史上最凶の女 TAKAMURA 作:ある日そこに居たであろうクマさん
燃える、燃える、燃える。
己の肉体の内側からマグマが飛び出してきそうな程...
己の精神が太陽にぶち込まれたと錯覚する程...
これは何と言うのか...
その時までのオレは知らなかった。だが...
今なら分かる。これは...
また、会おう。オレの愛した女。
次にアンタに会えたら...オレは.....
場所はとある『街』の中...
その中の道の一つをある6人の男女が歩いていた。
「ふっふっふ。見てるか、朱美?この私の今の姿を...!!」
「えっええ、見て...る、わよ」
「「.....」」
「?ええっとだな...」
「美味しい〜♡♡」
その中の一人 金髪褐色の少女 紗倉ひびき。彼女は感激していた。いつもと同じ様にマッチョだったとしても若く、イケメンの二人の男が自分の両隣りを陣取り歩く光景に...
その中の一人 黒髪ロングの色白の少女。奏流院朱美は感動...していたが、それ以上に気まずかった。確かに自身は筋肉が好きだ。特にワイルド系、もしくはオラオラ系とも言うべきそれも、爽やか系もアリだ。だが...
その中の一人 その内のもう一人の親族にあたる呉 迦楼羅は...困っていた。自身の一族の中で一番気性と素行に問題のある人物と自身の好きな男の二人が何も言えず、ただ不満げに歩いている。ただ、この二人が嫌々とはいえこうして人の頼みを素直に聞き、そのまま沈黙しながら歩いているのも珍しい。故にあまりにもツッコミづらいし、喋りづらい。まあ元凶はひびきとは別に計三名いる訳だが...
そしてその元凶達はというと...
「この新作のクレープ超美味しいけど二人もどう?」
「「いや、別に...」」
その者達こそこの気まずい空気の元凶達。
「そもそもオマエ、こんな所に居ていい存在じゃねえだろ?どうしてオマエみたいな奴が普通に学園生活送ってんだよ?」
元拳願絶命トーナメント出場者にして元山下商事の代表闘技者
阿修羅 十鬼蛇 王馬。
「えぇ〜良いじゃん別に〜そんな気にしなくても...」
女子裏格闘団体
日本一危険な女子高生 本郷姫奈。
「テメェ、それを本気で言ってんのか?流石に無理があんだろ...どうせなら後で殺りあってみるか?」
呉一族の異端にして問題児中の問題児。
魔人 呉 雷庵。
「へえ...良いねぇ♡」
「クククッなんだよ、えらく乗り気じゃねえか?」
そしてタダでさえ気まずい空気が殺気じみた空気に切り替わってきた頃...
「ちょっちょっと二人とも落ち着いてっ!」
「雷庵、やめろ!オマエもそこまでにっ」
「...はあ、お前らほっとけ。言っても聞こえねえよ。完全にスイッチが入ってやがる。...たくっどいつもコイツも、何でこんな事になったんだか...」
朱美と迦楼羅の二人が睨み合う雷庵と姫奈を宥める中、王馬は静かに一週間ほど前のある出来事を思い出していた。
時は遡り一週間前〜
呉一族の住まう 呉の里。
そこでは迦楼羅と他の一部を除く呉一族の面々と現在そこで自身の存在を隠している十鬼蛇王馬が集められていた。
『はあ?蟲が半壊させられた?それも幹部クラスも殆ど死亡しただと...一体何の冗談だ?』
『冗談などでは無い、これは事実じゃ。つい最近の事らしいが...たった三名の謎の存在によって蟲の幹部であろう数人とその他に蟲と通じていたであろう組織が全て壊滅させられた。因みに証拠としてその者達の数えきれない首が各国の警察や軍の基地内に送り届けられたそうな』
『ハハハハハッッ!おいおい、なんだそりゃ。随分と頭のイカレた連中が居るみてえだな!それもそんな事を世界でも屈指のイカレ野郎どもにするとはッ!』
『『『『『お前が言えた口かッ!?』』』』』
『あ?』
『まあ、雷庵の事は今は良い。だが、それはここ数日に起きた真の事件であり、同時にその人物達からの
『あ?どう言う事だよ?』
『十鬼蛇王馬。...地下闘技場を覚えているか?』
『ッ!刃牙の居たところかッ!?爺さん、あっちで何かあったのか?』
『ああ。その首の中の幾つかがそこを運営する徳川光成殿の所にも送られた。ある物と一緒にな...』
『ある物?』
『ああ、それはじゃな...』
そして時は戻り...
