狼男のスカイリム冒険記   作:神山

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金の爪4

あれから少し経ち、俺はちょっとばかし迷いながらも何とか日が沈む前にリバーウッドに帰還した。あの墓地の出口は山の斜面だったので、下りるのが面倒だったが。それと宝箱は一旦メニューに収めて村の手前で取り出した。

 

「ヴィンセント!」

 

「おぉ、カサンドラ、フロドナ。ただいま」

 

村の入り口に着くと、そこにはフロドナと共にカサンドラがそばの切り株に座っていた。俺は警戒用に右手で持っていた剣を背中に背負う。宝箱も一旦置いた。

 

「すっげー!兄ちゃん本当に宝箱を担いで帰ってきたよ!姉ちゃんの言った通りだ!」

 

「ん?どういうことだ?」

 

「あぁ、いえ……なんでもないわ!さっ、早くルーカンさんに報告しないと!」

 

「お、おい!」

 

目を輝かせるフロドナから逃げるように、カサンドラは俺の背を押してリバーウッドトレーダーへ急かしてくる。何が何だかわからんが、明るいフロドナのおかげでカサンドラが少しでも元気になっているのならいいことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「見つけたのか?ハッハッハ!言った通りだ。変だな……思っていたより小さいようだ。おかしなものだな?ん?」

 

リバーウッド・トレーダーに入って早々L字型の木のテーブルに金の爪を置いた俺は、笑顔で上機嫌のルーカンに背中をバシバシ叩かれていた。カミラもその様子をニコニコと笑顔で見つめた後、俺の担いできた宝箱をフロドナと一緒に開けて中身についてやいのやいのと騒いでいる。

 

宝箱の中には爪、石版と共に今回の戦利品の数々や手持ちの売ろうと思っていた小物も入れてある。ちょっとした宝石箱状態だ。そのことを一応伝えてはいるのだが、フロドナはどっちにしろ俺の勝ち取った物であるという事実が大事だそうで、それが一度も見たことのない古臭いがしっかりとした宝箱に入っているのだからもうたまらないとかなんとか。

 

彼は将来ストームクロークに入ってレイロフと共に闘いたいと言っていたが、俺の戦果を見て悩んでいるみたいだ。こうやって俺がやったことに目を輝かせて自身の夢にしてくれるというのは、正直すごくうれしい。どちらを選んでも命を懸ける職業になるが、ジャルデュルやホッドは息子の選んだ道を進ませたいと言っていた。どうするかは彼の決める事ではあるが、どちらを、もしくは他の生き方を選んでも俺は応援してやろうと思う。まぁ、まだ十位の歳の子供にここまで考えるのも我ながらどうかとは思うのだが。

 

「これは、あるべき場所に戻すつもりだ。決して忘れないよ。俺と姉妹のために凄い事をやってくれた」

 

「俺は戦うことしか出来ないからな。あとはちょっとばかしの鍛冶と魔法か。それぐらいでよければいつでも相談してくれ」

 

「謙虚なやつだ。あれだけの盗賊を一人で倒してきたにも関わらず、自慢の一つもしないとは。まぁ、謙虚さも美徳の一つか。ほら、約束のゴールドだ。今回の労力に見合った額だといいが」

 

じゃらりと皮袋に入ったゴールドをテーブルの上に置き、ルーカンは金の爪を棚の奥に仕舞い始めた。俺はゴールドを受け取って一旦テーブル前の丸机の上に置く。どうにもさっきからフロドナとカミラが戦利品をいじくりながら俺の話を聞きたそうにちらちらと見てくるんだ。まったくもってわかりやすい。カサンドラを見れば苦笑しながら二人を見る。話してやれってことだろう。フロドナはまだしも、カミラ。けっこうじゃじゃ馬娘か?

 

「全く、しょうがない奴らだ。ルーカン、この丸机借りていいか?」

 

「あぁ、いいぞ。どうせ暇だしな。その間に宝箱の中身の査定……は後にしておこう。俺もゆっくり話を聞くかな」

 

宝箱を取ろうとすると途端に嫌そうな顔をするフロドナ。物を見ながら話を聞きたいのと、後でジャルデュル達にも見せたいそうだ。俺の戦利品なんだが、どうやら決定権はこの小さな戦士様にあるらしい。ルーカンも苦笑しながら椅子を引っ張り出して聞く体勢に入った。子供にはどうにも甘いらしい俺が、一息つくのがもう少し後になるのは確実だった。

 

そうして話始めるのは今日出て行ってから帰ってくるまでの出来事。巨乳ちゃん云々はもちろん省いて、山賊がみんな馬鹿ばっかりだったとかミイラと戦ったとか。フロドナとカミラは目を輝かせて聞き、カサンドラとルーカンは引っ張り出してきたジュースを飲みながら興味深げに聞く。自慢するのは好きではないから、誇張はなく、実際の事と対処法なんかを交えて話す。吟遊詩人の友人に教えてもらった、人を楽しめる話し方はいろんなところで役に立つ。ゲームで言えば、話術スキルが結構高くなっていることだろう。

 

「ほう、ドラウグルも敵ではなかったわけか」

 

「ん?あのミイラの事か?」

 

「あぁ。まぁゾンビのようなものだが、力はけた違いだ。それにある程度生前の知識もある。魔法も自在に操る個体も確認されているしな」

 

詳しく聞けば、あのミイラ……もといドラウグルは古代ノルド人のなれの果てらしい。詳しくはルーカンも他の面々もよくわからないそうだが、強い力を持っていた人物とかがなりやすいそうだ。なので、時折遺跡には強力なドラウグルが住み着いているらしい。しかも生前の強力な装備のままというなんとも面倒な状態でだ。ゆえに、死者が絶えないとかなんとか。

 

「なるほどね……なら、こいつを持っていたやつも生前は強かったのか」

 

「古代ノルドの両手斧か……ほぅ、冷気の付呪がされているな。状態も、まぁ悪くない。これなら少し高く売れそうだ。フロドナ、触るんじゃないぞ」

 

「えー!おっちゃんのケチ!」

 

何だかんだで持って帰っていたあの最後のドラウグルの両手斧。フロドナに触らせないようにこちらの手元に置いておく。付呪されている武器の刃を直で触ると危険だからな。

 

あの最後のドラウグルは普通の戦士よりも強かったし、最後のあの石碑を守っていたようだったからそこそこ名の知れたやつだったんだろう。俺が首を落としたからもう復活する心配はないとは思うが、あれに何人が殺されたのやら。

 

「まぁ、何はともあれこれでリバーウッドの近くの山賊は駆除した訳ね。これでしばらくは大丈夫でしょ」

 

「えぇ。あそこの山賊には皆苦労させられていたもの。この村の皆もあなたに感謝するでしょうね」

 

「これでうちの荷馬車も襲われる心配が少し減ったな。だが奴らはネズミのようにすぐに湧いてくる。今のうちにいろいろ済ませておこう」

 

そう言って立ち上がったルーカンは二階に上がっていき、カミラに店じまいの指示を出す。カミラは不満そうだったが、明日もまだいる旨を伝えると渋々といった具合に準備を始めた。それがお開きの合図となったため、俺達はリバーウッド・トレーダーを出ることにした。

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