史上最凶の女 TAKAMURA 作:ある日そこに居たであろうクマさん
これは『頂点』の物語では無い。
これは『亡霊』の物語では無い。
これは『皇拳』の物語では無い。
これは『堕天』の物語では無い。
これは『九つ』の物語では無い
これは、かつてある世界の海。その海にて起こった塗りつぶされた数年間。『ある海賊』と『ある化け物』。二人の出会いとその後を語る物語である。
全てでは無いが語らねばなるまい。
少なくとも、『彼』との出会いを...
『R』第零海 『最高』なる旅路。その始まり〜
時代は後の四皇 麦わらのルフィ率いる麦わらの一味。彼等が二年間の修行を終えた時期であり、海軍と白ひげ海賊団との頂上戦争から2年後。
その時代から更に56年前〜
「あ〜暇だなぁ〜」
「おいおい、今は
「だってよ〜流石にここまで何も無いと逆に緊張感も何も無いだろ」
場所は聖地マリージョア。今現在、世界会議という各国の王達が集まる一大行事とも呼べるものが開催され、その警備は通常の何倍にも跳ね上がっていた。
そして彼等はそのマリージョアの衛兵であり、二人は自身達の任された範囲での見回りをしている様子だった。
「第一今のマリージョアに攻め込んで来るなんて、そんな馬鹿な事をする奴が居るなら俺が見てみたいぜ」
「ああ、確かに...今は世界会議。海軍と我々を敵に回すリスクを犯してまでここに入ろうとする者など相当な馬鹿か自殺志願者くらいだな」
二人は自身達の任務も重要なものだと思いながらも流石に少し気疲れして来ていた。彼等は数日。交代ありとはいえ、様々な国の王達との接触や案内。更にはその護衛などを任されており他の衛兵達も含めてこの時期は特に疲れが溜まるのだ。
故にこんな場所にどう言った理由であれ、侵入者などが居ようものなら自身達は怒りに任せてその存在を抹消してやろう。そう考えるほどに彼等は疲弊していた。
尤も...
「確かに、そんな事をする奴がいるならおれも是非ご一緒したいモンだ!聖地への侵入ッ!.....良いじゃねえか!!」
「はあ?良いってお前...あのな、俺達は衛兵。つまりこの聖地を守る側なんだぞ。それが侵...待て、お前...
「
彼等が.....否。
彼が気づいた時には...
「あっあぁ、ァァァッッ!?」
その1秒後、ズシャアッという音と共に衛兵であった名も無き者はその姿を血濡れた肉片へと変え、その姿を消した。
そして残されたのは...
「たくっ汚ねえモンをぶっかけやがって!...それより、お前は何してんだ、
「...ロックス様」
「ああん!?どうした?」
「今日の修道服は黒と赤。どちらが...」
「どっちでも良いわ!?早く行くぞ!」
「了解☆」
「本当に分かってんのか?」
二つの『黒』。そしてこの数刻後〜
聖地は一気に『戦場』へと成り果てた。
「たすけてェェェェッッッ!!!」
「助けてくれェェェッッ!!!」
「誰かアァァァァッッッ!!!!」
先程まで聖地だったその戦場。そこでは数多の人影が動き回り、その一帯で爆発や炎が舞い上がり人や物を無差別に吹き飛ばしていく。
その中で...
「はあはあっなんなんだ、お前は...」
「貴女は海軍大将?という人ですよね。ただ、最高戦力なるものとしては弱すぎる気もしますが...」
「ぐっクソッ!」
(なんなんだ、コイツは...
火の海の中...そこには二人の人物が立ち会っていた。
否、
一人は立ち、
一人は白いコートを羽織った名刀
名を
そして膝を突いていたのは彼女の方。
そしてもう一人は...
「はあ、所詮はこの程度。
「くっ黙れッ!」
黒の修道服を身に纏い。四メートルほどの身長と更に大将である彼女すらも怯まず得ない程の覇王色の覇気と
数刻前にある人物と共にこのマリージョアを襲い、火の海に変えた張本人であり、現大将である永虎に膝を着かせた人物。
それこそ...
「喰らえェェェッッ!!」
「ん?」
(私の今出せる最後の一刀ッ!侵入者は三人。だからこそ、コイツだけは私がここで仕留めるッ!)
「一刀流...無情ッ!」
そして彼女が自身の剣に最大規模の流桜を流し、その最高火力の一太刀を敵である彼に浴びせようとしたのも束の間...
「貴女は何を言っているのですか?一刀流?無情居合?
「えっ?」
気がつけば彼女は先程までと同じく膝をついていた。理由は分からない。だが、何故か先程と同じ位置で膝を着き。更には先程と違い力がまったく入らない。
そして
「これ、は...!?」
「簡単な話ですよ...
「は?...なんだと?経験と意思」
(経験と意思を奪った?...まさかっ!)
