ある日、俺は休みだった。4ヶ月ぶりの休み!!!しかも予定が全て片付いてる完全な休みだ!!!!担当達も気を使ってご飯会も無い。やべぇなにしよ。
「・・・ふはぁー」
ここで俺の密かな趣味を教えよう。それはタバコだ。これは向こうでもだった。仕事の話をする為に吸い始め、今に続く。こちらで俺が好む銘柄を見つけるのは苦労したが、安いものじゃないので莫大な資産を使う口実にしているんだが・・・まぁでもトレセンで仕事をしてる以上タバコはおいそれと吸えないし。家にいる時にしか吸わない。
「ふぃーーー・・・ん?」
ピロンと携帯にLANE通知が。見るとフラワーから。
「・・・。」
LANEを開くとお休み中すみません、と始まり、今五反田で雑誌社の人と会ってお茶してるようで、トレセンに出入り出来る雑誌社ではあるようだが俺にツテがある雑誌社ではないらしくどうしても俺にツテが欲しいらしい。
「ふぅん。ま、やること無いし、行ってみるか。」
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「そうか。良かったなフラワー。」
「はい!」
なんとか雑誌社の記者と話が終わり、フラワーとお茶をしばく。というか五反田のカフェ行ったらバクシンオーとブルボンもいたわ。
「お休みのところすみませんでしたトレーナーさん。」
「気にするな。どうせ暇だったし。この後どうする?」
「ええとこの後はバクシンオーさんとブルボンさんと一緒にご飯に行く予定です。」
「そうか。気をつけて行くんだぞ。」
フラワー達と別れて、また暇になった。今は午後2時。飯はさっきみんなと食ったしどうしよ。
「五反田はそんなにブラつく街ではないしちょっと散歩するか。」
適当にブラつく。なんか面白い店とかないかなぁ。
「・・・お。」
路地裏に入ったら、なんかシガレットバーを見つけた。高級紙巻とか絶対良いじゃん。
「お、お〜」
なんか良い感じ・・・なんだが、カウンターを見ると3人のウマ娘が。タバコ屋にウマ娘・・・?
「お、いらっしゃーい。」
「いらっしゃいませ〜」
「いらっしゃい・・・」
「どうも。」
とりあえずチラリと陳列されているタバコを見る。うん、何もわからん。そしたら店員の1人の青髪のウマ娘が声を掛けてきた。
「何かお探し?」
「あ、いやー美味しいタバコ探してまして・・・」
「美味しいタバコ・・・好みを聞いても?」
「ええーっと・・・そうですなー・・・割と重めでー・・・でもさわやかでー・・・」
「ふむふむ・・・」
「草原に吹く風の様な後味のやつがいいですな。」
「なるほどー・・・ふっふっふ。お客さんちょうどいいのがありますよー」
「ほうほう。」
「アラビアンちゃーん。」
「はいよー」
アラビアンちゃんと呼ばれたウマ娘が棚からシガレットケースと袋を取り出してくる。
「こちらがお客様にオススメですよ〜」
「へ〜」
シガレットケースを開けると綺麗に揃った青い紙で巻かれたタバコが。結構良い香りする。
「こちらチモシーウマベルと呼ばれるブランドです。少しニコチンが重いんですけど香りが良く、昔から好まれてる物なんですよ〜」
「へ〜」
「一本サービス出来ますけど如何します?」
「いいんですか?」
「どうぞどうぞ〜」
一本もらって咥えると青髪のウマ娘店員がマッチで火を付けてくれた。とりあえず吸い込む。
「ふはぁ〜〜〜」
「どうですか?」
「うーん重くて味は良いけど・・・」
「けど?」
「もう少し後味がまろやかな方が・・・」
「なるほど〜ではこちらはどうでしょう?」
一本吸い終わるのをまってもらい、水を一杯もらう。そして次にもらった一本を吸う。
「こちらキャロットモニカです〜こちらはヒトにもウマ娘にも人気なブランドなんですよ〜」
「へ〜」
このタバコは・・・なんというか甘い。にんじんのような甘さがあり、ちょっと俺の好みには合わない
「ちょっと甘すぎますねー」
「そうですか・・・タークちゃん。アレ、持ってきてくれる?」
「アレ?アレってまさか・・・」
「アレよ〜」
「・・・どうなっても知らんぞ。」
タークちゃんと呼ばれたウマ娘がカウンターの奥に行く。
「何が出てくるんで?」
「日本全国を見ても当店でのみ取り扱っている特別なタバコです〜お客様の好みに是非とも一致するかと〜」
「へ〜」
「お待たせ。」
コトリとカウンターに木箱が置かれる。そしてここからでもわかる。タバコとは思えない良いかおりが漂ってくる。
「へ〜」
「爽やかで、少し重くて、草原を走る様な後味。これがピッタリなんですが〜・・・その〜・・・」
「何か?」
「これは・・・とても希少でして・・・紙巻にして一本2000円ほどします〜」
「あ、大丈夫ですよ。お金はあるんで。」
「そうですか〜じゃあとりあえず一本如何でしょう?」
「じゃあ早速。」
木箱が開いてたくさんのタバコから一本出してもらう。咥えて火を付ける。
「スゥ・・・ふは・・・ふはぁ〜〜〜」
「どうですか?」
すごい。すごいぞこれは。美味い。そして俺の好みに合致する。もう少し重い方が良いけど。
「美味い〜〜〜〜」
「それは良かったです!」
「こちらなんてタバコなんですか?」
「三女神、と言います〜三種類のタバコの葉を混ぜ合わせてるんですよ〜」
「へ〜」
このタバコかなり良い。コンビニで売ってる妥協して買ったタバコより遥かに美味い。これ買おう!
