悔しさが滲み出る。力不足だった。まだみんなの隣には立てないのか
「僕のせいだ……止められなかった」
「憂太!」
戦闘の痕で荒れた校舎に一番最初に着いたのはシロコだった。シロコはすぐに先生と、対策委員会のメンバーに連絡する
「何があったの?」
シロコさんが僕にそう尋ねる
あまりの不甲斐なさに、返事をする気すら起きなかったが、僕は力なく昨晩の出来事を話した
「そんな、ホシノ先輩が……」
一通り話し合った頃、先生とホシノさんを除く対策委員会の全員が揃った
『そうか憂太、ホシノと……』
「すみません。僕じゃ駄目でした」
『そんなことないよ、止めようとしてくれてありがとう憂太。ホシノの異変に気づけなかった私の失態だよ』
先生はそう言い僕を慰めてくれた
「そもそもホシノ先輩は何考えてるわけ!?」
「ん、先輩ならこういう時、何か残していくはず」
「あっ、手紙、手紙がこんなところに……これは!ホシノ先輩が書いたものです!」
奥空さんの声に、みんなが一斉に集まる
『何か分かるかとしれない。呼んでみよう』
手紙にはこんな形でお別れになってしまったことへの謝罪、借金を半額肩代わりする提案を受け入れたことなどが書かれていた
「こんなの受け入れられるわけないじゃない!」
黒見さんは納得のいかない様子で声を荒げる
「うん、助けに行こう」
「あれ?先生宛と憂太くん宛にも用意されていますよ」
十六夜さんの言葉に僕と先生が振り返る
『私に?』
「僕宛に?」
僕は自分宛に送られた手紙を読むことにした
憂太くんへ
出会ったばかりの頃は何考えてるか分からなくてさー
それでいて呪なんてのを引き連れて来ちゃってたからさ
おじさん正直ずっと警戒してたんだよ
でもさ、憂太と一緒に過ごしてる中で「みんなと一緒に居たい。皆の役に立ちたい」って気持ちが伝わってきてね
そこからは先生以外の生徒が、アビドス高校の為に頑張ってくれてるのがすごく嬉しかったんだ
〜
(2枚目は僕と戦った後に書いたのかな)
〜
憂太くん、できればこんな別れ方はしたくなかったんだけどさ
ごめんね、言葉が上手な先輩じゃなくて
憂太にはみんなを護れる力があるのがよくわかった
だからそんな憂太にお願いしたいんだ
これは先生にも伝えたけど、アビドス高校をよろしく
それと、おじさんやシロコちゃんだけじゃなくて、他のみんなも名前呼びしてあげてね
「そうですか……」
「何か手掛かりはあった?」
「謝罪の言葉がびっしりでした」
「「えっ……」」
それとなく答えてみたがみんなが揃って驚いていた
「先生、シロコさん、ノノミさん、アヤネさん、セリカさん。一緒にホシノさんを助けに行きましょう」
「やりました〜念願の憂太くんからの名前呼びです!」
「いきなりね……あーよろしく、憂太先輩?」
「進級出来てないので先輩じゃないですよ」
「憂太くん同学年だったんですね……」
そんな僕達の様子を見ていた先生はどこか嬉しそうだった
『それじゃあ、みんなまずは──』
ドゴガアアアァ!