「おそらく思っていらっしゃる通りですよ。私が貴女が持っていた戦闘などの経験と私に対する攻撃や防御。攻撃的な発言に至るまでの意思。それら全てを奪ったのです。よって貴女はこれより先、自身の技も技術も言葉も私に対して何も『自由』に使えない」
「そん...な」
それは彼女にとって...否、この世のあらゆる存在にとって絶望以外の文字を表す事が出来ない事態だった。自身の培ってきた技術や今まで覚えてきた技。そして言葉すらも目の前の存在相手には自由に発せない。
つまり...
「貴女は
「そん、な...」
最初から結果は決まっていたのだ。
この男が現れた瞬間。彼女は終わっていた...
その命運は当に尽きていた。
だが...
(本当に、これで良いのか.....私は、私は...ッ!)
「おや?まだやるのですか?...そもそも今立ち上がったところで攻撃も出来ず、私に対して自由に発言する事も出来ないのに...何故?」
その時、彼女は何かを思い出した様にその場から立ち上がり自身の両手を相手に向けながら開き、その眼前に再び立ち塞がったのだ。
「確かに発言も自由では無く。武器も向けられないし攻撃も出来ない。それは確かだ。だが、発言は攻撃的では無いなら自由なのだろう?」
「...確かにそうではありますね。で?それがなんだと」
彼のその疑問に彼女はこう答えた...
否、
「私には義理の弟がいるんだ。海兵としてはまだ未熟だが、奴は将来私を超えて大将、ひいては元帥にまで成り上がる男だ!そして私はあいつと『約束』したんだよッ!」
「.....」
「あいつが将来元帥になった時、私は「黙れ」は?」
彼女は未だに理解出来ていなかった。目の前の男が正真正銘の怪物である事を...
彼女は未だに分かっていなっかった。目の前の男が未だその力の一割すら出していない事を
彼女は未だに知らなかった。目の前の『
消えてよ、消えてよ、消えろよ、やだよ、ヤダヨ、ヤダよ、ヤダヤダヤダ、ねえ、なんで?なんでわかんないの?アタシここに居るのに?何でそこにアタシが居るの?なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何でッッッッ!!!!!!!!!!
「...何、ソレ...なんなの、その顔ッ!?」
だが、彼女がそれら全てを知った時...
彼女は既に...
「.....」
「さて、消えましたか...ロックス様もどうやら部屋から出てこられた様で...それに何故か居る巨人族も...私も行きましょうか。これ以上の面倒はごめんです」
この日、世界は今までに前例の無い凶悪事件に震え上がった。
聖地マリージョア。世界の創造主の末裔である天竜人達が住まうその場を混沌と恐怖に陥れた者達。その数は約三名。
中でも当時の目撃情報から二人の海軍大将を葬った二人の人物に政府は前代未聞レベルの懸賞金を賭け、その行方を追ったという...
一方その聖地が震え上がった事件の直後...
「まったく、ロックス様も巨人族の貴方も世話が焼ける。私が居なければそのまま
聖地マリージョア襲撃犯の一人
「ヴォハハハ!そう言うなロン!おれはこれでもテメェの事を一番の道具として愛してるんだぜッ!だから拗ねるな拗ねるなッ!」
聖地マリージョア襲撃犯の一人
ロックス・D・ジーベック!!
「すっすまん。わざわざ乗せてもらって...だが、どう言う仕組みなんだ?レッドラインから飛び降りた先で目を開けたら船の中とは...それに古代巨人族の俺が乗れる大きさも...」
彼。二人の人物のマリージョア襲撃の瞬間に立ち会ったもう一人の侵入者。巨人の島エルバフのウォーランド王国の現国王ハラルドはその光景を不思議に思いながらも残り二人の人物と共にその船内に居座っていた。
「だが、お前達は一体何がしたかった?わざわざ聖地を襲って」
「おいおい、それはこっちの台詞だぜ。お前こそそんだけ強いのに何で政府に潜り込むだけで済ませた?お前の強さとエルバフの戦士達なら『奴』はともかく、それ以外の全ては安易に潰せたと思うがな」
「?良く分からんが、俺はあくまで各国の王達と交渉に来たんだ!どう言われても争う気は無い!」
「はあ〜あのなぁ、ハラルド!世界政府の奴等はおれだけじゃない!お前と交渉するつもりもハナから無いんだよ!もし成功するとしても、それはお前かエルバフ。どちらかが不幸か不利になる未来が前提とされたものが提示される。そしてそれを呑まなければお前の条件は呑まない。そう言われるのがオチだ」
その道中、ハラルドの疑問にロックスが逆に質問を返し、ハラルドに何故その力とエルバフの戦士達での使用をしなかったのかと尋ねるとそれに対し彼はあくまでその巨大な力を振るわずに自分は交渉に来たと語った。
そして世界政府の光から『闇』。全てを知るが故にハラルドの願いは叶わないと否定するロックスと世界政府と
「ぐっだがッ「あの、ロックス様。その方はどこまでお連れするおつもりで?私もただで乗せているのは少々...」すっすまん!」
そこに待ったを掛けるが如く声をかけたのが...
