「……?えっと、つまり僕はここに残ってアビドス高校の防衛を?」
「そう、憂太になら任せられると思うんだ」
ホシノさんからそう告げられ正直驚いたが、自分を信頼してくれていることに喜びを感じていた
「砂漠で上手く戦えるか分かりませんし、僕としては大丈夫ですよ」
「うへ〜、それはよかったよ。ヘルメット団とかが対策委員会が留守の間に攻め込んでくるかもしれないからね〜」
そう呑気に喋るホシノさん
「それじゃあ僕の方からも先生にそう話しておきますね」
「よろしくね〜……。」
「(これが黒服の罠じゃない保証はない、憂太を狙った計画かもしれない。それでも憂太なら信頼できる。そんな気がした)」
ーー
という訳で、僕は無事暇になってしまった。暇とは言ってもホシノさんに言われた通りパトロールはしている
「なんか、こう活躍したいんだけどなぁ……」
シュッ……
「ん?今誰か──」
何者かの気配を感じて振り返るとそこには、どこか知らない学園の生徒が2人立っていた
「あれで間違いないか」
「間違いない、マダムが言っていた特徴と一致する」
二人はヒソヒソと話していたが、乙骨憂太は取り敢えず話しかけることにした
「あ、あの……!どこの学園の生徒さんですか?」
「……。」
「お前をマダムのもとへ連れて行く」
「なっ!どういう意味ですか」
突然の誘拐宣言に僕は驚きを隠せずにいた
「そのまんまの意味だ」
「来ないというのなら少し痛い目に遭うことになるが」
その言葉に僕は愛銃を構えた。大人しく捕まるつもりはない
「やめておけ、情報によれば単独での戦闘能力はないのだろう?」
「さあ?どうでしょうかっ……ね!」
僕は死角を取って来たもう一人の銃弾を交わして撃ち返す
「あぶなっ──……ここっ!」
僕の目の前で話していた方が空かさず撃ち込んできたが、僕はそれを呪力を身に纏うことで無傷とし、反撃に一発呪力を込めて撃ち込んだ
「情報違いだ!」
「まさかマダムに切り捨てられたのか!?」
「そんなはずない、キヴォトスにいる男子生徒なんてこいつ以外……っ!」
最初に撃ってきた方が、僕の呪力を込めた銃弾を受けた方を支える形でしゃがみこんでいる。圧倒的優勢
「見逃してあげるので、そのマダム?って人について教えてくれませんか?」
「……!?」
「見逃すだとっ!!」
「見逃されたところで、任務失敗によってマダムから酷い目に合う!なんとしてもここでお前を!」
「ええ……」
困惑する僕を他所に、二人はまだ諦めないようだ
(どうしよう、とどめ刺しちゃっていいのかな……?)
そんな事を悩んでいると、背後から発砲音がきこえた。振り向くと同時に真横を銃弾が通り過ぎる
「はぁ、はぁ……っ!」
死を感じたことで思わず心拍が上がるのが分かる
(少しでも油断して呪力を解いたらやられる!)
「殺す気で撃ったんだけど、まあ、いいか……」
彼女は淡々と話す
(さっきの2人とは違う、迷いなく、殺す気で撃ってきた。)
「なるほど……っ」
「同行を拒否した場合は、抹殺を命じられてるんですね」
「動かないで、苦しんで死ぬよ」
「……。」
(大丈夫。ここは住宅街、遮蔽物も有れば学校まであまり離れていない)
僕は意を決して走り出した。最初の一発は曲がり角でなんとかかわす。すると彼女はロケットランチャー状の見た目の武器に持ち変える
相手に悟らせないように、それでもアビドス高校に向かいながら走る
「無駄に逃げ足だけ早いね」
曲がり角を利用して、右に左に、また左に。掠りこそしたが、致命傷はない
「着いたっ……!」
「アビドス高校?今はみんなでアビドス砂漠に行ってるはずだよ」
「それは違いますね……!」
僕は愛銃を構えて反撃にでる
「立地の問題?なんでもいっか」
理由なんて知る意味がないと複数発、ロケット弾を発射する
僕はそれを見て、呪力で全身を覆い強引に正面突破を目指す
「やっぱり、なんかしらの方法で攻撃を防いでる」
「ここならっ!」
射程範囲内に彼女が入るのを確認すると、僕は呪力を込めて引き金をひく
「攻撃を防げても、多少ダメージは入ってる」
そう呟く彼女は僕の撃った弾を武器で防ぎ、僕の脳天めがけてロケットランチャー状の武器を振りかざす
「うがぁっっ……!!」
思わぬ痛みに声が出る
「大人しくしてれば死なずに済んだかもしれないのに……残念だったね……」
「うっ…、はぁ、容赦、ない、ですね……」
「……?」
僕はその言葉と同時に、ありったけの力で彼女を押し飛ばし距離をとる
「そんなことしても意味な──……」
僕の頭上に救援物資が投下される
「はぁ、はぁ、意味、ありましたよね?」
僕がその救援物資に接触すると、体力が回復し、痛みも薄れた
「迂闊だったみたいだね」
「まだやりますか」
「……。」
「捕えるか殺すか、どっちも出来なくなったなら任務は失敗」
「ここで私が殺されたらサオリ姉さんはきっと悲しむ」
「今回は助かったと思っときな、私はいつでも命を捨てれる」
「……。」
それだけ言い残すと、彼女はこの場を後にした。
「……。なんで僕狙われてるのぉ!?」
乙骨憂太の嘆きは、ただ一人校舎に残って支援援助をしていた奥空アヤネ以外に聞こえることはなかった