「これ全部買います!何本あります?」
「80本ありますよ!毎度〜」
「これって次の入荷はいつになります?」
「すみません不定期なので〜良ければメールで通知しますよ〜」
「じゃあそれで。」
クレジットカードで支払い、店を後にする。これが、あんなことになるとは1ミリも想像出来なかった。
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「ふんふんふう〜ん。」
休み明け、昨日買ったタバコ。美味すぎてもう10本も吸ってしまった。吸いすぎた・・・みんなのトレーニングメニューを印刷しておいた。誰が1番最初に取りに来るかな。
「おいっすー」
「お、ゴルシ。1番乗りだな。」
続いてクリークとネイチャが入ってきた。
「ゴルシ早いよ〜」
「トレーナーさんこんにちは。」
「宝塚記念が近いからなーゴルシちゃんも流石に真面目に・・・」
「そうか。ゴルシも普段からそれくらい真面目にならな〜」
「・・・。」
「ゴルシ?」
「ゴールドシップさん?」
「おーいゴルシ?」
ゴルシは何か、クンクンと匂いを嗅ぎながら口を開けている。なんだ?初めて見る反応だ。
「・・・。」
「おーいゴルシ?トレーニングメニュ・・・」
「おいトレーナー。」
ゴルシが怖い顔をしている。怒っている・・・とも違う。なんだ。どうした。
「お前、昨日なにしてた?」
「え?」
「何してたって聞いてんだよ!!!」
ゴルシがドカンと地団駄を踏みながら声を荒げる。すぐさまネイチャとクリークが羽交い締めにした。どうしたんだ、あの、ゴルシがこんなになるなんて。
「ちょっとゴルシどうしたの!?」
「ゴールドシップさん落ち着いて!!」
「トレーナー!!!答えろ!!!!」
「お、おう、昨日は、フラワーに呼ばれてブルボンとバクシンオーと一緒に五反田のカフェで飯食って◯×雑誌社の人と会ったかな?」
「それだけじゃねぇはずだ!!!!どこ行った!?」
「ええ・・・タバコ屋かな・・・?」
「タバコ・・・!?ちっ!!!それか!!!」
ゴルシがネイチャとクリークを振りほどく、そしてウマホを取り出しどこかに電話を掛け始めた。
「マックちゃん!?あたしだ!!!今すぐトレーナールーム来てくれ!!!!トレーナーをトレーナールームから出すな!!!」
「ねぇトレーナーさんゴルシどうしたん・・・」
「ネイチャ!!!!!トレーナーに近づくんじゃねぇ!!!!」
「うぇ!?」
ゴルシに近づくなと言われたネイチャが飛び退く。なんか、のっぴきならない事態が起きてるみたいだ。
「トレーナー、あたしはたづなさん呼んでくる。ネイチャとクリークは部屋の前で見張って誰も入れるな。」
「ねぇゴルシ!?何があったの!?」
「ゴールドシップさん・・・?」
「とりあえずだ。トレーナーがやべぇもんに手を出した。それをなんとかしネェとならねぇ。行ってくる。」
ゴルシが飛び出して行く、そしてネイチャとクリークも出ていく。扉の前にいる様だ。
「な、何が起きてるんだ・・・?」
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それから。ゴルシがなかなか戻ってこない。そして部屋の前に大勢集まってる気配がする。ネイチャとクリークが説得して入れない様にしてるようだが時間の問題だろう。
「・・・。」
タバコ・・・あれがなんかヤバいものなのか?一応、朝も吸ったんだが、シャワーを浴びる前だったし・・・匂いはしないはず・・・いやでもウマ娘は前日の酒の匂いも感じ取ったしな・・・
「・・・。」
「きゃっ!?やめて!?」
「どうした!?」
「きゃー!!」
「!?」
なんか部屋の前が騒がしくなった。何が起きてる?!
「おい!なんだどうした?!」
「だめ!!!トレーナー出てきちゃだめ!!!」
「オグリを取り押さえろ!!!」
「オグリどうしたんや!?」
「オグリ!?」
何やらオグリに何か起きた模様。そういえばオグリは今朝イナリとポッケといた所にメロンパンを分けたっけ。
「ぐ、ぐあ・・・」
「イナリ!?」
「イナリ大丈夫か?!」
「ぎ・・・」
「ポッケ!?」
「ポッケも!??」
なんか大変な事が起きてる!?
