俺だけ融合戦士な件   作:HIDE X

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第4話 君主と伝説②

 

 

 

 

ゴジータの後に続き、先程までいた噴水のある空間から薄暗い通路を抜けると、立派な門構えにたどり着いた。恐らく俺の入り方が特殊だっただけで本来の入り口はこちらだったのだろう。

ゴジータがその門を押すと、重厚感のある扉がギギギッと音を立てて開く。

 

 

そして目の前に広がったのは、ただ真っ白な空間だった。

 

先程まで薄暗い空間にいたからか、最早眩しさすら感じられるほどの白に埋め尽くされた空間が延々と続くその光景に呆気にとられていると、ゴジータは慣れた様に門の下の階段を下って行く。

それに続いて俺も階段を下り、その空間の床であろう面に足をつけた。それが本当に床なのかどうかも分からずにじっと見つめていれば、そのまま真っ白な奈落へと落ちてしまいそうな不思議な感覚に襲われる。

こんな所でずっと過ごしてたら、頭が可笑しくなりそうだ。さっさとクエストを終わらせて現世に戻りたいが...

俺がいる階段の下より少し先で、準備運動と称し体を伸ばしているゴジータに視線を移す。

すると、その視線に気がついたかのようにゴジータはこちらを振り返り、自身の拳を左手で包むようにして握りこむ。

 

 

「よし、やるか」

 

 

そうニヤリと笑みを浮かべるゴジータと相対し、俺は短剣を構える。

 

しかし、ふとこんな疑念が浮かんできた。素手相手に刃物というのは少々卑怯なのではないか?

もちろん、これが実戦だった場合そんな悠長なことは言ってられないが、これはあくまで""手合わせ""だ。

それに、あの鍛え上げられた肉体と素手を中心とした戦い方を見るに、恐らくゴジータは""武闘家""ではないだろうか。武闘家とは基本、礼儀を重んじるイメージがあるが.....。

そう思いゴジータの全身を観察してみるが、あのほぼ上裸の様な格好で武器や防具を隠し持てるようにも見えない。

ならば、こちらも同じ土俵に立つことにしよう。幸い、俺もパワーには自信がある。

俺が短剣をインベントリへ戻すと、ゴジータは一瞬怪訝そうな表情を浮かべたが、特に何かを言う事はない。恐らく、やり方はこちらに一任してくれているのだろう。

俺は再びゴジータに向き直り、その姿を真っ直ぐと見据えた。

 

 

「準備はできたみたいだな」

 

「あぁ」

 

「んじゃ......いくぞ...!」

 

 

両者が構え、静寂。

 

そして同時に動き出した。

 

常人では決して目で追う事のできない、そのスピードで一直線に駆け出す。

しかしその瞬間、俺の視界の端に⚠警告⚠という不穏な赤いウィンドウが映り込んだ。

それは、丁度ここに来てすぐに見たものと同じだった。

 

 

 

 

⚠警告⚠

 

酸素濃度が低下しています

 

重力負荷が上昇しています

 

 

 

 

ズンッと重くなる体に知らないフリをして""支配者の手""を拳に纏い、全力の一撃を繰り出す。それはゴジータの拳と重なり、周囲には突風と衝撃波が巻き起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(おっと...こんな時だってのにな)」

 

 

無意識に上がっていた口角を右手でなぞるように隠す。

今オレが相対している青年 水篠旬は、この自分以外の生物が存在しないこの空間に突如として現れた。久々に人と話せた喜びと強者と戦えるという高揚感から、柄にもなくはしゃいでしまっているのが自分でも分かった。

 

一旦間合いを取ってから、一気に懐へ潜り込み顎に上蹴りをするが間一髪の所で回避される。だが、今の攻撃を避けたことでできた隙。そこを見逃さずにガラ空きの上半身に拳を打ち付けると、旬は一瞬呻き声を上げて吹っ飛ぶが、空中で体制を立て直して華麗に着地をした。

しかしその様子は、息を乱し、汗を浮かべており、よく見れば顔色もあまり良くない。

 

 

「ハァッ...ハァッ.....!」

 

「どうした、もう限界か?」

 

「んなわけ...!」

 

 

超スピードでオレの背後へと回り込み、鋭い右フックを繰り出す旬の拳をオレは片手で受け止めた。すると反撃を警戒してか距離をとった旬は縦横無尽に動いて動きを撹乱させつつ、再度こちらへ向かって来るが、旬の動きを冷静に見極めて攻撃を往なす。

オレ攻撃が通じないことに焦りが生じたのか、はたまた他の要因があるのかは知れないが旬の額には冷や汗が流れていた。更に、オレの反撃によるダメージの蓄積か、少しずつ動きが単調になっており、随分限界が近そうである。

そろそろ潮時か。そう思ったオレは左拳にグッと力を込める。

 

 

「ここだァ!!」

 

「なっ...!ガハッ!!?」

 

 

その拳は見事旬の鳩尾へと突き刺さり、旬は大きく吹っ飛んだ。そのまま床に大の字になり、倒れ込んでいた旬はやがて上半身を起こすと息を整えつつ、また戦闘態勢へと入る。

それを見て、オレはどうにも拭いきれない違和感を払拭するために、オレはその場で直立不動になる。

それに気づいた旬は攻撃しようとしていた次の手を止め、訝しげな表情でこちらを見つめてきた。

それを見計らってオレは口を開く。

 

 

「旬、お前...本気を出してないな。いや、本気を""出せない""の方が正しいか?」

 

「!」

 

 

オレのその言葉に反応した旬を見るに、恐らく予想は当たっているのだろう。そう考えてオレは言葉を続けた。

 

 

「あの神殿で見せた反射神経や初速から比べてスピードが落ちているとは思っていたが、部屋の効力にあてられたか?」

 

 

オレの言葉に目を見開いた旬は、やがて観念したと言うように口を開いた。

 

 

「ああ...そうだよ。その通りだ」

 

 

なるほどな。初め普通に会話をしていた時は平然としていたため、もう既にこの環境に適応できているのかと思っていたが、初めて対面した時の反応速度と今の動きを比べてみれば明らかに後者の方が動きにキレが無くなっている。

恐らく直前まで何かしらの効果が働いていたか、はたまた気の応用だろうか?

