僕は黒服さんと別れた後、便利屋68のみんなを待たずにアビドス高校へと戻った
「ちょっと、大丈夫だったの!?」
「まあ僕と便利屋68の皆さんは敵対関係にないので」
『ゆうた、あの4人のこと知ってるんだよね?教えてもらってもいいかな?』
先生の頼みなら断る理由もない。僕は便利屋68のみんなとの関係を先生たちに説明した
「……つまり便利屋68ってのはゲヘナの何でも屋で、誰かの指示で今回のターゲットが私たちアビドスだったってこと?」
「無差別に攻撃してくるような人達じゃありませんし、だれかの依頼を受けたので間違いないと思います」
「これまた厄介ですね……」
「そういえば、こないだセリカちゃんが誘拐事件こ時にあった戦略兵器の破片を回収して分析した結果、現在では取引されておらず、ブラックマーケットでしか手に入らないようです!」
「ブラックマーケット……」
楽しかったあの日々の記憶が蘇る。その中で一度友達とブラックマーケットに行ったことがあった
ヒフミさん元気かな……
『憂太、ブラックマーケットについて知ってるの?』
「とっても危ない場所じゃないですか」
「あはは、ちょっと前に友達と行ったことがあって……」
『意外だね。憂太がそういうところに行くなんて』
「とにかく!このブラックマーケットが重要なポイントになるはずです」
「そういうことなら行こうかー」
ーーブラックマーケット
「ここがブラックマーケット……」
相変わらずの物々しい雰囲気はあの時と変わらずであった
『っ!誰かこっちに向かってくる』
「う、うわああ!まずっまずいですー!!つ、ついてこないでくださいー!!」
「ま、まさかね」
僕は聞き馴染みのあるその声の正体が分かっていた
(懲りずにブラックマーケットに来たんだ……)
「待てぇ!」
そう叫びながらヒフミさんを追うチンピラ達は銃を乱射している
『後ろに隠れて』
先生が前にでたことでチンピラ達は一度乱射をやめて、荒々しく喋りだした
「何だおまえらは。どけ! アタシたちはそこのトリニティの生徒にようがある。」
「僕ですか?っあ……」
自分に言ってるのかと思い反応してしまった
「お前みたいのがトリニティのお嬢様学校に通えるかよっ!」
「お、おいちょっと待て」
しかし片方のチンピラの態度が急変した
(「トリニティのヘイローがない男子生徒って、」)
(「お、おい冗談だろ?まさかあの七囚人と一緒に脱獄した要注意対象人物の?」)
(「ああ"乙骨憂太"。ま、ま間違いねぇ!殺されちまうぞ!?」)
「「す、すみませんでしたぁぁ!!」」
そう大声で叫ぶとチンピラの二人は一目散に逃げ去っていった
「なんだかわかりませんが、助けられてよかったです☆」
「ありかどうございます。あ、私阿慈谷ヒフミって言います!先程は本当に助かりました」
「それと……その、憂太くん?」
「……。ヒフミさん元気でしたか」
「元気でしたかって憂太くん!私たちがどれだけ心配したことか、ミカ様もナギサ様もアズサちゃんだって!」
「……。」
「すみません……。とにかく無事でよかったです」
「……。」
(『気まずーーっ!?』)
『ヒフミがいつも憂太が言っていた友達なのかな?』
「はい、ヒフミさんはトリニティにいた頃の僕ととても仲がよかったんです」
「っ!憂太くん!前みたいに一緒にトリニティに通いましょうよ!きっとナギサ様だって許してくれるはずです!」
「……。僕はもうトリニティに戻る気はありません、先生についていくって決めたんです。安心してください、いつか先生が訪れる際に一緒に行くと思いますので」
「っう、うう……」
ヒフミさんは何とも言えない悲痛な表情をしていた。きっとヒフミさんも僕がトリニティに戻ったところでいいことがないと気づいているのだろう
『こ、この話一旦終わり!アヤネ、私たちの目的を達成するために動くよ』
「わかりました。それでは周囲の店の捜索をお願いします」
ーー
「うーん……とくに手掛かりは見つけられませんでしたね」
結局、いくつかの建物を確認したが目的の物は見つからなかった。今は休憩としてたい焼きを食べているところだ
「普通ここまでやります?ってくらい隠されてますね」
『普通はここまでしないの?』
「はい、ブラックマーケットでは逆に堂々と違反行為をさらけ出しているんです。だから普通ここまで巧妙に隠したりしないんです」
そんな先生とヒフミさんの会話が聞こえる。今の僕ではまともにヒフミさんと向かい合って話すなんて無理だろう
『ところで、あの現金輸送車に見覚えがあるのは私だけかな?』
先生がそう呟くと黒見さんが勢いよく反応した
「現金輸送車? ああっ!!」
「アレは毎月アビドスに利息を受け取りに来ている銀行員さんですね!」
「あれ、ホントだ」
「えっ!?ええっ……」
どうやらヒフミさんによるとカイザーグループは合法と違法の間のグレーゾーンを上手く振る舞ってる感じの組織らしい。
しかも最悪ことに、どうやらアビドスが返している利息は闇銀行を経由して犯罪資金となっているようだ
