僕がティーパーティーを訪れてから数日たったある日、聖園先輩から電話がきた
《やっほ☆乙骨くん、元気にしてる?》
《お、お疲れ様です聖園先輩、元気にやってますよ》
《うわ、相変わらず硬いなぁもっと気楽に話そうよ》
《無茶言わないでくださいよ……それで、何かあったんですか?》
《あー!うん、こないだの転校生のことなんだけど、今日の放課後に呼んでおいたから!放課後になったら空き教室とかがある所に来て欲しいなっ!て思って》
《空き教室ですね、別館なのでなるべく早めに着けるようにします》
《ありがと!それじゃあまた放課後にね☆》
《はい、では……》
(……ふぅ、先輩との電話は本当に緊張する)
(それにしても転校生、もしかしたら僕が知ってる地名かも)
そんな期待を胸に僕は授業を受け終わり、空き教室がある別館へと向った
「流石に使われてないし他には誰もいないかぁ」
そんなことを思っていると、奥から何者かの気配を感じた
シュコー、シュコー
「……。」
(え?なになになんなのあれ!)
そこにはガスマスクを被った生徒が辺り見回していたのだ
「……うーん、ここに来るように言われたのだが」
(なんか悩んでるけど、まさかあれが転校生じゃないよね!?)
「……!」
(き、気づかれた!)
「前方に1人確認、シュコー退路は2カ所把握済み、シュコー障害物なし、速やかに距離を詰めるシュコー」
「うわぁっ!ちょ、ちょっとまってぇ!……?」
しかしその生徒は僕に攻撃するわけではなく、僕に声をかけてきた
「君がその、シュコー聖園ミカが言っていた乙骨憂太で、シュコー合っているか?」
「え、あっはい。合ってますけど……」
(ガスマスクの呼吸音で話が入ってこない……)
「そうか、シュコー私は白洲アズサだ。シュコーよろしく頼む憂太」
「よ、よろしくね……」
憂太は思ったよりも話ができる人でよかったと思うのと同時に、かなりやばい転校生だとも感じた
するとそんな僕のもとに聖園先輩がやってきた
「あれっ!思ったよりも二人とも早かったね!」
「聖園先輩が遅すぎた気がしますが……」
「いやーそれよりも仲良くできてそうでよかったよ!」
いったいどういう意味だろうか
「……?そういえば白洲さんって転校前の学校はどこだったんですか?」
一瞬二人の顔が凍りつく
「──あっ!そういえば最近お気に入りのお店があってー」
「無理があるでしょ!すっごい間が空いてましたよ!?」
すると白洲さんがマスクを外して答える
「別に隠す様なことじゃないんだが……私はこの学校に来る前はアリウスの生徒だったんだ」
(マスクの下は普通の顔か……それよりもアリウス?)
「アリウス?聞いたことないところだな……」
「あ、あはは、そうだよね。よく考えてみればアリウスのこと知ってる生徒の方が珍しいか」
「そうなんですね……じゃあ白洲さん今度その学校についても教えてくれると嬉しいかな」
「……!」
「──それは出来ない」
「えっ!?ど、どうして?」
「アリウスは憂太が知るべきではない、それだけだ」
憂太にとっては訳が分からなかった。けど、言葉に強い思いが秘められている用に感じた
「うーん、よくわかんないけど白洲さんがそういうならそうなのかな?」
「納得してくれるのか?」
「うん。いつか話せるタイミングで白洲さんが話してくれたら、それでいいよ」
「……ありがとう憂太。それと白洲さんではなく、アズサで大丈夫だ」
「あ、うん。アズサさんこれからよろしくね!」
「よろしく憂太」
「わーお……。会ったばっかりでこんなにも早く仲良くなっちゃうなんて、さっすが乙骨くん!」
「あはは……そう言われると照れますね」
その後聖園さんとアズサさんは入学の手続きをしに行った。僕は別館を出て校舎沿いに門へと向かう
ーー
辺りはすっかり夕焼け色に染まっていた
「今日もいい日だったかな……」
そんなことを呟いていると背後から叫び声が聞こえた
「危ないっ!」
「えっ?」
僕は何者かに抱え込まれ、勢いよくその場から飛び退いた
ガシャンッ!
次の瞬間、背後で何かが割れる様な大きな物音がした
「あ、ありがとうございます」
恐る恐る自分を助けてくれた人の方を見ると、最初の日に出会った羽川先輩だった
「羽川先輩!?」
「怪我はありませんか?」
「はい、大丈夫です」
そう返事をすると羽川先輩は落ちて来たものの方へと近づいた。僕もそれを追ってみると、なんとそこには花瓶の残骸が散らばっていた。もしもコレが頭の上に落ちていたらと考えると、羽川先輩への感謝がより湧いてくる
(多分もしもの時は里香が助けてくれるけど、学園内で出すのはマズイからね……)
すると羽川先輩がこちらに振り返り質問をしてくる
「乙骨さんでよろしかったでしょうか?」
「はい」
「最近いじめにあったりとかはしていませんか?」
いじめ?確かに前の学校ではよくあったが、こっちに来てからは一度もない
「特にいじめにはあっていませんが……たまに自分のものが移動されていたり机の上が荒らされることはありますかね」
「……ッ!それをいじめと言うのですよ!」
そんなことあり得ない、今僕の生活はとても充実している。そんな僕がいじめられているわけないじゃないか
「……?僕いじめられてないと思うんですけど」
「……しばらくの間周囲の様子を観察しておくので、何かあったら私に伝えてください」
「はい、ありがとうございます……」
「それではお気おつけて」
そう言うと羽川先輩は行ってしまった
「いじめかぁ……いじめってどんな感じだったっけ」
いくら考えても忘れてしまった感覚は思い出せない。憂太は考えるのを辞め、いつもの帰路についた
そろそろですかね……