本編外を書くのは難しいですね
不吉な気配
僕はエレベーターに乗り込んだ、降りてすぐの扉をノックする。中からは『は〜い』と寝起きの先生の声が聴こえてきた
「失礼します。先生、早速ですがポストに手紙が届いていましたよ」
『憂太、ありがとうね』
そう言って先生は手紙を読み始める。そして読み終わったのかタブレット端末に向かって何やらブツブツと呟いている
『憂太、今からアビドス高等学校に行こう!』
先生は急に立ち上がりそう宣言する
(ア、アビドス高等学校なんて聞いたことないな)
「すぐに準備を始めますね先生」
ーー
(……。)
『……。』
今は僕らはアビドス自治区に来ている。一面砂漠の砂で覆われ本当にここに学校があるのかすら怪しい
「……先生、この建物さっきも見た気がします」
『ここまで砂漠化が進んでるとマップが更新されてなくてわからない。憂太、水ある?』
「えっ?先生持ってきてなかったんですか?」
『ここまで迷うと思わなくてーペットボトル1本しか持ってこなかった☆』
「うぅ、先生を信用し過ぎたかもしれません……僕も水は2Lのペットボトル1本と水筒だけですよ」
『ここまでくる完全に迷子だね』
「遭難の方が正しい気がしますね……先生、あの坂越えましょう」
『着実に近づいてはいるはず』
ダダダダダダっ!
『憂太!』
「先生伏せて下さいっ!」
ダァッン!ダァッン!
いきなりヘルメットを被った集団が現れた。反撃として2発撃ち込む
『戦闘指揮は任せて!』
「里香の攻撃の巻き添えになるかもしれません!先にまっすぐ進んで下さい!僕はこの人達を倒して追っかけるので」
『そ、そっか里香が居るから不用意に戦ってる憂太に近づいちゃいけないんだったけ』
「はい!僕が里香の力を完全に制御できるようになるまでは」
『憂太!少しでもまずいと感じたら逃げてね!』
「先生もお気をつけて……」
「おらっ!どこ見てやがる!!」
「いてっ……」
ガコンッ
「ぐはっ」
相手は4人、そのうち2人はdownしてるし何とかなるかな!?
ーー
「ぐっ、はぁはぁ」
ダァッン!
「なんとかなったぁ……」
左肩に一発撃ち込まれてしまったが、人数不利でこの程度で済んだのは奇跡だろう
戦いの熟練者から見ると今の戦いは目も当てられないようなものだったであろう。最初の方こそ良かったのだが、僕は障害物が少ない場所で走り回り続けるほどの体力を持ち合わせていない。すぐにバテてしまったが、相手もあまり銃の扱いが上手くなかった
そこからは泥仕合だったが、銃の正確性が高い僕がなんとか勝った
「医療キットは持ってきておいて正解だった」
そう言い持ってきた医療キットを使い応急手当を済ませた
「えっと、だいぶ先生と距離が開いちゃったけどどうしよう」
倒れているヘルメットの集団の1人をつついてみるが反応はない
(困ったなぁ、これ歩いて追いかける方がいいかな?)
ーー視点ホシノ
『やあ、アビドスのみんなシャーレの先生だよ』
「死体じゃなかったんだ」
「アヤネちゃんの支援要請が通ったんじゃないですか?」
「えっ!?先生!本当ですか」
『ほら、シャーレの首飾り』
「これで好きなだけ銃を乱射できますね☆」
「ん、物資も底をついかけていたから助かった」
『それと、あともう一人来るはずなんだけど……』
対策委員会の部室からそんな会話が聞こえてくる
「うへ〜なんか騒がしいと思ったら大人の人ー?」
「ホシノ先輩!アヤネの支援要請が通ってシャーレの先生が来てくれたんだよ」
そう言ったのは後輩のセリカちゃん
(連邦生徒会が今更動いてるの〜?おじさんそれはちょっと笑えないなー)
「そっかぁー先生、わざわざありがとね〜」
思ってもいないが支援物資は助かる
「ん?」
シロコちゃんが何かに反応したように廊下に目をやっている。私もよく耳をすましてみると廊下から足音が聞こえてくる
(誰か来る……なんだろう、この違和感。すごく不思議な─)
ガラガラッ
「こ、こんにちは」
ドアが開けられた瞬間に理解した。この違和感の正体、コイツだコイツから発されてる禍々しい気配
「動くなっ!!」
中に入ってきたのは普通の男子生徒といった見た目だったが、私は騙されない。すぐに愛銃を手に取り構える
そんな私の動きに反応してかシロコちゃんとセリカちゃんも同じようにそいつに銃を向けていた
「君、こんな何もないところにわざわざ何しに来たの?何が目的?」
問いただすように聞くが怯んでしまってか一言も発してくれない。危険があるようなら撃つ
そう思ったのも束の間だった。次の瞬間には私は壁にぶつかり地面に倒れ込んでいた
ギシッギシミシッ
「っ!」
ゆうだを゙を゙を゙ーー虐るなぁ゙ぁ゙!!
