ある日。俺はトレーナールームで眠りこけていた。というのも、トレセンには12時にお昼になり13時から1時間、午睡の時間があるのだ。これはウマ娘、トレーナー、その他一部を除き全てのスタッフに設けられている。
「ぐごご・・・・・・」
トレーナールームのソファーで横になっているが・・・昼寝出来るのはありがたい。徹夜で作業する時もあるしやっぱり飯食った後は眠いからな。
「ぷしゅー・・・・・・ふごご・・・・・・」
1時間だがしないよりは良い。午後も頑張るぞ!
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「んご・・・」
「・・・。」
「!?」
目が覚めたら目の前に顔。うお!?びっくりした。
「にゃはは〜トレーナーさんおはよう〜」
「スカイか・・・びっくりした。」
起き上がって周りを見ると何人かがジャージで装蹄したりコーヒーを飲んだりしながらのんびりしている。俺の号令待ちだったようだ。
「よし。お前ら準備は整ってるか。」
「その前に顔洗って来たら〜?」
「お、そうだな。」
洗面所に行き顔を洗う。スッキリ・・・このタオルかかってたから普通に使ってしまったが俺のタオルじゃない。良い匂いする。誰のだこれ。
「まぁいいか。」
「にゃはは〜スカイちゃんも手洗いま〜す。」
「おう。」
こうしてトレーニングに繰り出した。なんか・・・若干いつもより、スカイの距離の近さを感じながら。
⏰
「よーーーーし!!!!お前ら!!!!!今日終わり!!!!ご苦労さん!!!!!」
集まった面々からヘロヘロのご苦労様でした〜を聞き解散させる。くぅ〜今日も捗ったぜ。
「トレーナーさ〜ん。」
「お、どうしたスカイ。」
「今日はご飯会無いんですか〜?」
「うーん今日はその予定は無いな。先週したし。」
「そうですか・・・トレーナーさんの生姜焼き食べたかったな〜?」
「お?そうか?じゃあ今日誰か集めて材料買ってきてやるか。」
「やった〜。」
「まずシャワー浴びて準備してきな。」
「は〜い。」
てててとスカイが走り去って行くとスッとキングとスペが寄って来た。どうした。
「トレーナー・・・・・・」
「トレーナーさん。」
「どうした?」
「気づいてる?」
「・・・・・・ああ。」
スカイがなんか距離が近い。危険のサインでなければ良いんだが・・・
「ちょっと今日1日目に余るわ。様子を見ておくから。」
「頼む。」
「トレーナーさん、今日ほんとにご飯会します?」
「一応はな・・・まぁスカイの事だし拒否して暴れるような事は無いだろうが・・・・・・」
「そうですか。多分、スカイちゃんあの日です。」
「あの日・・・発情期か。」
「はい。今日ご飯会するなら人数多目にした方がいいと思います。」
「そうだな・・・・・・」
「そういうことなら私が集めておくわ。冷静な子達にしておくから。」
「頼む。キングは頼りになるな。」
「私ばかり頼りにされても困るけど・・・・・・多分スカイさん、薬飲んで無いと思うわ。」
「え?そんなことあるのか?」
「予想だけど・・・・・・なんで薬を飲んでないかはわからないわね。」
「ちょっと注視してあげた方が良さそうだな。」
「ええ。止める必要がある時は私達が止めるから。」
「わかった。」
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そして俺の家。集まったのはスカイ、キング、スペ、グラス、フラッシュ、シチーの6人。初めてのゴルシ欠席となった。ゴルシはシイノトモシビタケを捕りにいくらしい。そして俺が山盛りを超えたチョモランマ盛りの生姜焼きを作って振る舞った。
「美味しい〜〜〜!!!」
「スペ。まだおかわりあるぞ。食うか?」
「はい!!!」
みんなでガツガツ食べて。フラッシュがデザートを用意してくれた。白パンケーキのはちみつベリーソースかけ。それもみんなでパクパク平らげて食休み中。
「(スカイは特に行動を起こさなかったな。)」
「フラッシュちゃんご馳走さまでした!すごーーーく美味しかったです!!!!」
