歯車男とボルトレスガール   作:そらからり

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とりあえず4話まで書けた
最近は二次創作で新しいの多いから触発されて投稿していくぜ


ボルトレスガール 2

■【高位操縦士】犬塚マキノ

 

「ねぇねぇ、マキノさん! これとこれ、アレも必須ですよね!」

 

 依頼を受け、まずは準備を整えようということで買い出しに赴くことになったのだが、予想通りワークスピサロは持ち合わせが無いということでほとんど俺が立て替えることになった。

 

「……使わなかったら返せよ?」

「え、もしかしてマキノさんって女の子の使用済みアイテムとかコレクションする人だったりします?」

「しねえよ!」

 

 そしてこの世界で使用済みアイテム……耐久値がゼロになったアイテムは消えてなくなるんだ。

 コレクションなんて出来ない。

 

「はぁ……貸した金は報酬から天引きな」

「えー。そこは男を見せて、『ここは俺に払わせなキリッ』ってしてくださいよ」

 

 ……絶対に天引きしてやる。

 一向に殊勝な態度を見せないことに対し苛立つ俺に気づいていないのか、ワークスピサロは笑顔で買い漁ったアイテムを整理……いや、アイテムの説明を読んでいる。

 必要とか言っていたがまさかアイテムの効果すら知らないで買っていたわけじゃないよな?

 

「……まだデンドロを始めたばかりなんだろ? だったら地に足を付けて、自分の身の丈に合った依頼を受けろよ。俺もそうだけど先人達はそうやって少しずつ強くなって――」

「あ、正論とか結構なんで。とりあえずお金貸してください」

「……お前なぁ」

 

 そんなんだとトラブル起こすぞという俺の言葉に聞く耳持たないまま、ワークスピサロはどんどんアイテムを買い込んでいく……俺の金で。

 

「あの受付さんにデート申し込んでましたよね。そんなに女性に飢えてましたか。良かったですねえ、私みたいな美少女とデート出来て」

「ちんちくりんには興味ない」

「ちっ……!?」

 

 ミモさんのような大人の女性ならともかく、ガキには何の興味も抱かない。

 

「わ、私がちんちくりん……」

「鏡見ろ、鏡」

 

 どこからどう見ても中学生くらいだろ。

 俺にとってはガキも同然だ。

 

「同級生の中では背も高い方なんですよ……発育だって」

「最近のガキは偏食多いって聞くからな。栄養足りてないんだろ」

 

 発育言うな。

 女の子だろ一応は。

 

「だいたい、報酬の山分けって、お金のほうはマキノさんがほとんど持っていっちゃうじゃないですか」

「その分、〈マジンギア〉欲しいって言ったのお前だろ。『ただで手に入るチャンスだうへへ』って涎垂らしてたじゃねーか」

 

 だいたい、既に半壊しているって話だし、旧式らしいしで使い物になるか分からないぞ。

 

「だって〈マジンギア〉良いじゃないですか。ロマンですよロマン」

 

 ワークスピサロの言葉に、ピクリと反応する。

 お前……もしかしてその年齢でこっち側なのか?

 

「〈マジンギア〉の良さが分かるのか?」

「分からなかったらわざわざドライフにしませんよ。レジェンダリアに来いっていう友人の誘いを蹴ってるんですからね」

 

 それから俺達は小一時間ほど〈マジンギア〉について語らった。

 どうやら開始以前よりデンドロを……〈マジンギア〉については予習してきていたみたいで、知識量も相当のようだ。

 久しぶりに楽しく語ったが、だったら何故という疑問が浮かび上がる。

 

「そんな旧式の……壊れかけた〈マジンギア〉に固執しなくてもよくないか?」

 

 俺達〈マスター〉は真っ当に動けば相応の金を手に入れることが出来る。

 依頼だって無茶が出来るし、エンブリオの能力次第では大金を稼げる。

 

「普通に高額の依頼を探したほうが、〈マジンギア〉を修理するのだって金がかかるんだぞ」

 

 下手をすれば新式を買った方が安く済むことだってある。

 〈マジンギア〉を手に入れて遊びたい、という望みがあるのならば、今回の依頼は遠回りをしていることになる。

 

「それはですね」

 

 ワークピサロはそこまで口にし、ふと言葉を止める。

 

「ふっふーん。内緒です」

「は?」

「乙女の秘密に土足で踏み入れるなんてマキノさんってばデリカシーの欠片もありませんね!」

「おいこら」

 

 チッ……まあ良い。

 変な女には古い型の〈マジンギア〉が似合いだろう。

 せいぜい使い方を誤って完全大破しないように気を付けることだ。

 

