トリニティ総合学院。キヴォトスでも有数の歴史ある学校。
いわゆるお嬢様と呼ばれる淑女達が通う学校である。
そんな学園のトップであるティーパーティー。
そこには家柄、成績、気品など様々な評価でトップである生徒達が集う場所である。
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「セイさん!」
ティーパーティーのテラス。茶会の会場でナギサの怒号が飛んだ。淑女とは到底思えない、激しい声だ。
「また紅茶に何かを入れましたね!妙な味がするのですけれど!」
その声は、にやにやと笑っている1人の生徒に向けられていた。
「おやおやナギサ様。ティーパーティーのホストであろうお方がそのように叫ぶなど、品が悪いですよ」
「質問に答えなさい!」
「少々フレーバーを入れただけですよ」
「何を入れたんですか!」
「…渋柿の果汁を少々「おバカ!」
そう叫びナギサはロールケーキをセイに投げ飛ばした。しかし、セイはそれを避け、ナギサに向き直る。
青木セイ。ティーパーティーホスト、桐藤ナギサの補佐官である。
「ロールケーキは本来、投擲物ではございませんよ。ご存知ですか?」
「存じております!」
はぁ、とナギサはため息をつきながら椅子に座った。紅茶を飲もうとするも、この紅茶を飲む気にはなれず机に置いた。
「…どうしてこうよく私に対してイタズラをするのですか?理解できません」
「ナギサ様の反応がとてもいいので、遊びがいがあるんですよ」
「本当にふざけるのはやめていただけませんか…」
「私がふざけるのをやめるときは、ここをやめるときだけです」
「…本当にタチが悪いですね」
本来であれば、このような人物はすぐにティーパーティーから除名するべきである。しかし、彼女はとても優秀だった。
ティーパーティーの厄介な事務仕事のほとんどは、彼女が行なっているのです。
もちろんそこには、あまり表には出せないような内容のものもある。優秀な人材を手放せないのはもちろん、そういったものが漏洩しないためにも、セイにはティーパーティーに残ってもらうしか無かった。それに、
「それに、ナギサ様には
「っ…」
ナギサはとても苦い顔をした。緊張によりでた手汗を誤魔化すので必死だった。
「とにかく、新しい紅茶を淹れてください。今度は何も入れなくて結構ですので」
「かしこまりました、ナギサ様」
セイは軽く礼をし、新しいお茶を淹れに向かった。彼女が出ていったのを確認して、ナギサは大きなため息をついた。彼女が言っていた責任について考えたのだ。
「やはり彼女は、私を恨んでいるんでしょうね…」
不意に溢れた独り言は、誰にも拾われることなく虚空へと消えていった。しばらくすると、セイがお茶を淹れて帰ってくる。
「ナギサ様、新しいお茶をお持ちいたしました。先ほどは申し訳ございませんでした」
「いえ、問題ありません。ありがとうございます」
セイはお茶をティーカップに注ぎ、ナギサに差し出した。
「いただきますね」
「はい。味わってお召し上がりくださいね」
ナギサは一口紅茶を飲んだ。そして、ティーカップを置きロールケーキをセイに向かって投げ込んだ。セイはまた、ロールケーキを避ける。
「ナギサ様、ロールケーキは投擲物ではないと私は言ったはずですが?はっ!まさか、紅茶を飲みすぎて脳が…」
「忘れておりません!それより!今度は何を入れたんですか!」
「ただのお茶ですよ?」
「お茶なのはわかります!しかし、私は紅茶を淹れてくださいと言ったんです!これは何茶ですか!」
「上海経の特製烏龍茶でございます」
「セイさん!」
今日もティーパーティーには怒号が飛んでいる。
淑女としてはどうかと思うが…これもまた青春だろう。
青木セイ(あおき せい)16歳
トリニティ総合学園の2年生。ティーパーティーホストの桐藤ナギサの補佐として様々なことをやっている。ナギサにイタズラをすることが好きで度々色んなことをやっている。