ…!!」

しかし、空中で回転して着地する妖夢。

 

妖夢「…お強いですね。」

「…いや、まだまだだよ…スペルカードとやらの使い方もよく分かってないし…。」

妖夢「ですが、初見で剣撃を避けられたのは久方ぶりです。」

「紙一重…だが、な。」

 

幽々子「そうねぇ…北斗さえ良ければ、時間のある時に妖夢に修行を積んでもらったらどうかしら~?」

「え?」

アリス「そ、それは…結構…です、から!」

幽々子「あら、ヤキモチ?」

アリス「違う!///」

 

「…それは、ありがたいけど…良いのか、そんな簡単に出入りして。」

幽々子「あら、白玉楼の主がOKを出してるのよ?」

「…なら、そうさせてもらうよ。」

妖夢「よろしくお願いします、北斗さん。」

アリス「…全く…聞く耳持たないんだから…。」

 

幽々子「…はいっ、話が落ち着いた所で…妖夢ぅ~、お腹空いた~。」

妖夢「さっき食べたじゃないですか、幽々子様。」

幽々子「戦ってるところ見てたらお腹空いてきちゃって~。」

妖夢「戦ったならまだしも…見てるだけで空くとはどういう胃袋してるんですか…。」

 

「…俺らも戻ろうか?」

アリス「えぇ…そうしましょ。」




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