「……依頼の期日は無い……が、さっさとケリをつけてお前とお別れしたい。このまま鉱山に向かおうと思うんだが、お前は大丈夫か?」

「なんですかその言い方は! 少しは私からの好感度稼ごうとか思わないんですか!?」

「いや別に。さっき会ったばかりだし今日決着つけられたら明日にはもう顔を忘れてるだろうし」

 

 憤慨するワークスピサロからパンチが出るが、躱す。

 

「躱さないでくださいよ!」

「勘弁してくれ。俺だって前衛職じゃないんだ。お前のレベルが低いとはいえ無駄にダメージを喰らいたくはない」

「またそんな! 私を低能扱いして!」

「ジョブのレベルが低いってことだよ……」

 

 ワークスピサロの沸点が分からないが、ともかく女の子扱いして欲しいことだけは分かったため、無視することにした。

 

「俺は【高位操縦士】だ。前衛職じゃないが、愛機に乗れば前衛で戦える」

「なんですか急に。自己紹介ですか? 長所アピールですか?」

「……戦略の確認だ。このまま打ち合わせも無しに鉱山に行けないだろ」

「あ、なるほど」

 

 コイツ……MMORPGとかは初めてなのか?

 レベルに見合わない依頼を受ける様子とか見ていると、中々に不安になる。

 

「私はお察しの通り【司祭】です」

 

 誇らしげに胸を張っているが、まだ下級職。

 回復職という点も俺と微妙に相容れないな。

 

「……基本は俺が道を拓いていくから大人しく付いて来てくれ。〈マジンギア〉を発見次第、無力化に務めるから、依頼達成後はそれを持っていけ」

「お任せください!」

 

 何も任せることが無いという俺の言葉を理解していないのか、ワークスピサロは笑顔で頷いた。

 

 

 

 

 アルノーム鉱山は現在も生きている山だ。

 つまりは活火山でもあり、近づくにつれて少しずつ地熱のせいか気温も上昇していく。

 

「あづいでずぅ~」

 

 そうアピールして俺の服にしがみつこうとするワークスピサロを振りほどく。

 

「せめて自分の足で歩け。依頼を受けたのはお前だろ」

「暑いものは暑いんですよ。マキノさんも知ってたなら事前に教えてくれたって良いじゃないですか!」

 

 それはすまないな。

 有名な話だから知っていると思っていたんだ。

 まさか下調べも一切していないとは思わなかった。

 

「……これでも使え」

 

 低級の冷却魔法を封じ込めてあるジェムをワークスピサロへと放る。

 半日程度ならば体温調整を担ってくれるだろう。

 

「わぁ……涼しー」

 

 そのまま服の中に放り込むワークスピサロの姿に眉を顰める。

 

「腹を冷やすぞ」

「ちょっと、こっち見ないでくださいよ。えっちー」

 

 そう言いながらもパタパタと服の裾を仰ぐ様はまるで小学生のよう。

 行儀が悪いことこの上ない。

 

「……勝手にしろ」

 

 言いながら、鉱山を進んでいく。

 やがて坑道の入口へと辿り着いた。

 

「ここまでモンスターの気配が無かったですね」

「炭鉱夫が働いているからな。対策はしているわけだ」

 

 モンスター避けのアイテムが入り口にも置かれている。

 内部で発生はするだろうが、外部からの侵入は防いでくれるだろう。

 

 狭い入り口だが人間一人が通るには十分だ。

 俺は少し屈みながら、ワークスピサロは悠々と通過する。

 

 湿った匂いだ。

 あまり通気性は良くないのだろうか。

 そこに機械油のような臭いが混じって風に運ばれてくる。

 トロッコがどこかにあるのだろう。道の真ん中には線路が敷かれている。

 

「……」

「なんですか。また私の背丈を馬鹿にするんですか!」

「いや……違う」

 

 俺ですら入り口は狭く感じた。

 人間なら通り抜けられる程度の大きさの入り口を……どうやって〈マジンギア〉は通り抜けた?

 一度ガレージに収納して鉱山内部で展開したのか?

 ならばそれは……

 

「マキノさん!」

 

 歩きながら思考にふけっているとワークスピサロが声を潜めながら俺の腕を掴む。

 彼女は頷きながら一点を指さした。

 

 二股に別れた道の真ん中に。

 まるで台座のように鎮座している機体は――

 

「〈マジンギア〉……」

 

 紫炎のようなマークが施された〈マジンギア〉が俺達目掛け銃口を向けたのであった。

 

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