「肯定、アリスの回答を提示。私はゲーム開発部の部員です」
「先生に言われて様子を見にきたんだけど……アリスさん何かあった?」
僕がゲーム開発部の部室に入ると、そこにはいかにもロボットな喋り方のアリスさんがいた
「流石にこの喋り方じゃまずいよね。てことでミドリと憂太でアリスに喋り方を教えといて!」
「えぇ……喋り方を教えるってどうやって」
「……クソゲーランキングでは1位だったしアリスちゃんがどう思うか分からないけど、私たちが作ったゲームやってみる?」
クソゲー……ゲーム開発部の唯一の成果だったっけ、普通ならクソゲーって聞いてあんまやりたがる人いないけど
「……肯定、アリスはゲームをやってみます」
「ほ、本当に!?すぐにセッティングするから待っててね!」
アリスさんの返事を聞いたミドリさんはすぐに
「どうか喋り方がクソゲーになりませんように」
「優太さん?ゴゴゴ」
僕が手を合わせて願っているとミドリさんに睨まれてしまった。ゲームは想像以上にクソゲーというより死にゲーで開幕早々理不尽にゲームオーバーになっていた
ーー
「さあ勇者よ、次の冒険へいざゆかん!」
「……喋り方がほぼゲームになっちゃいましたね」
「でも本当にゲームをやればやるほど喋り方を覚えてるよ!」
「言葉を羅列してただけの時よりは、かなり良くなったと思う!」
なんだかんだありゲームをクリアしたアリスさんは、RPGの中に出てきた喋り方を模倣したため少しの違和感は残るものの、物わかりが悪い一般人と同等程度のコミュニケーションは取れるようになっていた
「その、あまりこういう事を聞くのは緊張するんだけど」
「私たちのゲーム、どうだった?楽しかった!?」
ゲームの開発者としてミドリさんとモモイさんがそう尋ねる
「面白さ、それは明確に存在。プレイを進めれば進めるほど……まるで別の世界を旅しているような……夢を見ているような、そんな気分……もう一度」
そこでアリスさんは言葉を止めたかと思うと突然涙を流し始めてしまった
(こ、これがゲームの力……)
ゲームの力に感心していると不意に背後に気配を感じた。しかしそこにあるのはロッカーのみ、ロッカー……ここに来てからは人をロッカーに詰め込んだりはないはず、ならロッカーの中にいるのはなんだ、警戒の眼差しで見つめているとロッカーは音を立てながらゆっくりと開く
「「ユズ!」」
中から出てきたのは赤い髪の生徒で才羽姉妹がすぐに反応を見せた。ユズさん……彼女がこの部の部長なのかな?自らロッカーに閉じこもっていたみたいだけど
「その……あ、あ、あ、ありがとう。ゲーム面白いって言ってくれて……もう一度やりたいって言ってくれて」
「???」
「そういう言葉がずっと聞きたかったの」
どうやらアリスのゲームに対する単純な感想がユズさんの心には刺さったようだ
「とにかく改めて、ゲーム開発部部長のユズです。その、乙骨さんもよろしくお願いします」
「よろしくお願いします。ユズさん」
「アリスちゃん、この部に来てくれてありがとう。これからよろしくね」
「よろ、しく……?」
「……理解。ユズが仲間になりました。パンパカパーン!……合ってますか?」
「あ、うん。だいたいそんな感じ、かな」
「あっ……まあ、これはこれで個性なのかな?」
ここキヴォトスには変わり者が多い、だからゲーム開発部にRPGな話し方をする子がいたって不自然はないと思うことにした
「RPGを気にってくれたアリスちゃんにおススメのゲームを教えてあげる」
「ちょっと待ったぁ!アリスおススメするのは私が先!」
「アリスちゃんはゲーム初心者だよ?私が最適なゲームを教える」
「これだけは譲れない」
「??」
「……帰ろっと」
次におススメするゲームの論争になったため、僕は部室を後にした
ーー
ミレニアムまでは僕のことが伝わっていないのか、もしくは忘れているだけか。シャーレの首飾りをしているだけで平然と校内を
歩ける
(これなら今度1人で百鬼夜行にいけるかも……)
「あっ!」
「いてっ!」
考え事をしながら歩いていると曲がり角から勢いよく現れた生徒とぶつかってしまった
「すみません考え事をしていて、大丈夫ですか?」
「あわわわ、こちらこそすみません!急いでいたもので」
彼女は部品をいくつか運んでいたようで、僕は散乱した部品を拾うのを手伝うことにした
「ありがとうございます!助かりました私はミレニアムサイエンススクール1年エンジニア部所属の豊見コトリといいます!」
「僕は乙骨憂太、今はいろいろあってシャーレで雇ってもらってるんです」
「ところでその銃は憂太さんのですか?」