「おい、ロン!まだ話の途中だろうが!?」
「人の中にいきなり古代巨人族なんて大きな存在をぶち込んだお人に文句を言われたく無いのですが...」
「チッ!ならちょっと待て、先ずハラルドともう一つ話をさせろ!それと行ったことはねえが、ハラルドはこのままエルバフまで送ってやれ!
「はあ、分かりました。それくらいならお安い御用です」
「ため息を吐くなよ」
そして呆れる様な彼に対しロックスは静かにツッコミを入れるとハラルドに向き直り、彼にある言葉を投げかけた。
「おい、ハラルド!お前...
「はあ?何を言って!?」
「今は別に良い。だがおれはいつかあの地に...あの『玉座』を奪いに再び聖地に行く!そしてその為にお前の力は大きく役立つ!」
「おいおい、そんな事を言ってもだな...」
「また数年後ほどか...おれの方からエルバフにも行こう。その時にまた返事を聞かせろ。どうせおれも同じ台詞を言うだろうがな...」
ロックスが投げかけた言葉。それは勧誘...ハラルドの力がいずれ自身の計画に必要であり、自身の友として認めるに値するからこその...その真価をより発揮させるが為のものであった。
だが...
「ッ!おい、ちょっと待て!だから「そろそろ送りますよ。お話長いので」ちょっなんだこの穴は!?すっ吸い込まれッ.....」
「ロン...まだ話は終わってねえんだが?」
「すいません、私は約束や誓いとやらが大っ嫌いなので...」
「おれはエルバフに行くとは言ったが奴とそれを約束した訳じゃあねえぜ。おれはただ勝手に宣言しただけだ」
「...チッ、ダメですか」
「お前やっぱりハラルドの巨体が目障りだっただけだろッ!」
ロンと呼ばれた彼の力。それによってハラルドは黒い渦の様な何に吸い込まれその姿を消した。
尚、ロンはそれを話が長いから、もしくは約束をしていたからと称したがそんな事は無く。ただ、ハラルドの巨体が目ざ...存在が大きすぎで今の船ではエルバフや遠くの島まで長く持たない事を知っていたからである。
そして時代は移り変わり...
洋食のねこ屋〜
「ふふふっ懐かしいですね〜」
「〜〜〜」
「いや、申し訳ないですけど。結構ドン引きする部分しか今のところ無いんですが...」
「何と言うか、その...」
「先輩...現時点では何とも言えませんが、そのロックスさんとロンさんに色々あったのは分かりました!」
「私も流石に...」
「ぽよ?」
店内では様々な異世界から訪れた客人達が久々にこの店を訪れた『最厄』のロンと称される彼と話をしていた...
というか、ある人物からの質問に答える形で彼からその過去の海賊時代の話を聞いていた。
因みに上記の台詞は上から最厄、天甘、店長、藤丸立香、マシュ・キリエライト、シャーレの先生、カービィである。
その他にも別席で史上最強の弟子が師匠や好きな人と共に震えながら話を聞いたり、別世界のドワーフ達が揚げ物などとビールを片手に聞いていたり、とある世界の阿修羅や鬼の格闘家達も緊張した様子で話を聞いていた。
因みに他には白い兎のような冒険者に黄色いタコの教師。ピンク色の髪の超能力者。犬面悪魔とカレー好きのペンギン(蝿)の様な悪魔を連れた女性や銀髪の侍にゲームで全てが決まる世界の人間国家の王。更にはとある世界で魔王をやっているスライムも居たという。
「いやあ、実に平和で充実した日々でしたねぇ〜ハッハッハッハッハッ」
「「「「「「「「どこが?」」」」」」」」
ただ、流石にこの面子でも全員がツッコまざる得ない状況であった話の様だが、その反応を気にする事無く、彼は自身の食べていた杏仁豆腐に手をつけた。ほんのりとした甘さ、しっとりとした食感、口の中でゆっくりと溶け出すこの感覚...
全てがGOOD☆
「店主、また腕を上げましたね。私は嬉しゅうございます」
「あっありがとうございます!でも、今日はここに来て良かったんですか?それに、他のお客様の為とはいえ力を使ったみたいですけど...」
「ふふっ別に良いんですよ。ここの料理は好きですし、何より他の皆様がここで食べる事を良しとしてくださるなら、多少の出費は安いものです」
「っありがとうございます!」
「いえいえ、どういたしまして」
彼はゆっくりと食事を続けつつ密かに思う。
その物語を...自身にとって新しく出来たオリジナル以外の大切な人。自身にとって一番身近に居た『彼』との別れ。自身にとって新しい集団としての『価値』を教えてくれた海賊団。
私に...アタシに、新しいものを教えてくれた物語。
私が...アタシに
名を...
そこにあるのは尊敬の『白薔薇』。
これは『R』が『L』に変わる前の...
新しい『R』へと変わる前の物語。
黒薔薇の物語が...
『ロン』と呼ばれる彼らが造られるまでのキッカケの物語...
そして...
「堕魔下天技 断馬」
『彼女』を語る物語...