目の前には怪物がいた。どうやら私たちはあの腕に吹き飛ばされてしまったようだ
(みんなを守らないと、私が)
しかし最悪なことにも銃はその怪物に取り上げられていた
『ちょ、ちょっと待って!憂太ストップストップ』
「無理ですよ!里香ちゃんが満足するまでは」
あの先生がこの状況を見て止めに入った。怪物を呼んだ当の本人は怪物を制御できないようだ、反撃を考えたが怪物がそれ以上襲ってくることがなかったので怪物が引っ込むまで大人しくすることにした
ーー憂太視点
『──それで憂太にはさっきの里香が取り憑いてて、憂太に危険があると守ってくれるんだ』
「うへ、さっきのやっぱおじさん達が悪かった感じ?」
「ん、納得いかない。屈辱的」
「あの姿、うぅ思い出すだけで震えが止まらない」
先生が僕に代わっていろいろと説明してくれているようだ、とても申し訳ない。そもそも会ってそうそう銃を構えられるのは予想外、よそ者だからというよりはみんな何かの気配を感じているようだった。もしかすると里香のオーラは、想像以上にキヴォトスの人にとって邪悪でわかりやすいのかもしれない
「あの、乙骨さん先程はいきなり銃を構えてしまい申し訳ありませんでした」
「こちらこそすみません、まだ制御しきれてなくて」
「はい、先生から聞きました」
「うへーおじさんからも謝らせてね」
「謝るのも必要ですが、まずは自己紹介をしましょう☆」
「私は2年の十六夜ノノミです☆」
「同じく2年の砂狼シロコ、先生を助けてここまで運んだのは私。自慢じゃないけど」
(先生、結局道中で倒れたのか)
そんな思いを込めて先生の方に目をやると、申し訳なさそうな顔をしていた
「1年の黒見セリカ、私はまだ根に持ってるからね!」
「1年の奥空アヤネです。よろしくお願いします」
「おじさんはおじさんだよ〜」
「お、おじさん……」
「えっとおじさんはホシノ先輩の一人称みたいなもので、小鳥遊ホシノ先輩です」
どうやら小鳥遊さんが3年生で1番の先輩らしい。それよりももっと驚いたのはこの学校の生徒はここにいる5人で全員ということだ
自己紹介が終わると奥空はホワイトボードの前に立ち、先生に向って話し始めた
「先生には私たちアビドス対策委員会の現状についてお話しま──」
ダダダダダダッ!
『銃声っ!』
「げっ、さっきのヘルメットの人達じゃん」
行くときに会ったのと同じようにヘルメットを被った人達が複数集まって銃を乱射していた
「あいつら性懲りもなく!」
「でも今日は物資も届きましたし弾を使いたい放題ですね」
慣れているのか、対策委員会のみんなは素早く戦闘の準備をして外に飛び出していた。僕も少し遅れてそれについて行く
(しかし里香の発動を恐れて無闇に前線に出るわけにもいかない)
そのため、今回ばかりはみんなに任せることにした
『みんな、戦闘指揮は私が取るよ』
真横を見るとそこにはタブレット端末を持った先生が立っていた