「んでもって蟲がほぼ壊滅状態だからある程度は自由に出られたが...その代わりと言わんばかりに迦楼羅の知り合いのコイツらと出てきて、更にはもう一人のヤバい奴と遭遇したと...でこのザマときた」
「王馬...すまん」
「別に良い。それと雷庵、後...姫奈?も止めろ。早く行かねえともう一人の馬鹿が迷子になっちまうだろうがッ!」
迦楼羅の謝罪を聞きながらもそれを気にせずそっと彼女の頭に手を乗せながら雷庵と姫奈の二人の仲裁に入る王馬。彼はつい先ほどある事に気づいたが故に面倒ながらも二人を止めざる得なかった。
何せ、自身や雷庵達が居るこの状況で...雷庵と姫奈とやらが争い、迦楼羅と自分の注意がそれぞれ逸れていたとはいえ...
「ほら見ろッ!前見たらもう居やしねえ!ヒビキの奴が消えやがった!」
「へ?」
「「あ?」」
「あっ本当だ、ひびきが居ない...!」
王馬の声に反応し、その場の全員が周囲を見るとそこには先程まで自身達の周りで一人呑気に歩いていた紗倉ひびきがその姿を消しており、周囲を見渡しても見る影も無くなっていた。
「おい、どうする気だ?そもそも俺達は今回『蟲』を潰した奴らの捜索に加えて、迦楼羅の
「おいおい、兄弟。流石にそれは無えんじゃねえのか?オレ達もよそ見してたとはいえ、殺気や大した気配は感じなかった。それにあの
「そうだねぇ、あの子とは最近知り合ったけど...そんじょそこらの相手なら自衛は出来ると思うし、そっちのお兄さんと同じで私も速い奴は居なかったと思うよ?」
「どうだろうな。確かにお前らの言う通り強い奴の気配は感じなかったが...」
(さっきのメイド服みたいな奴は...)
「とにかく、ひびきを探してみましょう!大丈夫だと思うけど何かあったらッ!」
「ああ、そうだな。じゃあ、俺と迦楼羅は向こうを姫奈と朱美は反対側を、雷庵は向こうを探してくれ」
「あ?何で俺は一人なんだよ?」
「お前は一人でも大丈夫だし、こう言うのはなるべく分散して探した方が早い。それにお前と姫奈が揃うとマジで殺りあい出しかねないからな」
こうして王馬の指示の元、五名による紗倉ひびきの捜索が急遽執り行われ、皆は手分けをしてひびきを探す羽目になったのであった。
そして...
一方のひびきはというと...
「えへへ〜このたこ焼きも美味しいし〜こっちのイカ焼きも〜」
雷庵の言った通りその嗅覚で食事の匂いを嗅ぎつけ、大通りに並ぶ屋台を食べ歩きしていただけだった。
というのも彼女達が今回買い物に来た街は現在祭りの真っ最中であり、様々な屋台が並び、普段から大食いのひびきにとっての天国と化していたのだ。
そして彼女は...
「ねえ、王馬さん雷庵さん。それに朱美達も見てみろよ〜他にもすっごい美味しそうなものが.....」
「アレッ!みんな居なくなってる!?」
みんなと逸れた事に気づいてすらいなかった。
「もしかして...みんな迷子になっちまったのか!?」
失礼、自身が迷子側という事すら気づいていなかった。
「なんてこった!このままじゃあみんながここの屋台食べられねえじゃねえか!?」
*気にする所そこじゃねえよ
「ッ!おーい!朱美ー!王馬さーん!雷庵さーん!迦楼羅に姫奈ー!何処だァァーーー!!...駄目だ。誰も返事しないし、周囲の視線があまりにも辛い...あっそうだ!スマホ、スマホ♪」
そして王馬や朱美達を探す為に一度は周囲に呼びかけるも返事の代わりに帰ってきた周囲からの視線に耐えきれず断念!
