僕が安全な場所に避難した後すぐに交代した戦車が倒され、あっという間に大人の男性がワカモさんのいる建物へと侵入してしまった
(ヤバい、ワカモさんに伝えなきゃ)
・
私はなんとか目的地にたどり着く事が出来た。外では生徒たちが見張ってくれているので襲撃に遭う心配はないだろう、そう思い奥へと進んでいくと人の気配を感じだ
(っ!)
そこにいたのは先程聞いていたこの騒動の主犯格と思わしき人物だった
(……落ち着いて、相手はどうであろうと生徒だ。しっかりと向き合わなければ、ここは大人としての余裕を見せよう)
『やっ、こんにちは』
「……あら?あららら……」
軽い挨拶をしてみたところその生徒は直ぐに動揺し始めた
「し、し……失礼致しましたー!!」
そう言い残すと彼女はあっという間にいなくなってしまった
(なんとかなった……)
そう思い振り返るとリンちゃんが丁度やってきた
・
「連絡がつかない……まさかワカモさんもやられたとか──」
「うふふ、ある意味やられてしまいましたわ」
「うわっ!ワカモさんいつの間に!」
不意に後ろから声をかけてきたワカモさんに驚き思わず大きな声を上げてしまった
「わたくし、いわゆる一目惚れというのを体験してしまいましたわ。憂太さんが話していたようなものが少し理解できたかもしれません」
「そ、そうですか。兎に角無事でよかったです」
「それで、まだ連邦生徒会を攻撃するんですか?」
「いえ、あの方があちら側にいる以上わたくしもあちら側に攻撃するわけにはいきません。これにて連邦生徒会への復讐は完了としましょう。憂太さんはこれからどうしますか?」
「僕は、うーん……ネットを漁っても解呪の前例がほとんど載ってなかったし、ワカモさんが言っていた百鬼夜行連合学院の方に行ってみたいところですが」
「指名手配さされているため他学園を訪れることができないということですか」
そう、忘れてはいけないのが今自分が指名手配中であるということだ。ワカモさんのお陰で危険な目に遭うことはないが行動できる範囲が限られている分、里香の呪を解く手掛かりも見つかりにくくなってしまうのだ
「ワカモさん、僕は脱獄犯にはなってしまいましたがそもそも捕まっていた事自体が冤罪です。僕はここからしばらくはこの地区にある情報屋や図書館などを漁ってみます」
「それはお別れ、と捉えて大丈夫でしょうか?」
「ワカモさんに頼りっぱなしな訳にはいきませんからね。一度ここでお別れです」
「そうですか。なにか困ったことがあればいつでも連絡してくださいね。わたくしは百鬼夜行連合学院の方にある拠点を整理しに行きます、それでは」
「はい、またよろしくお願いします」
僕はワカモさんと別れた
ーートリニティ総合学園
トリニティ総合学園では今の現状の把握を目的としてトリニティ内の代表が集まる会議が行われていた
ダンッ!
ナギサが机に手を叩きつける音が部屋中に響き渡る
「……。」
「あり得ません!」
「ナギサ様、お気持ちはわかりますが……」
サクラコがなだめようとしたが、すでにナギサは限界まで来ていた
「わけもわからない罪で捕まってしまった憂太さん。そこに関しては私たちには同仕様もありません、しかし……しかし!」
「面会拒否ですか」
「憂太くん……」
「面会拒否した挙げ句に矯正局から脱獄、七囚人と共に指名手配された上に先日の連邦生徒会への大規模な暴動で憂太さんと思わしき人物の目撃情報がある?こんなふざけた冗談受け入れがたいですね!」
「そもそもゲヘナがありもしない罪をなすりつけたんだから、やっぱりゲヘナとは戦争するしかないじゃんね☆」
「ゲヘナとの戦闘は避けるとして、それよりももっと深刻なのは……」
「セイアちゃん……」
百合園セイア、彼女はつい先日何者かの襲撃に合いヘイローを破壊されてしまった(=殺されてしまった)のだ
「乙骨憂太さんの被害賠償および拘束依頼、百合園セイアさんの殺害、救護騎士団部長のミネさんは行方不明」
「……。」
「……。」
「……。」
もはや今の絶望的な状況を打破する策は残っていなかった。トップであったナギサは精神的にダメージをうけ人間不信になり、ミカはセイアの死と憂太の指名手配が相当ショックだったようで前よりも明るさが減っていた。そんなトップをサクラコとツルギは黙って見守ることしかできなかった。生徒のみで解決するにはあまりにも事態が重すぎたのだ
「憂太くん……私は信じていますからね」
ヒフミは憂太の机にそう告げて帰宅した
ーー
「だめだぁ……ここの図書館新しすぎる。呪なんてジャンルがそもそも少ないし」
情報屋から情報を聞き出そうにも怯えられてしまい上手くいかなかった
「現金稼げるからバイトしながらで情報収集してるけど、そろそろバレそうだな」
呑気に考え事をしながら歩いているとこないだの大人の男性が目にはいった。確かシャーレって部活のの先生?って呼ばれてるらしいけど──その瞬間凄まじい強さの風が吹いた。どこか嫌な予感がした憂太はその大人の頭上を見上げる。老朽化した看板が外れ落下していく
(こ、このままじゃあの人が下敷きに!でも今の僕が助けに行ったら……っ!)
「危ないっ!!」
僕は意を決してその人、シャーレの先生に対してタックルを行った。不意打ちにより見事に弾き飛ばすことができた
『いっててぇ……』
「だ、大丈夫ですか!?」
『平気だよ。助けてくれてありが──も、もしかしてユウカが言ってた危険な男子生徒っ!?』
「えっ!?いや、まったく危険じゃないです!」
『だ、だよね!』
少し不安げな表情をしていたが、すぐに危険がないと判断してくれたようだ
『私はシャーレの先生、よければだけどなんで指名手配なんかされてるのか聞いてもいい?』
僕はその質問に対して捕まった経緯と冤罪であること、そして自分は呪いを解く方法を探していることを伝えた
『呪い?』
あまりにも真剣に聞いてくれるので気づけば里香のことまで喋っていた
『そっか、じゃあ憂太はその里香ちゃんの呪を解く方法をさぐってるんだ』
「はい……ですが今の身では他学園にいくこともできずで」
『それならさ、もし憂太がよかったらだけどシャーレで働いてみない?』
「えと、僕が?シャーレで!?」
思ってもみなかった返答に困惑していると先生が言葉をさらに続ける
『リンちゃんに許可をもらえたらだけど、シャーレに加入してれば先生の手伝いという名目で他学園にも行けると思うんだ』
「先生は指名手配されている僕でもいいんですか?」
『もちろん!憂太がそんな事する子には見えないし、何よりも生徒が困ってるんだ。先生として助けるのは当然だよ』
なんて眩しい人なんだ世の中を探し回ってもここまでの聖人にはそう出会えないだろう。これはワカモさんが惚れるのもわかる
「わかりました。僕は自分の力でたくさんの人を助けられる、頼りにされるような存在になって楽しかったあの日々を取り戻す。そして、いつか絶対に里香の呪を解きます!!」
憂太は先生の前でそう宣言した
その後、先生いわく連邦生徒会の代行の人にはだいぶ渋られたようだっが、僕を見える範囲で監視することができるため、シャーレで雇うことに利があると判断されたようだ
僕はこれからもシャーレで活動していくことになるだろう。シャーレに雇われた初日、郵便受けに一通の手紙が入っていた。僕はそれを持ち先生の元へと向かった
次回から一章のアビドス対策委員会編にはいります