乙骨くんの憂鬱アーカイブ   作:イルカライフル

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仲間として

 

今日も憂太はアビドス高校に顔を出していた。やることがないというのもあるが、早くみんなと仲を深めたかったからだ

 

 

「お、おはようございます……」

 

 

「わぁ、憂太さんですね。おはようございます」

 

 

僕が着いた頃にはセリカさんと先生を除く全員が揃っていて、各々の時間を過ごしていた

 

(気まずい、先生早く来て下さい!)

 

結局、仲を深めるどころか自ら距離を置いてしまった

 

 

「憂太、やることがないなら私と勝負しよう」

 

 

「え?たぶん僕ボロ負けで」

 

 

「問題ない、私が鍛える」

 

 

断るとさらに気まずくなってしまいそうなので憂太はそれを承諾するしかなかった

 

 

「手加減はしてくださいね」

 

 

「憂太はヘイローがないから私はBB弾を使う、私に一発当てれたら終わり」

 

 

「当たるまで続くんですか!?」

 

 

「いくよ」

 

 

「は、はいお願いします」

 

 

(せっかくの機会だ、BB弾でも実弾を想定して動く!)

 

しかし、その考えが浅はかであることを憂太は思い知ることになった。開始の合図とともに視界から砂狼さんが消えた

 

(速いっ)

 

砂埃を頼りに乱射してみるが当たっている感じはしない、もしかしたら後ろに?と感じて後ろを振り返ると頬にデコピンされたような痛みを感じた。

 

既に砂狼さんがBB弾入りの銃を僕に向けて構えていたのだ

 

 

「イダッ」

 

 

「ん、がら空き弱々すぎる」

 

 

「み、見えなかった……」

 

 

「憂太が当てれるまで続くよ」

 

 

「今度こそ──」

 

 

後ろから、正面から、右から左から上から遠くから。ひたすらに当てられ続けた

 

最初の内は分からなかったが砂狼さんを僕が見失なうのは、開始と同時に砂狼さんが地面を蹴って砂埃を立てているからだ

 

ならば真似をすればこちらも視界を遮れると思うが僕にはそこまで足の力がない、なんとか走り回ることで再現できたが体力を消耗するし砂狼さんの位置の特定はできずに撃たれて終わってしまった

 

(次に考えないといけないのはどうやって砂狼さんを見つけるかだ)

 

砂埃がある上に砂狼さん自体が俊敏なため単純に狙って撃っても当たらない。適当に撃って当たるのを祈るのは現実的ではない

 

(……砂狼さんは基本一定の射程距離を保って僕にBB弾を命中させている。でも、それは"最初の方だけ"だった)

 

たぶん僕が砂埃を起こすために走り始めてからだ。いくら砂狼さんでも動く見えない敵を的確に狙うのは至難の技、止まって撃つか距離を詰めて撃ってくる

 

(砂狼さんが止まるのは僕が走ってて砂埃が舞ってる間だから僕からも上手く当てるのは難しい。なら)

 

砂埃が少し晴れて砂狼さんの持つ銃身が見える。狙うのは──カウンターしかない

 

 

「ここっ!」

 

 

身を引かずに逆に砂狼さんの懐に潜り込む、砂狼さんも予想外だったようで撃った弾が外れる。体制を立て直すのが間に合わない砂狼さんの持つ銃を左手で掴み片手で狙った一発を撃ち込む

 

 

「……っ!」

 

 

しかしそう簡単にはいかないようで砂狼さんは銃から手を離す判断をして思いきりを身をひねった。僕の銃弾は砂狼さんの服の裾を掠めるだけだった

 

 

「私の20勝」

 

 

「当てられると思ったのに」

 

 

「今日はこのくらいにしておこう、先生も来たみたいだし」

 

 

「またお願いしますね。砂狼さん」

 

 

「シロコ」

 

 

「っ!よろしくお願いします。シロコさん」

 

 

最初はただの撃ち合いに思えたが砂狼さ……シロコさんなりの仲を深める方法をだったのかもしれない

 

 

『シロコ、憂太おはよう』

 

 

「先生、遅かったですね」

 

 

「おはよう先生」

 

 

「2人ともだいぶ運動してたみたいだしラーメンでも食べに行かない?」

 

