これからも不定期にはなりますが、空いてる時間を使って投稿していこうと思います。
懐かしき親友と日常
「こんにちは、先生。こうしてお会いするのは初めまして、ですね」
「ティーパーティーのホスト、桐藤ナギサと申します」
「そしてこちらは、同じくティーパーティーのメンバー、聖園ミカさんです」
桐藤先輩が自己紹介をしていると、聖園先輩は先生に近寄り、じっくりと観察し始めた。
「アビドスで優太くんを助けに行った時に見かけたけど、先生ってこんな感じなんだ」
「なるほどー、ふーん……うん、私はいいと思う!! ナギちゃん的にはどう?」
聖園先輩はいつも通り率直な感想を述べた後、桐藤先輩へ話を振った。
『二人ともよろしく』
そんな二人のやり取りを見て、先生はいつも通り穏やかな笑顔で応じる。
「聖園先輩、桐藤先輩、ご無沙汰しています。アビドスの一件では力を貸してくださり、ありがとうございました」
先生に続いて口を開いた僕は、そう言って一礼した。
「お力になれたのでしたら何よりです」
「あの、前に来た時は聞かなかったのですが、百合園先輩はいらっしゃらないんですか?」
「……!」
「セイアさんは、今入院中です。なのでこの学校には居ません」
「入院中ですか……心配ですね」
「きっとすぐに良くなりますよ。あまり気に病まないで下さい。それと優太さん、少々気になることがあるのですが、一つよろしいでしょうか?」
「はい、もちろんです」
(気になることとは一体何だろうか。やっぱり、いきなり戻ってきたのは迷惑だったかな……)
「"いつでも戻ってきて下さい"との旨はお伝えしたと思いますが、優太さんがこのタイミングを選んだ理由をお聞きしたいと思いまして」
「身の回りのいざこざが落ち着いてきて、僕自身がまた次のことに挑戦しないといけないと感じたからです」
「そうでしたか。つかぬことをお聞きしましたね。今の質問に深い意味はありませんので、お気になさらないで下さい」
(……そうですか。このタイミング、偶然なのでしょうか)
「分かりました。その、急な連絡だったにも関わらず対応して下さり、ありがとうございました」
僕がそう言ってもう一度頭を下げると、不意に頭を軽く叩かれた。
「あたっ」
「もー、優太くん硬いよー!」
頭を叩いた人物の正体は聖園先輩。まあ、この場でこんなことをする人は他に居ない。
「せっかく戻ってきたんだし、こんな堅苦しいとこよりもっと楽しいとこ行こ☆」
「で、でもまだお話が……」
きっと聖園先輩なりに僕を楽しませようとしてくれているのだろう。もしくは……話が長くて飽きたのかもしれない。
『後の話は私が聞いておくよ。行ってきな、優太』
「ティーパーティーのホストとしての大事なお話の場ですので、私としてもミカさんにはそちらへ行って頂いた方がありがたいです」
「ナギちゃん、それ酷くない?!」
聖園先輩の誘いに困っていると、すかさず先生が助け舟を出してくれた。桐藤先輩の方は、ほとんど厄介払いのような言い方だったが。
「先生、ありがとうございます」
「よし、それじゃあレッツゴー!」
聖園先輩に腕を引かれ、僕はティーパーティーの部室を後にすることになった。
聖園先輩にはトリニティ内部をひたすら連れ回された。
懐かしさを感じる場所もあれば、初めて知る場所もある。そうした施設の大半は、ティーパーティーの権力によって整備されたものなのだろう。
「入学したばかりの僕は下ばっかり向いてたけど、きっとトリニティでの学園生活にも確かな楽しさがあったんですよね」
「今となっては優太くんを脅かす噂も誰も信じてないし、これまで以上に楽しめると思うよ!」
「はい、先輩にもなんだか勇気を貰えた気がします」
そうやって聖園先輩と話を続けながら歩いていると、廊下の奥から見覚えのある人物が走ってきた。
僕がこの世界に来て、一番最初に出来た友達──そして親友だ。
「優太くーん!!」
僕の名前を叫びながら駆け寄ってくる彼女は、阿慈谷ヒフミさんだった。
「ヒフミさん、元気そうでよかったです」
「優太くんこそ、元気にしてましたか?」
「あはは。見ての通り、だいぶ元の生活に戻ってきたところです。先生のお手伝いをする中で色々学ばせてもらっていますし、それに先生は本当に凄い人です。先生と居れば、僕は僕のやるべきことを果たせると思うんです」
「今回トリニティに来たのも、シャーレのお仕事の関係ですか?」
「最初は僕もそのつもりだったんですが、先生が『いつまでも優太に業務を手伝わせるわけにはいかない!』って」
「僕は全然構わないと言ったんですが、先生は譲ってくれなかったので、トリニティにいる先生のお手伝いをしながら学業を再開することで納得してもらいました」
「そうだったんですね……でも、こうしてまた優太くんと一緒の学校で過ごせるなんて、とても嬉しいです」
その言葉を聞いた僕は、一瞬だけ固まる。
僕には学業を再開する上で、一つ悩みがあった。
「その……言いづらいんですが、僕って停学していたので進級できていないんですよね」
「あっ……そういえば、そうでしたね。優太くんは冤罪なんですし、何らかの措置があってもいいと思うのですが……難しいですかね」
少し寂しそうな表情を浮かべた後、ヒフミさんはすぐに現実を受け止め、何か方法はないかと思案し始めた。
「桐藤先輩も大変そうでしたし、これ以上負担をかけたくもないので、今は一年生としてやっていくつもりです」
僕はヒフミさんの気持ちを汲み取り、そう答えた。
「少し寂しいですけど……学年は違えど同じ学校ですので、何かあればいつでも頼ってください!」
ヒフミさんはそう言って、いつもの優しい笑顔を向けてくれた。
話を終え、ヒフミさんと別れようとしたその時、先生がこちらへ歩いてくるのが見えた。
『やっと見つけた。』
そう言って先生は僕とヒフミさんを見る
『ようこそ、補習授業部へ!』
(……?)
「補習授業部?!」