「おはよう、みんな」
ミレニアムのエンジニア部部長、ウタハはエンジニア部のみんなに挨拶をしながら部室に入ってきた。
「おはよう、部長」
「おはようございます!」
同じくエンジニア部のヒビキとコトリは返事を返す。先に来ていた2人はすでに何かを作り始めていた。
「そういえば部長、今日はソニも来てるよ」
「おや、そうかい。てっきりあっちに行くと思っていたんだが」
「できることが増えたんだって。奥で今作業してるよ」
「わかった。軽く見てこよう」
そう言ってウタハは部室の奥に向かっていった。そこには1人の生徒が何かを描いていた。
「おはよう、ソニ。今日はこっちに来たんだね」
「おや?部長、おはよう。実は色々と面白いものができていてね。見てくれ」
そう言って彼女は、机の横に置いてあるものに指を差した。そこには、椅子より小さめの大きさのジェットエンジンと噴射機が置いてあった。
「これは…作ったのかい?」
「そうですよ。この大きさにするのに少し苦労たが、その甲斐あってできそうなものが思いつきましてね。見てください」
ソニは、机で先ほどまで描いていた図面をウタハに見せた。そこにはバイクの設計図が描かれていた。しかし、普通のバイクと違いタイヤが描かれていなかった。
「まだ設計中じゃないかい?タイヤが描かれていないけれど」
「いや、これでいいんだ。このバイクにはこいつをつけたくてね」
「このジェットをかい?出力が足りないんじゃないか?」
「そこは問題ない。このジェットは最高5万馬力は出る。それだけ出すと噴射機ごと壊れてしまうがな。
それに、細かな出力の調整も可能だ。500馬力程度に抑えれば多少早い車だ。キヴォトス人ならそれくらいは耐えられるだろう」
「なるほどね。確かにそれなら問題ない」
「だがバイクを作るにあたって私の知識が足りなくてね。部長達が力を貸してくれるとありがたいのだが、どうだろうか?」
「それは愚問だよ、ソニ」
「ククク、そうだったな部長」
「それじゃ、早速ヒビキ達にも話に行こう」
そうして、ヒビキやコトリにこのバイクのことを話すと、2人もノリノリで乗ってきた。
「うん、面白そう」
「これは面白くなりそうです!」
「それじゃ、早速図面から完成させていこうか」
こうして、ソニが描いている途中の図面を見ながら、皆で意見を出していく。しばらく話し合っていると、エンジニア部に騒がしい客がやってきた。
「ソーニー!ここにいるのー!」
「おや?モモイ、どうしたんだい?」
「今日はみんなでパーティーゲームするって言ってたじゃん!」
「おや、そうだったか。てっきり忘れていたよ」
「も〜!忘れないでよ!」
「すまないすまない。とのことだ部長、今日はここらで向こうに行くよ」
「わかった。図面はこっちで完成させておいてもいいかい?」
「構わないよ。あのジェットも見てくれて構わない。参考程度にはなるはずだ」
「OK。それじゃ、いってらっしゃい」
「ああ、行ってくるよ」
「行くよソニ!」
「そんなに袖を引っ張らないでくれ」
ソニはモモイに引っ張られながらゲーム開発部へ向かっていった。
浅羽ソニ。エンジニア部とゲーム開発部を兼部している珍しい生徒である。
ミレニアムにおける兼部を行う生徒の割合はおよそ一割にも満たない。それをするよりも自分の分野に集中したいからである。
しかし、そんな中で兼部を選択するのは、よほどの暇人か、変人くらいだろう。
ソニはそんな変人で暇人の1人であったのだろう。
ウタハはそんなことを心の中で考えるのであった。
ちなみに、ゲームを思う存分楽しんだ後、ソニはエンジニア部で設計図に向き合った。
浅羽ソニ(あさば そに)17歳
ミレニアムサイエンススクールの2年生。エンジニア部とゲーム開発部を兼部している。ゲームに出てきた機械を現実にできないかと研究している。どちらかといえば、エンジニア部にいることが多い。