 

「ラーメンですか?」

 

 

小鳥遊さんからの提案だったが先生は行く気満々だったので一緒に行かせてもらうことにした

 

 

ーー柴関ラーメン

 

店に入るとそこにはバイト服の黒見さんがいた。黒見さんはこちらに気づくと明らかに驚いた表情をしていた

 

 

「な、なんでみんなここに!?」

 

 

『セリカ発見!』

 

 

「先生まで、やっぱりストーカー!?」

 

 

この様子だとどうやら先生は信頼の取り方を盛大に間違えたようだ

 

 

「うへ、先生はちょっとしか悪くないよー。セリカちゃんのバイト先といえば、やっぱここしかないじゃん?」

 

 

「おお、アビドスの生徒さんか。セリカちゃん、おしゃべりはそれすらいにして、注文受けてくれな」

 

 

そういったのは恐らくこの柴関ラーメンの店主であろう。柔らかな笑みと大人特有の余裕を感じられ、一目見ただけで良い人だと感じられる

 

案内された席に座りそれぞれ好きなラーメンを頼む、今の僕はバイトや手伝いで稼いだお小遣いくらいしかなく、基本的にシャーレの部費を使わせてもらっている。席は僕がシロコさんの隣、先生が十六夜さんの隣だ

 

シャーレの部費は今のところ使う機会がないのでラーメン一杯食べたところで、まったく問題ないのだが先生が皆んなに奢ってくれるらしい

 

(こうやってみんなと食べるのは久しぶりな気がするな)

 

僕は砂漠が進んでるアビドスにもまだこういった飲食店があるのが少し嬉しかった

 

会計を済ませて店を出た後黒見さんが「みんな死んじゃえー!!」と言われ見送られた

 

 

ーー

 

 

その後やることもなかったため、僕らは解散した。家に帰って明日の仕度を済ませる。風呂に入って寝る。そして1日が終わり、何気ない1日がまた始まる。その筈だった

 

 

『憂太、セリカが!今からアビドス高校に行く準備できる?』

 

 

珍しく先生の焦った声が聴こえてきた

 

 

「はい!すぐに準備します」

 

 

僕はそう答えると準備をすぐに済ませ先生とアビドス高校へ向かった

 

 

「先生、乙骨さん」

 

 

「何があったんですか?」

 

 

「セリカちゃんが行方不明になりました」

 

 

『位置の特定はもう出来てるよ』

 

 

「位置の特定?」

 

 

『連邦生徒会のセントラルネットワークにアクセスしてセリカの携帯端末の位置を特定したんだ』

 

 

「もう本物のストーカーですね……」

 

 

そう呆れながらも先生の手際の良さは本当にすごいと感じる。場所が特定できたため僕らはすぐに目的地へと出発した

 

 

「見つけました!おそらく前のトラックです」

 

 

『みんな準備はいい?いくよ!』

 

 

先生の合図と共にシロコさん、十六夜さん、小鳥遊さんが飛び出す。僕と先生は車が止まってからトラックの方へと向かった。するとすぐに半泣きのセリカを発見したという声が聞こえてきた

 

 

「皆さんヘルメット団に囲まれています。気をつけてください!」

 

 

安心したのも束の間、奥空さんからそう無線が入った

 

 

「よくもやってくれたわね」

 

 

「仕返しですね」

 

 

『セリカを拐った分の恨みだ!』

 

 

先生の言葉でヘルメット団との戦闘が始まった。まだまだみんなと連携を取るのは難しいため先生を護衛する形で援護射撃を行った

 

仲間を危険に晒したことへの恨みは凄まじく皆、数の多いヘルメット団を圧倒していた

 

 

「これで最後です!」

 

 

『みんなお疲れ様!憂太もありがとう』

 

 

「僕はみんなみたいには戦えないので、それよりもセリカさん」

 

 

『みんな、すぐに戻ってセリカの手当てをして休ませよう』

 

 

「「はい!」」

 

 

仲間、いいなぁ。僕はお互いを大切に思い合うアビドスのみんなを羨ましく思いながら帰りの車に乗っていた

 

 




ゲヘナとトリニティに関与してるから再会したらどうなるか楽しみだなー
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