そこから気づいた現状唯一の救世主的手段こと現代の宝ことスマートフォン!この時代。筋肉に生きようが、女に生きようが、男に生きようが、戦闘に生きようが、貧困や『鬼』など数少ない例外を除き。全ての者が持ち歩いているソレ。これさえあれば連絡が.....
「あれ...ワタシ、スマホ...ドコイレタッケネ?アレレ〜オカシイゾ〜」
取れる事は無かった。というのも彼女はこんな時に限って出かける前に自身のスマホをいつものジムに置き忘れると言う痛恨のミスを犯していた。
尚、その頃〜ひびきのスマホはというと...
☆マッスル☆&☆筋肉☆ッ!!
シルバーマンジム〜
「...これは!?」
「ッ!どうかされたのですか!マスター!」
「...大胸筋」
「大胸筋?それが、何か...」
「僕の大胸筋の上に...
「...oh〜fantastic☆」
「くっそ〜!このままじゃあ、まるで私が迷子みたいじゃねえか!」
*お嬢さん、その通りです。
「一体どうしたら良いんだァァ〜!?」
そしてひびきがなんとも言えない叫びをあげたその時だった。
「キャアアアッッ!?ひったくりよ!」
「誰か捕まえてッッーーーー!!!」
「えっ!ひったくり!?」
そんな折に聞こえてきたのは近くの屋台付近を歩いていた女性の悲鳴とそこから逃亡する男をもう一人の女性がひったくりと断言し、男を捕まえてくれた叫ぶ声だった!
「ヤロウッ!みんなが祭りや屋台を楽しんでるのにそんな事っ許せねえッ!」
それに反応したひびきは咄嗟に男の進行報告に出ようと...
「いや、その必要はありません」
「えっ?」
した瞬間ッ!
王馬視点〜
あれから20分ほど、俺達は居なくなった紗倉ヒビキの探索をしていた。
だが...
「クソッあいつどこに行きやがった!?全然影も形も見えやしねえッ!」
あいつッ!あの時の大食いの時以外、そこまで接点が無かったから知らなかったがメチャクチャ自由じゃねえかッ!?マジで何処にも居やがらねえ!
「王馬、朱美達から連絡があって近くで祭りをしてるからその屋台の匂いに釣られてる可能性があるかもって!」
「ッでかした迦楼羅!あいつらも良くやった!」
そんな時、少し離れたとこから朱美達と連絡を取っていた迦楼羅から彼方側で祭りとそれに伴う屋台の展開。そしてヒビキの奴がそこに居る可能性があるという報告があったみたいだ!
あの二人、マジで良くやったぜ!
「迦楼羅ッ俺達も早く行くぞッ!」
「っああ!」
そして俺達はそこから二キロほど離れた祭りの会場へと向かって行った。
いや、そもそもあいつ何処まで行ってんだ!?」
だが、その数刻後。
俺達が目にしたのは...
「ふざけすぎィィィィッッッ!!!!!」
「ガアァァァァッッッッ!?!?!?」
正体不明のメイドに顔面を殴られてその身体をコンクリートに埋められ、半径10メートルのクレーターを作る事になった男の姿だった。
「なん、だ?アレ...」
「分かんねえ...だが、只者じゃあ無さそうだな」
あのメイド。さっき見かけた奴だ...やっぱり何かあるな。あいつだけ
本当に何者なんだ。
そして...
「おーい!迦楼羅ー、王馬さーん!」
「ん?おまっヒビキ!何処行ってやがった!?」
「ひっごっごめんなさい!ちょっと食欲が...あはっアハハハハ!」
「たくっ世話焼かせやがって!...それで、あの男とメイドは何だ?何があった?」
「それが...」
迷子になってたヒビキもここに居やがった!やっぱりか。どうやら朱美の予想は正しかった様だな。
そしてヒビキにこの状況の経緯を聞いてみると。どうやらあの男はひったくり犯だったらしく、それをあのメイドが取り押さえた...というよりはぶん殴ったらしい。
というかひったくり犯、死にかけなんだが...相手が相手とはいえやり過ぎじゃねのか?