豊見コトリさんはぶつかった時に地面に落ちてしまった僕の銃を指しながら尋ねてきた
「そうですけど……なにかありました?」
「なんだか味気ないと感じまして、何か色をつけたり部品を足したりなどしないのですか?」
「実はカードが未だに凍結中でシャーレの給料だけで生活してまして……」
「良ければ私が所属するエンジニア部に寄っていきませんか?試作品とかならタダであげられちゃうと思いますよ!」
「じゃ、じゃあお言葉に甘えて」
ーー
豊見さんに付いていきエンジニア部に着いた。中に入るとさまざまな発明品がいたるところにあった
「広い部室ですね、ここにあるのは全部エンジニア部で作ったものなんですか?」
「そうです!我らがエンジニア部の発明品です!!」
「ん?コトリお客さんかな?」
「ウタハ先輩!さっき知り合った乙骨憂太さんなんですけど、もしよければ試作品の武器とかパーツをあげてもいいですか?」
「……ああ構わないよ、試作品なら是非とも使ってみた感想を聞きたかったからね」
「ありがとうございます」
少し待っていると豊見さんがドサッと机の上にたくさんの試作品とパーツを用意してくれた
「こ、こんなに……パーツ類はスコープとかマガジン部分の補強具、発射口を変化させるもの」
「あまり気にいるものが見つかりませんでしたか?」
「うーん。今のに結構慣れちゃってるし、スコープとかはこの武器には必要ないからな……」
「ではでは、こっちの銃の試作品を見ていってください!」
いまいちな反応をしていると豊見さんは試作品の銃について説明し始めた
「まずこれは超激辛味マシンガン!中に専用の激辛調味料を入れる場所があって発射された時に弾に塗られるように作られています!そしてなんと自爆機能付きです!!」
「なるほど……」
「そして次はこちら、スピーカーショットガン!「いつでもどこでも戦闘中でも音楽を」をコンセプトにして作られたこちらの武器は撃つ度に様々な音色の音楽が奏でられます!またお気に入りの音楽を保存する機能も付いていて保存できる曲の数は200曲以上!そしてなんと自爆機能付きです!!」
「……ん?」
「3つ目はこちら、ペロロジランチャー!変な鳥の怪物の口が銃口になっていて撃つ時は迫力満点!しかも発射後にペロロジラの鳴き声が聞こえるというおまけ付き!そしてなんと……」
「ま、まさか」
「はい!自爆機能付きです!!」
流石エンジニア部、作る武器の発想が凄まじい
「……あの普通の武器はないんですか?」
「普通のは……めちゃめちゃ重い大砲みたいな武器と対物ライフルとか?ですかね!」
「対物ライフル、遠距離に困っていたんです。見せてもらってもいいですか?」
「もちろんです!」
対物ライフル、見た目は銃口が大きく銃身が頑丈に作られたスナイパーライフル。呪力で肉体強化をすれば問題なく持ち運べる上に一撃で遠くに大ダメージを与えられる
「先生が危険になった時に遠くから助ける事ができるいい武器ですね」
「お、気に入ってくれましたか!?それにしても見た目の割に力持ちなんですねー」
「ま、まあ。この武器って何か欠点があったりします?試作品じゃないみたいですけど」
「特にないと思います!重くて普段使い出来ないのと、固定して撃つものなので扱い慣れなくて放置されてたんですよ」
「これって貰っても大丈夫ですか?」
僕が訪ねると奥からウタハ先輩と呼ばれていた生徒が近づいてきた
「使える人の手元にあった方がいい、持っていってくれて構わないよ」
「ありがとうございます」
「……1つ聞いてもいいかな?」
ウタハさんは真剣な目つきでこちらを見つめながら尋ねた
「はい」
「君は以前キヴォトスで指名手配を受けていた。間違いないか?」
「……間違いないですが、何かありましたか?」
「いや、ヴェリタスの生徒がハッキングした機械があってね。直接姿をみると申し訳なかったと感じたのだよ」
「過去はもう大丈夫です。今度そのヴェリタスの生徒の方にも挨拶をしに行きますね」
「ああ、噂だけで君を判断したことを許してくれるとこちらも助かるよ」
「ありがとうございました」
僕はお礼を言ってからエンジニア部の部室を後にした
「憂太さん!!」
少し部室から遠のいた辺りまで来た時、僕を呼び止める声が聞こえたと思うと豊見さんがこちらに向かって走ってきていた
「そんなに急いで、なにかありましたか!?」
「1つ伝え忘れてて……」
「伝え忘れ?」
「その対物ライフル……」
「あっ……」
「しっかり自爆機能も付いてますよ!!」
そう言いながらサムズアップする豊見さん
「自爆機能はいらないんですけど!!」
僕は嘆きながら対物ライフルを持ってシャーレへと帰った
ーー
『なにそのデカい武器!?』