「お粗末さまですスペさん。よろしかったらまた作りますよ。」
「ほんとですか!?!?」
「フラッシュさん、このはちみつベリーソースのレシピって教えてもらったりとか・・・・・・」
「ああ、いいですよ。シチーさんも結構やるんですか?」
「ええ。最近自分でお菓子作るの凝ってるの。」
穏やかな時間が流れている。なんか特に問題なさそうだな。
「おーいお前ら。遅くならないうちに帰れよ。」
「はーい。」
「私、片付けするわね。」
「キングさん手伝います。」
「グラスさん、お願いしてもいいかしら。」
「私も手伝いますよ。」
「シチーさんも頼むわね。」
じゃかじゃか洗い物が始まって、スカイ達と俺はテレビを見ていた。今日は動物の番組、保護猫の里親探しの話だった。
「・・・。」
「猫かぁ。」
「トレーナーさん猫飼いたいですか?」
「うーんスペ考えてもみろ。トレーナーは激務過ぎて家にいる時間が少ないから永遠に懐かないぞ。」
「あ〜」
次々に猫が紹介されている。既に甘えん坊の猫だったりシャーシャー猫だったりと忙しない。
「・・・。」
「お前達は猫とか飼ったことあるか?」
「近所の牧場に住み着いてる猫はいましたね〜」
「うちは菓子店だったので動物は・・・・・・」
「あーそうか。」
「洗い物終わったから帰るわよー」
「はーい。」
「それじゃトレーナーさん、おやすみなさい。」
「おう!気を付けて帰れよ。」
そうしてみんなが帰って俺も寝る準備をする為に風呂を沸かしたところだった。
「・・・・・・ん?」
みんな帰って、8時過ぎ、こんな時間に来客があるわけないのに玄関で誰かが入ってくる音がした。そもそも呼び鈴を鳴らさず入って来ている。俺は少し警戒した。
「おーい。どうした忘れ物か?」
一応、武器として、使えるかはさておき掃除ブラシを持ったまま玄関に向かった。
「・・・。」
「・・・スカイ?」
そこにいたのはスカイだった。スカイ1人だけ。頭の中で警報が鳴ったが、スカイの様子がおかしい。ここは穏便に対応した方が良さそうだ。それに誰かが気づいて戻って来てくれる可能性に賭けた。
「どうしたスカイ。」
「・・・。」
「忘れ物か?」
「・・・。」
「まぁ・・・上がりな。」
上がりなと言ったらスカイは素直に靴を脱いで上がった。だんまりを決め込んでいるが。
「・・・。」
「・・・。」
そしてソファーに座らせようとしたら、スカイはワッと俺に飛びつきソファーに押し倒されてしまった。マズイ!!と思ったが、思ったより力加減がされている。腹に回された腕の力は強いが、潰すようなものじゃない。俺はそのままスカイの頭を撫でながらなんとか話を引き出そうとした。
「スカイ。」
「・・・。」
「スカイどうしたんだ?何かあったのか?」
スカイの直近のレースは無かった筈だからトレーニングも過酷なものにはしてない。トレーニングが大変って事はないだろうから・・・
「スカイ、黙ってちゃわからん。何か、あったのか?」
「・・・あのね。」
スカイはぽつりぽつりと話してくれた。最近発情期に入り、薬を飲みつつ過ごしていたが気晴らしに釣りにいったそうだ。そしていつも釣った魚を猫達にあげてたそうで。
「・・・それで?どうしたんだ。」
「・・・・・・ぐす。」
最近行った釣りの時、いつも釣った魚をあげて仲良くしていた猫が波止場の隅っこで冷たくなっていたそうだ。それを見たら、発情期で掻き回されやすくなっていたメンタルが急激に落ち込み大変だったという。
「そうか・・・・・・」
「う、うう・・・・・・ぐす・・・・・・」
飼い猫では無いにせよそれは辛い。俺はとにかくスカイが落ち着くまで頭を撫でてやるのであった。
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それから異常に気づいたキングとスペが戻ってきて、スカイを回収していった。
まぁねちかたないね。どうしても三人行動してる時じゃ言いづらいこととかあるもんね。
でもね。事前にこそっと教えてくれないと困るよ。
トレーナーさん、ほんと肝が冷えたよ。
だから頼むよ。みんなはどうしても1人でお話ししたい時は事前に教えてね。