「い、今の音は!?」
「市街地の方からです。……!」
「カイザーPMC!?なんでこのタイミングで!」
「私たちだけじゃとても……」
そう口々にする彼女らとは逆に、僕は案外勝てるのではないかと考えた
「これを指揮してる人を倒せば終わりませんかね?」
「ヘッドハンティングってこと!?」
「しかしそう都合よくカイザーの理事が姿を見せるとは、あっ……」
言いかけたアヤネは唖然として、ドローンを操作する端末に目を向けていた
「……他よりあきらかに大きくて怪しい機械を発見しました」
「えぇ……」
「憂太の案に賛成、突撃準備」
「敵の頭を取れば周りの士気が下がるというわけですね!」
意見はまとまりつつあり、結局反対していたセリカさんも強引に僕の作戦が採用された
『ついでに校舎に侵入してきた敵を倒してからいく必要があるね』
「もうこんなとこまで」
「あんまり時間はかけられなそうですね」
僕と対策委員会のメンバーは先生の指揮を受けて理事がいると思われる場所まで急いだ
「ん?アビドスのやつらか、どうしたそんなに焦って」
「もうお前らの生徒会長はいない!これでアビドスは我々カイザーの所有地となった!!」
そう高らかに笑いながら巨大な機械に乗り込む理事
「先生?やっていいですか?」
その様子を見ていた憂太は先生に尋ねた
『あ、え、どうぞ。』
「はあっ!」
呪力で強化された弾丸は一撃でカイザーが操る機械を貫き破壊した
「なっ!?バカな!そうかお前が黒服の言っていた!」
「ここは一度撤退だ!」
周りをカイザー兵が囲んだため、捕えるには至らなかったが読み通り撤退させることに成功した
「やりましたね!」
「後はホシノ先輩の場所を探さなくてはですね」
ーー
僕はアビドスに攻めてきたカイザーを返り討ちにした後、先生と一緒にトリニティに向かっていた
目的は支援要請だ、すでにゲヘナには行ってきたらしく後は信じて待つと言っている
「ホントに協力してくれますかね?」
『少しでも可能性を部やためにも憂太と来てるんだから』
そう言った後に先生は少し暗い顔をして僕に話しかけた
『ホシノの居場所がわかったって行ったけどさ』
「はい」
『実は黒服から情報をもらったんだよね……それで憂太との関係を聞いて──』
「先生、黒服さんは確かに僕にとっては戦い方を教えてくれた恩師です。ですが僕を救ってくれたのは先生も同じですから、どちらもうらぎりはしませんよ」
『ホントかい?』
目を泳がせる僕に感づいた先生に尋ねられ観念する
「まあ、ホシノさんの身代わりになろうとかはしましたけど」
『憂太、報告、連絡、相談を忘れずにね』
「ほうれんそうですね……き、気をつけます」
そんなこんな話している内にトリニティの敷地内に到着し、最初こそ何もなかったが、しばらく歩いている内に陰口が聞こえてきたり、石が飛んできたりした
僕は気にしないふりをしていたが、先生は気遣って横並びに歩いてくれる
「やっぱりこうなりますよね……」
苦笑しながら先生に話しかけるが、先生は悲しい顔をしていた
僕は不意に空を見上げる。その時、校舎の方の空が一瞬輝いたように見えた。次の瞬間にはその何かが目にも留まらぬ速さでこちらに向かって突っ込んできていた
「うわぁっ!」
「ズサッ、来ちゃった☆」
「聖園先輩!」
「久し振りだね憂太くん!そして……初めまして!シャーレの先生」
飛んできたのはトリニティ総合学園の生徒会長であるティーパーティーの一人、聖園ミカ先輩。お姫様のような見た目からは想像できないスピードに驚かされた
「なんか騒がしいから来てみたけど……大丈夫だった?」
「ええ、お陰さまで」
「ありがとう、ミカ」
「ありがとうなんて、嬉しいなー」
聖園先輩が仲間になってくれたら心強いんだけどな……
「その、失礼なこと聞くかもしれないんですけど、聖園先輩は戦いは得意ですか?」
前提として戦えるかが分からないし、聞いておく必要がある
「やだなー女の子に対して戦いは得意かって……でもこう見えて、私結構強いよ?」
「困りごとなんですけど、聖園先輩の力を貸していただけませんか?」
「いいよ!」
「あっさり!?」
『やっぱり憂太と来てよかったよ』
「そう、ですかね?」
その後ヒフミさんにも頼み、桐藤先輩にも援軍を要請してもらうようにした
『これで一通りかな』
「後は信じて待つ、ですか?」
『そうだね』
先生とはすごいものだ、いろんな学園と交流を築き、いろんな学園がその借りを作りたがる
「ゲヘナはどうやってお願いしたんですか?」
憂太は気になったことを聞いてみた。が
『ノーコメントで』
先生からは答えてもらえなかった
「ホントに何したんですか……」
ーー
僕と先生は来る戦いに備えてアビドスへと戻った