僕は今複数の生徒に囲まれている。理由はわかる
ーー数時間前
「今日の放課後教室で待ってろ」
「放課後に?」
トリニティにしては少しやんちゃな生徒達が僕に話しかけてきた。
「ああそうだよ!震えて待ってな!」
「逃げたらわかってるよな?」
「よくわかんないけど待ってるね」
ーー
そして今に至る
その時は別に気にすることなく了承したが、これはよくある虐めの王道パターンであった。最近は平和ボケしすぎていたのかもしれない、どこにいてもやっぱり僕は邪魔な存在だった
「えっと?何の用でしょうか……?」
わざとらしく聞いてみる
「お前、やっぱ調子乗ってるよな笑」
「いつも変な目で周り見てるんだろ」
「男子生徒なんて気持ち悪い!」
放課後の教室に僕を含めず3人の生徒囲まれている。確実に虐めのシュチュエーションだ。少し嫌みでも言ってやるか
「いくら何でも花瓶落とすのはやりすぎじゃないですか」
「は?私たちが落とした証拠があるわけ?ないでしょ」
「でたらめ言ってんじゃねぇよ笑笑」
「もしかしたらうっかり落としちゃったかもねー笑」
ここで手を挙げられたらひとたまりもない。なんとしてもへいぜんを装い里香だけは抑えなければ
「取り敢えず話し合いで解決しましょう。何が目的ですか?」
「そりゃあストレス発散にきまってんだろ!」
「いやぁ弱い物いじめって最高だよなぁ」
「ヘイローがない男子生徒なんて雑魚なんだから、見てるだけでイライラする」
ダメだ相手がまともに取り合ってくれない
「……。」
「おいおい。黙り込んでどうした?」
「トリニティから出てけ!」
「もうやっちゃってよくね?」
そう言うと一人の生徒が前に出て僕に拳を振るう
「あの……多分、辞めといた方が──」
バッ!
頬に痛みが伝わる。あきらかに普通の女子高生の威力じゃない、ヘイローというのは身体強化もされているのか
それよりも里香がでてこなくて何よりだ。上手く抑え込めたのだろう、すごく嫌な予感がする……帰るか
「それじゃあ失礼しますね」
「逃がすと思ったか?」
再び虐めの生徒のうち一人が掴みかかろうとする。が……
「こんなところで、何やってるんすか?」
「なにって見ての通りいじめ……っ!」
「……!正義実現委員会!?」
「なんでこんなところに!」
糸目で黒い制服に包まれた生徒
「同じ1年なんっすから、そんなに怯えないでほしいっすね」
(あのオーラで怯えないのには無理があるでしょ……)
僕が殴られた後に感じた予感はこれだろう
「その……助けに来てくれたってことで合ってますかね?」
「はいっす!尾行するように指示されてたので、全部見てたっすよー」
「ど、どうする?」
「これはいじめじゃなくて、その、誤解なんですよ!」
「退学処分だけは勘弁を……」
「……取り敢えず正義実現委員会の方で話を聞くから、大人しくついてくるっす」
そう言っていこうとする正義実現委員会の生徒はこちらを見ると立ち止まり声をかけられる
「頬が痣になっちゃってるんでしっかりと救護室で手当てしてもらうっすよ。自分は仲正イチカっす、覚えといてくださいね」
「は、はい!ありがとうございます」
お礼を伝えて さんにいじめをした3人の生徒を預けた
ーー教室を後にして
(今回は仲正さんがいたお陰で助かったけど、やっぱりここでも虐めに合うのか)
僕は何よりも虐めという存在がこんなに素晴らしい場所にも存在することが、悔しくて悲しかった
「それにしても容赦ないな……ヘイローがないこともわかってるだろうに」
救護室に近づくに連れて声が聞こえてくる
「いや、このくらい大丈夫なので!」
「いえ、早めに直しておかないと後で取り返しがつかないことになってしまうかもしれません」
「いやいや、すぐ治りますよ!」
「いえいえ、しっかりと横になって救護を受けてください」
扉を開け、「すみません、ここが救護室で合ってますか?」と声をかける。まだ取り込み中のようだ
「安静にしてくださいね」
ドゴッ!
「はうっ……」
何やら鈍い音が部屋中に響いた
(……。)
「すみません、間違えました」
そう言い勢いよく扉を閉めようとしたが間に合わなかったようだ
「救護が必要な方ですね。ここが救護騎士団の救護室で合っていますよ」
(あんなのくらったら死んじゃうよ!?)
「頬に痣がある程度なので」
「いえ、大事な顔ですので早めに手当てをして置きましょう」
「あの……拳は無しにしてもらえると嬉しいのですが──」
「それでは、横になっていて下さいね」
(あっ、終わった)
「救護!」
ドゴッ!
「ぐはっ……」
僕の記憶はそこで途切れ、目が覚めた時には頬の傷は完治していた。乙骨憂太はこの日もう二度と怪我をしないと心に誓った
ーー次の日
今思ってみればブラックマーケット以来、特に遠出をした事がなかった。せっかく他の学園もあるのだから少し見に行ってみたいものだ
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