皆様、ドラゴンボールという作品をご存知だろうか?
事の始まりは、むかしむかし。とある人里離れた山奥に住む少年、孫悟空がとある少女との出会いをきっかけに奇想天外な冒険を繰り広げる物語である。
俺はそんな世界に転生した...のかもしれない。
目覚めてまず目に付いたのは真っ白な天井だった。
病院にしては随分と硬いベットに手をつけば、今己が倒れていたのは埃ひとつない床であると気づく。
一体ここは何処なのか。恐らく気絶していたのであろうが、その前の記憶が良く思い出せない。
確か、誰かと話していたような.....
床に足をつき立ち上がると、自分の体が随分と軽いことに気づいた。重力を全くと言っていいほど感じない。
今なら宇宙まで飛んでいけそうだ。
そんな冗談を考えながら服をはたいていると、俺は違和感を覚えた。
あれ?俺こんな服持ってたか?
白いダボッとしたズボンを青い帯で留めており、手首に黒いリストバンド、上は襟がオレンジの袖のない黒い上着のみで上半身がほぼ丸出し状態。こんな服を着て街中を歩けば即刻変質者扱いで通報されてしまうだろうな。
いや待てよ、そもそもこんな服を買った覚えどころか着た覚えすらない。本当になんなんだ一体.....
困惑して周囲を見回せば、今いる所から少し奥に光が差し込む場所があるのが見えた。
特に何も考えずそちらへ歩みを進めると、開けた空間に出る。
その空間は天井がなく、光がさんさんと差し込み、中心にある噴水にキラキラと反射していた。少しその空間の壁に添ってぐるぐると回ってみるが、他の空間へ繋がっているであろう廊下が数本伸びているだけで特に何かがある訳ではなさそうだ。
次に噴水を調べてみる事にする。
大理石でできた床から芝生へと一歩を踏み出すと、靴越しの柔らかい感触と共にいきなり光に晒された眩しさで目を細めた。眩しさを我慢して噴水を覗き込んでみる。
そして、水面に映った自分の顔に息をすることも忘れてしまった。
逆だった特徴的な髪に一房だけ垂れた前髪。そしてそのキリッと整った顔立ちには驚愕、といった表情が浮かんでいる。
俺は、この顔をよく知っていた。
とある作品で最後の切り札として使われた技、
元々はメタモル星人に伝わる2人の戦士が融合して強力な戦士となる融合技であり、少々奇っ怪な動きをしなくてはならないが、その力はただ2倍になる訳では無く、更に数倍アップになるのだ。その代わりに、失敗のリスクや30分しか合体し続けられないという制限もあるが、成功すれば絶大な力で敵を圧倒する事ができるという正に奥義のような技。
ベジータと悟空がジャネンバという敵を倒すために融合し、生まれたのが、最強の融合戦士。その名も"ゴジータ"だ。
そんな彼が今、水面に映り驚愕の表情を浮かべている。
しかしそれは、ただ自分が"ゴジータ"である事に驚いている訳じゃなかった。
"彼"はこれまでの全てを思い出していたのだ。
簡素な住宅街
くたびれたスーツと鞄を手に持ち帰路についていた自分
住宅街を抜け大通りに差し掛かったその時、誰かの"あっ"という声と
眼前に迫るトラックの光──────
全てを思い出した。何故、自分がここにいるのか。
⚠お知らせ
条件を満たしました
これより世界との同化を開始します
チリン♪という軽快な音と共に目の前に現れた謎の青いウィンドウ。
一体これは...
この目の前のウィンドウは、"世界との同化"とは一体なんなのか。分からないことが多すぎるが、なんとなく状況は飲み込めてきた。
まず、先程思い出した俺の記憶によると、俺は今ゴジータとしてこの世界に転生した。確定している事はそれだけだ。
今いるこの空間が何なのかすらも分かっていないが、不思議と焦りはない。それどころか、心はとても穏やかだ。そういえば、超サイヤ人には穏やかな心を持ちながら激しい怒りを覚えることで覚醒するんだったな。普通ならこんな状況、混乱でパニックになってもおかしくないはずだが...これもゴジータになった影響だろうか?
もしかしたら、誰しもが一度は憧れた超サイヤ人に、いや
ニヤリと上がった口角に、サイヤ人としての血が騒ぐ感覚がする。どうやら、俺の性格は随分と変わってしまったらしい。
するとまた、聞覚えのある音が鳴り、青いウィンドウが展開された。
⚠クエスト案内
目標:器との完全なる同化を果たしてください
同化率 [0.12% / 100.00%]
まるでゲームみたいだな、というのが初めの感想だった。
器、とは恐らくこの体の事だろう。何故か同化率が少し上がっているが、もしかしたら時間で上がっていくのだろうか?そう思い少しだけ放置してみたが、同化率は1ミリも上がらない。まあ、概ね予想通りだ。サイヤ人の究極の肉体にそう簡単に適応できてたまるかという話だ。
ならばどうすればいいのか、その答えは簡単。
ズバリ、修行をすればいいのだ。まだ試してはいないが、ドラゴンボールと言えば強さを求めて修行をし、強敵と戦う事がメインだろう。
なにより、このサイヤ人の肉体というのは鍛えれば鍛えるほど強くなる。ならば答えはそれただ1つだろう。
恐らくこの空間は、俺の為に用意された精神と時の部屋のような所だ。この謎のウィンドウを信用していいのかどうかは知らないがここまで手厚くもてなしてくれているのだから、乗らない方が失礼というものだろう。
息を一つ、ゆっくりと吐き出し、よしっ!っと気合いを入れて地面を踏みしめた。
こういうのはまず基礎からだ。
誤字脱字あったらコメントにて報告頂けると助かります。閲覧ありがとうございましたm(_ _)m