「おーい!!!トレピッピ!!!」
「トレーナーさーん!!!」
ゴルシとたづなさんだ。
「ちぃ!!!遅かったか!?!?オグリとイナリとポッケはどこかでトレピッピと接触したか!!!」
「ゴルシさん!!!」
「ああ!!!どけみんな!!!麻酔銃使うぞ!!!」
暴れているらしい3人を取り押さえるらしい。
「トレピッピ!!!今日1日部屋から出るな!!!後でたづなさんが迎えに来る!!!」
「わ、わかったー!!」
どうなっちゃうんだ・・・!?これ・・・!?
⏰
夜。俺は1日トレーナールームで過ごした。今は夜9時。もうみんな学園を出ているだろう。そこでドアがノックされた。
「トレーナーさん、いますか?」
たづなさんだ。
「いますよ。」
「入りますね。」
ドアが開いてたづなさんが入ってくる。たづなさんは防護マスクと防護服を着ていて何かアタッシュケースを持っている。すごく物々しい。
「たづなさん、いったい何が。」
「とりあえずこれを使います。」
たづなさんがアタッシュケースから何か医療器具のような物を取り出す。
「トレーナーさん、口を開けてください。少し、苦しいです。」
「はい。」
口の中を長い綿棒の様なものでグリグリされる。
「はい。ありがとうございます。それと、昨日買ったタバコというのをお持ちですか?」
「いえ、家にあります。」
「ならばこの後警察の同行の元トレーナーさんの家を捜索させてもらいます。」
「警察!?」
「はい。おそらくトレーナーさんは違法薬物に手を出されたのかと・・・」
「違法・・・薬物!?!?」
「はい。とりあえず校門にパトカーを待たせてあります。大丈夫です。トレーナーさんが異世界人である事からそれを利用して違法薬物を渡したのだと思われますので、多少の罪には問われるでしょうが悪いことにはなりませんよ約束します。」
「は、はい!」
そして俺はたづなさんに連れられ校門でパトカーに乗る。特に手錠をかけられるということは無かった。そして家。
「それで、こちらですか。」
「はい。」
警察に言われてタバコを差し出す。
「これは・・・!?」
「タバコ型は初めてだ・・・」
「しかしどうやって・・・」
2人の警察と1人の鑑識が昨日買ったタバコを検分している。
「あの・・・たづなさん・・・」
「はい?」
相変わらず完全防備のたづなさんに聞く。今回の違法薬物のこと。
「俺、違法薬物について勉強しましたけど、今回はどれなんですか?」
「えっとですね・・・恐らく、UGDP-4ウマ娘興奮薬かと。」
「そんなばかな!!!それは90年前のドーピング薬ですよ!!!」
「タバコに混ぜる、という方法は今回が初だと思いますが。状況から考えて間違いないかと・・・」
「じゃ、じゃあ!オグリとイナリとポッケは・・・!」
「それは大丈夫だと思います。直接接種した訳ではないので・・・」
「そ、そうですか・・・」
「鑑識結果出ました。UGDP-4で間違いありません。およそこれが出てくるのは72年ぶりのことです。」
「トレーナーさん、これを買った店にご案内願えますか。」
「はい。」
その後俺は警察署に行き取り調べを受け、警察署に一泊。たづなさんも着いて来てもらって悪いことをした。そして翌日、警察と一緒に五反田のあのシガレットバーに向かったんだが・・・
「な、無い!!!」
無かった。店が。もぬけの殻ではなく、そこに元々店など無かったかのようにマンションの倉庫になっていた。
「トレーナーさん、確かにここに?」
「は、はい!確かにメルマガも登録して、住所がここに・・・」
「・・・そうみたいですね。」
警察にメルマガを見せた、その瞬間だった。
「こ、これは!?」
「え?」
メルマガが文字化け・・・いや未知の言語にかわってゆく。なんだこれは。
「・・・。」
「なんだこれ・・・」
「・・・トレーナーさん、戻りましょう。」
「え?」
「これは別口で調査します。トレーナーさんは何の罪にも問われないと思います。」
「え?でも所持もしましたし、使用もしましたよ。」
「所持は、このシガレットバーのことから超特殊事情となります。使用に関しては、この薬を使用して罪に問われるのはウマ娘だけなので・・・」
「そうなんですか・・・?」
「はい。ただ取り調べはまだ受けていただくことになります。」
「ええ、それは、まぁ。」
偉いことになった。あのシガレットバーとんでもない物売りつけやがって。UGDP-4はおよそ1世紀前に生み出されたウマ娘のドーピング薬で。ウマ娘を興奮させ、限界以上の力を出させる塗り薬だ。酷いのは限界以上の力を出せばまず負担が尋常ではなく、しかも香りで他のウマ娘までも興奮させる危険なものでもある。そしてこれは厳格に取り締まられ、既に消えたものの筈だった。それが今回見つかった。まだ製造拠点があるのかと大捜査することになるそうだ。大変な事になった・・・