「……それでは、アビドス対策委員会の定例会議を始めます」
黒見さんの誘拐から1日経ち僕らはアビドスの定例会議に参加していた。あれから先生と黒見さんは仲直りしたようで仲よさげに世間話をしているのを見た
「今回の議題は学校の負債をどう返済するかです。なにか案がある人はいますか?」
奥空さんが発言を促すと最初に黒見さんが手を挙げた
「やっぱり!何かこう、でっかく一発狙わないとってことで、これこれ!」
そう言いながら黒見さんは1枚のチラシをだした
「これは……!?」
「どれどれ……」
チラシには「ゲルマニウム麦飯石ブレスレットであなたも一攫千金」と書かれていた
「間違いなく稼げませんね」
『マルチ商法だね』
「そっ、そうなの?私、2個も買っちゃったんだけど!?」
そう嘆く黒見さん、当然のようにこの案は却下された
次に小鳥遊さんが話す
「我が校の1番の問題は、全校生徒がここにいる数人だけってことなんだよねー」
(確かにアビドスは生徒の数があまりにも少ないな……)
前までトリニティにいたからかよりそう感じるようになった
「でも、どうやって……」
奥空さんが理由を聞くと小鳥遊さんはいっさい迷う素振りを見せずに言い放った
「簡単だよー、他校のスクールバスを拉致ればオッケー!」
「はい!?」
「どこもオッケーじゃないんですけど!?」
「それじゃあ乙骨くんはどんな案を考えてきたのさ〜」
僕も参加させてもらうと聞いたため案は考えてある
「僕が考えたのは、砂漠があるので石油を掘り当てたり"宝探し"したりですかね」
正直アビドスの詳しい状況までは想定しきれないので、無難にこの広大な砂漠での宝探しを提案した
「それは辞めた方がいいかな〜」
「え!?」
思わぬ小鳥遊さんの即否定に反応してしまった
「だって考えてみてよ〜こんなに広い砂漠だけどそう都合よく高値のものが掘り当てられるかなんてわからないじゃん?もう少し確実な方法がいいかなーって、アビドスは暑いし干からびちゃうかもしれないからね……」
「だめかぁ」
何故か必死そうな小鳥遊さんの意見を受け、そう肩を落とした
「いえ!まともで貴重な案をありがとうございます。他にある人は……」
「いい考えがある……銀行を襲うの」
「……?」
「はいっ!?」
混乱している奥空さんや僕を他所にシロコさんは用意周到な準備を紹介し始め、覆面をだす
「ん、安心して、憂太の分もちゃんと作った」
「ちょ、犯罪者仲間なんてごめんですよ!?」
(『憂太もう犯罪者じゃん』)と言いたげな目で先生は僕の方を見ていた
「次は私が!」
そう言うと十六夜さんが話し始める
「犯罪でもマルチ商法でもない、そう……アイドルです!スクールアイドル!」
「ア、アイドル……!?」
会議はすっかり大喜利会場とかし、それぞれが自分の案を尊重し始めることになってしまった
「い、……いいわけ、ないじゃないですかぁ!!」
そう怒る奥空さんによって見事なちゃぶ台返しが披露され、無事皆説教を受けました
ーー柴関ラーメン
僕らは奥空さんの機嫌直しも兼ねて再び柴関ラーメンを訪れていた。しかし僕はここでまさかの再会を果たすことになった
「あ、あのう……ここで一番安いメニューって、お、おいくらですか?」
「580円の柴関ラーメンです!看板メニューなんで、美味しいですよ!」
黒見さんがそう答えると、店の入り口の方から聞き覚えのある声が聞こえてきたのだ
「えへへっ、やっと見つかった、600円以下のメニュー!」
「ふふふ。ほら、何事にも解決策はあるのよ。想定内だわ」
なんとゲヘナでの一件以来に始めて便利屋68のメンバーと出会ったのだ
「り、陸八魔さん!?」
「お、乙骨憂太!?」
「あっお兄さん!じゃなくて憂太くん久しぶり〜」
「脱獄したのは知ってたけど、まさかこんな所で会うとは」
「あ、あの?アル様知り合いですか?」
「ええ、彼が前に話した超アウトローな乙骨憂太よ!」
「どこが超アウトローなんですか……」
『矯正局から脱走したくらいだしね』
矯正局からの脱走、これはあくまで身内であったり、居合わせた便利屋68だからこそ分かるが、そうでないとかなりヤバい話しである
