放課後、僕は阿慈谷さんと共に目的地に向っていた
「えっと……ホントにここ行くの?」
「はい!中でペロロ様が待っています!」
(絶対まずいところだよ、周りの視線も怖いし……)
怯えながらも一人になるわけにはいかないので先を急ぐ阿慈谷さんを追いかける
しばらく歩いていると阿慈谷さんは1つの店の前で立ち止まった
「ありましたね。ここです」
そこには確かに聞いて見た通りのぬいぐるみかあった
「ホントにあった……」
「これで目的は無事に果たせましたね」
「こんなおっかないとこ早く出ようよ……」
「そうですね……あまり長い間居るのも良くなさそうですし、早めに帰りましょうか」
そう話をまとめて帰ろうと振り返ると、何やら呼び止める声が聞こえた
「おい!そこのお前ら、さてはその制服トリニティだな」
「ちょっと用があんだよ、面貸しな!!」
見るからに怖そうな雰囲気の生徒たちに声を掛けられる
「あ、あの私たちはもうここに用がないので……」
そんな事関係なしという様子不良生徒たちはこちらに向ってくる
「に、逃げよう阿慈谷さん!」
「あうう……そうするしか無さそうですね」
そうして二人同時に走り出す。しかし1つ問題があった
「はぁ、はぁ待って、阿慈谷さ、ん速すぎない!?」
「憂太くん走れなかったんですか!?」
体力差がありすぎるのだ、とは言え僕に合わせれば阿慈谷さんまで捕まってしまう
「ふ、二手に別れて、後で合流しよう!」
「それだと憂太くんが確実に捕まっちゃいますよ!!」
しかしそんな事を言っている場合ではない、僕はすぐに近くの路地裏を曲がって逃げた
案の定向こうも二手に別れて追って来た。だんだんと距離が詰められる。すると向こうは銃を取り出し乱射し始めた
「わっ、うわっ!危なっい!こんなのあたったら死んじゃうよ!!」
「何騒いでやがる!死なない程度に痛みつけてやるから安心しな!」
「もっとやなんですけど!!」
(どうすれば……)
なんとか乱射される弾を退けて解決策を考える。しかし状況は更に悪化した。何と先程阿慈谷さんの方を追いかけたと思っていた不良が目の前の道を塞いでいたのだ
「挟み撃ちって、うそでしょ!?」
敵の銃弾が真っ直ぐに飛んでくる。寸前で交わしたがこの位置だと……
(……!!)
予想通り銃弾は仲間にあたってしまっている。
(あ、れ?)
しかし特にダメージなしという様子でこっちに向ってきている。よく見ると出血もない
(もしかして……)
ここである可能性が出てきた。それはこの世界では銃で撃たれても死なないというものだ。それならさっき死なない程度に撃つと言ったのも納得がいくし、この世界で銃が普段使いされているのも納得がいく
(違ったら大惨事だけど……そんな事考えてる場合じゃないよね!?)
もう既に行き止まりまで追い詰められてしまっている。きっと僕にはさっきの銃弾体勢のようなものはない、恐らくこの世界の人だけの能力だろう
つまり相手は躊躇なく撃ってくる。それならまともにやり合ってもやられてしまう、僕は意を決して今朝鞄の中にしまった拳銃を取り出す
(重いっ!)
「ち、近づいたら撃ちますよ!」
銃を構えてそう叫ぶ
「撃つ?別にいいけどあてられるのか?w」
「構え方を見るにまともに使ったこともないだろ?w」
完全に舐められている。でも、これでいい!
バッ!
近くにあった空箱を拾い上げ勢いよく投げつける。その隙に走り出し片方の腹に直接銃口をあてて引き金を引く、思ったよりも反動が強く手首に痛みを感じる。
「ぐはっ……」
「チッ!あのやろ!」
どうやら片方は倒れてくれたらしい、無傷のもう一人がこちらに向ってくる。もうさっきの様なフェイントは効かないだろう
絶対絶命、そんな言葉が脳裏に浮かぶ
「こっちはお前らみたいな金持ちの学校の生徒人質に身代金いっぱいもらうんだよっ!!」
(何だって……?)
僕のせいでまた他人に迷惑がかかる。ここでも僕は迷惑をかけるのか?いや、それ以前に僕なんかのために身代金を払うのか?見捨てられるかもな……
それでも、いやそれなら尚更自分の力で何とかしなければならない。僕の手で僕自身を守れるように
「身代金?ふざけるな!僕はもう誰にも迷惑かけたくないんだ!!」
言葉に確かな怒りとも呼べる負の感情が宿る
その瞬間構えた拳銃に力が入る。不思議な感覚、それでもなぜか懐かしい感じがする
(……!)
目を見開き引き金を引く、だがまたしても反動を受け流せず銃口がずれる。狙いが外れる
「しまっ、」
カシュンッ!
(掠りだ、これじゃあこの世界の人は倒れない!)
しかし不良生徒は銃弾が掠ると、「いだっ゙」と短い悲鳴を上げ倒れこんだ
「な、なんで!?掠っただけなのに倒せた……」
念の為本当に生きているか確かめたが掠った箇所が痣になっていること以外は大丈夫そうだ
原理は分からないがあきらかに威力が上がっていたようだ
(里香ちゃんのおかげかな?)
原理も原因もわからないので、取り敢えずそんな風にまとめることにした
ーーブラックマーケット入り口
「憂太くん、遅いですけど助けに行った方がいいですかね。でもどこに逃げたかも分かりませんし……あうう、困りました」
阿慈谷ヒフミは一緒にここへ来た乙骨憂太の行方が気になり、もしもの事を想定して助けに行こうと考えた。が、そこに丁度よく彼が戻って来る
「はっ、はっ……お、お待たせ阿慈谷さん……」
「ゆ、憂太くん!?無事だったんですね!よかったです……」
安心したのも束の間、何やら彼は考え込んでいるようだった
「あ、あの?」
考え事をしていると阿慈谷さんの声が聞こえてきた
「あ、ああごめん!少し気になることがあって……」
「気になることですか?聞かせてください!」
早めに知っておいて損はないと思い聞いてみることにした
「その、キヴォトス?の人って撃たれても平気なの?」
「……?平気ってわけじゃなくて痛みも感じますけど大事にはなりませんね、憂太くんは……ヘイローがないんですね」
「ヘイロー?」
何やら聞き覚えのない単語が出てきた
「はい!キヴォトスの生徒全員にある頭の上の半透明なやつです。コレがキヴォトスの生徒にとっての生命線?みたいなものですかね」
「てことはやっぱり僕撃たれちゃまずいのか」
今更ながら阿慈谷さんと一緒に戦った方がいい策だったことに気づいた
「そうです!だから今日の行為はとーっても危険ですので次はちゃんと二人で逃げますよ!」
「は、はい」
阿慈谷さんの圧に圧倒され、僕が返事をすると阿慈谷さんは満足そうな顔をして……って
また来るの!?
そんな僕の叫びが帰り道に響いた
そろそろ阿慈谷さん呼び辞めようよ……