 

 

「ふむ...この部屋の効力を無効化できるような""シロモノ""があったとはな...」

 

「その辺は...まあ。.....少し事情があってな、俺がここへ来たのもその為だ。だから、あまり深掘りはしないでくれるとありがたいんだが...」

 

 

言葉を濁した旬に""訳あり""だと察したオレは、あまり深く探ることはやめた。

 

 

「そうか、分かった。マ、自分の手の内明かすようなマネはしたくねェよな」

 

 

そうあくどい笑みを浮かべて旬を見ると、旬はピクリと片眉を動かし、眉間に皺を作っていたが特に何かを言うことはない。

しばしの沈黙の後、オレはこのなんとなく空気を変えるためパンッ!と一つ手を叩いた。

 

 

「ヨシ、どうする?このまま戦いを続けてもいいが.....正直オレはオススメしない」

 

「何故だ?」

 

「簡単な話、それじゃ""面白くない""だろ?」

 

「.....なるほどな」

 

 

恐らく先程から何かを察していたのであろう旬は、オレの発言にどこか呆れたような、納得したようなそんな声を漏らした。

 

 

「オレはなお前と本気でやり合いたいんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────だからよ、オレがお前を鍛えてやる」

 

「何...?」

 

 

ゴジータからの予想外の提案に、俺は思わずそう返してしまった。

 

 

「オレもそろそろこんな所に一人でいるのには退屈しててな、お前を鍛えてやる代わりにオレの相手になってくれよ。どうだ、悪くない提案だろ?」

 

 

それを聞いて、旬は思案する。確かに強くなる事に重きを置く旬にとって、その提案は魅力的だった。

先程ゴジータと手を合わせてみたからこそはっきりと分かる。ゴジータと俺の間には大きな力の差がある。

俺も万全な状態じゃなかったとはいえ、向こうも本気を出していないのは一目瞭然。恐らくだが、俺の全力と五分五分...いや、俺の方が少々部が悪いといった所だろうか。

このまま影の兵士達を出して戦ったところで勝てる確率は低いだろう。ならば────

 

 

「分かった、いいだろう。その話乗った」

 

 

───悪魔だってなんだって利用してやる。

俺の返事にゴジータはフッと笑いこちらに手を差し出す。

 

 

「んじゃ改めて、短い間だろうがよろしくな」

 

「あぁ」

 

 

俺は肯定の意を込めてその手を握った。

 

 

「旬、ここにはいつまで居るつもりなんだ?」

 

 

そう訊ねてきたゴジータに、システムを視界の端で捉えつつ「1週間ぐらいだ」と答える。

 

 

「なら、ざっと30ってとこか...」

 

 

そう呟いたゴジータは、何やら思案し始めた。微かに聞こえた30という数字は一体何の事だろうかと思いつつ、未だ主張をし続けるシステムに目を向ける。

 

 

 

残りの時間:[167:52:21]

 

 

 

 

あの神殿のような建物を探索していた時には動いていなかった筈のタイマーが、ゴジータと戦い始めてから動き出した。その事を鑑みると、恐らくだがクエストの開始にはこの空間に侵入する以外にも何か条件があったと考えるのが妥当だろう。

となれば、この空間は常に重力操作と環境変化の影響をもたらし、その影響下で過ごすことで強靭な肉体を手に入れる事ができるという空間(ダンジョン)であり、クエストを受けない限りその影響はない。しかし、何らかの条件を満たす事でクエストが開始し、システムによる""影響の無効化""が解けたのだと考えれば納得がいく。

その証拠に、正面を見ればこうして考えている間にもタイマーは刻刻と進んでいる。

 

しばし進み続ける数字を見つめていれば、その奥で未だ何かを考えていたゴジータと目が合った。ゴジータの黒い双眼からは、獣の様な力強さを持ちつつ、知性的であり絶対的な自信を感じる。それは正に強者の風格というモノだろう。

 

 

""アレ""は越えるべき壁だ。

 

 

咄嗟にそう思った。ゴジータにはこれまで出会った敵やハンター達とは違う""ナニカ""がある。確信にも近いソレはハンターとしての直感か、それとも水篠旬の本能からかは分からない。

だが、これだけは確実に言える。この空間から出た時、俺は格段に強くなっている事だろう。

 

しばらくしてゴジータは考えが纏まったのか、こちらに歩み寄ってきた為、俺も今まで眺めていたシステムの画面を消す。

 

 

「早速始めよう。あまり時間がないみたいだからな」

 

 

 

 




更新が遅れてしまって申し訳ない...いやもう本当に土下座です。
今回少々難産でしてね...書いては没書いては没を繰り返しつつ新ブロリーと復活のフュージョンを見直してあーでもないこーでも無いと紆余曲折しやっと出来上がりました。しかしこれ以上放置するのもということでこのお話を投下。なので君主と伝説パートはあと1話程(多分)続くと思います。
ついでに言っときますとタイトル変更しました。合体じゃなくて融合だったのでね.....
それとアンケート結果はブルーと4どちらも出すということで決まりましたので〆させていただきます。
何か質問等がございましたらメッセージの方で受け付けておりますのでお気軽にどうぞ。
コメント、評価してくださった方もありがとうございます。
という訳で皆様閲覧ありがとうございましたm(_ _)m
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