その脚が砕けるまで   作:えすてる結合

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歴史が導くもの

「決して諦めるな。決して、決して、決して」──ウィンストン・チャーチル

 

 恐れず進む者にこそ、運命は微笑む。

 かつて剣を手に戦場へと赴いた者がそうであったように、私もまた、このレースにすべてを賭けている。

 

 府中ウマ娘ステークス。ゲートでスタートを待つ。

 

 ひんやりとした鉄の枠に囲まれると、隣のゲートにエレガンジェネラルが入るのが見えた。

 

 彼女は私を見て、微笑む。

 

「一緒に走るのは、選抜レース以来かな」

「そうだね」

 

 オークス、秋華賞。それぞれがスターリープライドと矛を交えた経験はあれど、この2人が直接戦うのはトゥインクルシリーズでは初めてだ。

 

「あなたが相手でも、エリザベス女王杯に向けて、ここは負けられない」

 

 彼女の目は鋭く、燃えていた。

 その眼差しには、ただの前哨戦ではなく、この一戦にすべてを懸ける覚悟が宿っていた。

 

「……私も」

 

 私の答えに、彼女は満足げに頷いた。

 

 このレースは、ただの通過点ではない。

 エリザベス女王杯を目指す者たちにとって、ここは”決戦の前哨”だ。

 

 私は息を整え、視線を前へ向ける。

 

 一斉にゲートが開く。

 

 私は、迷いなく飛び出した。

 

 今の私は、もう出負けなどしない。

 しっかりと先行集団へと取り付き、差す準備を整える。

 

 序盤の駆け引き。

 誰が前を取り、誰が後ろに控えるのか。

 

 ペースは速い。

 しかし、私は動じない。

 

 この位置、この流れ。

 

「これが私の勝ちパターン……」

 

 前のウマ娘たちがレースを作り、私はそれを読みながら進む。

 今はまだ、仕掛ける時ではない。

 

 焦る必要はない。

 自分のタイミングで、仕掛けるだけ。

 

 レースが進むにつれ、身体が研ぎ澄まされていく。

 余計な思考は削ぎ落とされ、視界はただ、目の前の道筋へと集中する。

 

 そして──

 

 第三コーナー。

 

 その瞬間、私の視界が変わった。

 

──剣闘士たちが現れる。

 

 短めの剣(グラディウス)長方形の盾(スクトゥム)を携えて、整然とした隊列を幻視する。

 

 彼らは、私の左右に並び、静かに進軍を開始する。

 

 将軍の号令が響く。

 

 足音が揃い、武器が鳴り、規律ある動きで戦列が形成される。

 

 まるで、勝利へと導くために整えられた軍隊。

 だが、この戦いは私自身のものだ。

 

 veni, vidi, vici(来た、見た、勝った)

 

 その言葉が、まるで刻印のように胸に刻まれる。

 彼らとともに進むことが、私の戦い方。

 

 勢いに乗る。位置を上げながら、第四コーナーに差し掛かる。

 

 この瞬間、この道筋。

 

 ここまで全てが、私の歴史(storia)

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