「さっきサインしてた集金確認の書類……。それをみれば証拠になるかもしれません」
「おお、そりゃナイスアイデアだねー、ヒフミちゃん」
「でも、もう書類は銀行の中ですしどうしましょうか?」
ヒフミさんのアイデアは良かったが、銀行の中に入ってしまえば手掛かりがあったとしても手に入れることができない
「確かに、普通の方法じゃ無理」
そう言ったのはシロコさん
「シロコさん、何か策があるんですか?」
「ホシノ先輩、ここは例の方法しか」
「なるほど、あれかー。あれなのかあ」
「……ええっ?」
「あ……! あの方法なら!」
「まさか私が思ってるあの方法じゃないよね?」
「……。」
恐らくこの中でヒフミさん以外は、みんなシロコさんが言っていた普通じゃない策がなにか気づいているだろう
『仕方ない、これも対策委員会の為だしね』
「決まりだね」
「あのう。全然話が見えないんですけど……「あの方法」って何ですか?」
未だ混乱しているヒフミさんが訪ねる。そこに帰って来る答えは1つ
「残された方法は」
シロコさんは覆面を取り出し言った
「銀行を襲う」
「はいっ!?」
「だ、だよね……」
「ヒフミちゃんのは、とりあえずこれでもどうぞ☆」
十六夜そんはそう言ってヒフミに鯛焼きの紙袋を覆面のようにして被せた
「憂太くんはどうするのー?」
小鳥遊さんがそう声をかけてくれた
「みんなと一緒なら──大丈夫かな」
「ん、任せて」
「それじゃあ先生、掛け声よろしくー」
『それじゃあ、銀行を襲うよ!』
そうして作戦は決行された
ーー
「全員その場にふせて、持っている武器はすてて!」
「言うこと聞かないと、痛い目にあいますよ☆」
「あ、あはは……みなさん、ケガしちゃいけないので……伏せてくださいね……」
シロコさんが先陣をきっていき、なんだかんだヒフミさんもしっかりと役割を果たしていた
僕は先生の様子を伺いながら、抵抗を考える者がいないか警戒を続けていた
「うへ〜ここまでは計画通り!次のステップに進もうー!リーダーのファウストさん!指示をお願い!」
「えっ!? えだ!? ファウストって、わ、私ですか? リーダーですか? 私が!?」
「ちなみに私たちのチーム名は覆面水着団です!」
「うわ、何それ!いつから覆面水着団なんて名前になったの!?それにダサすぎだし!」
「あう……リーダーになっちゃいました……これじゃあ、ティーパーティーの名に泥を塗る羽目に……。」
ものの数分でいろいろと場があれまくっていた。ヒフミさんはリーダーになり、僕たちの団名は覆面水着団らしい。
(水着要素どこ!?団名だけ聞いたら噂が流れるレベルのヤバい集団だよ……やっぱ来るんじゃなかった)
そうこう考えている間に目標物を手に入れたようなので速やかに退散する
外に出ると、すでにマーケットガードによる包囲ができていた
「うわっ、もう包囲網ができてる!」
「多分憂太が居るって気付いた奴らがいて、警戒されてたからかも」
『とりあえず全員で包囲を抜けよう』
「みなさん!ついてきてください!」
僕たちは奥空さんの誘導を頼りに妨害してくるマーケットガード撃ち倒しながら進んでいった
「封鎖地点を突破。この先は安全です」
その言葉と共に安堵で肩の力が抜けた
「はあ、僕の影響がここまで来てるなんて」
「シロコちゃん、早速集金記録の書類を確認しよ」
「う、うん……バッグの中に」
バッグには肝心な書類はあったものの、それと一緒に大量の札束が入っていた
「うえええええつ!? シロコ先輩、現金盗んじゃったの!?」
「い、違う……このお金は、銀行の人が勝手に勘違いして入れただけで……」
「どれどれ……うへ、軽く1億はあるね。本当に5分で一億稼いじゃった」
「やった、早く持ってかえろ!」
「セリカちゃん、そんな事したら本当に犯罪者だよ……」
「は、犯罪者だから何!? このお金はそもそも、私たちが汗水流して稼いだお金なんだよ!」
「っ!」
僕は黒見さんを思いっきり睨みつけた。"犯罪者だから何"一度その身を味わった僕だからこそ感じる怒り、黒見さんも普段とは違う僕の表情にかなり怯んでいた
「うわああっ!!もどかしい!意味わかんない!こんな大金を捨てていく!?」
そう言いながらもセリカさんはお金を置いていく判断をしてくれた。例え相手が悪かったにしろ、そういった行為に慣れきってしまってはいけない
『意見がまとまったみたいでよかったよ』
「帰りましょうか」
「……!! 待ってくたまさい! 何者かがそちらに接近しています!」
アヤネの声が響く
「調べますね……あれは……べ、便利屋のアルさん!?」
「え?陸八魔さん?」
『そういえばさっき銀行にいた気が』
「銀行の襲撃見せてもらったわ!ブラックマーケットの銀行をものの5分で攻略して見事に撤収……あなたたち、稀に見るアウトローっぷりだっ──……?」
最初、目を輝かせながら話していた陸八魔さんだったが、こちらを見るなりピタリと止まった
「……。社長、それアビドスの人達」
「なななな、なっ、何ですってーーーーーーー!!!???」