今回は特別に2人も増やしちゃいます
ここはアビドス高等学校。
かつては3大校にも並ぶほど栄えていたが、立て続けに砂嵐が襲い今やそれも過去の栄華である。
しかし今でもこの学校を、自治区を建て直そうと奮闘する子達がいる。
彼女たちは何を思い、何を感じているのだろうか…
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「先輩!また無茶なことをしましたね!」
対策委員会の部室でアヤネは目の前の椅子に座っている少女に怒号を飛ばす。
「い、いや〜なんのことかな〜。アヤネの気のせいじゃない?」
「いいえ!気のせいじゃありません!だって先輩、昨日と義手が違うじゃないですか!」
そう言うとアヤネは目の前の少女の右腕を指差す。
「…ソンナコトハナイヨ」
「なら見せてください!」
「まあ待てアヤネ。義手はね、繊細な機械なんだよ。そう易々と触らせるわけには…」
「せ・ん・ぱ・い?」
「…はい…どうぞ…」
そう言って彼女は手袋を外し袖を捲る。そこには、少女には似つかわしくない機械仕掛けの義手がついていた。
「…やはり、ここについていた大きめの弾痕がなくなってます。また義手を壊して、変えてもらってきたんですね」
「いや〜。で、でも義手はタダでもらえてるんだし、金銭的にはいいじゃないか」
「そういう問題じゃありません!」
アヤネは机を叩きながら再三叫んだ。するとそこに1人の生徒がやってきた。
「アヤネちゃん…叫び声が外まで聞こえてきたけど、どうしたの?」
疑問符を浮かべながらセリカが入ってきた。
「ワカナ先輩がまた無茶をして、義手を壊したんです!」
「また?ワカナ先輩、そろそろ自重したらどう?」
「バカ言っちゃいけないよセリカ。私は私のできる最大限のことをしてるだけさ。…まあ、その間に多少無茶はするけれど」
「その無茶を控えてって言ってるんだけど…」
「努力はしているとも。実っていないだけさ」
軽く笑いながらワカナは言う。しかし、アヤネはそれが許せなかった。
「もういいです。先輩には一度、本気で叱る必要があることがわかりました」
「…待てアヤネ。話せばわかる。話せばわかるはずだ」
「問答無用です!」
「待って!アヤネ!いやだ!助けて!セリカ助けて!」
ワカナは叫びながらセリカに手を伸ばす。しかし、無情にもセリカは目を逸らした。
「セリカ?!」
あっけなくワカナはアヤネに引きずられ、どこかに行ってしまった。セリカは自業自得な先輩の無事を祈るばかりであった。
しばらくすると、対策委員会の部室の扉が開き1人の生徒が入ってきた。
「おはようございます、セリカさん。…先ほどワカナさんがアヤネさんに引きずられていましたが、何かありましたか?」
「おはよう、スメラギ先輩。…あれは無茶するワカナ先輩をアヤネちゃんがお灸を据えに行ったところよ」
「…また何かしたのかい?」
「詳しくは知らないけれど、義手が変わってたみたいよ」
「なるほど…それはまた無茶なことを」
苦笑いをしながら、スメラギは持っていた刀袋を脇に置いた。そして、席に座りセリカと共にみんなを待つことにした。しばらくすると、扉が開き2人の生徒が入ってきた。
「おはようございます♪おや?来ているのはおふたりだけですか?」
「おはようございます、ノノミさん。ワカナさんとアヤネさんもいるのですが…今は別室で説教中です」
「おはよう、何かあったの?」
「おはようございます、シロコさん。ワカナさんが相変わらず無茶をしましてね。そのお説教です」
「なるほど」
「おはよう、シロコ先輩、ノノミ先輩」
「おはよう、セリカ」
「おはようございます♪セリカちゃん♡」
4人がそれぞれ挨拶をすると、外から勢いよくワカナが飛び込んできた。
「うわー!誰か助けてくれ!」
「先輩!まだ話は終わってませんよ!」
ワカナに続いてアヤネも勢いよく入ってくる。ワカナはスメラギの後ろに隠れ、縮こまってしまった。
「ヒエー!助けてくれスメラギ!」
「私が助ける義理も何もないと思うんだけれど…」
「そう言わずにさ!頼むよ!アヤネを止めてくれ!」
「今回のことは自業自得だろう?義眼も一緒に壊れた時よりはマシだと思って、受け入れるといいよ」
「んな薄情な!」
騒ぐワカナだったが結局アヤネに捕まってしまいその場で怒られてしまった。ひとしきり怒った後ようやく解放された。
アヤネの説教が終わった頃に、対策委員会の扉が開き最後の1人が入ってきた。
「うへ〜、みんなおはよう。朝から元気そうだね〜」
「ホシノ先輩!おはよう」
「おはようございます♪」
「ん、おはよう、ホシノ先輩」
「あ、おはようございます。ホシノ先輩」
みんなに挨拶されながらホシノは奥の席へ移動していく。そして、席に着く前に半泣きの少女と慰める少女にも挨拶をする。
「おはよう、2人とも」
「おはようございます。ホシノ先輩」
「ズビッ、おはよう、ホシノ先輩」
そう言ってホシノは奥の席に座った。そこでみんなも席に座り、アヤネだけはホワイトボードの前に立った。
「ゴホン、いろいろありましたが、これよりアビドス廃校対策委員会の定例会議を行います」
アヤネの声が部室中に響く。決して大きくはないけれど、確かに聞こえるはっきりとした声だ。
そうして、今日も彼女たちの学校が始まる。
いつか、昔のようなアビドスを夢見て。
アビドスの借金、残り7億3057万円
一条ワカナ(いちじょう わかな)16歳
アビドス高校の2年生。右腕と左目が義手と義眼になっている。本人曰く、勲章のようなものとのことらしいが詳しいことはあまり語っていない。昔ホシノとユメに助けられたことがある。
白スメラギ(つくも すめらぎ)17歳
アビドス高校の2年生。元々ゲヘナの出身で、片方のツノが折れている。刀袋をいつも背負っていて、何が入っているかは本人しか知らない。ゲヘナは問題を起こして自主退学したということしか伝えていない。