僕は今、ゲヘナ学園に来ている。理由は便利屋の陸八魔さんに用があると呼ばれたからである
「僕そもそも連絡先の交換してないよね?」
そんな疑問がありながらも言われた通りに、ゲヘナの外れにある廃船庫を目指した
ドカアアアアッ!!
「うわっあああっ!」
「きゃぁーー!」
どこからか爆発音と共に悲鳴や叫び声が聞こえてきた
「な、なに!?」
「温泉開発部だ!」
「この場所でいい温泉が出るはずだ!」
「掘れ掘れっ!」
「爆破だ!発掘だ!」
「温泉を掘り当てろぉ!」
すると一人がこちらを見て近づいてきた
「なんだ?君は」
「いや……僕は何も関係ない一般人、です」
「お前、乙骨憂太だな?丁度よかった!いい温泉ができる場所を教える変わりに乙骨憂太っていう男子生徒と話すように言われてたんだよ」
「僕と話す?なんでですか?」
「それはわからねぇが、何より目的も達成できたしよかったよかったー」
「温泉ができたら呼んでやるから、まぁ待っとけ」
(……なんかまずいのに絡まれた!)
隙をみて逃げ出そうと様子を伺っていると、何やら温泉開発部の人達が散り散りに逃げていく
「次期風紀委員長候補の空崎ヒナが来たぞ!」
「な、なに!?お前達退散だ!!」
その一言でさっきまでたくさんいたはずの温泉開発部の生徒たちは誰一人としていなくなった
「本当に何だったの……?」
ーー
道中思わぬハプニングに巻き込まれそうになったが、なんとかたどり着くことができた。そこは薄暗い空間は割れた窓ガラスからの一筋の光によって照らされていた
「よ、よく来てくれたわね!乙骨憂太!!」
奥の方から声を掛けられる
「呼ばれましたので……それでどうしたんですか?」
「うっそーあるちゃん、本当にこの子やっちゃうの?」
「警戒心がなさすぎるね」
そう言われて頭に銃口を突きつけられる
「あ、あのどういう意味ですか?」
「……私達が受けた今回の依頼の内容、それは乙骨憂太、あなたの殺害よ」
「さっ……!」
「で、でも安心して!私だってそう簡単に人殺しなんてしないわ」
「それにしてもなんで依頼主はこんなか弱そうでヘイローもない子の殺害なんて頼んだんだろうね」
「……。えっと乙骨憂太?その実はトリニティの重要人物だったりしない?」
「いえ、特にそんなことは……あっ、一応ティーパーティーの聖園の先輩には目をかけてもらっています」
「っ!」
「なるほど〜」
「なになに?ムツキ、カヨコ何か分かったの!?」
「うん、社長。依頼主の目的、それはゲヘナとトリニティの全面戦争かもしれない」
「ゲヘナとトリニティの!?」
「ど、どういうことですか!?」
「私の憶測になるけど、もし私たちが乙骨憂太を殺したらその聖園って人が私たちに強い怒りを持つ。そしてその聖園って人はティーパーティーの一人……。そんな権力を持った人が動こうと思えばゲヘナへの侵攻は容易に始まってしまう」
つまり僕が死んでしまうと学園同士での争いに発展してしまうということだろうか?
「いくら何でも考えすぎじゃ」
言いかけたが鬼方さんが叫ぶ
「伏せてっ!」
ダダダダダダッッ!!
4人はとっさに身をかがめた
「うわ〜完全にハメられたねあるちゃん」
「こっちが気づくのは想定内ってわけ……」
「とと兎に角ここは危ないわ!裏口から逃げましょう!」
陸八魔さんの指示で皆で裏口に向かうが、当然のように待ち伏せをされていた
「社長、どうする!」
「強行突破するしかないわ!」
「おっけぇ、いくよっ!」
僕も手持ちの拳銃で援護射撃を行う、命中率はそこそこといったところだが
「なんとか待ち伏せしてた奴らはやれたけど」
「これはまだまだ増援が来そうだね」
「早いとこ離れましょう!」
しかし次の瞬間、思わぬことが起きた
ドカアアアアン!!
先程までいたはずの廃船庫が突然大爆発を起こしたのだ
「な、なんで!?ムツキ?」
「爆弾なんて仕掛けてなかったよ?」
「っ!?社長!」
ダァァッン!
「陸八魔さん!!」
その生徒達は僕ら4人を取り囲むようにして銃を構えた
「風紀委員会だ!大人しくしろ!」
「くっ……社長、立てる?」
「えぇ、私はこんなところやられたりしないわ」
「それじゃあ君は逃げてね」
浅黄さんがそう言う、きっとそれは僕一人だけということだろう
「逃げるって……!」
「私たちが巻き込んだのは事実、それに戦い慣れてないでしょ」
「……。」
なにも言えない、それでも僕だけが逃げるなんて……
「乙骨憂太!忘れたの?私たちが目指すのはハードボイルドなアウトローよ!!」
「っすみません、ありがとうございます」
そう僕が告げると浅黄さんが爆弾を放り投げ、道ができる。僕はその隙を逃さずに全力で走ることにした
「あるちゃん!今のは最高にアウトローだったね!」
「せめて時間稼ぎにはなるといいんだけど……」
「便利屋68の意地を見せてやりましょう!!」
ーー
僕が便利屋から少し離れたところまで逃げても未だ風紀委員会に諦める気配は感じられない
「……っ!うわっ」
足に激痛が走る。撃たれた、まだ距離はあったはずなのに、なんとかやり過ごそうと路地裏に身を潜める。しかしだんだんと足音は近づいてくる
「隠れても無駄よ」
どこか冷たい目つきの白くて長い髪をもつ生徒がそう告げた。そしてその手には巨大なバレル式のマシンガンが握られていた
「……。」
「あなたはトリニティの方の生徒ね、ゲヘナに何のようかしら?」
「ぼ、僕はただゲヘナの観光に来ただけで!」
「……?温泉開発部の騒動の時、今の便利屋の騒ぎ、少し前にあった美食研究会による店の爆破テロ、そのいずれにもあなたの目撃情報があるわ。これが偶然と言える?」
僕はただ黙り込むことしかできなかった。違う、僕は。本当に偶然だったはずなのに、それでもどこか出来すぎた偶然だった
「あなたが裏で糸を引いていた。そう考えればすべての騒動に納得がいくと思わない?」
「はあっ、はあっ、はあっ」
息があがる。そんなわけない、僕はそんな──しかし向こうの準備はすでに完了してるようだ
「ゲヘナを好き勝手にはさせない」
「違うっ!僕は!……っ!」
ギシッギシミシッ
「まっ、待って!」
ゆうだを゙を゙を゙ーー虐るなぁ゙ぁ゙!!
その生徒が僕を撃つのとほぼ同時に里香が現れた
ドガァアンッ!!
勢いよくその生徒は横に殴り飛ばされる
「くっ、なんて、パワーなの……?」
その生徒はフラフラとしながらも立ち上がり再び武器を構える。が、
(っ!まずい!!ここでくらったら……)
そんな彼女に容赦なく里香はとどめの一撃を放った。里香の一撃はその生徒を反対の建物まで吹き飛ばしてしまった
「も、戻って!里香ちゃん!」
憂太の声が届いたのかは分からないが里香は大人しく引っ込んでくれた。僕は1秒でも早くこの場から逃げ出したくてすぐに路地をでて走り出した
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