「この私の前でその様な
「しかもそんな理由でコンクリートにめり込ませたのかよ!?」
あまりに行き過ぎたくらいの威力の拳。具体的に言うとひったくり犯の上半身がコンクリートに埋まりピクピクと痙攣しているくらいには...しかも先程も思った事だが、十メートルほどのクレーターも出来るほどなのに良く生きてるな。あの犯人。
そしてやった当人こと謎のメイドに至ってはぶん殴った理由が服装が気に食わないという事らしい。
「いっイカレてやがるぜ...」
「うん...正直、雷庵の方が常識はある」
「おや、貴方達は...もしかして
「「!?」」
こいつ、俺達の事を知ってやがるッ!?
「貴方達が居ると言う事は...」
「おーいひびきー!二人ともー!」
「やべっおい、今こっちに来るなッ!」
その時、別れてヒビキの探索をしていた朱美と姫奈の二人がこっちに走ってきやがった。だが、今はまずい。相手が何者かは知らねえが、俺達の名前を知っていた事とその実力を考えると姫奈はともかく朱美はまずい!
「あら、あちらは奏流院朱美さんに本郷姫奈さんではありませんか」
「それにお二人の隣に居るのは紗倉ひびきさん?おや、これは凄い!正しくオールスターズと言ったところですか?」
『!?』
こいつ...この二人の事やヒビキの事についても知ってんのか?マジで何者なんだよ...
「あの〜何で私達の事知ってるんすか?私達、アンタとは初対面の筈じゃ...」
「ああ、確かに...私も貴女達は初対面ですね。ただ、私の場合は
「知っているだと...そりゃあどう言う事だ?」
「申し訳ありませんが答える事は出来ません。それと、十鬼蛇王馬さん。貴方にお知らせと忠告を一つずつ」
「まず貴方達が知っている『蟲』とやらはほぼ壊滅状態なだけでまだ生存している者もいます。これがお知らせです」
なん...だと。やっぱりコイツ。例の事件の関係者か!?
「そしてここからは忠告。今、
彼...!!そうか、『あの男』に喧嘩を売ったってのは本当らしいな!それにコイツの言葉。我々って事は何人か仲間が居るって事だ!
「大変だな...あの男に、地上最強の生物。
「「「ッ!?」」」
「範馬...勇?誰だソレ?」
「ひっひびきッ!覚えてないの!?一年位前かそのくらいにテレビでやってた地上最強の親子喧嘩のッ!」
「えっ...ああ!あの人か!赤い髪のすっごいマッチョの人!確か何年も前からアメリカと個人で友好条約結んでるって明らかになった...ええ!?あの人に喧嘩って...!?」
まだ俺が闘技者だった時...絶命トーナメントの決勝戦よりは前か...あの時、突如として始まった地下闘技場との対抗戦。そこで出会った刃牙の親父。あの黒木幻斎と比べても劣るどころか勝る部分が多いと感じさせられた存在。絶命トーナメントの決勝戦のその後...死にかけのあの時ですら忘れる事は無かった存在。
あの圧倒的な存在に宣戦布告した存在達...
「なるほど、ご存知でしたか。確かに、我々は範馬勇次郎氏に宣戦布告...いえ、挑戦状を出しました。ですが、それは私の意思ではございません。全てはあの方と『ある事』について話す為にございます」
「ある事?それも話だと...てめえら、何を」
「貴方達が気にする事はございません。それより、貴方達はもう一人...
「はあ?何言っ...ッ!」
気にすべき存在。急に何を言い出すのかと思えば...そうだ。良く考えてみりゃあおかしい!なんでアイツの身体能力でここまで合流するのが遅れるんだ?それも迦楼羅達から連絡は行っていた筈なのに...
まさかッ!?
「よお...まさか、アンタとこんな所で再会出来るとはなァァ!!」
「〜〜〜〜」
暗い建物の中...
『街』の何処かで二人は...
『亡霊』と『魔人』は再会を果たしていた。
次回...踊り狂う怪物達。
お楽しみにね♪