「き、矯正局?」
「脱走?」
一瞬にして場の空気が凍りつき、陸八魔さんはもちろん、流石に先生も焦っていた
「憂太くん、ちょっといいかなぁ〜?」
「違くて、僕冤罪だったんですよ!」
僕が必死の弁明をしているのに見かねて先生が経緯と現状を話してくれた
「憂太くん、随分と壮絶な人生ですね」
「憂太はもう犯罪に手を染めていた。そういう事?」
「シロコ先輩、だからって銀行強盗がオッケーにはなりません
よ」
「ところで、便利屋68の皆さんはこんな所で何してたんですか?」
すると便利屋の皆んなは気まずそうな顔をして、社長である陸八魔さんが口を開いた
「じ、実はねある依頼を受けてて……」
「アルちゃん」
「社長」
陸八魔さんが言いかけると浅黄さんが呼び止める
(「ここは憂太だけを引き離してアビドスの連中とやり合うのがいいと思う」)
(「ええええ!?あの子たちアビドス高校の人達なの!?」)
(「まさかアルちゃん気づいてなかったの?まっ、引き離すのは任せて!」)
なにか話しているが当然声は聞こえない、少しして陸八魔さんが再び口を開いた
「依頼のことを関係者以外に言うのはクライアントに悪いわ」
「おじさん気になるなーどのくらい稼げるの?」
「それは企業秘密よ、兎に角!今私たちは大忙しなのよ」
「そこでなんだけどぉ、憂太くんも手伝ってくれない?」
そう浅黄さんが聞いてきた
「僕ですか?」
僕は許可を得るために先生の方へ目をやると、すぐに先生ほ了承の意味を込めて頷いてくれた
「それじゃあ、足手まといかもしれませんが手伝います」
「決まりだね」
「それじゃあ私たちはこれでー……」
「アル様、ラーメン」
「あっ……」
その後便利屋のメンバーはこの店で一番安い柴関ラーメンを4人で分け合って食べようとしていたが、大将の手元が狂ってしまったようで、大盛りのラーメンを4人で分けて食べていた
(大将、めっちゃ良い人)
ーー
「それじゃあ先生、また後で」
『うん、憂太も気をつけてね』
こうして先生と別れて僕は便利屋と共に行動することになった
「それにしても、よくゲヘナで捕まらなかったね」
「ほーんと、風紀委員長が向って行くのが見えたときは無理だと思ったけど、その後も結構粘ってたみたいだし」
「あはは……たまたまその風紀委員長が見逃してくれて──」
「「……。」」
「あのさ、実際のところどうやって空崎ヒナに勝ったの?」
「たまたま空崎さんが武器を反対に持ってて……。」
「まあいいわ!言いたくないことを無理に聞く必要もないし」
陸八魔さんのおかげもあり難を逃れることができた。それよりも依頼とは何なのだろうか
「そうだね、それよりも今は作戦会議が先」
「うーん、どうやってアビドスを倒そっか?」
「えっ、今回のターゲットってアビドス高校の人達ですか!?」
(これって僕どっちの味方すればいいの!?)
「そっ!憂太くんも手伝ってくれるよね?」
「手伝うって僕は何をすれば」
恐らく先生もアビドス高校の皆んなも僕がいなくても特に問題はないだろう。そう考えて手伝いの内容を聞いてみる
「ただ離れたところで大人しく待ってる。それだけ!」
(それだけなんだ……)
僕がいてもアビドス高校自体の戦力は変わらないし、先生がいるのもあり便利屋に僕が加わってちょうどトントンな気さえしてしまうが、便利屋の皆んなには借りがあるし、ここは大人しく待っているのが得策だろう
「わかりました。僕は大人しくしてますけど、ちゃんと戻ってきて下さいね?」
「あっはは!心配してくれてるのー?」
「私たちはお金さえもらえれば何でもやる便利屋よ!このくらいどうってことないわ!」
「社長もこう言ってるし、憂太は気にしないで大丈夫だよ」
「なんか、僕はどっちにも味方してもらってるんですね」
そう考えると心の底から嬉しくなったが……いったい誰が便利屋にこんな依頼をしたのだろうか?
便利屋が居なくなり、僕一人だけになった部屋を見回す。そこにはさっきまでなかったはずの亀裂が、空間が割れたようにヒビが入りそこから黒いスーツ姿の"大人の男性"が現れた
遅くても更新はし続けます!